2018/04/13 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 廃教会」にシスター・マルレーンさんが現れました。
■シスター・マルレーン > ………
「ふぅ……」
小さく吐息をついたまま、ソファに寝転がるシスターが一人。
ここは廃教会。信心深いものであってもやってこないであろう場所で、一人、ちょっとだけ物憂げに。
フードは外してしまったのか、金色の髪は流れるに任せてソファから地面に流れ落ち。
修道服のまま横になれば、普段はあまり目立たない身体のラインもはっきりと。
割と乱暴に膝を立てれば、白い太腿も露わになる。
この教会の修復作業を始めてからしばらくが立ったが、一進一退。
作っては壊され、置いては盗まれ。
一度ついてしまった「ルールの無い場所」というレッテルを外すのは、なかなか難しく。
今日も、無残に打ち壊された植木鉢を拾い集めたところだ。
ちょっとしょげていた。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 廃教会」にティルニアさんが現れました。
■ティルニア > 王都に踏み入れてから数日。
その初日に財布をなくすという憂き目にあった旅人は、今日も今日とてあちこちをさまよい歩いていた。
今宵の寝場所を探して訪れた街の外れ。見るからに使われていそうにない教会を見つけてほっとする。
盗賊などといった輩が根城にしていないか慎重に気配を探りつつ、一歩踏み込み、
ぎい、
と床が軋んだから、その場でびくりと震え上がった。
「うひっ」
あんまりにも情けない悲鳴は、あわてて両手で口を覆って封じ込め、息ごとゴクンと飲み込んだ。
おそるおそる顔を上げ、そしてまたびくんと震える。人の姿が目に入り、反射的に身が竦む。
けれど、その人影の金髪に目を奪われて、直前の緊張感も忘れ間の抜けた顔で、ほーっと見惚れていた。
■シスター・マルレーン > 頬をぱちん、と叩いて身体を起こそうとしたところで、ぎしり、という音に僅かに顔を上げて。
僅かに警戒するように視線を向け………あれ、と少しだけ拍子抜けしたように、目をぱちぱちさせる。
修道服から僅かに伺える女性的な身体のラインと流れる金の髪。
相手が小さな姿であることが分かれば、ふふ、と僅かに微笑みかけて。
「この教会は今、ちょうど修理中なの。
教会に、何か御用かしら?」
ソファから身体を起こして、いつもより少し小さな声で尋ねる。
そのまま、少しだけしゃがみこんで目線を合わせて。
相手が盗みに入ったのかもしれないけれど、それであっても、堂々と人が居るというアピールをすればいいのだ。
……それに、何か怯えているようにも感じるし。
■ティルニア > 朽ちていく途中にあるような教会のソファに金髪の女性が寝そべっている。
絵画のような状況を前に、空腹でとうとう夢でも見たのかと思いながら、まばたきを数回。
不躾かという思考も働かないまま、まじまじと見つめ、白い太腿や女性的な身体のラインにも当然のごとく視線が移る。
それはそれで、またじーっと見つめてしまってから、はっと我に返って頭を振った。
ぶるぶるぶると、水を浴びた犬のような動き。
「はっ…! え、あっ、あっ…!」
絵画の中の人物が動き、話しかけてきた。
そうではない、彼女は確かにそこに存在している人だ。
わかってはいても、とっさに返事が用意できず、見るからにうろたえてしまう。
とんとんと軽く胸を叩いて息が詰まるような感覚を誤魔化し。
「屋根あるとこで寝たいなあって……
でも、空き家、じゃなかったんねえ、……ここ」
この建物は教会で、彼女は修道服を身に纏っている。……つまりは、ここの人という事になるだろうか。
勘違いだったとはいえ勝手に踏み込んでしまった状況。ばつが悪そうに、ぼそぼそと返す声は微妙な訛りを含んでいた。
■シスター・マルレーン > ………?
はて、と首を傾げる。そんなに怯えさせたつもりもないのだが、完全に動揺しているようだ。
うろたえる姿を見つめながら、相手が言葉を発するのを、じーっとしゃがみこんだまま待つ。
「……ああ、……そういうこと。
ここは今、直しているところで鍵もかからないから、危ないわ?
