2018/11/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にサナさんが現れました。
サナ > 淡く降り注ぐ雨の下、フードを目深にかぶって表通りから裏路地へと。

行きかう人や物の多さにあてられ、押し出されるように進んだ足がようやく緩む。

左右を取り囲む塀は今にも崩れそうな有様だが、己の頭一つ二つ分よりずっと高い。人込みから離れても絡む圧迫感に小さく息を零し、斜めに傾いた廃墟の入り口で腰を下ろす。

投げ出した脚がぷらぷらと揺れる。
誰かが行く先をとおせんぼするように。狭い道を半ばふさぎ。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にアルクロゥさんが現れました。
アルクロゥ > 路地奥の暗がりから男が姿を現して歩いてくる。
フードを目深にかぶり暗褐色のマントで身を包む様にして少々怪しいが、この辺りでは逆にその方が普通の姿であろう。
冷たい雨避けの意味もあるのだが、元々厚着であるのと、人目をはばかる密売品の取引をしてきた帰り道で、素性を隠したい理由があった。
自分が歩く先を塞ぐように誰かが座って足を伸ばしているのを見つけると、一瞬迷って足取りが遅くなる。
変に絡まれたり騒ぎに巻き込まれるのは避けたい。
しかし、ここまで長い一本道で引き返すのも面倒で人通りのある道が目前であることや、相手が小柄なようなのでそのまま突き進むことにした。

そして相手の目の前まで来ると、やはり道が狭いせいで伸ばされた足に触れずに通り抜けることは無理だと察し、仕方なく声をかけた。

「寛いでいるところを悪いが、少しばかりその足を引っ込めて通してもらえるかな?」

穏便な口調でそう頼みながら相手の様子を伺う。

サナ > 子供のそれよりは重さのある足音がどこからか聞こえてくる。
沈みかけていた思考が水面の波紋が拡がるように揺らぎ、目が隠れるまでに深めたフード越し、頤をわずかに上げて其方を見遣る。

身を隠すどころか、足を引っ込めることもしない儘。
足音の主が近づくまで茫洋と眺める

「…‐‐‐‐‐‐………。」

小さな赤い唇が小さく音も無く動く。
ゆるく首を傾けた、後。


「‐‐‐………退いて欲しければ、通り賃寄こしな。」

気持ち声を低くして、あこぎに告げた。
昼間見た子供の口調の真似ごと。立てた膝を緩く抱え。

アルクロゥ > 彼女の目の前で水たまりを踏む音を立てて立ち止まり、互いに相手の様子を伺う間は静かに落ちる雨音だけが響き続けていた。

相手が素直に足を退ければ良し、もし妙なことを言い出されても強引に突っ切ってしまえば良いと思っていたが、まるで凄みを感じない脅し文句を聞いて後ろ頭をかいた。
心配していたような厄介ごと、荒事には発展せずに済みそうだが、妙な相手である事には変わりない。

しかし相手の声から若い娘であると分かると下心が出てくる。
それに、どこか無機質で起伏のない喋り方は密かにホムンクルスの研究をする男にとっては少々興味深い。

「通り賃か。……この狭い道を通るのに必要なのは幾ら程かな?
それに、素直に支払った後にこの足はすんなりと下ろして貰えるものなのか……」

そう言いながら片手を伸ばすと、目の前を塞ぐ彼女の足に触れて軽く撫でる。
無感情そうな相手が単なる演技なのか、そのような性質か確かめるため、わざと少しからかうような口調で笑う。

サナ > さんさんと降る雨は霧のように細く、肌理や服を絡め合わせて重たくさせる。

じっと見上げていた相手は、恐怖することは勿論、怒るでも、呆れる反応とも少々違う。困ったよう、な。

「…幾ら、」

考えていなかった、というのも何か格好がつかない。
僅かな間をおいて、

「おいしいものとか。……何か、貴方が良いと思うものを頂戴。そうすれば、もう意地悪しない。‐‐‐‐……、」

身をかがめる影が己に被さる。
何をするでも無く眺めていた、足先が小さく跳ねる。
簡単にひと掴みに出来そうな大人の長い指が、布を僅かに捩れさせ。
ず、と踵を引きずって、道をふさいだ足を引きそうになるが、変な意地が出た。
袖から白い手指が伸びて、触れた手を抑えようとする