2019/06/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にリタさんが現れました。
■リタ > ここは貧民区に存在するバー、名前はマスカレード。カウンター席は6、テーブル席は1という、大層こぢんまりとした店だ。
料理の味はそこそこ、酒の質もそこそこ、お勧めはハッシュドビーフ、青菜とベーコンのサラダと一般大衆向け。
突然の雨に客を取られ、大量のハッシュドビーフが余っている状態。店的に言えば大赤字。
とはいえ寸胴に山盛りのそれを消費できるような大食らいの客が来る筈もなく…
投資に失敗したおじさんの様な顔をして、それをみつめる店員。
「…どうすんのよこれ…食べる?無理…捨てる?もっと無理…
――このまま煮込み続けて明日まで持たせるしかないかな…うっわ眠れそうにない…」
とりあえず一食分を減らそうと、皿に盛ってそれを持ち、カウンター席へと足を進めて。
外を見れば、まだ雨脚は激しめで…
投資に失敗したおじさんの様な顔をして、ハッシュドビーフをもさもさ食べ始める。
■リタ > 皿に半分のハッシュドビーフを残して、おもむろに席を立った店員は、足を入り口の扉まで運び、窓越しに外を見た。
――だぁれも居ない貧民区。
――全ての光が雲に消され
――全ての音が雨に消され
――全ての香りが雨のそれになる。
そんな風景を見ながら、店員は呟く。
「…なーんかこう…怖いっていうか、寂しいっていうか…ううん、そうじゃなくて…不気味?」
視界からそれを遮るように、手早くカーテンを閉め、席に戻っていく。
目の前には半分残ったハッシュドビーフ。顔を持ち上げれば寸胴に入った大量の以下略。
「…うわ、怖っ」
外の不気味な雰囲気よりも、目の前にある大量の料理の方が、店員にとっては恐怖を与えるもののようだ。
店員の乙女ポイントが10下がった瞬間だ。
■リタ > 食事が終わり、タバコに火をつけて10ポイントマイナス。
タバコを吹かしながらおっさん臭い背伸びをして、更に10ポイントマイナス。
恐らく客が来ない限り、料理は減らず乙女ポイントが下落し続けるだろう。
誰も見てない時なんてそんなものである。独りの特権なのである。
けれども…
――ガタン!
と大きな音。風に吹かれ飛ばされた何かが、店の扉にぶつかった音なのだが、店員はそれを知る筈も無く。
音と同時にカウンターを飛び越え、立て掛けてある装填済みのクロスボウを手に持ち、無言で入り口を見据える店員。
客ならば良し。そうでなければ…
心臓が跳ねる。
独りの…弊害。ままならないものである。
店員に咥えられているタバコがジリジリと短くなり、灰に姿を変え、足元に落ちるも、
店員の視線は扉に向いたままだ。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にフィズルさんが現れました。
■フィズル > 「うひー…!すっげえ雨だクッソ。せっかくいい賭場見つけたのによォ…!」
その貧民地区のバーに、何かがぶつかった直後、駆けこんでくる派手な姿
金と銀の髪を雨に濡らしながら、ぶるぶると頭を振ったが…
「え、ちょ、待て待て!怪しいモンじゃない!撃つなよ、絶対撃つなよ!?」
ふと、何かを貰おうと頭を上げれば
一瞬男か、と思うような相手。
ただクロスボウを向けられていれば、性別はどちらでも関係はなく、とりあえず撃たれないように手を上げる
「俺ぁ、フィズル・バークラバー。聞いたことないだろうが貴族だ。
何なら貴族章を見せる。だから一先ずそれを下げてくれ」
一応、という体ではあるが貴族だ。
ひとまずそれを理由にして怪我、あるいは命の危機を避けようと