それでも行く宛は………無いのかな。
……あ、疲れているなら、とりあえず座る?」
膝を折って地面に膝をついて、視線を合わせたまま話をする形になる。
怒る気配はないけれど、さて、どうしよう、と少しだけ悩む。
ひとまず相手の事情をそのまま聞こうとする。
■ティルニア > 教会に踏み込んだ理由を説明したら、多少は落ち着けた気がした。
更に、ゆっくりと深呼吸をして身体の緊張をほぐす。
視線の高さをあわせてくれる彼女に、親切な人だあなんて感想を持ちながら、頷きを返し。
「そっかあ。…んんでも、財布、落としちゃってね、
だから屋根と壁があるだけいいかなって…
あ、も、もちろん泊まるのだめなとこならね、出てくけど…!」
まだ少しどぎまぎしてはいるけれど、言葉はつっかえなくなった。
無理に居座る気はないと告げるところだけ、また声が高くなりはしたけれど、
問いかけに、こくこくと首を縦に振る。
彼女が寝そべっていたソファをちらりと見ると、おそるおそる移動し、
おじゃましますと小声で呟いてから腰を下ろした。
「寝るとこ探してずっと歩いてたから、足、棒みたいなんよ。
あっ、さ、先に座っちゃって、ごめんね…!」
■シスター・マルレーン > 「………なーるほど。
お財布を落としちゃったとしたら、………えー、と。
この後、どうするつもりなのかしら?」
まだ緊張していそうな少女の言葉に、うん、うん、とゆったりと頷きながら、先にソファに座らせて。
「あんまり、緊張しなくてもいいわ。
だって、まだまだちゃんとした教会じゃないのだもの。
まだまだ、ただの空家です。」
なんて、清く正しいシスターの顔から、ぺろ、と舌を出して悪戯っぽく笑って見せる。
隣にぽふん、とこちらも座って。 で、どうするの? と首を傾げて見つめてみよう。
丁寧にではなく、ちょっとやんちゃに座るのだ。
口ではなく、所作で、それなりに隙のあるおおらかさを感じさせようとする。
若干ワザとですよ、ほんとですよ!
■ティルニア > 「…………どうするつもりなのかしらー」
彼女の口調を真似して天を仰いだ。
ほんとにどうしようと、先の事を考えると気持ちが暗くなるばかり。
表情にどよんとした影の雰囲気が差し込みはじめたところで隣に女性が腰を下ろす。
身に着けている衣服からお堅いイメージを浮かべていたけれど、
思ったより気さくな振る舞いに、つられたように表情から力が抜けた。
「……ええっと、うん、ありがとね。おねーさん…、あ、シスター?
どうしょーかなあ。故郷に戻るにもお金がいるしね。
一応、売れるものもちょっとはあるから…そのへんどーにかして考えよかなあって」
へらりと笑っては見せるものの、返す声は言葉尻を落とし気味。
ノープランです、というより、難しい事を考えられません。
そんなお手上げ状態の笑顔だった。
■シスター・マルレーン > 「……そっかー。
そうよね、どうするか決まっていたら、もう動いているわよね。」
相手の言葉に苦笑を浮かべて。そりゃあそうよねぇ、と。
さてはて、と少し考える仕草を見せる。
「……持ち物を売るにしても、売れるまでの間の寝泊まりと食事代で、ある程度消えて行っちゃうでしょうし。
仕事をするにしても、仕事が見つかるまでまた時間がかかるでしょうし。
………そう、ねぇ。」
悩む。ううーん、うーん、と腕を組んで悩んで。
言葉尻を落とす彼女の様子に、もうしばらく悩む。
「……よ、し。 私の部屋にでも来ます?
……泊まってもいいですし、ここに鍵をつけて、寝泊まりはこっちでもいいですし。」
少しだけの逡巡の後、決心したかのように、ぽんと手を鳴らして。
■ティルニア > 「そうなんよねー……
あ、でもね、珍しくよくできた湿布薬があるんよ。
これが、通りすがりのお金持ちのお爺さんの腰痛によく効いて…」
金策として持ち出した話はかなりの夢物語。
そんなに都合よく事が進む強運を持っていれば財布を落としもしないはず。
話している間に自分でも虚しくなってきて、頭がよろよろと前にうつむき始める。
「お腹もすくし、もう藪に潜って寝るのも……うー。
住み込みの仕事とかね、見つかったらちょっとは楽に――――はえ?」
人目を避けるため仕方なく藪に分け入った夜を思い出すと、遠くを見つめたくなった。
どうにかしていい仕事を探さなければと一緒に腕組みをして考え、
……そのまま思考が停止した。
ぽかんと口を開けたまま、いいの?と小首をかしげる。
■シスター・マルレーン > 「あら、それは都合がいい。
実は、この前屋根の修理をしていたら不運にも梯子から落ちて、腰を打ってしまったんです。」
もう治ったその怪我の話を持ち出して、自分の腰を撫でる。
いやまあ、疲れているのは疲れていますしね。
「ですから、………宿が欲しいのでしょう。
それと交換、というのはどうでしょう?
