2019/07/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/路地裏」にカインさんが現れました。
カイン > 薄暗い貧民地区の路地の一つ。
様々な商品を商う露天商たちの集う通りの中で、
露店の一つの前に足を止めて品物を眺めて思案顔の男がいた。
その露店で商われているのは荒事に従事している物ならば、
一度は目にしたことがあるだろう治癒や気付けの薬品類や消耗品の類。
そしてそれらの商品から隔離されるように置かれた怪しげなラベルの瓶である。

「えーと、これとこれと…後はそうだな…あー…。
 もう少し負からん?買う量増やしてもいいし」

商品を指定し多後、男とも女とも解らぬ全身をローブで
隠した怪しげな店の主を一瞥しそう交渉を持ち掛けるも素気無く断られる。
残念そうに肩を揺らしながらも一旦そこで注文を区切って再び思案を始める。
傍目には随分と怪しげな、少しはた迷惑な客に見える事だろう。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/路地裏」にリーゼさんが現れました。
カイン > 「よし、これで決めておこう。
 全く、少しくらいは色をつけてくれてもいいだろうに」

常連相手に連れない事だとぼやきながら金を先に渡すと、
店主が目の前でそれなりの量の荷物を包み始めるのを眺めて肩を竦める。

「消耗品の類は平民地区とかだとちと足が付きかねんからなあ。
 全く世知辛い。昔はもう少し大雑把だったんだがな、この国」

自分の身の上的に考えていた仕方のない所ではある。
大手を振って歩ける身分では本来ない以上はどうにもならないが。
商品を用意してもらう間に周りを見回せば俄かに人の増えた様子。
それでもちっとも賑やかと思えないのがなんとも陰気である。

リーゼ > 貧民地区の迷路のような路地のひとつ。
こんな場所で開ける露店には、それなりの理由がある。
並べられた品々のうちのいくつかは、その理由を窺えるものだろう。
けれども、たまにその露店を訪れると少女としては、そんな理由はどうでも良く。

「いいかな?
 前に頼まれてた木の実、採ってきたよ?」

先客の注文が一区切りついたのを見計らって、店主に声を掛ける。
ローブを深く被った店主のことも詳しくは知らないけれど、たまにこうして素材の調達を請け負っていた。
どれもギルドではあまり出回っていない、あまり価値のないもの。
そんなものをどう使うのかは知らないけれど、金払いだけはしっかりしているので、少女としても取引をしていて。

どうやら先客は、かなりの大口らしい。
大量の荷物を横目で見ながら、そんなにたくさんどうするんだろうと疑問を浮かべ。

カイン > 「それにしても相も変わらぬ辛気臭さ、といったら俺も人のことは言えないんだが」

何せ日陰者も日陰者。この国の闇に潜んで生きる魔族様である。
見つかったら縛り首か何かになるだろう身の上だけに、
少なくとも密やかに生きなければいけない度合いはこの辺りの人間と大差がない。
それはよく判ってるだけに若干投げやり気味に漏らしながらも、
終わるのを待っている最中に新しい客が現れるのを見ればおやと思わず声が上がる。

「ん、なんだ嬢ちゃん。お前さんもこっちになにか頼み事…じゃなくて頼まれごとの方かい?
 俺の方は急ぎってわけじゃないからな、先に用事済ませていいぜ。
 こっちは日用品の仕入れ、みたいなもんでその気になったら宿に持ってこさせりゃ良い」

店主から布の下から鋭い視線だけを強く感じたものの、
どこ吹く風と言った様子で無視しながら両手を組んで手をひらひらと降ってみせる。
観念した様子で少女の方に向く店主を横目に見ながら、いい気味だと言わんばかりに笑いを噛み殺し。