■リタ > 扉が開かれると同時にクロスボウの引き金に指をかける店員。現れたのは…
ずぶぬれの、派手な服を着た、フィズルと名乗る自称貴族。怪しい…。
しかし彼の手にある貴族章は本物の様で、店員はクロスボウをカウンターに立て掛けて。
「…ごめんなさい、ここらは物騒だから、つい。
お食事です?それとも飲み物?安飯安酒に過度は期待は勘弁くださいね。」
そう言いながらカウンターの奥、プライベートの空間へ繋がる扉を開いて奥に消える店員。
すぐに戻ってくれば、その手には厚手のタオルが。
「雨、凄かったでしょ?ほんと嫌になっちゃうな。――はい、これどうぞ。」
そのタオルを差し伸べて、さあ、何にします?と小首をかしげて見せた。
■フィズル > 「お。気が利くねえ…くそったれな雨だが、貧民地区で優しさを受けれるとはな。」
タオルを受け取り、がしがしと髪を拭いて
特殊な薬品が塗られているのか、それだけでびんびん、と髪が逆立ち始め
そのままどか、とカウンターに座る
線は細いが、袖から覗く腕にはしっかりと薄く筋肉がついている
「…閑古鳥っぽいな。この匂いは?」
きょろきょろと見れば敏感な鼻に入ってくる良い匂い
雨のせいか、客がいないバーを見回して
「良けりゃ、この匂いの元と、なんか強い酒を貰えるか。身体が冷えちまってな」
髪を拭いたとはいえ、まだ体が寒いため…火照らせるための酒を所望する。
■リタ > 「客商売ですからね、こんな時間に態々足を運んでくれた方には、この位はサービスしないと。それが雨宿りでも、ね?」
髪を乱暴に拭く彼を見ながら、くすりと笑って冗談交じりの言葉を。
…逆立った髪が更に笑いを誘うが、そこはぐっと我慢をして噴出す程度に。
「ええ、すっごい閑古鳥。ダチョウ位の大きさ、あるかもしれませんね。
――ハッシュドビーフです。バケット付きで11ゴルド。今なら大盛りのサービス。
お酒は…そうですね、ウィスキーとかジンとか。」
寸胴に入ったハッシュドビーフを掻き混ぜながらそう伝え、彼の姿をこっそりと拝見。
貴族がこんな場所で何をしているのだろう、女でも買った帰りなのかな、と色々と想像をしている様子で。
■フィズル > 「ありがたいこった。笑顔が素敵な『美人』さんのサービスを受けられるなんてな」
ふ、とわざとらしく笑う
嗤われたこともあまり気にせず、髪をかき上げて
いつもと同じ自分に馴染みのある髪型へと。
「お。いいねえ。こういうバーでしか味わえないモノがあるってものだ。
じゃあウィスキーをロックで。ハッシュドビーフを大盛バゲット付きで頼むわ」
気前よく言われたままの注文を。
観察するならば…
金と銀の髪は見た通り。服装もまた細かい刺繍が施されているものの全体的に赤や金など派手な糸が使われておりよく目立つ
「ふむ。俺も見てみよう。…この雨に、寸胴の中の大量のハッシュドビーフ。
―――作りすぎたか?…当たったなら嬉しいが。外れたら俺の眼も節穴だな。」
はは、と笑う男。座る前に寸胴の中身を見ていたらしい
予想も含めてだが、指を鍋の方に指して気障っぽく
■リタ > 「あら、素敵なお世辞、有難う御座います。お客さんも素敵ですよ?」
褒め言葉をさらりと流すのは客商売だからだろう。
髪型を戻した彼にあら素敵、と返答しつつ、注文を受けて。
間も無く皿にハッシュドビーフが盛られ、匙と同時に配膳される。
「半分正解かな?いつもならこの位、無くなっちゃうんですけれどね。雨がここまで降るとは思ってなくて。
でも、貴族のお客様が沢山食べてくれると思いますので、心配はしていないですよ?なーんて。
…で、お客さんはどうしてこんな時間、こんな所に?
