2017/06/27 のログ
マーラ・パーピーヤス > 横を通り過ぎて行く少女、それを追うように視線は向けられて…
その後ろを付いて行こうか?でも、勝手に付いて行ったら怒られそうな…そんな考えがぐるぐる回る。
と、次の行動を決めかねていたところで、気にしてくれたかのように、その少女はこちらへと振り向いた。
掛けてくれた声に、怯えていた表情が、また明るくなる。

「あ…あ、あの、あの、そ、そうなのです…えと、迷子なのです…!」

ぎゅっと胸元で両手を握るようにして、必死に答えている感じに。
諦め掛けていた救いの手、差し伸べられた?それを掴もうとするように。

エンジェル > 「あっそ。」

やはり迷子だった。
それを確認するとくるりとまた前を向いて歩き出す。
暫く歩くと再度振り返り、半眼で背後の少女を眺める。

「何やってんだ、ついて来いよ。」

とりあえずクスリだ。
その後はどうせ店に帰るんだ、表通りまで連れて行ってやってもいい。
育ちのいい嬢ちゃんかよと呟きつつ再度歩き始める。
これでついて来ないようなら知らん、と。

マーラ・パーピーヤス > 「そ、そうなのです…公園…とか、どこか、横になれる場所を、探してたのです、が…」

もじもじと握り合わせる手を動かしながら、本来の目的を伝えてみる。
どこかあれば、教えてくれるかもしれない、そんな考えで。
連れて行ってくれるだろうか、なんて期待も少しはあったが、さすがにそれはおこがましいかな、と。
が、その確認だけをするかのように、少女はすぐにまた前を向いて歩き出してしまう。
その様子に、おろおろとし始めたところで、また少女の視線がこちらに向いた。
続く言葉に、ぶんぶんっと大きく何度も頷いて。

「は、はいなのですっ」

ぱたぱたと小走りに駆け寄ると、歩き始める少女の後ろに。
どこに行くんだろう?といった感じに首を傾げながら、ちょこちょこと後ろを付いて歩く。
考えてみれば、前を歩く少女だって目的があってここを通っているのだから、そこなんだろう。と思いながら。

エンジェル > 「あん?横になれる場所?親はどうしたんだよ。」

背後から聞こえてきた声に振り向かずに問いかける。
いい服着て、いかにも育ちの良さそうな儚げな印象。
どこからどう見てもお嬢様と言った少女の言葉に違和感を覚える。
背後から聞こえてくる足音に時折舌打ちを漏らしながら辿り着いたのはいかにも怪しげな屋台とも呼べない乱雑に荷物が置かれただけの場所。
そこにはほとんど歯のない初老の男がにたぁと笑っていた。
どこからどう見ても怪しい男にも関わらず、少女の無防備に近付き、すれ違いざまにポケットから金貨を取り出し男へと差し出す。
男はその金貨を受け取ると代わりに包みを少女の小さな手に握らせた。
ただ、それだけ。
少女は何もなかったかのように歩き続け、男も変わらずそこでにたぁと笑っているだけ。

マーラ・パーピーヤス > 「はいなのです、その…横になれないと、えっと…寝れないのです。
え、え?親?そ、そんなの居ない、のです、よ…?」

前からの声に、嘘偽りなく答える。そもそも、嘘を付くのはかなり苦手ではあるが。
今日の寝床を探している事、親なんてものは居ない事。
親に関しては、魔王という存在として生まれ出た頃から、元々そんなものは居ないのだ。

後ろから、自分は少女の後ろを付いて行くだけ。
だが、付いて行っている少女と前にいた老人の通り抜け際の妙な動きに、また首を傾げる。
なにせ、今の自分にとっては前を歩く少女がこの状況を抜け出す為のすべて、目を離してなかったからだ。
なのだけど、さすがに何をやり取りしたのかまでは分からない。
分かったのは、何かをやり取りをしていた事だけである。
それでも、だからといって聞いてしまうのも悪いかな、と思い大人しく付いて行くのであった。

エンジェル > 「あん?そんななりして親なしか?嘘だろ?」

暫く歩き店から離れると少女へと振り返り、受け取った包みを開く。
中には更に小さな包みがいくつか入っていて、そのひとつを開き、とんとんとんとパイプの先端へと何かを注ぎ込む。

「ああ、近くにいないってことか。」

旅行か何かか。
なるほど、それならこんな場所に迷い込んでしまったのも納得する。
ポケットから魔法石を取り出すとパイプに火を入れ、ぷかぁと紫煙をくゆらせる。

「ふぅぅぅ~……。」

大きく息を吐くと紫煙が少女へと纏わりつく。
少女は先程までの不機嫌そうな表情ではなく、口元ににへっと笑みを浮かべている。

マーラ・パーピーヤス > 「…?あ、えと…?ほ、本当に、居ないのですが…う、嘘じゃないのですよ?」

この身なりでどうして親が居ないのが嘘になるのか、理解してなさそうな、きょとんとした表情。
少し距離を歩いて足を止めたならば、自分も同じように止まるだろう。
振り返れば、その手には包み。
それを開けば、少女は手にしていたパイプへとそれを注いでいる。
不思議そうに、その様子をじーっと見詰めていた。

