2019/07/23 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/路地裏」にシスター・マルレーンさんが現れました。
シスター・マルレーン > ………。

絶対嫌だ、って言ったんです。
ついぞこの間怪しい薬を売っている相手を捕まえようとしたら、自分に打ち込まれて大変な目にあったのだから。
でも、これは完全によくない薬だから。それを捕まえないと大変だから。
説得に説得を重ねて、最終兵器の「じゃあ他の人に行かせるわ」を口にされれば。

彼女は行くしかないのだ。
冒険者兼シスターの彼女は、冒険者としての仕事ではない、教会独自の仕事も受ける。
今日の依頼は、この地区で怪しげな薬を販売している男を捕らえるか、この地区で商売をしないように「説得」すること。

ため息をつきながらも、おそらくここだろう、と目星をつければ。

「………どんなものを売っていらっしゃるんですか?」

首を傾げながら、怪しげな店主に声をかける、この場には不釣り合いな金髪のシスター。
ある意味怪しすぎるが、堂々とした物言いが逆にそれが当然かのような空気を身に纏い。
ただ、背中に背負った棍と、修道服の中から僅かに聞こえる鎖の音が、はっきりとただのシスターでないことを示す。

隣にいる、買い物が終わった男性には悪いと思うが。………店主が逃げるような行動をとれば即座に叩きのめさんと、目を少し細めて。

カイン > 「………。
 うん?」

何やら騒々しい。そう思った瞬間、気配が此方に向かってくるのがわかる。
あ、これは面倒ごとだなと思う反面通り過ぎてくれれば儲けモノと素知らぬ風を装っていたが、
当然の様に世の中そんなふうにうまくはいかないもの。
横にやってきた何とも物騒な風情の女性に視線を向けると、顎に手を当て。

「そりゃあ、お嬢さん。道具の類だよ、俺もよく世話になってるんだがな。
 ポーションとか傷薬とか、お前さんもその風体だとお世話になる性質じゃないかい?」

面倒だとは思った物の、このまま自分の荷物まで飛び火してはたまらない。
そう判断して横から助け舟を出してやる。
一応、店の棚に陳列してあるものはある程度まっとうな代物ばかりである。
…媚薬の類など、あまり表通りで売られていない代物もあるのはご愛敬である。
最も、それこそご禁制に至るような代物は深くにしまい込んであるだろうが、
助け船を出しと男の側としてもそれが無い、などとは到底思ってない。
微動だにしない店主の様子を横目に見ながら、さてどうしたものかと改めて物々しい女性を見やり。

シスター・マルレーン > 「………そうですか。
 ええ、大変お世話になります。本当に………。」

遠い目をして一瞬愚痴をこぼしそうになるが、こほん、と咳払いをして。
助け舟を出す男性を見やって、微笑み。

「それが………神父様が欲しているのは、そういったものではなく、ちょっと特殊な薬のようで。
 普通の薬屋にないものが、あるかどうかを尋ねるよう、仰せつかっています。」

神父を悪者にする。まあ、実際欲しがっているのは事実だから仕方あるまい。
袋を見せて、金があることを示す。

………とはいえ、隣の男性をちら、と見て。
荒事になった時に店主側につきそうな人がいるのは、ちょっとまずい。

カイン > 「大変そうだな、そっちの方も。…回復魔法とか得意そうなやつ多そうなのになあ」

その反応で何となく察する。まあ、この町の事である。
どうせケガの他の怪しげな、あるいはどうしようもなく下品な薬の経験があっても驚かないと、
何とも下世話なことを思ってしまうのはご愛敬。
軽く肩を竦めて言いながらも、神父という言葉には思わず喉を鳴らし。

「そりゃあまた、こんな所の薬に用事があるとは元気な神父様だな。
 ……で、店主殿どうなんだい?」

店主殿に水を向けて見せれば、帰ってくるのはそれこそ普段の寡黙さからは想像もつかないようなトークである。
やれ自分の所の傷薬の効き目がどうだとか、やれ夜のお供がどうだとか、
余計なことまでしゃべってそうな様子に額に手を当てながらちらりと女性の方を向く。
果たして彼女の琴線…基、逆鱗に触れるような話が混ざっているのだろうか。