見た所こんな場所に相応しくない感じ、しますケド…女?賭け事?」
バゲットを厚めに切り、別の更に3枚並べればそれも手早く配膳して。
次に保冷庫から氷。カラン、と音を立ててグラスに移れば、琥珀色のウイスキーがそれに注がれる。
どうぞお召し上がりください、の声と同時に、酒も配膳されるだろう。
■フィズル > 「はは、嬉しいね。
んー…いや、染みたれった食事よりこういうのがいいな」
盛られたバゲット、酒、ハッシュドビーフを前に鼻をひくひくと動かし満足そうに
褒められるのは悪い気がしない。素直に受け取っておこう。
客商売だからか、こちらの絡みにも嫌な顔をしない。
嘘もそれほど感じられないため、本当に気のいい相手なのだろう。
「いやーどうだろうな。俺は胃袋が小さいもんでね。
ああ、そうだな。さっきも零しちまったが…」
ハッシュドビーフを一口。咀嚼して味わいながら飲み込み、旨い、と呟いて
ウィスキーを少量煽ったあと
「このあたりにな、いーいピリピリ具合の賭場ができたらしいからそれを探してたんだが…
この土砂降りでやる気が削がれちまってよ。そしたら、このバーに灯りが点いてたから駆けこんだってわけ。
ま、美人さんと会えたから結果的には女も満たされた、って感じかな。」
と笑い。また一口ハッシュドビーフを頬張る。
「んー…。そうだな。どうせなら、賭けができなかったフラストレーションも満たしたいが…
美人さんは、賭け事嫌いかい?」
頬杖をついて、見つめてみよう
■リタ > もう深夜を回った。恐らく彼が最後の客であろう。そう思った店員は店の扉へと足を進めて、外の景色を眺める。
小降りになってはいるものの、まだその雨脚は弱くなく。扉をそっと開けて、表に閉店を告げるプレートをぶら下げた。
「明日もハッシュドビーフですから、避けるのならまた後日のご来店を。」
胃袋が小さいと言う彼に向かってそう告げる。明後日以降ならきっと、この大量の料理も捌けているだろうし。
食事を摂る彼をちらりと見るのは、味が気になるからだ。
貴族の舌を満足させるだけの自信はない。だからそっと胸を撫で下ろしつつ。
「成程、運が良かったですね。いつもならこの時間、店閉めちゃってますもん。
そしてお褒めの言葉、有難う御座います。」
営業トークと言えば営業トークなのだが、それでも店員は会話を楽しんでいるようだ。
皿を洗う訳でもなく、料理の仕込をするわけでもなく、彼の話を聞き、返答しているのだから。
「賭け?嫌いっていうか…あんまりしないかな?賭けるものも無いですしね。
そもそも、賭けが好きならハイブラゼール辺りに店を構えてますよ。
お客さんは賭け事好きそうですね?そんな顔、してますよ?」
見つめてくる彼に対しては照れもせず、店員らしい返答を。
色気のある男性から見詰められる、それ自体は悪い気はしないのだけれども。あくまで今、店員は店員なのだ。
■フィズル > この店が早々に閉じていれば、男は濡れネズミのまま風邪を引いていたかもしれない
そういった意味でも、閉店が遅かったのは助かった。
「それはラッキーだったな。」
それを口に出して上機嫌に言葉を紡ぐ
しっかり咀嚼して飲み込めば、その度に満足そうに息を吐くその姿から、満足していることは察すことができるだろう
「イカサマはするが、料理に関しちゃ嘘はつかない主義。いい味してるぜ、ほんとにな」
それは本心であるが、この後の要求を受け入れさせやすくする打算もあり。
「ああ、まったくその通りだ。賭け事は大好きだ。命と言っていい。それに…あっちはいい賭場がいっぱいある。
だが正直、あそこで賭けるのは金がほとんどだ。それじゃあ、俺はあんまり満たされねえ」
どういうことなのだろうか。
賭け、というのは金を賭けるのではないのかと不思議に思うかもしれない。
「ここでキミが受けてくれるなら、賭けの内容は―――そのハッシュドビーフだ」
び、とまた指で鍋を指して
「簡単な、誰でもわかる賭けをして、君が勝ったら…そうだな、そのハッシュドビーフ、全て平らげよう。