「近く…?…あ、その、えと…わ、私はですね、その…ひ、一人…なのです、が…」

なにやら納得したような様子と、言葉。
その言葉から、何となく勘違いをしているのを感じ取ったのだが…
それを、はっきりと強く指摘出来ない性格。
なるべく少女の気分を害さないように、そんな気を遣っている感じに、恐る恐ると上目使いで見上げながら、伝えた。
伝えた後も、何だか申し訳無さそうな雰囲気を醸し出しているだろう。

そんな中、目の前でパイプを吹かし始める少女に、少し考える仕草。
考えている事なんて、容易に想像は出来るかもしれない。
自分の身丈が人間の年齢としてどれくらいかは分かっている、そんな年齢でこういうものは吸うものだったっけ?と。
人間の事は詳しくは知らないが、この年齢でしているのは見た事が無かった気がする。

エンジェル > 「一人だぁ?ふぅん。じゃあ、なんでそんないい服着てんだ?」

あくまでひとりだと主張する少女へと呆れたような表情を向ける。
ぷかぷかと煙を吹かしつつ、少女の足の先から頭の天辺までじろじろと眺める。

「ああ、そうか。お前もコレか?」

パイプを咥えたまま、嬉しそうに笑みを浮かべると左手の親指と人差し指で輪を作り、その中に右手の人差し指を抜き差しして見せる。

マーラ・パーピーヤス > 「そう、なのです…?いい、服なのですか、これが…?
え、えっと…よく分からないのですが、その、私、昔から、ずっとこれだったので…」

少女の言葉に、ひょいと服を摘んで聞いてみる。その表情は、どう見ても嘘を付いているとは思えないだろう。
つまり、今着ている服以外は知らないのだ、と。
向けられる視線には、ちょっと擽ったそうな、そんな照れた様子。

「これ…?」

少女が見せる、その指の形の意味は理解してないらしいか。
じっとそれを見て、こんな感じ?みたいに、自分も同じように指で輪を作って指を抜き差ししてみた。
やってみたけど、やっぱり分からなさそうだ。

エンジェル > 「そっかそっか。ご同業か。仲良くしようぜ。吸うか?」

どうやら自分と同じように身体を売っているのだと勘違いした少女は、にへっと笑みを浮かべたまま、咥えていたパイプを相手へと差し出す。
吸えば気分が落ち着きゆったりとした幸福感に満たされるダウナー系のクスリ、結構上物だ。
もっとも環境な体調に寄っては死にたくなるほど気分が沈んでしまうが。

「昨日も変態に当たってな。まあ、あたしら買う奴は大概変態しかいないけどな。で、お前どこの店よ?」

少女を大通りへと案内することも忘れ、壁に背中を預けて話し込む。

マーラ・パーピーヤス > 「え、えと、ごどうぎょう…?あ、その、わ、私、そういうのは、あんまり、その…効かない、ので…す、すいませんなのです」

ごどうぎょう…ご同業?まじまじと、少女を見てしまう。
こちらも勘違いをしたか、少女から大層な魔力も感じない事に首を傾げ…相当魔力を隠すのが上手な魔王様?と思ってしまい。
そして、差し出されたパイプには、申し訳無さそうに答える。
詳しくは分からないが、心に作用する何かであるのは感じ取れるから…そして、それは自分には効果が余り無い。
でも、少女が笑みを浮かべれば、こちらも合わせて、にへら、と笑うのだった。

「え、へ、変態に、当たる?…買う?…店?
わ、私、そういうのは、無い…のです、けど…」

分かった言葉は、最初の変態という言葉の意味だけ。
当たる、買う、店、これについてはほぼ細かくは分かってない。
それゆえの答えなのだが、受け取り方次第では、そういった行為を商売でなくさせられているように聞こえるかもしれないか。

エンジェル > 「ふぅん。」

よくわからないが吸いたくはないらしい。
まあ、無理強いするものでもなしと再度パイプを咥え煙をくゆらせる。

「あー、流しか。その年で流しはキツいだろ?うち来るか?顔は悪くねーし、婆に紹介してやるよ。それなりに出来るんだろ?」

完全に娼婦と思い込んだ少女は先程までのぶっきらぼうな態度も忘れ、笑顔を浮かべて手を差し伸べる。
それなりに採用基準は厳しいが、まあ、最悪下働きくらいはさせてくれんだろ、と楽観視。