シスター・マルレーン > 「………まあ、シスター兼冒険者、という枠組みではそうなのかもしれませんが、実質普通の神職の方も多いですから。
 それに、教会には困った方がたくさんいらっしゃいます。
 医療品はあればあるだけ困らないのです。」

………。

「………ああ、なるほど。」

ため息交じりに呟いて。
僅かに吐息を吐き出して、目を閉じる。

「この前、不意打ちで薬も打たれまして。
 ………それは、平民地区の薬屋では絶対に買えないレベルなんでしょうね?」

こんな演技はしたくない。ええ、したくないんです。
満足できない、といった微笑みを浮かべながら、店主に改めて尋ねる。
ええ、無理やり不意打ちで薬を使うことになったので、絶対許さんと思っていたところだったんです。

後ろ手に握った拳が、ぎゅう、っと握りしめられる。店主には見えないように。

カイン > 「なるほど、なるほど。確かに薬はあるだけ困らないよなあ。
 …使わなくていい薬ってのも世の中幾らもありそうだけど」

勿論、そういうものは世にいう治安維持機構の方々が皆こぞって廃絶に動いているわけだが、
他の場所はさておきここばかりはそう簡単にはいかない所である。
自分の下品な想定が中らずと雖も遠からずだったらしいシスターの様子に、
思わず肩を竦めてしまう。彼女の獲物の一撃に巻き込まれるのは正直御免なので、スッと少しだけ後退。
と、店の店主は気をよくしたのか当然の様にご禁制だと説明して見せるのだから、
丁度よく見える彼女の握り手の部分に視線をやりながら苦笑いを浮かべ。

「あー、とりあえず今店主の右にある荷物は勘弁してもらえると助かるな」

なんてことをぼやいて見せた。

シスター・マルレーン > 「……そうですか、ではそれですね。
 アレ本当に大変だったんですからね!!!」

獲物すら使わない、拳が一閃。
フードごと相手の顔面をぶち抜いて、どぉんっ、と音が響く。

「………………」

ぜー、ぜー、ぜー、っと肩を上下させ、しばらくして。

「………お恥ずかしいところをお見せしました。
 シスター兼冒険者の、シスター・マルレーンと申します。
 もちろん、その、そういった………危ない薬などは入っていませんよね?」

一応確認するように、苦笑いを浮かべている男性を見やりながら、丁寧に名乗る。
途中で明らかに男性が後ろに下がったのは、巻き込まれることを察知してだろう。
それでも助けるように間に入られたら困っていたが、敵でも味方でもないのだろう、という判断が功を奏した。

「………えーと。
 私はそういった薬を欲しがっているわけではないので、そこんとこは誤解しないでくださいね? 本当に。

 本当に。」

念押しをした。頬を赤くしながらずずい、と拳を握り締めて。 圧力に近い。

カイン > 「……おお。派手にやるもんだ」

目の前の光景を何といえばいいのか。
判断に迷うまま、自然と口を突いて出てきたのがそんな言葉だった。
呆れ半分面白さ半分といった様子でシスターの一撃を横で見ながら、
肩を竦めてゆっくりと喉を鳴らす。

「あー、そうだな。少なくともシスターがお探しの物は入ってない」

そういい淀んだのは、使い方次第では媚薬になるような代物も混ざっているからだ。
最も、その用途に使うことはまずあるまいが。
一応嘘は言ってないという体でよい笑顔を返しながら、
圧をかけてくる相手に対して意外なくらいにフランクに右手を差し出し。

「解ってるとも、この見事な一撃を見てそんなことを疑わないよ。
 俺はカイン、しがない傭兵をやってる。
 ま、荒事で手が必要になってくれたら声をかけてくれたらうれしいね」

そう、売り込みまでかけてくるあたり肝は間違いなく座ってるらしい。

シスター・マルレーン > 「…その発言が誤解を招くんでー、やめてほしいんですよねー。
 事実なんですけどー。 仕事ですから事実なんですけどー。」

シスターがお探しの媚薬、って響きになることに、頬をふくらませてぶーぶーとブーイング。
差し出された右手に、……そっとこちらも差し出して。

「………ほほほ、そ、そうですね、その。
 本当は先に口で説得するべきでしたね………。」

見事に先手を取ってぶちのめしたことを思い出して、頬を赤くしながら言いよどむ。
握手していなければ、両手の指をつんつんしていただろう。
相手の荷物を精査するつもりはないことは、改めて口にしないことで示して。