料金も…これ一杯で11ゴルドならバゲットなしだと9ゴルドってとこか?それが鍋一杯だから…ふむ。
5から60ゴルドってところか。違ったなら言い値を払って平らげよう。これは、『絶対』だ。
俺が負けたら、胃袋が破裂しようが絶対に食うし、金を払う」
男の雰囲気が変わる。
眼が爛々と輝き、一番大好きな遊びを提案する子供の様に
「俺が勝ったら…どうするか。ここは相談なんだが…。君が都合のいい日で半日。俺のためにこの店を貸し切りにしてくれないか。
もちろん、君付きで。料理もまた食いたいし、それに…美人は抱きたくなるものだからな。」
それは、半日ここの主人にさせてくれ、という要求。
「ああ、貴族だからと遠慮せず、嫌なら断ってくれ。それなら俺は…この酒と料理を楽しんだ後、雨が止むまで居させてもらえればそれでいい。
もちろん、君にも手出しはしないと誓う」
貴族とはいえ強権を使う気はないと宣言して、相手の反応を待とう。
■リタ > 「あら、ご満足頂けました?嬉しいな。それなら明日もハッシュドビーフ、如何です?なんて。」
いい味と褒められれば悪い気はしない。先程の食事を見ても、それなりに満足して頂けた様だ。
だから店員は喜びを隠しもせず、ニコニコ顔で冗談めいた言葉すらもすらすらと出てくる始末。
そんな表情を曇らせたのは、続けられる彼の言葉。
要するに賭けに勝ったらハッシュドビーフを処分して貰う。負けたら半日の店の貸切…自分自身の体込みで、だ。
店員は訝しげな表情をして、彼を見詰める。
「割が合わないと思いますケド。半日、約12時間…私、お客さんに扱き使われるんですよね?」
ハッシュドビーフを平らげる事と店を12時間貸すという事、それが等価には思えない店員。
そして先程彼が言った言葉を付け加える。
「…それにイカサマするんですよね?ということは、私はほぼ、負ける…そんな勝負、するわけ無いじゃないですか。
…それ、本気で言っているのなら、流石に怒りますよ?」
ニコニコ顔のまま、語尾を強めて拒否する店員。やはり貧民地区で店をやっているだけあって、肝が据わっているのだろう。
乙女ポイントが100減った。
■フィズル > 「お。いいねえ、噛みついてくる…しかもしっかりと。
貴族だなんて何も気にしてない風だ。増々気に入った。」
くく、と…逆に、男からの評価は上がった様子。
「口約束にはなるが…イカサマは仕掛けられない限りしない。
まずそこは大前提だ。いくらなんでも素人相手に使っても、それは勝負じゃない。」
断言し、何なら店にあるものを使おうか、とも提案して。
「もう1つ、割に合わないって点だが…こいつぁ決めてもらうしかないな。
俺からの要求はさっき伝えた通りだが…何度も言うが断ってくれてもいい。条件を変えてもいい。」
何が望みだろう、と探る言葉。
「俺は君が気に入った。俺自身の裁量で何とかなるもの…
金、労働力、家の名前、その辺か。かけ金として何が釣り合うかな。」
言った通り、断ってもこの男は何も言わないだろう。
ただ、自分の欲望を伝えて、どう答えてくれるか、と
■リタ > 「貴族でも罪人でも、店に来て同額払って食事してくれるのなら同じ。それだけの事ですよ。
…お客さんは賭け事が大層お好きで、自信もありそうですね。」
対価を変えてくる、そんな素振りを見せ始める彼。
其処まで自分とこの店に価値があるのか、と首を捻る。
恐らく彼ならば、こんな場末の店など、ぽん、と買えるだけの力はあるだろう。
賭け事が全て、そう彼から言われても納得できそうだ。
「…お金も労働力も、名誉も要らない、かな…
――…そうですね、そこまで言うのなら…お客さんの命、頂けます?」
店員らしからぬ声、店員らしからぬ表情。それは貧民地区に屯するに相応しい人物の顔。
人を殺すことなんてなんでもない、そんな輩の顔。
それを晒し、新たな対価を提案する。
「…あまり貧民地区をナメない方が良いと思いますよ?
