2018/06/11 のログ
フローリア > 教会からももちろん幾人もの者が駆り出されているものの、人手が足りない。
ただ飯が食えると、この辺りの住民がこぞってやってきているのだから当然だろう。

教会の上層部としては、貧民地区の住民など気にもしていない。
けれどこうした活動こそ教義に則るもの。帳面消しと体裁を保つという理由だけ。
それでもその責任者にと推挙された少女は、純粋にその行為に意味を見出し働いていた。

周囲のざわめきがひときわ大きくなる。
それまでの列を争うようなものではなく、何か囁くようなもの。
急な空気の変化に疑問を抱いていると、声を掛けられる。

「はい、責任者は私で―――」

声を掛けてきた少女の方を振り返ると、言葉に詰まってしまう。
瞳を瞬かせ、彼女の姿を見つめ―――けれどもすぐに外套を脱ぐと彼女の肩にかけようと。

「そんな格好だと風邪をひきます。こちらにどうぞ。」

話をするにしても、此処では落ち着いて話も出来ないだろう。
引き締めた表情で教会の者に「少し外します」と声を掛けると、
少女に対しては微笑みを向けて、朽ちかけた教会内部へとを案内する。

マルティナ > 「あ、いえ私は……」

断る間もなく肩に外套をかけられる。
親切な少女である。
そして説明をする暇もなく教会に招き入れられてしまった。

「あのー……、私はただ寄付金を届けに来ただけなのですけれど……」

悪意や嘲笑を向けてくる相手よりも、こうして純粋な親切心を向けられる方が対応に困ってしまう。
かけられた外套を改めて少女に返しながら、荷物から革袋を取り出し。

「お忙しいところ、お手間を取らせてしまってすみません。
ただこれを責任者の方に届けていただくか、どこにいるか教えていただければ……」

忙しそうにしていたところ人手を減らす形になってしまって本当に申し訳ない。
恐縮そうに取り出された革袋を広げて見せると、千ゴルド程が入っている。
マルティナの用事は本当にただこれだけなのだが、やはり格好が問題なのであろう。
乳首や秘部は辛うじて隠されているが本当にそれだけで、勃起した男根にはカバーがつけてあるもののその大きさや形は隠せていない。
そんな格好ではあるが、態度は至って普通というアンバランスさである。

フローリア > ともかくも周囲の視線から隠れる場所へ。
教会内部は、朽ちかけた外観同様に掃除は行き届いておらず。
それでも扉を閉めれば、外からの視線や揶揄は遮られる。

「この場の責任者は、私――フローリアが務めさせていただいています。」

外套を返されてしまうと、少女の全裸と言ってよい姿が露わになる。
先程は浮かべなかった困ったような表情を浮かべて、改めて少女を見つめ。

「寄付のお気持ちはありがたくいただきます。
 けれど――その格好で外に出るのは……その、少々危険なのでは……」

広げられた革袋には、数枚どころかずっしりとした金貨
届けに来たというからには、持ち主は別にいるのだろう。
ただ寄付を受け取るかどうかよりも、
襲ってくれと言わんばかりの姿の彼女をそのままにしておくわけにはいかない。
けれど当の本人にその自覚はあるのかどうか。
もしかしたら、余計なお世話なのかもしれないと、語尾が逡巡に揺れ。

マルティナ > 「貴女が責任者でしたか。
私はマルティナ・ラーゲルフェルト。
一応冒険者をしていますし、こう見えて強いので。
フローリアさんが思うような危険はないと思いますよ」

心配そうなフローリアに微笑んでみせる。
ほぼ裸という姿ではあるが、態度や物腰自体はただの冒険者にしては丁寧で品さえある。
しかし若いのに教会の責任者とは、よほど人手が足りないのかフローリアが優秀なのかその両方か。
何であれ今のマルティナが詮索するような事ではない。
責任者というのであれば、彼女に革袋を預けてしまえばいいだろう。
収入源は夜な夜な格安の売春で稼いだものだが、一応は合法的なお金なのでここから迷惑が及ぶ事もあるまい。
わざわざその事をフローリアに伝える事もないので、出処はそのままぼかしておきながら彼女に革袋を渡して。

「ではこれはフローリアさんにお預けします。
それと、どうも外の方は人手が足りないようですので何かお手伝いをしたいのですが」

忙しいところわざわざ人手を減らしてしまったのは素直に申し訳がない。
補填の意味も込めて、手伝いの提案をしてみた。

フローリア > 人は見かけによらないとは、こういうことを言うのだろう。
自分とさほど年齢が変わらないように見える少女が冒険者
そのことに、再び瞳を瞬かせ。

「そ、そうだったんですね。分かりました。
 マルティナ様の言葉を信用しますね。それでも、その……」

心配ではあるけれど、本人がそう言うのであればそれ以上は余計なお節介だろう。
ただ、ほぼ裸という格好でいさせること自体には抵抗を覚えてしまう。
寄付などよりも、まず自身の服をどうにかすべきではないか。
少女の姿を改めて見つめ――ちらりと少女には似つかわしくない股間のモノにも瞳を向けると顔を赤らめてしまう。