「それで、嬢ちゃんは何売買をこの胡散臭いのと?
 商売やってるんだったらぜひともお近づきになりたいね」

なんだったらそっちから買いたいと、口説き半分冗談がさらに半分、
その更に半分が割と本気で問いを投げる。
待たされてることからも分かる通り、常連なのと足元見られてるので、
何を言ってもナシのつぶてなのだからこのくらいの圧を掛ける権利はあるだろうと言わんばかりの物言いだった。

リーゼ > 少女が手にしていたのは、小脇に抱えられる程度の麻袋。
ただし、中はしっかり詰まっているらしく大きく膨らんでいるのが見て取れた。
首を傾げつつチラ見していると、先客の方から話しかけられ。

「ごめんね、邪魔しちゃって。
 うん? 頼まれごとっていうか、仕入れ? こういうのが欲しいんだって。」

麻布の口を緩めると、中からひとつ木の実を取り出して見せる。
硬い殻に覆われたそれは、子どもの握りこぶしくらいの大きさのもの。
とても食用には向かなさそうなそれをどう使うのかは、少女も詳しくは聞いてはいないけれど。

「あたしは商人じゃないよ?
 まぁ、お使い程度で良いなら請けても良いけれどね。」

高く買ってくれるのならば、そちらに流しても良いけれど? と露店の店主を脇目に見ながら冗談っぽく付け加える。
さすがにこれまで築いた信用を簡単に崩してしまうほど、お金には困ってはいない。
先客の方もそれは同じようなものだろう。それなら話に乗るのも悪くはないと。
ただ、そんなふたりに店主が動じるかと言えば、それはまた別の問題で。

カイン > 「へえ、なるほど。野伏か何かかい?大したもんだ」

返答が有る前にざっと少女の様子を確かめた後、
続いて見せてもらう中身を見ると感心した様子で頷きを返す。
とはいっても見せてもらった木の実の用途はやはり専門ではない男には判らずじまい。
薬か何かに使うのだろうなと当たりをつけて、
その上で注文のあったものを持ってきた手腕を讃えてみせた。
心底感心した様子で頷きながらも、少女の物言いに笑って首を横に振り。

「生憎と薬学の類には疎くてね、
 その実が何に使われるのか皆目見当もつかない。
 だがその調子だったらひょっとしたら普段俺が買ってる薬草のいくつかは、
 君にお願いしても良いかもしれないなと思うよ」

白々しく露天の主の目の前で繰り広げる会話はある意味駆け引きじみて、
実際の所そうでもない程度の戯れだ。
実った所で小遣い程度の金額の私先が変わる程度、そんな店主を詰って遊ぶ客が二人いるという程度の話。
ちらと様子を伺うように視線を店主に動かしてみるが男にはその様子の変化が見て取れず、肩を揺らすだけにとどめ。

「ともあれこんな所であったのもなにかの縁、機会があったら頼むよ。
 俺はカイン、ここで傭兵や用心棒家業をやってる。
 危険なところなんかにいくなら是非よろしくね」

そう笑って右手を差し出してみせるのだが、
ちゃっかり営業挟む辺りは抜目がないのか何なのか。

リーゼ > 「野伏……? うーん??
 一応、これでも冒険者ギルドに登録はしてるんだよ。」

聴き慣れない単語に小首を傾げつつ、「まぁ、何でも屋みたいなものだけどね」と苦笑する。
事実、他の冒険者と比べれば地味な依頼ばかりこなしている自覚はある。
モンスター退治も悪くはないけれど、それよりはダンジョン制覇とかの方が面白い。
更に言えば、それよりも街で美味しいご飯を食べることの方が少女にとっては重要なことだった。

「うん、まぁ薬草とか木の実の採取なら任せといて。
 後はそうだね、小物の狩りくらいかな。その折にはご用命をお待ちしていますよー?」

動物の内臓なども、モノによっては薬になる。
毛皮もそれはそれで売り物にはなるのだけれど、少女に扱えるのはせいぜいが野兎くらい。
狐ならばまだしも、狼になると群れを相手にすることになるので、狩猟というよりも討伐の分野になってしまう。
その辺りは店主の方もよく知っているわけで。
茶番じみたやり取りにもさっぱり反応しない喰えない相手に苦笑を浮かべ。