ほらぁ、お客さん、食べないの?やっぱりあまり美味しくなかったです?」
一転店員は先程までの、明るい口調、そして明るい笑顔を戻し、さらりと言い放った。
■フィズル > 「なるほど。よく肝が据わってる。ここにいるのが不思議なくらいだ
ああ、自信もある。言った通り大好きだ」
確かに、身銭を使うか、あるいは当主に賭けを行えば
この店を買えるだけの金は手に入るだろう。
ただ、それではつまらない
面白いのは
「ぷ、くく……は、は…はははははっ!」
言葉を聞いた後、突然の大笑
店を閉め、雨の夜でなければ近所に迷惑を言われそうなほどの
「いや、失礼。もう1杯くれ。」
食べないの、と言われれば同じものを注文し、ぐい、とウィスキーの残りを煽り、酒も追加だ、と。
「しかも言った後笑いやがる。ああ、もうそれは挑発だぜ?」
とん、とゆっくりグラスを置いて。
「それ、やるっつったらどうする。
…俺が勝ったら、半日。美人さんとこの店は俺のものだ。どんな命令にも従ってもらう。
俺が負けたら、この命、あんたのものだ。殺すなり、一生ただ働きさせるなり好きにすればいい。金をせびってもいいぜ。
それか奴隷として売り払って金を得てもいいな。売れないだろうが。」
くく、とまた笑う。面白くてたまらない。
まさか、闇賭博以外で命を要求されるとは思わなかった
「本気なら、受けて立つぜ?」
未だ、冗談だと誤魔化す道を与えつつ、本気ならどれだけイイ女だろうか、と。
■リタ > 自分の脅しにも屈せず、高笑いさえする彼。この彼の、所謂「ヤバさ」が理解できた。
人生が賭け事の上に載っている。そんな人物は履いて捨てる程見てきたが、彼は常道を逸している。
店員は笑顔を作ることができず、低い声で独り言つ。
「(…自信があるの?…それともイカれてるの?)」
それでも今、彼は客。追加の要求にはしっかりと頷くも、その表情は険しく、腫れ物を見るようなもの。
続けられる彼の言葉に耳を傾けていれば、自分の命すら賭けの対象にする事にも躊躇わない、それが良くわかる。
「――私の負け。そんな危なっかしい賭けには乗れません。おー、怖い怖い。」
折れたとばかりに両手を軽く挙げて降参を示すと、大きく息を吐く店員。
「…手に入れる手段、もっと他にあるでしょ?
それこそ札束で頬を叩く貴族が多いのに…
たかがこんな店、こんな女にそこまでするなんて。ある意味尊敬。うん。」
冗談めいた口調でそう言い放ち、追加された皿と酒を彼の前に配膳した。
■フィズル > 「はっは。嫌われちまったか。
札束で叩くことは簡単だがね。それじゃあ、手に入ったって感じがしないだろう?
賭けて、勝った時こそその感覚が手に入る。」
賭けに乗れない、と言う相手に…ぎらぎらとした眼は消え
元の、気障なだけの男へと変わっていく。
「くっそー。心躍ったんだがなあ…
まあ、しかし、命を賭けられちゃ、びびっちまうか。」
はは、と笑い、がふがふと新たな皿を平らげ始める
「なら、もっと軽いことなら賭けれるかなあ…」
ただ未練たらしくそう言っているが無視してもいい。
酒をく、と煽ってぷはあ、と息を吐き。
■リタ > 「ん?嫌ってはないかな…うん、嫌ってはいませんよ。
少なくとも、今のお客さんよりは素敵だった、かな?」
気障な男などこんな店をしていれば引く手数多だ。当然口説いてくる物好きも現れる。
しかし、ああも恐怖を煽り、違う意味での男らしさを見せてくる男などそうそういない。
言うなれば彼の男ポイントが100上がったのである。
「軽いこと…それじゃあ、今日の勘定を賭けますか?
お客さんが勝ったらタダ、私が勝ったら…そうだなー、うーん…
――明日、また来てハッシュドビーフを消化してくれる、というのはどうです?」
穿った聞き方をすれば暗にまた来てください、なのだろうが、店員はその事に気づいていない様子。
単純に賭け事を欲しているように見受けられる彼に、小さな提案。
■フィズル > 「お。そりゃあ嬉しい。
美人に褒められるのはいいねえ」
口説いているというか、これは…
どちらかと言えば警戒心を緩めるため軽薄を装っている部分もあるのだが
