2018/01/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/路地裏」にジードさんが現れました。
ジード > 路地裏と一口に言っても幾つもの種類がある。
ひっそりとした完全に人気のつかない場所や自然と人の通りのある抜け道、
あるいは繁華街の裏側。それぞれに売りたい物の異なった店が並ぶのがこの街だ。
繁華街の中でもこの時間帯に一際繁盛する娼館の立ち並ぶ通りの裏手にある
この店で取り扱っているのは女性へのプレゼントに最適なものか、
あるいは女性に使うのに最適な物ばかり。
時折訪れる者と商談を交しながらも店主は概ね暇な時間を過ごしていた。

「新年早々となると流石に人の気配も大分減っちゃうな。
 全く、もっと景気よく金を落してくれればいい物を」

売れ行きは悪くない様子だが売れるのは謹製の薬に大半が偏っている。
手ずから仕入れたものの受けが今一つな様子に少しばかり哀愁が漂っていた。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/路地裏」にルナールさんが現れました。
ルナール > 路地裏にあるそういう店。
娼婦としての業務は本日はお休みだが、仕事に関わる薬となれば安く仕入れておきたいものだ。
ほぼ娼婦のような恰好をしているだけに適当な男連中にかけられる声を鬱陶しく思いながら路地裏を移動していく。
適当な店を回ったものの、良い品に巡り合える事が無く。
諦め半分で訪れた店で見かけた媚薬やら少々特殊なお薬。
ただ、普通に購入するのでは商人としては見習いも同然。
しばしの間は訪れた店にて商品を物色した後―――店主の方を見てから少し考え。

「失礼ですが、これ…もう少し安くして頂く事は可能ですか?」

そんな風にアナタにかけた声が第一声。
胸の谷間を押し上げるかのように身体の前で腕を組みながら、にっこりと微笑みを浮かべての割引交渉。

ジード > 大して人の通りがいいとは言い難いながらも、
それなりに客を裁けていればふと目に入るのはあまり見た覚えのない
美人さんの姿である。見ると無しに眺めていれば己の店の前に足を止め、
商品を物色している様子に軽く目を細める。
と、かけられた声にきょとんとした表情を浮かべてとぼけて見せ。

「おやま。何をお求めかな?
 さてはて、値引きできるほど裕福に見えるならそれはそれで困ったもんだ」

そうおどけた調子で言い返しながらも相手の様子をみやって楽し気に笑って見せる。
さてどう返してくるかという反応を見るかのように。

ルナール > 「値引きなんて何処でもやってる事ですよ…媚薬を少々と、打撲用の軟膏…それに装飾品で何か良さそうなのがあれば見せて欲しいのですが?」

彼の言葉をさらりと流して、暗に一緒に装飾品も買うから値引きして欲しいという言葉を告げた。
一応は今の値段から合計で三割引きして欲しいと指を三本見せた。
もし無理なら二割引きでも可能とさらに指を一本減らして見せて。

「ところで、この辺は私は初めて何ですけれど。売れ行きはどんな塩梅でしょうか……これとか。」

そう言って指で示したのは避妊薬。
娼婦街ならば売れ行きの良し悪しで、この辺がどれだけ繁盛しているかが何となく察する事が出来る。
他にも堕胎薬なんていうのもあるが、大まかな目安となるのは避妊薬の売り上げの良し悪しの方が分かりやすい。

ジード > 「なるほど?それは確かに道理といえば道理だね。
 ふむ、媚薬はさておき打撲用の軟膏とは剣呑だね?
 飾り物ならそうさな、このあたりはどうだろうか」

相手の言葉に合格とでも言いたげにあっさり言葉を翻し、
その条件でとばかりに商談を続けて行く。
媚薬の類を並べるのと同時に脇に相手の銀髪に良く映えそうな、
恐らくエメラルドらしい翠のペンデュラムをあしらったネックレスと、
アクアマリンらしき青い石のはめ込まれた銀細工のブレスレット。
双方ともに作り込みに甘い所こそある物の、創りと素材はしっかりしたものではある。

「そいつはまた、珍しい物に興味を引かれるね?
 ああ、そいつは良く売れるよ。最も女性相手じゃなくて、
 店かあるいは男の客が買ってくことが多いけどね」

つまりはそういう、どちらかというと貢ぐ側の男がこのあたりを通るという事である。
或いは気を使わなければいけない理由でもあるのか。
どちらにせよそこまで悪い客、ではないという事に他なるまい。
どういうつもりでそれを聞いたかはさておいてにゆっくり笑って相手を見返し。

