2018/04/24 のログ
イグナス > 考えすぎも、仕方ない。飯を食いに行こうと歩き始めて――
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からイグナスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/路地裏」にカインさんが現れました。
カイン > 少々前から雨の降り始めた貧民地区の一角。
大き目の軒の下に陣取る事で雨から逃れながら、路地の方へと視線を向ける男の姿があった。
当然、出歩いている人間の数など数える程しか見かけない。
普段であればこの時間が一番賑わう貧民地区の歓楽街もお天道様には勝てはしない。
となると当然客引きのご婦人方を守る仕事の依頼を受けている男も必然的にやる事が無くなってしまっているのだった。

「こうも人が少ないんじゃ騒動なんて起りもしないしな、
 客引きの必要も無く客が店の中に入っていくのはある意味楽なのかもしれんが」

客寄せできる出来ないでは実入りが段違いだと娼婦達に怒られそうな言葉を漏らしながら、
顎に手を当てて空を見上げる。悲しいかな、当分やみそうな気配はない。

カイン > 「こいつは本格的にお役御免だな、かといって雨に濡れる事を覚悟するのもな。
 雨に濡れる自由もあるが濡れない自由の方が好みじゃある」

用心棒を引き受けた店の中で最後まで雨に負けず外で客引きをしていた女性が、
ついに根負けしてこちらに合図して見せに去っていく姿を見ながらげんなりした表情を隠さずぼやく。
生憎と雨具の用意などもなく、ここから去るなら雨の中を突っ切るほかない。
大通りとは反対側、路地の裏で怪しげな酒や薬を商う連中も、
早々に逃げ出した様子で気配がないとなればいよいよもってお手上げだ。
手持無沙汰に腰の剣の柄を軽く小突いて音を鳴らし。

カイン > 「…こんな状況でも営業に精を出すってのは中々どうして、
 俺も見習った方がいいかねえ」

そういいながらに視線を大通りの方に向けてみると、
未だ元気よく呼び込みをしている人影の数々に思わずげんなりした表情になる。
道行く人も少なくなったというのにたくましい話である。
まだもう少し雨が長引きそうな空を改めて見上げて、
腕を組みながら軽く唸り。

「……。酒の一つでも用意して置きゃよかったな」

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/路地裏」に紅月/アカツキさんが現れました。
紅月/アカツキ > ーーーしとしと、からころ。

お天道さんは不機嫌真っ盛り。
にもかかわらず活気のある大通りの空気に
「雨の日もいいモンだねぇ」
と、楽しげな様子の男が一人。

洋服が主なこの国でも相変わらずの着流しと、下駄を鳴らしつつキョロキョロと。
紅の髪も相俟って中々に目立つのだが、当人は気にする様子もなく暢気に散歩を楽しんでいる様子。

その手には、紙で出来た雨傘が。

「やぁ、おやっさん精が出るねぇ。
お、これ旨そ…ん、ほいほい4本、これお金な!」

串焼きをホクホクした顔で購入した男はその場で食うつもりなのか、丁度いい軒を探しているようだ。

カイン > 「まったく、せめて曇り空ってんなら文句もないが。
 雨が降ると後片付けが面倒くさいんだよな」

特に貧民地区となれば、水はけがいい場所など早々あるものではない。
誰もそんなものを考えて整備をしないからだ。でなければ、
週一で道が一つ増えたの消えたのという話には到底なるまい。
億劫そうな表情を隠しもしないでいると、
目に留まったのはこちらでは珍しい風体の男だった。
興味を惹かれた様子で顎に手を当てると、

「よう、兄さん。こんな天気の中で散歩かい?精が出るね」

興味本位のままに声をかける。
風体には見覚えがあるもののこの町で見かけるのは稀だと思い返し。

紅月/アカツキ > 「…うん?」

不意に声をかけられて顔を向ける。
屋根にばかり気をとられていた為か気付かなかったが、大きな軒下に大きな男。

丁度いい、あそこで雨宿りさせて貰おう。

「やぁ、なぁに雨もいいモンよ、街について早々新しい景色がみれたしなー」
カラカラと笑いながら灰色の外套を纏った男のもとへと歩を進める。

「ちょいと邪魔するよ、っと…」

一声かけると軒下にひょいと避難して傘を閉じ、水気を落とそうと軽く傘をふり

カイン > 「風流ってやつか?俺には残念ながらよく解らん概念だな。
 ま、それこそ地域の差というやつだろうが」

残念ながらと軽い調子で言い返しながらも、
隣にやってきた男を特に気にした風もなく迎え入れて顎をなで。

「その恰好、東国の出かい?俺も見たのは随分久方ぶりだが、
 そっちから出てきたってんなら随分長旅だったろう」

傘の水滴をよけるように一歩身を交わしながら軽い調子で問いかける。
かつて様々な所を歩き回った際に訪れたことがある地方で似た装束を見たことがある。
さぞ遠かったろうと興味本位に問いかけ。