それでも、美人だというのは本心。
「なるほど、そりゃ軽い。負けたとしても、ハッシュドビーフは消化できるしな。
乗ったぜ。かけ金は変わらずそれだ。」
笑いつつ、さて何をするか、と
「イカサマ気にしてたしな…この通り、色々と用意はあるが…
思いつくもので、なんでもいいぜ。美人さん。」
ば、とコートを開けば、カード、コイン、その他さまざまな遊戯道具があるが
けれど、相手が選ぶものにしようと
■リタ > 彼は常に賭けの道具を持ち歩いているようだ。開かれるコート、そしてそれを見せてくる彼を見て噴出し、笑う。
「…お客さんの持ち物で賭け事なんて、怖くて出来ないですよ…これなんて、どうです?」
店員が手に持ち、見せたのはこの店のコースター。
表には店の名前がプリントしており、裏面は何も書かれていない。
「今から私がお酒を作って、この上に置きます。
勿論お客さんがお酒を飲むまで、裏表は解りません。飲む前に裏か表か当てて頂きます。
――というのはどうでしょ?あー、勿論賭けに、このお酒代も含みます。」
こうすればしっかりと店の名前を覚えて頂ける、なんて打算もあるのは内緒。
■フィズル > 「まあこいつらは使う気が無かったが…なるほどな。」
コースター…
貧民地区にしては、行き届いた品だ。
「おー。いいぜ。どうせなら、美人のおすすめを…、と…
いつまでも名無しじゃあれだな。名前教えてくれよ。」
了承し…、賭け事が得意な弊害か。
ちらりとでも見てしまうと、その後どう動かしたかを見てしまうため目を閉じて
「置いたら言ってくれ。裏表を言う。」
腕組みをし、酒が出来上がるのを待とう。
■リタ > 「絶対目、閉じてて下さいよ?――なーんかお客さん、信用できないから。」
そんな冗談を織り交ぜつつも、ともかくも店員は彼に提供する酒を造り始めた。
手にした瓶は、モルトウイスキーに蜂蜜やハーブをブレンドした、所謂リキュール。
それを彼の飲んでいるものと同じスコッチウイスキーを、氷の入ったグラスに同量注ぐ。
「私、リタって言います。あ、今、目、開けてないです?薄目してても解るんですからね?」
これもまた冗談。会話で気配を探られないように必死な姿はまるで子供だ。
さて、コースターはどちらを向けるか…勿論表である。
少しばかりの打算もあるのだから、店員は当然、店の名前が書かれている表面を上にする。
ことり、と静かな音を立てて、その上に酒が置かれた。
「はい、おーけーです。さ、裏か表か…どっちでしょう?」
店員はもう、にっこにこ顔。結構今の雰囲気を楽しんでいるのが否めない。
■フィズル > 「はっは。まあ、初対面の客を信用している方が心配だ。
安心しな。…もう『わかった』だろうが、仕掛けられない限りは、ズルはしねえ。
ただ、そうだな…せっかくもらったことだし」
それは、客の事をよく見ている、と信頼した上での言葉。
手探りでタオルを探し、自分の眼に巻いて完全に隠す。
「リタか。覚えたぜ。気軽に俺もフィズルって呼んでくれ。」
タオルは店の用意したもの。
穴などが開いていなければ、今彼は…完全に闇の中にいるだろう。
女性の名前を記憶し、どちらにしてもまた来よう、と。
そして…店主の思惑にはまだ気づいていない。…正確には、そのふりをしている。
敢えてそういった…会話、視覚からの情報を追い出し、完全に自分の直感で答えようと。
1d2
1 表と答える
2 裏と答える [1d2→1=1]
■フィズル > 「――――表だ。」
タオルを付けたまま、そう答えよう。
そうして酒をぐいー、と煽った後、タオルを外し、答えを確かめる
■リタ > さて、彼の返答までわくわく顔だった店員だったが、その言葉をきけば大きく項垂れた。
「…正解。うっわ、なんか悔しい。…やっぱりフィズルさん、賭け事お好きなんですね。
…どうです?タダ酒のお味は。」
彼がタオルを取れば、目に入るのは「マスカレード」と書かれたコースター、そして、軽く膨れている店員。
■フィズル > 「へっへっへ。そうだろ?悔しいだろ?次は勝ちたいだろ?
