2017/08/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にジードさんが現れました。
ジード > 貧民地区の中でも一際人気のない地域。一般に特に他の地区の人間の近寄らない場所にその露店は開かれている。
貧民地区からは程近く迷い込んでくる人間も少なからずいる物の大半の人間が好んで入り込まない場所だ。
当然そのような場所に店を開く店主の商う様な薬の需要もある場所であった。

「はい。毎度どうも。使いすぎには気を付けて」

また一人どこか目を血走らせた男性が薬瓶を購入してどこかに去っていく。
店主のむけた忠告が役立てられることはおそらくないだろう後姿を
見送り周辺に視線を走らせるといつの間にか人の気配は消えている。

「盛況過ぎるのも考え物だね。売れる分には嬉しい物だけど」

やけに忙しい時間を切り抜けたと判断し人心地といった風情に息を吐いた。

ジード > 「しかしこの辺は薬の売れ行きは良いんだが他はさっぱりだねえ。
 香辛料なんて高級品買おうって人間がいないのは仕方ないけど恋人に装飾品の一つも送らないのかね」

そういう用途で買われたのをこの近辺では見たことが無い。
娼館の周辺であればよく見かける光景なのだが同じ地区の中でも売れ行きは大きく異なる。
鞄の中から取り出した薬瓶で薄くなった商品の列を埋めてぼやく。
享楽的だという事には人の事は言えないが、客がいないのを良い事に適当な事をのたまっていた。

ジード > 「おや。勿論まだまだアイテルとも、何がご入用かな―ー」

休憩は終わりだと言わんばかりに一時途絶えていた人影がぽつりぽつりと店を訪れ始める。
享楽と快楽を求める物に与える店の夜はまだまだ終わりそうにない。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からジードさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にシュカさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にリュシーさんが現れました。
シュカ > 深夜に近い時間帯でも、貧民地区はこれからが稼ぎ時。
狭い通り故に人通りは多かったが、合法・非合法にかかわらず軒を構えた店は煌々と灯りを灯していたから歩くのに不便はない。
のらりくらりと人の波を縫って歩いているが、アテがあるわけでもないのだろう、
時に店先で足を止めて冷やかし、声をかけてくる娼婦たちとの会話に時間を割くこともあった。

「…ま、居ねぇか」

妖艶な、ただ少々化粧の派手な客引きの娼婦に、ひらり手を振って断って歩み出すと、ぽつりと言葉が零れる。

「奴隷ってのが娼館にいる、てのは安直か、さすがに。
人を探すってのは骨が折れるな…これがギルドの依頼なら、もう少し情報ってのがあるんだが」

貧民地区の通りを歩みながら、どこら辺を歩いているのか、よくわからない。
ただ、娼館が立ち並ぶ場所であることは確かであった。
―――人探し。
ギルドの依頼にはよくあるものだったが、同時に相応の情報もあるから、探す手立てもある。
が、目下己が探すのはそのテのモノでもないし、如何せん情報もない。
名前は知れども、ただ“逃亡奴隷”というだけの情報だ。

やれ、と苦く笑って空を見上げる。幸いにして今宵は月夜。綺麗な星も瞬いている。

リュシー > (貴族のボンボン、であったころのおもな遊び場は、実のところ、
もう少しだけ治安の良い界隈だった。
浅慮な男なりに、カモにされそうなところや本気で危険なところでは、
できる限り、遊ばないようにしていたのだ。

あのころよりもよほど、危険を回避すべき外見になったというのに、
なぜか今宵も、己の姿は貧民地区にあった。
―――しかも、とある娼館の正面玄関から堂々と往来へのご登場である。
そこで働く娼婦と思しき心配顔の若い女性が、すぐ後ろからついてきており)

―――いやいや、もう平気だよ、大丈夫。
ホントに、あんまりご厄介になってもいられないし。

(首輪もなく、またふらふらと一人歩きをしようとする己と、
引き留めようとする女、という構図。
往来を行く人々の目に、どう映るかはわからない。
少なくとも、一般的な客と娼婦、とは見えないだろうけれど)

シュカ > 「…空から降ってくるわけでもないしな」

目を細めて夜空の星を眺めてみたところで、詩が思い浮かぶわけでもないし、いや、そもそもそれがしたいわけでもないし、
探し人がそう運よく降ってくるわけでもない。

ため息ひとつついて、見上げた空から視線を落とすと、少し先にある娼館から人影が二つ。
特に気に留めるわけでもなく、ただ何となしに目を細めてその二人を見ていれば。

「………―――マジすか、おい」

人影の一つ、若い女性は見覚えがなかったが、この辺りの女性だというのは雰囲気や恰好からも解った。
ただ。
もう一つの小柄な影を見るや、思わず驚きに声が零れる。

そして確認。
娼館の建物と彼…なのか、彼女、なのか、兎に角どういう事情かは知らないが、正面から出てきたのは、間違いなく見知った姿。

「おい、おじょーちゃん!…ええと、リュシー!」

歩き出そうとする姿が見えたから、咄嗟に、人通りも多いにもかかわらず、やや声を張って。
周りは、娼婦に声をかける男、とでも思ったのか、その声にこちらへと視線が集まったのは一瞬だけ、
こちらもそれを気にするわけもなく、足早にそちらへと足を向けて。

リュシー > …だから、ほんとに大丈夫だってば。
ほらほら、こぉんなに月も明るいし、まだ人通りもあるし。

(月夜であっても危険がないわけではないし、人通りはむしろ、
あったほうが危険であったりもするのだ、とは、わかっていても知らぬふり。
とにかくいったんはここから出よう、という、それなりに強い意志を露わに、
情の深い彼女を説き伏せようというつもり。
―――――あまり揉めていると、なんだか妙な誤解も生みそうで嫌だった。

己の名を呼ぶ声が聞こえたのは、ちょうど、そんなタイミングである。)

え、―――――… あれ、え?

(振り返れば少し離れたところから、こちらへ歩いてくる男の姿が見えて、
きょとりと丸く見開いた瞳を瞬かせることしばし。
次に浮かぶのはなんとも気の抜けた、屈託のない笑顔であり)

うわあ、シュカじゃん、久しぶりぃ!
どうしたのさ、こんなところで、――― あ。

(思わぬ邂逅にはしゃいだ声をあげたが、ふと、この界隈がどんな場所かを思い出し、
はあん、となにやら納得顔で頷いて。)

……ごめん、野暮なこと聞いちゃったかな。
このへん歩いてる男の「用事」なんて、まぁ、ひとつだよねぇ。

(わかってるわかってる、なんて気安く彼の肩なぞ叩こうとする、
反応は完全にオヤジのそれであった。)