「傭兵さんなんだ。
 あたしは、リーゼ。荒事の方は得意じゃないから、お願いすることもあるかもね。」

差し出された手を取ると、よろしくねー、と気さくに笑いかける。
実際、冒険者が傭兵を雇うなんてことがあるのかというと、早々そんなこともないのだろうけれど。
それでも治安の悪いこの辺りで腕の立つ人との伝手は大事なもので。

カイン > 「ン…ああ、レンジャーとか狩人とかって言ったほうが良いな。
 なるほど冒険者か、どうりで。それだったらこの辺に一人でいても不思議じゃないか。
 何でも屋のほうが楽しいってやつも多いからなあ、それはそれでいいんじゃないか?
 俺なんかはどちらかと言うと戦ってるほうが楽しいが、
 なにかやり遂げた後の達成感が何にも代えがたいことはよく判ってるつもりさ」

達成の重点がどこに置かれるのかはやはり人によって違うものだが、
ある意味冒険者としては有るべき姿だろう少女のやり方については好意的な見解を示して笑ってのける。
ついでにこの辺りが物騒なのは相手も先刻承知だろうとは考えた上で、冒険者であれば納得だと頷きながら顎に手を当て。

「俺はその辺りは特別得意ってわけじゃないんでね、場合によっては頼むかもな。
 ……全く、我らが取引相手様はこの程度じゃ動じないらしいってのが頼もしいね」

少女と同じように苦笑いを浮かべながら、差し出された手を上下に揺らして肩をすくめる。
全然動じた様子がなく黙々と品定めをしている様子の商人からは一旦視線を外し、
名を名乗った少女に応じるようにゆっくりと一度頷いてみせた。

「よろしく、リーゼ。ま、仕事とか抜きにして可愛い女の子とはお近づきになりたいもんだがね。
 というわけでこの後一杯どうだい?」

そうして手を離すのかとおもいきや、そっと下から握り直して流れるように口説きにかかった。
随分と手慣れた様子なのは慣れの問題か。
堂に入った…というと聞こえが良いが、芝居がかった様子で一礼してみせる。
最も、軽い声の調子からしてみればお近づきの度合いがどこまでか知れたものではなかろうが。

リーゼ > 相手が言うように、冒険者稼業なんて、所詮は人それぞれ。
やりたいことをやっているその日暮らしの集まりに過ぎないわけで。
その辺りをよく分かっているらしい相手には、にっこりと笑みを向け。

「まぁね、だから、あたしとしては美味しいご飯が食べられるだけの支払いをしてくれるなら、それで十分なんだけど。
 ……ほんとに、これっぽっちも色を付けてくれなさそうだし、仕方ないからいつも通りで良いよ。」

後半のセリフは、傭兵に頼もしいと評価された店主へと向けたもの。
金払いが滞ったことはないけれど、逆に嵩が増したことも一度もない。
そのあたりは嫌になるくらいにしっかりしているのだった。

「んー……お酒じゃなくて、ジュースでも良いなら?
 あと美味しい食事なら、喜んでお受けいたします――かな。」

一方で、慣れた様子で手を握り直して誘ってくる男に対しては、澄ました顔で対応する。
初対面の相手に警戒しているというよりも、単にお酒に弱いというだけ。
先日もそれでちょっと失敗してしまったわけだから、ちょっと自重気味。
男の芝居がかった仕草には、こちらも相応に返そうか。
空いた片手でワンピースの裾を摘まむと、貴族さながらの優雅な仕草で膝を折ってみせ。

カイン > 「そりゃまた、刹那的なことで。
 冒険者らしいと言えばこの上なく冒険者らしいな。
 ま、一攫千金してしまって生きがいなくしたりするよりはなんぼもマシだな」