「マルティナ様のお気持ちは確かにお預かりしました。
 主も見守ってくださっていることでしょう。
 お気遣いありがとうございます。お手伝いの方は大丈夫ですよ。
 けれど……そうですね。もしよろしければ炊事場のお手伝いでも?」

マルティナの言うとおり、人手が足りていないのは事実。
彼女を人目に晒すのはやはり避けたいという思いから、裏方の仕事を提案する。
料理が出来るのならばそれで。そうでなくとも恐らくは、食器が山になっていることだろう。

マルティナ > 手伝いの提案をしてみたものの、やはり処遇には困っている様子。
本人がいくら平然としていてもこの格好では無理もないだろう。
フローリアも心なしか顔が赤い。
そして無難なところに手伝いを回されれば、当然断る事もなく快諾し。

「お任せ下さい。
こう見えて、体力にも自信あるんですよ私」

難しい仕事ではないだろうが、単純に手数や体力が必要そうな仕事。
調理も簡単なものなら問題がないしやはり妥当な配役である。

「ところで外の方は大丈夫なのですか?
忙しそうなところを抜けさせてしまって、本当申し訳ないのですが……」

裏方も大事ではあるのは分かるが、やはり先程見えた表の忙しさは気にかかる。
こうしてフローリアを引き止めているのも外で働いている者達に悪い。

フローリア > やはり本人が気にしていないのであれば、こちらもそう対応すべきなのだろう。
それは分かってはいるものの、やはり気にはなってしまう。
視線はどうしても彼女の隠された場所へと向いてしまいがちで。

「ありがとうございます。
 私はあまり体力とかないので、頼らせていただきますね。」

意識して見ないようにしながら、ふわりと微笑んで見せる。
炊事場で自身に何ができるかと言われれば、それこそ皿洗いくらいだろうけれど。
それはそれとして。

「そちらは大丈夫です。外のことは私でなくとも問題ないでしょうし。
 問題があれば、誰か呼びに来るでしょうから。」

自分の出番などは、説教か治癒が必要な場面くらい。
今日のところは前者の予定はないから気が楽なもの。

いただいた革袋を手に、マルティナを案内して裏口へと回る。
そこでは数人の修道女たちが鍋を囲んで忙しくなく働いていた。
彼女たちもマルティナの姿を見れば、瞳を丸くするだろうけれど。

「こちらはお手伝いを申し出てくださったマルティナ様です。
 みなさんよろしくお願いしますね。」

疑問を口に出されるより先に、そう修道女たちに紹介し。

マルティナ > 案内を受けて裏口へと連れてこられた。
そこには数人の修道女の姿が見える。
皆忙しそうである。
何か助けになればいいのであるが、まずは受け入れられる事からしなくては。

「マルティナ・ラーゲルフェルトと申します。
力仕事でも何でも、遠慮なくお申し付け下さい」

フローリアの紹介に続いて自己紹介をすると、にこりと微笑んで修道女達に一礼する。
作法的には無礼なところはなかったと思うが、やはりこの格好がネックだ。
まあどういう反応をされるかは概ね予想できているが、せめて態度だけでもしっかりしておかないと即追い出されてしまいかねない。
やりようによってはこんな格好でもそれなりに信頼を得る事は出来るのだから。

フローリア > 修道女たちは、何か言いたげに顔を見合わせたり、こちらを見てくるけれど
それには取り合わず、パンと手を叩く。

「さぁ、まだまだ列は続いていましたから、キビキビ動かないと終わりません」

質問よりも手を動かす。言外にそう告げると、修道女たちも仕方なく作業を再開する。
触れてみればマルティナの人柄は分かるだろう、という采配
その格好には驚いてしまうのは、非常に同意してしまうのだけれど。

マルティナの姿に躊躇しつつも、修道女のひとりが包丁が扱えるかどうか尋ねてくる。
入り口近くには、今日のために届けられた芋がごろごろと山になっていた。
人海戦術でそれを崩しに掛かってはいるものの、進捗は芳しいとは言えない状況

「―――私は、食器を洗ってますね。
 マルティナ様も無理のない範囲で結構ですから。」

司祭の地位にある者が、そんなことをするのはいかがなものなのか。
そんな注意を受けたこともあるけれど、此処にいる修道女たちは、そんな光景にも慣れたもので。
水仕事をするために司祭服を濡らさないよう、腕まくりをするとこちらも山になっている食器に手を掛ける。

マルティナ > 「包丁ですか?
皮むきぐらいなら全然問題ないですよ」

複雑な飾り包丁等はさすがに無理だが、一般的な調理の範疇で使う分にはそれなりに慣れている方。
皮むきだけといわず肉類野菜類を相手にする分には全く問題ない。
包丁を受け取ると早速芋の山に取り掛かり皮をむき始める。
フローリアと比べると格段に汚れに強い服装、というか殆ど濡れたり汚れたりする部分がない。
なので遠慮なく、泥水がつくのも構わずに仕事を進めていく。

