2017/01/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 闇通り」にクラーラさんが現れました。
クラーラ > 訪れたのは、貧民地区でも飛び切り危険とされる場所。
バフートに引けとも劣らぬ、きな臭いものが売られていたり、悪党が潜んでいたりする王都の闇。
故に闇通りなどと呼ばれているそこへ、一際目立つ真っ白な騎士服で歩く女が一人。
月夜の明かりも差さぬここでは、カンテラの明かりが一番の光源となる。
暗い夜道の奥へ奥へと進んでいくも、行く宛などはない。

(「釣れれば幸いだけど……」)

副官の呪いを解くための方法として浮かべたのは二つ。
一つは掛けた魔族をとっ捕まえて、解除の方法を身体を刺し身にしてやってでも吐かせること。
もう一つは、呪いを断ち切る魔剣か、自身の魔剣に同様の力があるとすれば、それを覚醒させること。
後者は、まだ情報がないため、今できることとして前者の手段を選んでここへ来たのだ。
ここは魔族が現れたという証言もあり、遭遇できる率は高かろうと、己が身を餌に術の主を探し回る。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 闇通り」にアリウムさんが現れました。
アリウム > (貧民地区の暗がり。
たとえ、そこを通るのが貴族の令嬢で当たっとしても、たった一人で歩くのは危険極まりない。
右を向けば、まるで野獣のような瞳を持つ圧巻が虎視眈々と、その体を貪ろうと目を光らせている。
左を向けば、まるでこの世の終わりとも言えるような眼をした老人が、襤褸をまとい蹲る。

そこに、やたら場違いの白いタキシードを着た赤い髪のアリウムがいた。
傍らにはミレー族と思わしき、猫耳をはやした少女を従えている。
ミレー族の少女は、服を身にまとわずどこか瞳に光はなかった。
股間からは愛液と思わしき液体を垂らしながら、よろよろとアリウムの後ろを歩いている。)

「…どうしたのかな、まさかもう疲れてしまったのかな?」

(ふらりと倒れそうになったミレー族の少女の腕を、アリウムはつかんだ。
ぎりぎり、ぎりぎりと。二の腕がつぶれそうになるまで。
痛み、苦痛。そんなものを感じているのは明白なのに。
ミレー族の少女の顔は、どこか光悦に歪んでいた。

愛液の量が増し、太ももから膝まで垂れていく。
嬌声じみた悲鳴を上げながら、片腕でアリウムにつるされていく。
その胸元にはうっすらと光る、陣のようなものが刻まれている。)

「まったく……仕方がないな。
本当に最近の奴隷は、すぐダメになってしまう…。」

(アリウムは、ミレー族の腕を離す。
膝を崩し、倒れこむミレー族の背中を踏みつけ、穏やかに笑って見下す。
そして、そのわき腹を容赦なく、蹴り上げる。
それが、クラーラのカンテラの明かりが届く範囲で見える光景だった。)

クラーラ > 自分の姿を見つけて犯そうと近づく輩もいたが、剣の射程範囲に踏み込まれた瞬間に、かちりと鍔が鞘口から離れる音を響かせれば、それ以上追いかけられることもない。
そう安々と辱めを受けるような事がないからこそ、ここを歩ける。
小さくため息を溢しながらあるき続けると、向かいに見える人影に、視線が向かう。

「……っ」

ミレー族の少女を玩具にする男の様子に息を呑む。
既に少女は壊れた瞳を見せ、快楽に溺れた証拠と蜜を滴らせて甘い悲鳴を上げる。
痛みにすら喘ぐのは、最早痛みと快楽の違いすら分からないほど壊された証拠だろうか。
酷い、ただその一言だけが心の中に浮かびながらも、表情は変わらぬ涼やかなものではあったが、眉がヒクリと不機嫌に跳ねた。

(「……ほんと、クズの掃き溜め」)

世のためにそこの屑を切り捨てて行こうかとすら思うも、今は目的を果たさないとならない。
そのまま近づいていきながら、少女を一瞥すると、男の方へと視線を向ける。

「ほんと、最低……」

独り言のようにぼやきながら、彼の横をすり抜けようとするだろう。

アリウム > (暗がりにいる男たちは皆、小心者だった。
少しでも威嚇されれば、まるで蛇に睨まれた蛙のようにしり込みしてしまう。
強さへの自信、それがあるものはこの暗黒街を何も不自由なく歩けるだろう。

アリウムは、目の前から歩いてくるクラーラに気づいた。
腕をへし折られ、内臓すらも痛めつけられて血を吐き出し、それでも快楽に沈むミレー族の少女。
奴隷であるから、玩具であるからここまでの仕打ちもできるというものだった。
優しげな表情、それを浮かべながら足を振り上げ、そしてミレー族の少女の足へと振り下ろす。
べきり、という嫌な音と、ミレー族の悲鳴が響き渡った。)