「……傭兵、ですか。
 荒事で他の方の手を借りることがあれば、お願いいたします。」

売り込まれながらも、穏やかな言い方で微笑を浮かべる。
こうやって微笑んでいればシスターらしいシスターの容姿。

カイン > 「おっと、そいつは失礼。ま、こんなところまでご苦労さんだ。
 その腕っぷし見たら大体の奴が襲おうなんて考えは捨てるだろうけども」

そういいながら、吹っ飛んだように見えて視界の端でスッと闇に消えていくフード姿をみて、
肩を竦めつつあえて何も言わないことにする。
…人間離れしてるとは思う反面、そもそも人間かどうかも怪しいのがこの界隈のお約束である。
当たり前のように混ざってる自分も人間ではないのだから、蛇の道は蛇というやつだ。

「その通り。…といいたいところなんだけどここの住人はそれで正解。
 どうせ言葉で話したところで効かないんだから、
 物理的に黙らせるに限る」

逆にそうでもなければ黙らないのが困り物である。
赤面する様子を見ていたずらめいた表情を浮かべると、
手を軽く握ったかと思うとそのまま引っ張り込んでしまおうと手を軽く引き寄せようと力を籠め。

「……まあ、それはそれとしてマルレーンさん?
 仕事はこれで終わりってんなら、この後デートでもどうだい。
 ま、と言ってもこの辺りだと酒場で酒か食事かって所だけど」

あえてシスターとは付けずに笑って誘いをかける。
口説き文句の常とう手段ではあるものの、
無理強いする気は男の側には全くない。
引き寄せようとした手も含め、拒まれればあっさりと引き下がるだろう。

シスター・マルレーン > 「ははは、だといいんですが。」

あははは、と笑って遠い目をする。
きっといろいろあったのだろう。あったのです。あった。

「………まあ、そうなんですけれど。
 でも、それで正解だから何をしてもいい、というわけではないですし。
 ………冒険者としては正解ですが、シスターとしては失格です。」

とほほ、と肩を落としたところだったから。
ひっぱられれば頭からどすん、っと相手に突っ込んでしまって。

「………お仕事終わり、と言いたいところですけれど。
 報告とかいろいろあるんですよね。

 ………きっと怒られるんでしょーけど。」

とほほ、とため息をつきながら。
拒むというより、あはは、と笑いながらゆるーい言葉。
あとちょっと近いです、なんて、恥ずかしそうには口にする。

カイン > 「ま、物好きな奴は多いからな。お嬢さんみたいなのが出歩くには向かん場所だよ、ここは」

生真面目に考えすぎるらしい相手の様子に笑って言いながら、
色々とひどい目にあったらしい様子には思わず同情を禁じ得ない風に苦笑いを浮かべ。

「そこはそれ、ここは神様の目立って届かないような掃きだめだからな。
 誰も見てない、とこっそり思っておくのが一番サ。
 好き勝手やる相手に好き勝手やって返して何が悪い、
 見過ごす方が神様への冒涜だって言い放ってやりな」

それくらいタフでちょうどいいとロクでも無い知恵を吹き込みかかる。
実際、ここはそういう場所には違いないと喉を鳴らし。

「…ふむ。なるほど、なるほど?
 よし、じゃあ酒飲みに行こうやお嬢さん。
 どうせ怒られるなら、今ここで酒飲んでも変わらんだろう?
 愚痴くらいは聞くしな。…ま、それにこの辺の騒動に関してはちょっと顔が利く」

そういいながら周りを見回して苦笑い。
幾らかある借りが減ることになるだろうが、
相手の免責が大分減るようにはしてやれるだろうと算段を付けながら改めて誘い。

「俺は近い方がいいね、お嬢さんの可愛い顔がよく見えるし?」

何て恥じらう様子をどこか楽しみながら意地悪く言い放つ

シスター・マルレーン > 「……ふふ、何も言いませんよ?」

そうですね、とも言えない。 口を滑らせないように微笑みながらウィンクをぱちり、と一つ。

「あはは、私もそう思えたら気楽なんでしょうねー。
 まあ、バチはそのうち当たるとして、そこは覚悟しておきましょう。」

軽く笑いながら、その思考に至れないことを苦笑交じりに呟いて。
それをまた、仕方ない、と笑い飛ばす。
どうやら、芯の部分が硬いようでもあった。

「いや話聞いてましたか。
 報告サボって酒飲んでたら怒られる時間も量も数倍なんですけど!?

