2019/07/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 裏路地」にシスター・マルレーンさんが現れました。
■シスター・マルレーン > 貧民地区の裏路地にて、荷物が散乱してしまったから片付けを手伝ってほしい。
場所の割に平和な依頼を受け、裏路地に散乱した木材を集め。お礼と共に差し出された水に口をつけ、喉を潤して。
しまった、と気が付いたときにはもう遅い。
口に入れ、喉に流し込んだ水は不思議な苦さを持って、一気に手足の自由を奪い。
動きが止まった彼女の背中を木材が襲い、金髪シスターはその場に崩れ落ちる。
不用意に出されたものを飲んじゃいけねぇなぁ、なんて声が頭の上から聞こえてくる。とても、その声が遠くに感じて。
あー、これあれですか、さては私何か恨まれてますね?
飲んでしまった毒のせいか、ぐわんぐわんと耳鳴りがする中で、ぼんやりとそう思う。
誰に恨まれているのかも、まあ思い当たる節は山ほどあるし。
直で毒を盛られるとは思っていませんでしたけど。
なんとか起き上がろうと、ぐ、っと腕に力を籠める。
■シスター・マルレーン > 「そーですか、そうですか。」
青い顔のまま、上体を起こす。
たっぷり毒の入った水を飲んだにも関わらず、即座に起き上がったことに、殴りつけた男はギョッとした様子を見せて。
「………おあいにく様ですけど、毒、なんかもう前に二度三度飲まされててですね。
大丈夫なんです、よっ!!!」
そのまま、男をこちらも木材でぶん殴る。
足を止めての、角材での殴り合い。
流石に、毒を飲まされた身には堪えるけれども………………。
■シスター・マルレーン > 「がーーーっ!!!」
聖女らしからぬ声と共にへし折れた角材で相手をフルスイングしてぶっ飛ばせば、きっちりと勝利を収める聖職者。
毒をしこたまのまされ、木材でぶん殴られても勝てるんです。
膝に手をついて、ぜー、ぜー、っと青い顔で荒い吐息。
気持ち悪い。 すっごい無理した。 頭痛い。
■シスター・マルレーン > ごほ、ごほ…っ、と、血を吐き出して。一緒になって水を吐き出して、その場に一度膝をつく。
ああ、キッツい。………慣れているからって、別にノーダメージというわけでもないのだ。
冷や汗がぽたぽたと流れ落ちて、目を閉じて何度も荒い呼吸を続けて、身体をなんとか落ち着かせていく。
「………ほん、っと。………なんで恨まれてるんでしょうねぇ。」
吐息と共に言葉が押し出されて、なんとか、もう一度立ち上がる。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 裏路地」にクレス・ローベルクさんが現れました。
■クレス・ローベルク > 男が、酒場から依頼を請けたのは、ほんの数時間前のことである。
何でも、直ぐに終わりそうな依頼を掴んで出てきた修道服姿の冒険者が、何時まで経っても帰ってこない。
万一偽依頼を掴まされていたら、こちらの面子にも関わるので、生死はともかく探し出して来て欲しい、との事。
依頼料は安いが、その分責任も薄い依頼。男は、二つ返事で引き受けたのだが……
依頼地点の路地裏に来てみれば、修道服姿の女性が、角材を持って男と殴り合いをしていた。
「えっ、何この状況。こわい」
男も同じ凶器を持っているにせよ、凄まじいインパクトのある光景だった。
つい、仕事を忘れて、男が吹っ飛んだ所まで観戦してしまった。
しかし、彼女が荒い呼吸で立ち上がった所で、仕事を思い出した。
男は、彼女の前に立ち、念の為剣を収め、敵意はないと両手を挙げて近づく。
「あー……その、大丈夫かい?体調が悪そうだけど……病気か、毒?」
詳しい状況を聞きたいが、先ずは会話の取っ掛かりとして、相手の体調を気遣ってみる。
臆病なようだが、新手と誤認されれば、角材フルスイングを受けるのは自分である。
慎重にならざるを得ない。
■シスター・マルレーン > 思い当たる節はある。
………悲しいことだが、この国の聖職者は、よっぽど上の立場でない限り、ひどく虐げられている。
特に女性の修道女は、かなり上の立場であってもその身体を求められ、贄のように扱われることも多い。
下手をすれば、贄どころか、余興のように弄ばれて心が壊れてしまう人も、また多い。
そんな彼女らからすれば、そういった求めを全て蹴りつけて、己の足で生きたいように生きているように見えるこのシスターは、………きっと、妬ましい対象なのだろう。
