2017/05/26 のログ
クロエ > 「大事にしてるよ。そうじゃないと、ボクの心が辛いからね。
 性分である以上、裏切れない。弱っちくても譲れないものはあるんだ」

目の前の男は、余裕に足るだけの力を持っているのだろう。
それを超える作戦は一つ――瞬間最大火力で勝る。それ以外にはありえない。
総量が違うから持久戦など以ての外。手の内を見せることになれば真綿で首を絞められるようなもの。
真面目な自己犠牲と、勝利を狙う貪欲さ。その双方が混ぜ合わさって、少女の覇気は生み出される。

「全く、慇懃無礼も良い所だね。嫌いじゃないけど、せめて一太刀は入れたいかな。
 じゃないと、流石に騎士としての自信がなくなるし、虚仮にされたままっていうのもね」

全力への準備は、甘い快楽との根競べだ。淫具の刺激を堪えるだけで、無意識に体力を削がれていく。
それでも、負けるならばせめて一撃、あわよくば勝てればそれでよい、と自身の最高点を想像する。

「……生憎と、授かった魔剣以外は自分の力で生きたい主義なんだ。
 救いを求める可能性は否定しないけど、少なくとも今ではないね。
 それとも、ボクが救いを求めるまで壊してみる?負けたら、望んであげてもいいけど」

余裕すぎる相手には、やや自信を厚塗りした言葉で返す。
当然の如くから元気、張子の虎だが、その位に負けん気は強い。
氷剣の雨が降り注ぎ、多量の硝子が砕け散るような、破音の連鎖が巻き起こる。
男がそれを切り抜けることは予想しており、飛び込んだ先に反撃が来ることも想定済み。
しかし、少女は回避する素振りを見せずに、右手に強引に魔力を通す。

「……ひ、んぅうっ♪……ま、だっ!行くよ、レーヴァテインッ――!」

男の拳を食らいながら振り抜くのは、先程までの冷気から一転、全てを焦がし焼き切る炎熱。
先の男が口にした、血という言葉から連想した、不死者殺しの太陽を模した一撃だ。
男がどう切り抜けるかなどは考えない。ただ一撃、通ればよいと横薙ぎに。
振り抜きながら、同時に腹部に受ける衝撃。動作の勢いでわずかにずれた衝撃は、下腹部――子宮にめり込み、衝撃が背中に抜ける。

「――あ、ぐぅっ!?か、ふ、ぁ、ぁ、ぁあぁっ♪」

衝突と同時に、今まで故意に堪えていた快楽が爆ぜ、少女の体が大きく震える。
子宮への衝撃と共に漏れ出る甘い声は、殴打の衝撃で絶頂を得たのかと勘違いさせるもの。
僅かに吹き飛ばされて、左手を腹部に添えた少女は苦悶しながら、しかし同時に悦楽に浸る。
或いは、本当に子宮を撃ち抜かれて絶頂したのかもしれないが、真実を知る者は誰もいなかった。

ロレンス > 「本当にそうかな? 君みたいなタイプは、誰が為に我が身を犠牲にして…最後に救いが残ればいいけど、ここじゃ残らないなんて、よくあることだよ」

真面目な性格は、やはり今まで出会ってきた真っ当な姫騎士が口ずさむ高貴な言葉だ。
そして、気づけば廃人にされてしまっているのも幾度見たことか。
窮地において己を鼓舞する様に、困ったように苦笑いを浮かべながら様子を見やっていた。

「知ってる、君みたいな娘は只管に一人でも、正しい道を、己の力で歩こうとするからね…だけど、知ってて君にいうのは、それが君を滅ぼすからなんだよ?」

時間を重ね過ぎて、彼女が望む未来がとても脆いことも知っていた。
だから悲しげに呟いたのも、甘い声の不意打ちで消えていくのだろう。
どうにか氷を打ち払ったところで、ガンッ!と掌で冷気の剣の柄を打ち付ければ、腕に衝撃が走り、多少のダメージとともに攻撃を鈍らせる。
それでもなお反撃を放った彼女に、少しばかり目を見開いた。
至近距離での冷気と熱気が交差することの危険性を知っているがゆえに、最適な守りが取れないと悟ったからである。
故に、鳩尾を狙った柄頭は、確実に突き放すために少々力が強めになっていく。

「……やれやれ、君はどこまで私の過去を辿ればいいのやら」

苦悶の声から一気に溢れる甘ったるい悲鳴、それに何となく察しが付いたのだろう。
先程の甘い悲鳴も、恐らく彼女を蝕む何かのせいだと。
呆れたように小さく溜息を溢しながら、剣から手を話すと、足元に生まれた魔法陣に飲み込まれて消えていく。
赤く染まった瞳は、魔力を抑えながら紺色に染まり、コツコツと足音を響かせながらゆっくりと彼女に近づく。

「見せてごらん? 私になら出来ることがあるかもしれないからね」

彼女のそばに近づけば、視線を合わせるように少しかがんで見せる。
バランスの悪い体勢と距離の近さは、彼女が攻撃しようと思えばし易い位置でもある。
完全に戦闘状態を解除した相手を切るかどうかは、彼女次第となるが、委ねながらに苦笑いで見つめる。