 下手したらまーた闘技場で3戦とかあるんでホント勘弁してほしいんですけど!」

本音がぼろぼろ漏れるシスター。
可愛い顔、と言われれば、よわーいでこぴんをぺちりと一発。

「まったくもう。調子のいい人は困りますね。
 食事だけですよ?」

もう、と言いながらも完全に断らずに。

カイン > 「そのくらいのしたたかさがあれば問題ないだろう…と、言えないのがここの怖い所だけどね。
 何かあったらとりあえず頼ってもらえりゃ、できる限りのことはするよ」

この辺りに慣れてる人間だったらいざ知らず、
それこそ平民地区あたりがメインの人間に対してはできるだけやれることはやるようにしてる。
勿論、ある程度以上男の保身もあるのだが、それ以上に放っておいた方が面倒ごとが重なるケースが多いのだ。なぜか。

「ま、神様も多少の事なら目をつむってくれるさ。
 神様の真面目さによるみたいだけど」

神官という職には何かと縁があるが、
幸せになってる奴とひどい目にあってる奴の差は宗派諸々で酷い有様である。
それを思い出して余計な一言を付け加えながらも顎に手を当て。

「報告が遅れた以上の成果を出せばいいんだろう?
 さっきの薬云々の話なら幾らか手が回せるよ」

その分を自分との飲食に充てるのはどうか、と言い放つ当たり抜け目ないやら、
欲望に正直やら。どちらにせよろくでもない事だけは間違いない。

「交渉成立、ってね。…ん、じゃあ是非にお願いしようかお嬢さん」

そう笑いながらデコをはねられながらも、
一歩引いて存外に堂に入った礼をして見せる。
そのまま再度、しかし今度は握手を求めるのとは違い手を前にさしだして見せる。
エスコートするといわんばかりの様は存外に絵になるのがまた胡散臭い。

シスター・マルレーン > 「こちらのことに詳しいのですね?
 こう、無茶ぶりでここに行けと言われることが多いので、それは確かに聞きたいことも出てきそうです。」

なんだかんだ、あちらに行け、ここに行け、ここを叩けだの、依頼はたっぷりわいてくる。
この街並みを歩くのにも慣れたが、果たして本当に理解までしているかと言われれば、怪しくなる。

「………どちらかというと、他の神職の方……。」

遠い目をして、思わず一言口走り。 ………無かったことに、と追加で付け足した。
流石に言い過ぎた。

「………む。
 それならまあ、理由もきっちりできますし、悪くはありませんね。
 では、行きましょうか。

 ………そういうの、慣れてないんですよー。」

苦笑しながら掌を前に向けて。
教育もそんなに完璧に受けてない、荒事担当のシスターなんです、はい、と、遠い目で語る。

カイン > 「ま、この辺りが俺の根城でね。
 色々と巻き込まれたり騒動をはた目から見てたりしてるから、
 知識はそれなりにある方だと思うよ」

対処できるかどうかはまた別問題である。
力技以外での対処が求められるここは、確かに間違いなく面倒な場所だ。

「はっはっは、了解。じゃあ聞かなかったことにしておく」

クックと喉を鳴らしていいかえしながらも、
肩を揺らしてゆっくりと目を細める。

「帳尻を合わせる言い訳、ってのはちゃんと用意しておかないとな。
 この貧民地区はそういうのが意外に役に立つ」

何せみんな脛に傷がある連中ばかりである。
表ざたになったら困るんだから、落としどころってのは自然と見えてくるものだ。

「じゃあ慣らすように丁寧に行くとするかね?
 ま、今日はよろしく頼むよお嬢さん」

冗談めかしながら手をそっと取り、先導するように歩き始める。
行き先が近所の安酒場では全くもって締まらない話だが、
二人がその後どのように時間を過ごしたのかは二人のみが知ることになるだろう。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/路地裏」からカインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/路地裏」からシスター・マルレーンさんが去りました。