それが賭け事の醍醐味さ」
美味い、と。
相手の作ってくれた酒を煽り、にんまりわざとゲスな風に笑う
「マスカレード、ね。これも覚えた。贔屓にさせてもらおう。
ついでに、酒飲み仲間にも勧めておくよ。いい店があるってな。」
これが狙いか、と封じていた思考を回してくく、とまた笑い
「ただ、本当に気に入ったぜ。勝っても負けても利益を得ようとする。きっちりしてる。」
コースター、貰っていいかい?などと聞きつつ
「ただまあ。雨はまだ止んでないな。一度、会計だ。それから、飲みなおすぜ
俺からの出会いに対する感謝だ。『また』よろしくな?」
タダの会計を、終わった、と宣言し。
またハッシュドビーフと…作ってくれた酒を入れなおしてくれ、と。
それから雨が止むまで、彼はイイ女と飲み明かすだろうか。
■リタ > 「あら、気に入ってくれて嬉しいです。
少ない利益と営業活動に勤しむ店員が、慎ましい私が営業しているマスカレード、是非よろしく。」
慎ましくもなんともないのは、やはり少し悔しいのだろう。
悔しがる勢いで彼の前の皿、グラスを手早く片付けて、新たな皿にハッシュドビーフを盛り、グラスに酒を作り。
それを提供している店員の顔は笑顔。それは彼が訪れた時に見せた営業スマイルでは無い。
コースターは是非お持ち帰り下さい、と営業活動も忘れない辺り商魂は逞しい。
「あ、賭けには負けましたけど、明日も来てくれて良いんですよ?今日の残りがお待ちしておりますので、是非。」
そんな冗談とも本気とも取れる言葉を彼に伝え、笑いながら雨が止むのを二人で待つ。
彼に提供した酒は、ラスティネイルと呼ばれるカクテル。その酒が意味する言葉は、『私の苦痛を和らげる』である。
賭けに勝っていればもっと和らいでいたであろうが…。
少なくとも彼が来る前、大量の料理を相手に腐っていた店員は、彼との楽しい会話とちょっとした緊張で、その苦痛を和らげたのであろう。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からリタさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からフィズルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/大衆酒場」にミユさんが現れました。
■ミユ > 夜も更け、貧民地区にある大衆酒場は今日も活気がみちる…
あちらを見ると英雄譚を話す冒険者たち…そちらを見ると建築業だろうか…日に真っ黒に焼けたオッサン達がなぜか乾杯を繰り返してる…こちらを見れば…お酒片手に魔道書を読みブツブツ呟く影が薄そうな魔道士…魔法ぶちこまなければ良いが…
とりあえず、いつものようにカウンター席に座る…
「じょーちゃん、久しぶりだね…きょうはいつものかい?」
しわくれた店主の声に、ミユは無言で頷く…
今日も喧騒から取り残されたかの様にカウンター席だけは誰もいない。
コツンと音と共に置かれる安エール…横にはいつもは出されないおつまみが…
「それはサービスだよ」
店主の声に
「ありがと・・・」
とボソッと呟く様に言うミユ・・・
ミユはサービスのおつまみをポリポリ食べながら、今日もエールを煽る…
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/大衆酒場」からミユさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にミユさんが現れました。
■ミユ > 「ふむ…」
ミユはゆらゆら揺れる水面をみていた…
相変わらずの喧騒…人が入れ替わり立ち代りしていても、酒場の雰囲気はそう変わるものでもない…
一人、脚をフラフラと前後に揺らしながら…エールを一気に煽る…
「ふはぁ…」
気分もほろよい、足元もほろよい…
イイ男でもさがしにゆこうかと…夜の繁華街に繰り出した…
■ミユ > 喧騒が満ち、人通りがひときわ多い夜の繁華街…
どこ行く宛もなく…ぶらぶらと人の流れに合わせて歩くミユ…
「さて、中心の方に行ってみるかなぁ…」
中心部の方では、男が女によく声をかけてるらしい…
もしかしたら…でも、チャラ男かもしれないけども…
なんて思いながら、中心部へと足を運ばせた…
■ミユ > 繁華街の中心部…
着いてみたものの、ただ、ブラブラ歩いてるだけでは何の収穫もない。
煌びやかな衣装を纏った女性達が、男性達と楽しく会話している。
なんだか、ちょっと場違いな場所に来てしまったような…そんな気がしていた…
■ミユ > 繁華街の中心部を円を描くように歩き回るミユ…
特に興味を引く店もない…
「私があんな衣装着てもなぁ…」
先ほどの煌びやかな女性達を思い出す…
「この背丈じゃ…」
しょんぼりしんみり…これじゃ男が声掛けたくても声掛けられないかもしれない…
■ミユ > そんな中…トンッ…誰かの腕に肩をぶつけてしまった…
「あっ、ごめんなさい…」
咄嗟に謝るミユ…
しまった…こういう所で肩を当てるとか、チンピラやゴロツキに相場は決まってるしっ!
恐る恐る相手を見上げると…