もしくは、その「上の立場」の者が、ただ暴力的に手籠めにしようとしたか。
どちらにしろ、この依頼を受けるように言われたのだから、………そういうことなのだろう。
悲しい表情で口からの血を拭って。
「………え? ああ、いや、ちょっと襲われてしまったんですよね。
毒は割と耐性が、あるんで。」
口を拭いながら、じい、っと相手を見やる。
警戒をしているのか、近づいて助けを求めるようなことはしない。
金髪の眩しい修道服の女。分厚いその衣服の上からも分かる肢体は、いろいろな意味で健康的だ。
襲われた、と聞けば、普通にそれ目的だと思うだろう。
■クレス・ローベルク > 「ああ、そういう事か。それは運が悪かったな……」
相槌を打ちつつ、男は考える。
見るからに、彼女はこちらを警戒している。無理も無い話だ。
こちらはまだ素性も教えていないし、そもそも男性だ。
彼女が"襲われた"のだとすれば、容易く気は許すまい。
だが、このままお互いずっと突っ立ってても、何ら良いことはない。
「……OK。埒を開けよう。俺は、君が依頼を請けた所から、君を捜索する様に依頼されてきた、冒険者兼剣闘士のクレス・ローベルクだ。君は、シスター・マルレーンで間違いないかな?」
名前を確認すると同時に、未だ彼女が名乗っていない本名を告げて、こちらの言の信憑性を僅かにでも高める。
その上で、仕事の話をする。
「申し訳ないんだけど、これまでの経緯を簡単に教えてくれるかな?俺も一応、依頼主に報告しないといけないからさ」
■シスター・マルレーン > 「………そういうことなんですね。」
ふう、とため息をついて………相手の言葉に少しだけ微笑を浮かべて、ありがとうございます、と頭を下げる。
さて、と考える。少しだけ頭を下げたまま言葉を選んで。
「………どうやら、最初から冒険者を一人だけ誘い込んで、身ぐるみを剥ぐことが目的だったのでしょう。
散らばった木材を集める依頼をこなし、終わったところで水を渡され。
飲んだらそれが割と強い毒でして。」
話すその顔色はまだあまりよくはないが、壁に手を突いたまま、柔らかな微笑を向けて。
心配をさせぬようにしながら、穏やかな語り口。
その依頼を受けるように指示があったことは、口にはしない。
「……後ろから木材で殴られての、この結果です。
お手を煩わせて、申し訳ありません。」
■クレス・ローベルク > 修道女について、知っていることは少ない。
だが、違和感はある。
彼女の語り口が、穏やかすぎるのだ。
「(幾ら結果として無事だったとはいえ、普通自分が襲われた話をこんな穏やかにするか……?)」
それが、修道女の職能だと言えばそれまでだ。
だが、どちらかといえば、これはお互いの間に壁があるということだろう。
つまり、まだ話していない事がある――ということ。
それも、恐らくは彼女の利益のためではなく、こちらを気遣っての事、だ。
「いや、そっちが謝ることじゃない。寧ろ、俺としては気軽な仕事が出来て大助かりってとこだ。寧ろ、話せる所だけでも話してくれて、有り難いよ」
とはいえ、それを追求しても仕方ない。
"話さないことは、存在しないこと"。つまりはそういう事だ。
言い回しで、それとなく"嘘はあっても気にしなくていい"と告げる。
だが、それはそれとして、心配なことはある。
「でも、毒を飲んだ上で後ろから凶器で殴られた?
それじゃあ、君動けないんじゃない?」
立ち上がることはできたみたいだが、それでも顔色は悪い。
こちらを警戒しているにしても、気遣っているにしても、助けは必要だろうと男は思うが――さて、彼女はどうだろうか。
■シスター・マルレーン > 「いやー、毎日祈りを捧げているおかげでなんとか急所を外れてくれたようで。」
あっはっは、と明るく笑いながら、腕をぐるりと回す。
背中を痛打されたが、きっと大丈夫だろう。
表情は穏やかなまま、冗談交じりにそんなことを言って、ぺろ、と舌を出して見せる。
偶然ですよ、と後で一言付け加え、ふふ、と笑う。
「毒もほら、毎日祈りを捧げているおかげで急所を外れ………。
………まあ、冗談はさておき。
あれです、冒険者として長いのもあって、毒は二度三度飲まされてまして。
おかげさまで、なんとか耐性もついてきちゃったみたいで。」
顔色は真っ青だけれど、それでも笑顔を見せて。
「……あ、別に賞金首とかそういうんじゃないですからね!