私は基本的に外出していますから、自由に過ごしてもらいつつ、手持ちの物を売るなり、仕事を探すなり。
泊まることを気に病むならば、こちらの教会に鍵をつけて、しばらく過ごすのもよいでしょう。
……でも、お仕事と大きなお風呂はありませんよ?」
なんて、ぺろ、と舌を出して笑いかけて。
■ティルニア > 「ええっ……痛そお。だいじょぶやった?まだ痛む?」
修繕の途中だと言っていたから、きっとここの屋根の話だろう。
梯子を上りきったところでないならいいけどと、自分まで腰が痛くなったような顰め面で不安げに尋ねる。
そんな表情もあらためて宿の提供という話にうつったとたん、ぱっと明るくなって、
ぶんぶんぶん、と話に飛びつくような勢いで首を縦に振る。
「あ、ありがとお!
うん、うん、うちの薬なら全然、全部使っちゃっていいから…!
なるべく邪魔にならんようにするし、掃除とか、ね!やるし!
教会の修理も、手伝えるとこあったら手伝うから……!
ここよりは、おねーさんの部屋のが、いいかなあ。
床でもね、ええんよ。床で寝るんでも今までに比べたら絶対マシだし。
えへ、えへへっ、うれしい、ほんとありがとお」
嬉しさのあまり、売り物にできそうな薬という全財産を提供しかける。
自分の鞄をばんばんと叩きながら、他の手伝いも名乗り出て、でれでれと笑う。
この(失礼ながら)ちょっと不気味な廃教会よりは、できれば彼女の部屋を貸してもらおうと浮かれ、舞い上がって。
■シスター・マルレーン > 「……ふっふ、無理をしなければ大丈夫です。
実は、こう見えても冒険者でもあるんですよ、私。
ですから、旅慣れていますし、戦うことだってできるんですよ。」
尻尾を振るように喜ぶ彼女の姿に、ついつい気持ちが大きくなって、自分の胸をぽんと叩く。
「まあまあ…。
……仕事を探すにしても、ここの街で無暗に探したら危ない仕事にぶつかるから、気を付けないとダメだからね。
はい、それじゃあいきましょうか。
脚は大丈夫かしら? 疲れてはいなーい?」
なんて、ぽんぽん、と足に触れるように。
こういう時にすぐに癒す力があればいいのに、とは思ったりもするけれど。
「……シスター・マルレーン。 マリー、でいいからね。」
■ティルニア > 「はえー……ちと意外。
すっごく優しそうに見える、てゆか優しいのに、強いんやねえ。
うちも逃げ足だけは自信あるんよ。あんま自慢にならんけど……」
憧れとか感謝とか色々な感情がこもった視線で彼女を見つめる。
寝そべっていた時点から絵画の中の人のようなんて思ったけれど、
話してみると、ますます見惚れるような心地になった。
「あははっ……はーい、気をつけます。
だいじょぶ、だいじょぶ、今すっごく元気になったとこ!」
忠告には笑って頷き、腰を下ろすまでは確かに疲れていたはずの両腿をパンと叩いた。
一日の疲れが嬉しさで塗り替えられて、立ち上がる時にもぴょんと跳ねるような動き。
「マルレーンさん、マリーさん。
うちはね、ティルニア。ティルでもニアでも、ええとあとは、チルニーでも!」
過去につけられたあだ名を数えながら、お好きに呼んでと愛想よく笑いかける。
■シスター・マルレーン > 「大事なことよ、逃げ足は。
私はねー、逃げ足は………どうなんでしょ、イマイチ?」
割と大型タンクな能力を保持した彼女。
逃げ足は遅く、どちらかと言えば殿なわけで。苦笑を浮かべて。
「よろしい。
それじゃあ、行きましょっか。
私は本当、明るいうちは仕事ばかりしているから、自由に使ってもらって構わないからね。
ティル……ティルね。
はい、こっちだからね。」
飛び跳ねるような彼女の動きを見つめながら、よいしょ、っと立ち上がって。
こちらがちょびっとへこんでいたのも、すっかり過去の話。
そっと手を差し出して、行きましょう? なんてウィンク一つ。
■ティルニア > 「遅いん?