ルナール > 「打撲用の軟膏は単純に切らしてしまっているだけですから。媚薬は私が使うんですけどね…ではブレスレットを一点。」

打撲用の軟膏は滅多な事では使う事は無いけれど無ければ無いで不安になってしまう。
苦笑しつつ、媚薬の用途は自分用とあっさり告げてからブレスレットを選ぶ。
細工よりも、銀の素材が本物かどうかをじっくりと観察してから納得して背中に背負っていた鞄を降ろした。
中から金銭の入った小袋を探し、二割引きという条件で交渉は成功し購入。
手渡された商品は背負っていた鞄の中に収納して無事に購入完了となる。

「一応は娼婦もたまにしてるので、この辺で商売になるかの確認ですよ。もし私から『花』を買うなら、いくらぐらいになるかしら?」

店で売れるなら、それはつまり適当な店に所属するなりした方が良いという意味だ。
それだけこの辺で娼婦としての商売が活発であるという証明になる。
こちらを笑って見返す相手へと、いくらくらいになるかしら?と尋ねながら。
クスっと微笑を浮かべつつ、両手の指でつまむように身体の前側を隠すスカート部分の布地をちらりと持ち上げて見せる。
もし周囲が明るければ、チラリとした瞬間に何も身に纏っていない恥部が見えるかもしれない。

ジード > 「欲しいと言われれば売るのが商人ではあるけどね。
 そういう事なら売るのはやぶさかじゃないよ、っと。毎度アリ」

備えは大事である。商人という立場であるからこそなおよく分る。
媚薬が自分のモノであるという話を聞いて少し意外そうな表情を浮かべながらも、
荷物を片づけながら代金の勘定を始め、提示された値段を弾いて素直にうなずく。
纏めて袋に入れてから相手に手渡した所で、
言われた言に思わず顎に手を当ててしげしげと上から下まで眺めて緩く笑い。

「そうだな、一晩で今の薬と装飾品の代金にもう少し色を付ける、と言った所かな?」

金銭価値として治すのであれば、ここいらの相場としては大分高い値段の提示である。
それこそ平民地区の娼婦としてもかなり高等な部類に入る値ではあろう。
それだけ、相手の事を文字通り『買って』いるという評価ではあるのだろうが、
ひょっとしたら眼福へのサービスも少々混ざっているかもしれない。

「ま、この当たりで商売するなら横の繋がりが強いから面通しはした方がいいだろうね」

それだけ、仲間意識の強い連中が多いのがこの当たりのある意味特徴ではある。
逆を言えばその手の義理さえ事後でも通すならば無下にはされないと肩を竦めて言外に伝え。

ルナール > 「ここでの相場と考えれば、かなりのものね…場所が違えばもう少し色がつくかしら。」

単純な金銭目当てなら、平民街がもっと別の場所に移動した方が金銭面では安定する。
相手に視姦されつつも、少し思案してからスカートから指を離した。
これ以上のサービスは有料よと、冗談交じりに片目を瞑っておどけてみせた。
本当にするのであれば、さらにプラスして今夜の宿代も貰わなければならないし。

「貧民街の顔役には後で挨拶する予定よ。この辺じゃ流れ者なんて単なる厄介者にしか過ぎないから……その辺の通りは弁えているから揉め事は極力避けるわ。」

手渡された薬やらを荷物に纏めてから、背負ってきた鞄をよいしょと背負い直す。
これで媚薬の在庫は確保出来たと安心しつつ、ふとこちらも彼をじっくりと上から下まで眺めていく。

「……ふむ。貴方だったら、定価から割引して運が良ければお相手になるわ。それじゃあ、縁があればまたね?」

そう言い残すと購入したばかりの荷物を背負い。
お先にとスタスタと立ち去って行った。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/路地裏」からルナールさんが去りました。
ジード > 「そうさな、こっちは何というか…色物好きの客が多いからなあ」

自分が相手にしている客をそういう風にいうのもなんだが、
実際そうなのだから致し方が無い。それだけ言って曖昧に笑いながら、
顎に手を当てて返した所に相手の声が聞こえれば喉を鳴らし。

「おや、眼福もここまでか。そりゃ残念。
 ああ、そうしてくれた方が俺としても助かるね。
 なんせどっちもお客様だ、騒動にならなきゃそれに越したことはない」

それは男の本音のようではあり、軽い調子ながらしみじみとした調子で告げる。
実際にその手の騒動には事欠かないのはその様子からアリアリと解るだろう。

「おやま、それは悪くない評価――と思っておくよ。
 もうちょい値引きさせられる位にいいとこに見せたいものだが。
 はい、毎度アリ。またのご来店を」

そう言い置いて一礼し、後姿を見送っていく。
夜の露店で交わされた商売の一幕はこれで終い。
とはいえまだまだ夜が終わるには程遠く、人の気配が
なくなるまでその店は路地にあり、何時しか忽然と姿を消しているのだった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/路地裏」からジードさんが去りました。