紅月/アカツキ > 男の言葉に思わず傘を振る手が止まる。

きょとん、とした顔で外套の男を見て
「西国にも『風流』なんて単語あるんだなぁ…」
と、間の抜けた表情を隠しもせず、そもそもそんな知識が伝わっていたのかという驚きがそのまま零れたかのように呟いて。

「おお、そうそう!
うわぁ解る分かる奴には分かるんだねぇ!」

嬉しげに答えながら壁に番傘を立て掛け、雨降り空を見上げて

「どーんぐらいかかったっけなぁ…途中変な裂け目に落ちたり遺跡を通ったり、たぶん時間やら位置やら多少ズレてんだよなー…」

口許に手をやり、ううん、と唸りながら首を傾げる。
文字通り、無茶苦茶なルートを通ってきた故、正規の時間など考えても分かるわけもなく。

腕を組もうとして手にもったままの物を思いだし
「あ、串焼き食う?」
冷めないうちにと笑顔で2本差し出して。

カイン > 「俺は東方に滞在したことがあるんでね、それで知ってるだけさ。
 こっちの方でそんな言葉を知ってるやつはまあ、ほとんどいないだろうなあ。こっちで聞いたことは殆ど無い。
 ま、袖振り合うも何とやらってのに近い言葉はこっちにもあるけどな」

居たら自分が驚くと言い返して肩を揺らしながらも、
相手の物言いに思わず胡乱な眼差しを向け。

「時空の裂け目や妖精郷のうわさは枚挙にいとまがないが、
 まさかその話が本当だとしたら現物に出くわしたのは初めてだな。
 故郷に戻りたいとは思わんのかい?…折角だ、いただこうかね」

それだけの長旅で、しかも時間がおかしな自覚があればなおの事。
飄々とした様子に目をしばたたかせながら問い返した後、
差し出されたものはありがたく頂戴して笑いかけ。

紅月/アカツキ > 「へぇ、何処にでも似たような言葉ってなぁ有るもんだぁな…って、なんと!?
っはは、中々いい所だったろーあの地は!」

ふむふむと文化の相違に感心するも、相手が故郷の滞在経験者だとわかると本当に嬉しそうに笑顔を向け。

けれども男から不思議そうな目を向けられれば、再びコテリと首を傾げて。

「うん?んー、そうさなぁ…わりとしょっちゅう変なモンにカッ拐われて迷子になってるしなぁ。
ま、元々色々見て回るために国を出た訳だし…どうせ長い人生だ、美味しく食えるモンは美味しく頂かんとな!」
こいつみたいに、と、自分の串焼きにかぶり付く。

元々迷子常習犯、それに加えて自分自身も怪異のようなものなのだ…こういうのは楽しまねば勿体ない。

「それにアレだ、どうせ本当に帰りたくなりゃあ何とか帰れんだろうよ、そのうち。
あー、10年とかそこらくらいで?たぶん?
…ふむ、ダメそうならまた裂け目に突っ込んでみんのも面白そうだなぁ」

串焼きをくわえたままモゴモゴと…本来なら稀少で奇妙な体験がすっかり日常になって感覚が麻痺しまっているのか、ついには将来のトンデモ計画を呟きはじめた。

カイン > 「何せ人間なんてのはどこでも同じような物だからな。
 東方は長逗留にとどめるなら刺激的な場所だったな。
 住むにあたっては色々と大変そうだが…ああ、やはり食い物と酒だな。
 あまりに長く慣れ親しんだものは早々に変わらんようだ」

10年近く逗留していたものの、そういえば戻るに思い至った理由はそれだった。
そう思い返して手を打ちながら笑って宣って見せる。
のだが、それも相手の奇天烈な物言いにおもわず胡乱な物へと変わっていき。

「成程、たいした胆力の持ち主だ。
 俺がその状況になったらまず帰る算段から間違いなく始めるな」

感心したやら呆れたやらの視線を向けながらも軽く手を打ちクックと喉を鳴らしがてら、
空を見上げてみればだんだんと雨脚が弱くなっているのが見て取れ。

「よし、そろそろ酒場にでも行くとするか。折角なら兄さんもどうかね?
 ああ、そういえば名乗ってなかったな。俺はカイン、傭兵だ」