2018/01/26 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にノーチェさんが現れました。
ノーチェ > 部屋を取ってある宿の酒場で一人グラスを揺らしていた。
ここは安いことと酔いつぶれても2階の部屋まですぐに戻れることがウリの酒場だ。

当然、洒落た客は居ないし、綺麗所もこんな所にはやってこない。

俺は仕事の疲れを紛らわす様にあまり上等でないウイスキーを割らずに飲んでいた。
明日は休みだ。 一日中寝ていたって構わない。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にマリー・テレーズさんが現れました。
マリー・テレーズ > 「こんばんは。お邪魔いたしますね」
ひとり、この場所に似つかわしくない異質な雰囲気を纏わせているその修道女は柔和な笑みをたたえつつ、酒場に入ってきた。

「おいおい、修道女が酒飲むのか?」とお世辞にも品がいいとは言えない周囲の客が彼女を睨むように見るが、それに動じる様子もなく
「いえ、この近くで飢えと渇きに苦しんでる方がおりまして、お酒でも飲ませて差し上げようと…一杯いただけますかしら」

粗末な修道女はそう言って懐から代金を出すと、酒場の店主に向かって礼儀正しく頭を下げる。

「ありがとうございました。これできっと…」
酒を受け取った修道女はさっそく酒場を出て行こうとする―

ノーチェ > ふうん、こんな所に修道女がねえ…。

俺も他の品が良くない客と同じ感想だった。

隣で話を聴いているとどうやら彼女はどこぞの行き倒れに酒を恵むようだ。
聖職者ってのは本当に奇特なものだ。

「親父、ここに置いておくぞ。」
俺はカウンターに金を置いてから、まだ口を付ける前のパンを持ち、修道女に声をかけた。

「おいおい、空腹の奴に酒だけ渡しても仕方ないだろ。
どうせなら食い物も渡してやれよ。
それにこの辺は夜は物騒だ。
途中までなら俺も付いていくよ。」
見ず知らずの女にここまでする義理はないのだが、ちょうど暇をしていたことと酒の勢いもあり
余計なおせっかいをする気になってしまった。

マリー・テレーズ > 急に若い男に声をかけられ、思わずびくりとしてそちらを見る…それほど危ない人物だとは思えなかったので、改めて男に向かって礼をする。

「まあ! それは助かります! あなたのような親切な方がいてくださって嬉しいです。私は王都唯一の女子修道院…聖マリアン修道院の院長をしております、マリー・テレーズと申します。マリーで結構ですわ…ではお手数ですがお付き合いくださいませ」
今までに人を疑ったことなどまったくない、まるで無垢な童女のような目で男を見ると柔らかく微笑んで

「場所はそんなに離れてませんわ、でも急ぎませんと―」と男を促して外に出ようとする―

ノーチェ > どうやら、驚かせてしまったようだ。
そりゃそうだ。 こんな所でいきなり声をかけられたら誰でも驚くだろう。

「お、おう…。 俺はノーチェってんだ。
宜しくな、マリー。」
名前も素性もすんなりと口にするマリーに面食らうが、名前だけは名乗っておいた。
マリーとは違ってこっちには名前以外に紹介できるようなものは何もない。
どうやら有名な修道院の院長らしい。 こんな所に一人で現れるのも驚きだが、歳も俺とそれほど変わらないのも驚きだ。


「分かったよ。 どこなんだ?」
慌てるマリーに促されるまま、外へと飛び出す。
扉一枚向こう側は随分と寒い。 凍えそうだ。

マリー・テレーズ > 「ノーチェ様ですね。ご協力感謝いたしますわ」
そう礼を述べると冷たい風が吹きすさぶ中、行き倒れになっていた男がいたところまで急ぐ。幸いにも男はすぐに見つかったが、口を利く元気はもうないようだ。

「しっかりしてください! 今、食べ物とお酒を持ってきましたから! ノーチェ様、パンを」

パンと酒を与えると、男の顔に生気が戻ってきたようだ。ホッと胸を撫でおろしたところ、近くで同じく慈善活動をしていた修道女たちが「マリー院長!」とこちらに気付いてくれたので、とりあえず男は彼女らに任せることにする。

「ありがとうございます。お陰で一人の命を救うことが出来ました…何かお困りのことがあったら、聖マリアン修道院までおいでください。今度は私が恩返しをしなくてはなりませんものね」

