2019/03/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2 路地裏」にシュンさんが現れました。
■シュン > 裏通りをゆっくりと、軽い足跡を鳴らしながら歩く。自分は堂々としていいんだと言わんばかりに。
怪しげな雰囲気の繁華街の裏側、出口の方へと向かっている最中、ひとつの店を見つける。
少しだけ考える素振りを見せてから、一度止めた足を再度動かして、そのまま店の前へと。
「こんばんは。何を売ってるんですか?」
ローブのフードは取らぬまま、目から下だけが見えるように店主に話しかける。
その顔は微笑んでいる。この国のこの地域のこの場所に似合わないような笑みで。
■ジード > そろそろ店じまいかと少し考えて居た所にふとかかる声。
見た所年若く、かと言って娼婦や近所の悪タレとも違う風体の相手である。
軽い笑みを浮かべながらに一礼して見せ。
「はい、いらっしゃいお客さん――何が入り用かによるけど、
薬が中心だね。傷薬から夜のお供まで何でもござれ、
後はアクセサリーとか、彼女さんへのプレゼントなんかにどうかい?」
そうして飛び出してくるのは如才のない売り込みである。この辺りは流石に商人といった所。
■シュン > 店主は黒い布を被った男性だった。こんな場所の店主ならばまあ別に珍しくもおかしくも何ともない格好だろう。
相手のセールストークに対してまた少し微笑んでから口を開く。
「生憎僕には彼女は居ませんね。まだ15ですし。
でも薬は助かります。ちょうど切れていたので……。
魔力回復の薬、ありますか?」
中腰になりつつ、品ぞろえを確かめる。
品質は、特別いいという訳では無いが粗悪品という程でもなさそうだ。どの道消耗品なのだからこれでも問題は無いだろう。
店主に尋ねながら自分も手荷物から財布を取り出す。
かなりの傷があるが、破れるような感じではない……といったものだ。
■ジード > 「15なら女の一人二人は抱いてる年頃だろう?
この街に限らずそれほど珍しい話でもないと思うけどね。
そりゃあ残念、売り込む要素が一つ減ったかな。
もし彼女ができたらその時はまたご贔屓に。
――魔力の回復?それは勿論あるけれど、どういう物がお好みかな。
飲んですぐに回復するようなものから、回復力を上げるようなものまで色々あるけれど」
相手の物言いに冒険者か何かだろうかと当たりをつけながら問いかける。
余計な言葉がついてくるのは男の性格だろうが。
■シュン > 「……残念ながら、こう見えてあまり余裕のない生活なので。
――なるほど、それなら魔力の即時回復のものを2つと、魔力の自然回復を上げるものを1つ、お願いできますか?」
こちらのプライベートに踏み込むような発言には一瞬目を細めて、興味はないと言った感じに目を閉じる。
代金を示されればぼったくりでない限りすぐさま手元の財布から払って。
「……お兄さん、この国ってやっぱり……ちょっとやばいですね」
ふと、繁華街の表側の道に視線を向けつつ、ぼそりとそんなことを口にする。
■ジード > 「それはそれで人生損してる気がするね。まあ、この国に居たら否が応でも関わることになると思うよ」
――それが良いことか悪いことかは知らないが。
口には出さず、しかし言外にそう取れることをあえて隠しもせず。
喉を鳴らしながら値段を相場程度に提示すれば対価を受け取り。
「毎度あり、今後ともご贔屓にね。俺はジード、この辺りで露天商をやってる。
薬が必要なら言ってくれれば何でも用意するよ」
片目を瞑り冗談めかしながら荷物を包めば相手に差し出し。
「ヤバい――そうかなあ?いや、確かにそうかもしれないね。
とはいえこの辺りは特別危ない場所だからというのもあるよ。
なにか気になることでもあるのかい?
判ることならお近づきの印というわけでもないけど応えられることなら答えるけど」
興味を引かれた様子で相手がどうしてそう思ったのかと問いを投げ。
■シュン > 「僕はシュンです。お察しの通り冒険者です。
……他のところから来たんですけど、この辺りの空気というか、雰囲気というか……、ちょっと、おかしな感じです。
なんだか国全体が病気のような……。いつから、なんでしょうか」
繁華街の妖しい光。それをぼーっと、つまらなさそうな表情で少しだけ見つめると、相手の顔に向き直る。
■ジード > 「さあ、ねえ。この国が栄えてる反面背徳と怠惰に満ちてるのは俺がここに来てからずっとだし――
少なくともここ百年くらいはずっとそうなんじゃないかな?
隣にある国とずっと戦争しててね、その結果色んな物がおかしくなったのかもね」
自分がその戦争をしている先の出身だとは口には出さないが、
最大の原因かどうかはさておき少なからぬ影響はあるだろうとは踏んでいる。
病気と言われれば苦笑いめいた表情が浮かび。
「たとえ病気だとしても案外すんで見れば悪いもんじゃないよ。
俺がはみ出し物だからかもしれないけどね」
■シュン > 「……そういうものなんでしょうか。
まぁ、大体分かりました。ありがとうございます。
……そうだ、ひとつ忘れてました」
手に持ったままだったポーション類を仕舞うと、すっとフードを外す。少し幼くも見える、普通の少年の顔。
また軽く微笑みながら自分の右手を左手に……左手の中指にはめられた指輪に手をかざす。
―――ぴょこっ
「僕は……ミレー族です。お兄さんが色々教えてくれたお礼ってことで、教えておきます。」
その頭には黒い猫耳。後ろからも尻尾が生えているのを暗い夜道でもしっかりと確認できるだろう。確かにフードを取った直後は両方なかったはずのものだ。
■ジード > 「そういうものだよ。気が向いたらここで過ごしてみるのもいいかもね、
この辺りだったら訳ありが居ても誰も気にしない」
よくも悪くも危ないことには触れないのが不文律だ。
楽しげに笑って言い返したところで相手の所作に目を瞬かせ。
「はは、義理堅いね結構。言われるまでもないとは思うけど気をつけなよ、
客が減るのは困るからね。――そろそろ俺も店じまいだ」
ふと空を見上げて時間を確認すれば軽くうなずきながらそう返し、
立ち上がりながら手を軽く叩き。
■シュン > 「勿論。子どもだからって油断してる人は痛い目見るだけですけどね」
優しく微笑んでいた表情から、チロっと舌を見せてまるでいたずらっ子のような笑みを一瞬だけ見せる。
すぐ元の表情に戻ると、再びフードを被り、指輪に手をかざす。すぐさま頭のフードの膨らみは消え、尻尾は見えなくなる。
「おやすみなさい、お兄さん。また機会があれば来ますね」
そう告げると繁華街の表へと、様子を伺うようなことはせずに堂々と歩き出した。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2 路地裏」からシュンさんが去りました。
■ジード > 「それはコワイね」
声を上げて笑って見せた後に少年の後ろ姿を見送って腰に手を当てる。
「さて。明日に備えて引っ込まないとだね」
薬の補充が待っている。面倒だなとは思いながらも荷物をまとめてその場を手際よく後にするのだった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2 路地裏」からジードさんが去りました。