クロエ > 「そういう生き様も、有ったっていいじゃないか。勿論、そんなに甘くないって知ってるさ。
 だからと言って、ここで今までの生き方を捨てたら、その先はボクじゃなく生きることになる。
 残らないならそれでいい。最初から救いなんか求めちゃいないわけだし――」

最初から最後まで、自分の望むままに生きて死ぬ。
たとえそれが流星のように燃え尽きる生でも、構わないと少女は告げる。
それ以外に少女の望むものはない。無論、ただ易々と死ぬ気もないが。

「ん、忠告はありがたいけど、それを飲むかはボク次第だ。
 だから、気持ちだけ受け取っておくよ。それと、できる限り滅びないように頑張ってはみる、かな」

全く、敵のようでいて、言葉は真実味を帯びた労りだから性質が悪い。
冷気と熱気の一撃はやはり男にとっても脅威だったらしく、反撃に力が籠る。
その分強めに吹き飛ばされた少女は、立ち上がろうにも足が震えて力が入らなかった。
なにせ、溜めに溜め込んだ快楽を爆発させた絶頂だ。弛緩の余韻も生半可ではない。

「か、ひゅっ……剣を、仕舞うんだね……それなら、鞘に、納めるしかない、か。
 ――今の勝負が引き分けでいいなら、ドレスの裾、捲りあげれば原因はわかるよ」

あくまで勝負に拘りながらも、しかし剣を収められてしまえば、無防備な相手を切る剣は持たない。
それが少女の騎士道であり、騙されたならその時は、己の不徳として受け入れることにしていた。
男がスカートを捲るならば、激しい振動で陰核を責め立てる金のリングが見えるだろう。
魔法の心得があるならば、それが魔力に反応して振動する、魔術師や魔剣士殺しの逸品だと直ぐに看破も出来るはず。
それは特定の文言か苛烈な凌辱を受けない限りは外れない、強力な呪いがこもったマジックアイテムだった。
今は魔剣に注ぐ魔力も尽きて、振動は徐々に緩やかに大人しくなり、やがて完全に制止する。
しかし責め立てられた陰核は、ぷっくりと屹立して、肉真珠の威容を見せつけていた。

ロレンス > 「全く……どうして数年に一度は君みたいな娘が生まれ落ちるんだろうね? 神様も酷いものだよ」

例え真実と現実を伝えても、なりふり構わぬといった様子に困り果てていく。
唯一、救いを与えられたかもしれない存在には…こうなる前に会えたから良かったものだと、引き合わせの悪さに小さく溜息を零す。

「勝負付いたからね、駄目だよ、私の勝ちだ。ただし…君にとっても悪くない扱いをするから、大人しくしてくれると助かるかな。これ以上気に入った娘に手は上げたくないからね」

彼女の自身を言い聞かせるような申し出には一つだけ従わず、自分の勝ちだと満面の笑みで告げる辺りは魔族らしい少々卑怯な一面と見えるかもしれない。
そして、スカートの裾を掴み、ゆっくりとめくり上げていけば、そこに肉芽に嵌められた金色のリングにピクリと眉が跳ねる。
ちょっと失礼と一言告げてから指を伸ばせば、リングの縁を撫でつつ、感じる気配からそれがどんなものかを確かめていく。

「……大したものだよ、こんなの付けられたら、普通の生活すらままならないのに。凄い娘だ」

贄姫として抱える少女の中に似たようなものを付けさせたことはあれど、戦う事が滅多に無く、その際は無効化されるからいいが…これは少女を滅ぼすものだ。
眉をひそめつつ静かに呟けば、スカートの裾から手を離し、よしよしとその銀髪を優しく撫でようとする。
それこそ子供をあやすようにゆったりとした動きで。

「さてと…じゃあ戦利品をゆっくりと頂くとするかな? 君は血と契約を捧げる、私は君に…何か出来ることをしよう。報酬はお互いになら悪くないだろう?」

そう告げれば、その細身を横抱きに抱えあげようと膝の裏へ腕を通そうとしていく。
先程まで刃を交えていたとは思えぬような振る舞いをしつつ、裏路地から連れ去っていき…後に起きることはまた夜の闇に消えるのだろう。

クロエ > 「さて、なんでかはしらないけど……って、なんで!?ボクまだ戦えるけど剣収めたから切れないってだけなのにっ!
 ずるい!反則!卑怯だっ!……でもまぁ、これ以上やればもっと手酷く負けるから、抵抗はしないけど、さ」

最大の一撃で仕留められなかったのだから、これ以上やっても意味はない。
一応切り札も存在するが、それを放てば自分の体がどうなるかわからないのだから。
――とはいえ、命の危険というわけではなく、当分リングの振動が収まらなくなって、絶頂地獄に落とされるだけ、とも言える。
リングの検分を済ませた男は、少女の頭を優しく撫でる。
敵対していたはずなのに、それで大人しく甘んじてしまうのだから少女も甘い。
抱き上げられた腕の中、諦めはついているから大人しく。

「血はいいけど、契約は、その、何されるかわからないから、うぇーって感じだよ!?
 それじゃ、せいぜい困らせるお願い事を考えておくよ。絶対に、苦虫噛み潰したような顔にさせてやるんだから」

負け惜しみを言いながら、素直に二人、闇に消える。
その後起こった出来事は、きっと後日綴られるのだろう――。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 娼婦街」からクロエさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 娼婦街」からロレンスさんが去りました。