2018/07/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にベートさんが現れました。
ベート > 遠くの喧騒と混ざった生活音があちこちからするが人影が無い、という地域。
荒屋と廃屋が混ざって傾いだ屋根が通りにはみ出す。
だが、何処かから肉の焼けるような匂いや微かな歌声、人の気配が届く。
月光の届かない暗い夜道、整備が放棄されたボコボコの石畳。
その路上に黒い影が茫洋と立っていた。

「…腹が減った?」

思い出したように呟いたのはこの場に足を止めて数秒後の話だ。
しかも、自分に問いかけるような口調、僅かに二角帽が傾いだのも、
その欲望自体が定かで無いからなのか。
防止の鍔に黒い手袋を軽く当て、周囲を僅かに見回した。

ベート > 鍔の下で眼が僅かに気づいたように動いた。
小さく顔を伏せ、納得したように小さく頷く。
右の手袋の裾を持ち軽く、きゅ、と引き、五指を軽く動かす。

「腹ではなく、こちらだったか」

笑い混じりに呟くと、黒い影は足早に移動を開始した。
音も無く、気配が薄れ、夜に溶けるように。
黒衣の縁が滲んで人という形が崩れ、荒屋の中に消えていく。
その後ろ姿は、人というよりは獣に近かった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からベートさんが去りました。