マーラ・パーピーヤス > そういったものが、効果ある人には良いものなのだろう、そんな感覚。
だから、勧めてくれたんだろうと思うだけに、自分の体質が少々恨めしい。
それが理解出来たなら、受け入れられたのだろうから…受け入れて、良いものでもないのだが。

「な、流し…?あ、え、え、家、なのですか?…な、なんだか悪い気が、する、のですが…
えと…よ、よく分からないのですが、その…が、頑張り、ます…?」

別にそういった行為が実際に出来ない訳ではないし、行きずりにした事もあれば、無理矢理にされた事もある。
経験だけならば、間違いなく少女よりは多いのだが…商売となると、それは別だ。
娼婦としての場所を紹介されたのだが、少女の家に案内して貰えるのだと、お互いに勘違い。
家の人に紹介までして貰えるとか、温かい家庭なんだろうか?何て思ってしまっている始末。
それなりに出来るのか?の問いは、きっと家の手伝いだろう、なんて感じだ。
色んな勘違いが交じり合う中、差し伸べられる少女の手。
おずおずと、伸ばす手でその手を取った。

エンジェル > 「気にすんな、あたしらの仕事はお互い助けあわねーとな。あたしはエンジェル。婆が付けたふざけた名前だが、まあ、本当の名前はわかんねーしな。」

お前は?と少女の手を引きながら歩き出す。
店には年上の娼婦か、同じ年くらいでも下働きの娘しかいない。
同じ年くらいで身体を売っているとなれば新規感が湧くも道理。
路地を抜けると大通りへと出る前に眼鏡を外しパイプを仕舞い、にっこーと無邪気な笑顔を作る。
常連に会っても不審がられない店での笑顔。
そのまま、大通りを歩き、いくつもの娼館が立ち並ぶ娼館通りへと。

「おばーちゃんはぁ、こわいけどやさしーからあんしんしていいよ♡」

仕事モードの舌っ足らずな甘えるような声。
先程までと逆に年よりもさらに幼く見える仕草で少女の手を引き歩く。
『天国への階段』と看板が出ている高級娼館と入ると主の老婆へと事情を話す。
目付きの鋭い老婆はじろりと琥珀の少女を眺め、『とりあえず下働きからだ。出て行きたかったらいつでも出ていきな』とぶっきらぼうに言い放つ。

「じゃあ、えんじぇるよやくはいってるから、またあとでねー♪」

少女の手を離すと満面の笑顔で手を振って奥へと消えていく。

最低限の礼儀と技術を身に付ければ客を取らせてもらえるだろうし、店の名に恥じないだけの力をつければ金髪の少女のように高級娼婦として扱って貰えるだろう。
下働きのままでもいいし、好きに出ていってもいい。
ぶっきらぼうな老婆に変わって娼婦のひとりが琥珀の少女へと説明した。
果たして少女が選ぶ道はどのようなものだっただろうか。

マーラ・パーピーヤス > 「な、なるほどなのです…えと、エンジェル様、なのですね?
あ、あの、私は…その…マーラ…マーラ、パーピーヤス、と言いますのです…」

少女の名を聞けば、自分だけ聞いて悪いと言うのもあるし、こちらの名前も…教え難くはあるも、教えておいた。
もし、少女が勤める娼館に魔族が隠れ働いているなら、正体が気付かれるかも知れないというのに。
それでも、自分には、何となくこの少女にはそこまで誤魔化したりはしたくはない、なんて思い始めている。
続いて路地に出るも、少女の変化に一瞬だけ戸惑うが…色々と芸を持った魔王様?と、思っているのだ、素直に感心しよう。
そうして、少女の案内の下、娼館通りを抜け、少女の目的地へ。

「は、はいなのです…?こ、怖いのですか…!?あ、あう…」

手を引かれながら、少女の言葉の一端に、びくっと反応してしまう。
どうしても、恐怖を感じる事は苦手なのだ。
少女の働く高級娼館に着けば、色々と少女と老婆は話し合う。
老婆が向ける視線には、少々怯えた風に肩は竦めるが、こくこくと頷いてしまった。
もう、これは癖のようなものであるが、この時点で先の道は決まってしまったかもしれない。

「あ、は、はいですっ…!」

笑顔を浮かべ、奥へと消える少女に手を振って応える。

最低限の礼儀に関しては、様々な魔王の領地に寄っている少女はそれなりに出来る。
技術は、今まで受けさせられてきた数々の行為が経験となっていた。
下働きとしても、泊まってきた魔王の邸宅で自発的に手伝い等をしていた為、しっかりと働く事はできる。
基礎基本は出来ている、後は度胸だけなのだが、引っ掛かるとしたらそれの克服ぐらいだろう。
さて、この少女が実際に娼婦として客を取ったり店先に立つ日が来るのか…それはまた、後の話である。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区裏通り」からエンジェルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区裏通り」からマーラ・パーピーヤスさんが去りました。