「……かなりの量ですねえ。
これは中々大変そうです」

手伝いに入ったものの、一人手数が増えただけでは焼け石に水感もある現場。
とはいえないよりはマシであろう。
集中し、愚直に作業を進める。

フローリア > 全裸に近い格好のマルティナに困惑していた修道女たちも
作業を再開すればそんなことに構っていられる余裕はなくなる。

外から「次のお鍋はまだなんですか!?」という悲鳴にも似た叫びが木霊する中で炊事場は戦場と化していく。

 ・
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1刻も過ぎた頃だろうか。
用意された食材も底を尽き、怒涛のような忙しさがようやく落ち着きをみせる。
やり切った感を見せる修道女たちも、マルティナと打ち解けていた。

「いつも以上に盛況でしたね。みなさん、お疲れさまでした。」

責任者らしく炊き出し終了の合図を出すと、周囲の雰囲気が緩む。
お互いに労いの言葉を掛けながら片付けに入る面々。
それは当然のようにマルティナへも向けられて。

「マルティナ様、今日は本当にありがとうございました。
 おかげで滞りなく終えることができました。」

ほぼひとりで食器と格闘しつつづけた少女は、汚れてしまった服を気にすることもなく
臨時の手伝いを買って出てくれたマルティナへと深々と頭を下げた。
やはり目のやり場には困ってはしまうものの、それと感謝とはまた別の話で。

マルティナ > 修道女達に混じり、何とか作業を完遂させた。
一緒に苦労を乗り越えたせいか何となく打ち解けた感もある。
フローリアからも労いの言葉を一緒に貰った。

「いえいえ、私なんてそれほど大した事は……。
偶然居合わせて気まぐれに手伝ったに過ぎませんし」

見ればフローリアは随分服を汚してしまっているようだ。
それも厭わず仕事を続けた誠実ぶりには頭が下がる思いだ。

「フローリアさんこそ、そんなに服を汚してしまって……。
もっと作業しやすい服でしても……」

とはいえ、その辺りは修道女として決まりごとや慣例もあるのだろう。
こういった事は部外者があんまりあれこれ言っても詮無いこと。
結局最後の言葉は飲み込んだ。

「ともかく、皆様お疲れ様でした。
少しでもお役に立てたようで、私も嬉しいです」

最初よりも打ち解けた感じはしたものの、やはり視線は迷っている様子。
まあこんな格好なのにこれだけ受け入れて貰えただけでも上出来というもの。

フローリア > マルティナが指摘するとおり、袖は捲っていたものの、お腹の辺りはすっかり汚れてしまっている。
軽く叩いたくらいでは落ちそうにはないけれども、それはしかたがない。
教会に戻れば、修道女長あたりから小言のひとつくらいは貰うだろうけれど。

「マルティナ様のおかげで助かったのは事実ですから。
 そうですね、本当は私もみなさんと同じ服の方が気楽で良いんですけれど。」

軽く肩を竦めて笑って見せる。
作業の時くらいはそれでも良いのかもしれないと思うのだけれど、
上層部としては教会の権威を見せつける必要があるのだろう。
それについても理解はしているので、我儘を通すようなこともしていない。
そんなことよりも、と修道女のひとりにお願いする。

「マルティナ様。よろしければ、こちらをお持ちください。
 本当は私もご一緒したいのですが、今日は生憎と時間がなくて。」

そう言って修道女が持ってきた、身体を隠せるくらいの大きさのタオルと、
それが使われるであろう浴場の利用券を差し出した。
ただ、付け加えた言葉には、修道女が慌てたように首を振る。

「こちらには、大きな浴場があるとか。
 私もお邪魔してみたいのですが、いろいろ煩い方々がいらっしゃって……」

首を振った修道女に、「分かってます」と告げてから。

「私はこれで失礼します。マルティナ様に神のご加護がありますよう――」

短く祈りを捧げると、ぺこりと頭を下げて。
最後に「また機会がありましたら」と付け加えて炊事場を後にする。
やがて外から、「こんなに汚して何をされていたんですか!?」という声が聞こえてきたとか。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からフローリアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からマルティナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 屋台街」にダストさんが現れました。
ダスト > 途中の屋台で買った肉串を手に持ち、上機嫌そうな鼻歌を奏でながら歩くフード姿の少年。
以前、ここで出会った友人から教えてもらった屋台の肉串をほお張ればどこか幸せそうに笑みを作り。

「魔法が上手くたって、料理ができるわけじゃねぇからなぁ」

魔法には自身があったが、教えてもらった師が良くなかった。
攻撃的な魔法はいろいろ覚えることができたがこういった生活面を便利にする魔法を教わる機会はなかったのだ。
そもそもそんな魔法あるかどうかも不明だが。
第一微妙な調整が必要な魔法は自分にとってもっとも苦手とする分野である。
どうせ作ったところで丸焦げにするのが落ちだろう。

ダスト > 「は~うまかった」

肉串を食い切れば掌から炎を上げ、残った木串を塵に変え。
軽く手を叩いて軽く汚れを落とせばフードをかぶり直し。
足取り軽く歩いて夜の街から消えていき。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 屋台街」からダストさんが去りました。