何をやりたいかというのを見失って精機を失ったやつというのを幾らも見て来た身の上だ、
一攫千金を狙ってみろ…等とは軽々しく逆に言えないのはある意味で業だろう。
言われて相手が嬉しいとも思えないというのも大きな理由では有るのだが。

「ハッハッハ、手強いなこいつは。
 金さえ払えばしっかり揃えてくれるところだけは安心して良いんだが」

ほかは全く安心できないと肩をすくめて言い返す。
少女の言葉には同意するように頷いて見せながらも、
続いての返答に「おや」と思わず声が上がる。

「それはそれは、俺は嬉しいけどいいのかい?
 見知らぬ男の誘いを受けると酔い潰されてあらぬ事をされてしまうかもよ?
 俺は機会があったらそういうことに持ち込む事に全く躊躇わんからね」

からかうように言い放って見せながらも、
姿勢を正しがてらに言い放つのはある意味どうしようもなく碌でもなく、
かつだからこそ嘘のない正直な言葉である。
そのリスクを少女が背負う気が有るのかと楽しげな様子で眺めながらに問いかけ。

リーゼ > 店主の前で、芝居がかった仕草でやり取りするふたりは傍から見ればどう見えるか。
とは言え、こんな路地の奥に来る客なんて滅多にはいないので、気にすることもない。

「こっちとしては、美味しいご飯を奢ってもらえるなら儲けものだしね。
 お酒はちょっと遠慮したいけれど、カインさんは無理やり襲うタイプでもなさそうだし。」

ある意味愚直に、下心を隠さない様子には思わず笑ってしまう。
お酒さえ飲まなければ大丈夫だから、そんな機会はそうそうないから安心して、とばかりに男の期待を打ち砕く。

そんなやり取りをしているうちに、店主の査定は終わったらしい。
いつもどおりの金額をきちんと受け取ると、何の気まぐれか薬をひとつおまけしてくれた。

「珍しいこともあるんだね、明日は雨かも?
 雨が降るなら、街で大人しくしてようかな。
 そんなわけだから、ご飯だけならお付き合いするけれどどうかな?」

さすがに初対面の相手にたかるつもりはない。
自分の分はちゃんと自分で支払うけれど、ひとりで食べるよりは誰かと一緒の方が美味しいだろう。
それくらいの軽い気持ちで誘ってみて。
相手が誘いに乗るのなら、お店は相手のオススメに任せるだろう。
それもまた少女の楽しみのひとつであって―――

カイン > 「…そこは脇が甘いと思うんだがね。
 ま、それで良いのならばそれでいいさ」

相手の返答に、混ぜ込みでもされたらどうするのかとは他人事ながらに一抹の不安を感じて言い返す。
最も、それは男の主義には反するのでやりはしないのだろうが。

「それじゃあ飯を食う間に口説いてみせるとしようかね。
 さて、じゃあ一体どこが良いか…おや。
 じゃあ店主殿、俺の方はいつもの宿に届けておいてくれたまえ。
 用意が遅いのが悪いのだからそこは仕方ないよな」

おまけがあったという珍しい物事を目にしたついでに、
畳み掛けるように白々しく言い放つ。
刺々しい視線を後ろに感じながらもそれを見ないふりして、
少女の手を軽く握り直してみせると本当にエスコートするような様。
なんとも周囲からしたら浮いた様に見えるだろう。

「それではお嬢様、俺の行きつけにご案内するとしましょう。
 何、飯は悪くないよ。そのせいか酒が弱いんだがね」

呑兵衛の男としては酒が弱いのは結構な痛手である。
だからあまり通わないのだが、リクエストが飯の旨さとあっては致し方ない。
そんな他愛のないことを話しながら連れ立ってその場を後にしていくことになるのだろう。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/路地裏」からリーゼさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/路地裏」からカインさんが去りました。