邪気のない笑顔…それが却って男をそそるものだとはこの若く厳格な修道院長には知る由もなかった―

ノーチェ > 「いや、礼には及ばないけどな。」
とにかく、問題の男の元へと二人で駆けつけることにした。
男はこの辺りではどこにでも居る様な貧しい男であった。
マリーが手を差し伸べなければ誰からも気にされず凍え死んでいただろう。

「ほら、食べな。」
マリーに指示されるまま、行き倒れの男にパンと酒を与えた。
男が食い物を食っている姿をマリーと眺めているとマリーと同じ服をした女性が数人やってきた。
どうやら修道院としての事前活動のようで、男は他の修道女達に連れられこの場を去って行った。
これからは温かい部屋に食事が与えられるのだろう。
しかし、彼女らはいつもこんなことをしているのだろうか。

「それなら、早速だけど今夜一晩付き合ってもらえるかな。
俺の部屋は狭くて汚いし、あんたの修道院にお邪魔させてもらえるかな。」

どうやらマリーと言う院長は底抜けに人が良いらしい。
俺がパン一つ差し出しただけで恩義を感じてくれているようだ。
それなら、少しくらいは我儘をきかせてもらおう。

マリー・テレーズ > 「ええ、そのようなことでしたら」

男の言う「一晩付き合ってもらう」を単なるベッドと食事の提供だと思ってしまうあたり、やはり彼女は世間知らずなのだ。いや、世の中に悪人などいないと思い込んでいる純粋さ…と呼ぶにはいささかきついものがある。

現に彼女の修道院は問題修道女のお陰で大変案ことになっている。だが元貴族令嬢のその修道女のお陰で莫大な寄付金が来るのだから追い出すわけにもいかず―

「ええ、もちろんですわ。お客様用部屋も用意してありますし。今日は特に冷えますから暖かくして寝てくださいませ」

そう言って、男を女子修道院まで連れてゆく。本来は男子禁制であるはずだが、それも形骸化して久しい…マリーが最後の良心といったところか。

「こちらですわ。あとで食事も運ばせますわね」
修道院の離れに小さな家があり、緊急の男性がいるときはここにいつも連れて行くのだ。綺麗にメイキングされたセミダブルのベッド、暖房器具など一通りのものは揃っている。

「では、私はこれで―」

彼女はそう言ってそこから出て行こうとする―

ノーチェ > 寒空を歩いた先で、俺は普段縁のない世界へと案内される。
間抜けにも俺はマリーの後ろで口を開けたまま歩き回っていたことだろう。
壁には穴も開いておらず、おまけに女の匂いがそこら中に溢れていた。

そして、マリー曰く来客用の部屋へと案内される。
てっきりマリーの部屋に通されると思ったのだが、この様子だとどうやら意図は伝わっていないようだ。
まあ、でなきゃこんなにあっさりと見ず知らずの男を連れては来ないか。

「おいおいおいおい。 どうやら俺の言ってる意味が分かってないようだな。
一晩付き合えって俺は言ったんだけど。
食事なんていいから、とりあえずベットに座りなよ。」
俺は自分のコートを壁にかけながら、マリーにこの場に留まる様に促す。

マリー・テレーズ > 「え? あの…」
彼女は訝しげに男を見る。何か失礼なことでもしてしまったのだろうか?

「私が、ベッドにですか…わかりました…」

この期に及んでまだ男の真意に気づかないとは、厳格で処女の修道院長らしいと言えばそうだが、あまりにも警戒心が無さ過ぎた…恐らく、修道女になる勉強中にそんなものはどこかに落としてきたのだろう。

「で、では失礼して…」
恐る恐る、男の隣に浅く腰掛けその横顔をちらりと見る…やはり真意はつかめない。

「あ、寒いですよね。今暖炉に火を入れますわ」
そう思い付き、すぐに立ち上がろうとする

ノーチェ > コートを脱いだ後はサーベルを机へと置いた。
それから状況の分かっていないマリーの横へ腰を落とす。
宿のベットとは違いふんわりとした反発が気持ちよい。

「暖炉も後でいいからさ。」
俺は隣で落ち着きない様子のマリーの腰へと手を伸ばし、手元へ引き寄せようとした。

「一晩付き合うってのはさ、マリーの身体で俺を持て成すって意味なんだけど。
意味わかるかな?」

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からノーチェさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からマリー・テレーズさんが去りました。