じゃー危ない時は、うちがググーッて引っ張ったげるから」
ちょっとばかり気持ちの上で背伸びして、つれて逃げますと得意げな顔。
薄い胸をトンと叩いて、任せてくださいと言いたげに彼女を見上げた。
「うんうん。
仕事探しが上手くいってない時は、他の事、ほんとなんでもするからね。
料理はー…あんまり得意じゃない、てゆか、おいしくないかもだけど」
居候なりに役に立とうと懸命に主張する。
ほんの少し前まで暗雲垂れ込めていた気分も晴れやかになって、差し出された手を取ろうと、
そこで、ふと動きを止めた。
ちらちらと彼女の顔をうかがって、躊躇して、結局そーっと手を握る。
ちょっとどきりとさせられたウインクに、照れくさそうに頬を上気させつつ、うんっと大きく頷きを返し。
■シスター・マルレーン > 「ふふふ、危ないところについてきちゃあ、ダメだからね?
……そうねぇ、やってもらうこと、あったかしら。」
自信満々なその仕草に笑ってしまいながらも、相手がきゅ、っと手を握るなら、握り返す。
頷く少女を導きながら、一人分を背負う覚悟。
荷物を増やしてはいけない、と忠告されていても、彼女自身を変えられぬ。
「教会の下仕事は、お金の払いはホント良くないからそれは私がやるからね。」
遠い目になった。とほほー。
■ティルニア > 「あんまり危ないとこ、行かんようにしてね。
……えーっとねえ、なんでも、言いつけてくれたら嬉しいから」
忠告を受けて忠告を返し、にへーっと緩い笑み。
なにかしら仕事を言いつけてもらわないと立場がないから、
どんな雑用でもいいから思いつきますようにと祈り気持ちで。
「……泊めてもらう分で、おあいこやと思うけどー」
と、一応言ってはみたけれど、手を握り返されてピンと背筋が伸びた。
としうえのおねえさんと一緒。そんな状況にどぎまぎしながらの帰り道となったようで……。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 廃教会」からティルニアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 廃教会」からシスター・マルレーンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/路地裏」にカインさんが現れました。
■カイン > 少々前から雨の降り始めた貧民地区の一角。
大き目の軒の下に陣取る事で雨から逃れながら、路地の方へと視線を向ける男の姿があった。
当然、出歩いている人間の数など数える程しか見かけない。
普段であればこの時間が一番賑わう貧民地区の歓楽街もお天道様には勝てはしない。
となると当然客引きのご婦人方を守る仕事の依頼を受けている男も必然的にやる事が無くなってしまっているのだった。
「こうも人が少ないんじゃ騒動なんて起りもしないしな、
客引きの必要も無く客が店の中に入っていくのはある意味楽なのかもしれんが」
客寄せできる出来ないでは実入りが段違いだと娼婦達に怒られそうな言葉を漏らしながら、
顎に手を当てて空を見上げる。悲しいかな、当分やみそうな気配はない。
■カイン > 「こいつは本格的にお役御免だな、かといって雨に濡れる事を覚悟するのもな。
雨に濡れる自由もあるが濡れない自由の方が好みじゃある」
用心棒を引き受けた店の中で最後まで雨に負けず外で客引きをしていた女性が、
ついに根負けしてこちらに合図して見せに去っていく姿を見ながらげんなりした表情を隠さずぼやく。
生憎と雨具の用意などもなく、ここから去るなら雨の中を突っ切るほかない。
大通りとは反対側、路地の裏で怪しげな酒や薬を商う連中も、
早々に逃げ出した様子で気配がないとなればいよいよもってお手上げだ。
手持無沙汰に腰の剣の柄を軽く小突いて音を鳴らし。