こう、真っ当に仕事をする上で賞金首とかを捕まえたことが何度もあるだけで。
ええ、本当ですよ?」
なんて、悪い人に間違えられかねない状況に、慌てて自分でフォローを入れる。
顔色は悪いなりに、冗談を交えて言葉を交わして。
………その場からは動かない。
■クレス・ローベルク > 「随分と物騒な"神のご加護"だなあ、おい!
っていうか、君実は結構冗談好きだね!?」
今までの語り口からてっきり堅いタイプだと思っていたが、急に砕けて来た。
顔色はともかく、愛嬌のある笑顔は、人を大丈夫だろうと思わせるだけの安心感がある。
だが、だからこそ、という違和感はある。
「(このまま、俺が第二の襲撃者になっても、それはそれで良いんだけど……気遣われちゃったしなあ。)」
これが何の関わりもない女性なら、襲っていたかもしれないが、しかし彼女は仮にもこちらを気遣っている。
恩が出来てしまった以上、彼女は男にとって、"関わりのある"人間扱いだ。
後ろめたさを感じるような襲い方は、男の流儀ではない。
故に、彼女にする事は一つだった。
「うん、解った。君がシスターという名の冒険お転婆娘である事は良くわかったから落ち着いて。
心配しなくても、衛兵の詰め所に連れて行ったりはしないから」
だから、と男は言う。
「――セクハラで訴えるのはやめてくれよ?」
そう言うと、何の断りもなく、彼女の腕をつかみ、そのまま強引に肩を貸そうとする。
それが当然の行いであるかのように。
■シスター・マルレーン > 「おかしいですね、割と真面目に生きているつもりなんですけど……。
真面目で敬虔な普通のシスターだったらとっくに死んでますよ。
まあ私は人一倍真面目ですから大丈夫ですけど。」
えへん、と胸を張って、ぺろりと舌を出してまた笑う。
楽し気に笑いながら、相手の言葉には唇を尖らせる。
誰がおてんばですか、なんて不満をはっきりと表明するけれど。
「………っとぉっ!? だ、大丈夫ですよ、私は。」
肩を貸されれば、がくん、っと膝が崩れかけて体重がかかる。
見た目以上にフラついていたのか、もたれかかってしまい。
「………大丈夫ですよ?」
膝がちょっと震えて、まともに立てていない状況だけれども、視線をついー、っと横にずらして強がる。
本来であれば、こうやって身体を押し付ける様な状況は本当に控えたいんだけれど。
■クレス・ローベルク > 体重がかかろうが、男はビクともせずに彼女を支える。
内心、役得と思う気持ちはぐっと抑え、あくまでもクールに。
……無いわけではないが、そこは勘弁して欲しい。誰にとは言わないが。
「いや、そんな可愛く強がっても駄目だから。
俺は君をこのまま依頼主の元まで引っ立てた後、そのまま病院に叩き込む気満々だから。
そう、俺の依頼達成への道は神ですら邪魔できないのだ……!」
などと、わざと大仰に、滑稽に見栄を切ってみせる。
というか、こうしてみると本当に顔が良い。どちらかといえば可愛い系だ。
その彼女の表情がころころ変わる所は、正直見ていて楽しいが、
「まあ、強がると思って強引にでも引っ張ってるんだけどね。
警戒してるだろうし、宗教的にもこういうのって良くないのかな。まあ、そういうもんだと思うし」
あまり見ているのも失礼かと思い、視線を外す。
路地裏から出て、大通りへと続く道。
流石に悪党も、大通りで事を起こしたりはしない――そうすれば、徒歩でも馬車でも、お好きな方法で依頼主の元まで行ける。
「君をあのまま放置していたら、次はどうなるか解らないからね。
呪うなら、神でも呪うが良い、って奴さ」
それで話は終わりとばかりに話を打ち切り、そのまま路地裏の外へと歩みを進める。
柔らかな身体の感触に、内心ガッツポーズしつつ、しかし表面的にはクールに問答無用に。
■シスター・マルレーン > 「………まあ、マトモに病院に入れればいいんですけどね。」
そうやってぼそりとつぶやく。
………依頼を出す側が毒を飲ませたかったのだから、さあ、明日は何をさせられるのかと遠い目になる。
「あはは、まあ、強がりはしましたけど。
助けてもらえて、ちょっとありがたいです。
それくらいでは気になりませんよ。」
あっはっは、と明るく笑いながら、身を任せる。
役得であろうがなかろうが、実際に苦しいことには変わりがない。
まだ、顔色は悪いままだけれど。相手の言葉にころころと笑って、子供のように拗ねて。
相手が自分の身体について、どう思っているのかは………
気が付いていても、知らんぷりをしときましょう。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 裏路地」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 裏路地」からシスター・マルレーンさんが去りました。