「………ふふっ。」

(その悲鳴を聞きながらも、アリウムはその微笑みを崩さなかった。
それはその悲鳴に満足しているのか、はたまた横を通り過ぎる際の、クラーラのぼやきが聞こえたからか。
足を離し、ミレー族の頭を持ち上げる。
快楽にけいれんを起こし、喘ぎのような吐息を漏らすミレー族。
其れから目を離し、横を通り過ぎようとしたクラーラへの言葉か、それとも。
どこに投げたのかもわからないような、彼のつぶやき。)

「その最低な人物を見過ごす騎士さまも、最低だよ…。」

(くすくす、くすくす。
楽しそうで、そして何より滑稽だと見下すような笑みが、こぼれた。)

クラーラ > 骨が折れ、吐血するほどの内部の損傷があっても喘ぐ様は、普通なら狂ってるというところだろう。
けれど、それが玩具にされて、自身を見失っているのなら別。

「……っ」

小枝でも踏み抜くように足の太い骨が折られていく。
あふれる悲鳴に哀れだと思いながらも、自身がしてあげられることが今はない。
だから通り過ぎようと、そう思ったときだった。

「……馬鹿ね、その娘、殺してほしいの?」

彼を切り捨てれば、これからすることの障害になりかねない。
構っても、権力に溺れたクズ共がこちらの言葉を真面目に聞き入れることがないのも知っている。
もう人として戻れないほど壊れてしまった少女に出来ることと言えば、苦しみなく一瞬にして葬ることぐらい。
どれもが現実的でない答えしかない、淡々と言葉を叩き返しながら振り返る。
澄まし顔は、冷ややかに彼を見やり、まるで汚物でも見ているかのように軽蔑の視線が刺さるはず。

アリウム > (悲鳴というのは、少し語弊があるだろう。
クラーラが聞いたその声は、悲鳴という名前の絶頂だった。
骨を折られる、その行動ですらも少女にはすでに快楽でしかないのだ。
胸に刻まれている陣が、すべてのそれを象徴している。)

「ン、殺してほしい……?」

(侮蔑の表情、それを見てもアリウムは、ただ首をかしげるだけだった。
殺してほしいのかと尋ねてくる、その意図を理解できないというような表情。
微笑みを崩さず、骨を折られて頭をつるされているミレー族。
アリウムは、それを盾にするようにクラーラの前に突き出す。)

「そうだね、キミが殺してあげたほうがいいというなら、好きにすると良い。
やって見せてほしいな、キミが一体どのようにしてこの娘を殺すのか。
ああ、安心してくれ…彼女は死すらも極上の快楽になる。
何の罪もないミレー族の少女を殺して、キミの心が痛まないならやってしまってくれ。」

(何も気にしないというように、アリウムは平然と言ってのけた。
殺してほしいのかと聞かれても、アリウムの答えはただ一つ。どっちでもいい、だ。
ここでミレー族の少女を殺されたとしても、アリウムは気にも留めない。
ただ、玩具が一つ減る、それだけだ。)

クラーラ > 何やら胸元に見える陣が少女を狂わせている源の様だ。
問いかけた言葉に、小さな身体とは言え、頭を掴んで吊るせるほどの力は貴族やら王族と言うよりは、軍属か傭兵くずれの何かかとも思えた。

「……そう、ただ貴方は何も楽しくならない。その娘も、快楽なんて感じないけど」

剣の柄に手を掛け、引き抜く。
紫電が刀身を走り、雷の力が身体に充填されていくと、それを魔力と混合させた。
すっと指差した先は、少女の胸元。
ドォンッ!!と、落雷を思わせる放電音と共に指先から大気を無理矢理貫く電流がほとばしり、少女の体を貫く。
特に耐性がなければ、常人ならば何も感じる間もなくショック死する強烈な電流が彼女を死に至らしめるだろう。
痛みも、死も認識することもない、彼が与える苦しみから開放するだけの安らかな死を少女に与えんと。

(「……神様、もしいるなら…来世は幸せに生きれる命をあげて」)

本当ならこんな死を与える必要なんてないのに、そうさせた彼と世界に憤りを覚える。
それすらも嘲笑いそうな彼に、そんなものを察知されるのが癪だからと、表情はずっと変わらない涼やかなものだった。

アリウム > 「………フフッ。」

(躊躇も何もない、魔力の奔流だった。
引き抜かれた刀身から迸る電撃が、何の躊躇もなくミレー族の少女を貫いた。
ほんの一瞬の出来事、雷撃に貫かれた少女は強いけいれんを引き起こした。

痛みも何もない、そんなものはただのまやかしにしか過ぎない。
一瞬の硬直の後、ミレー族の少女は股間から盛大に愛液を噴出した。
死という事実そのものが、意識をさせなくても体に叩き込まれるのだ。
激しい快感、そして絶頂を経てミレー族の少女は、短い生涯を閉じた。
目の前にいた、クラーラの手で。

ぷすぷすと、焦げ臭いにおいが立ち込める。
体を焼かれたミレー族、その死骸をアリウムは壁へと投げ捨てる。
もう用はない、そんな笑みすらもこぼしながら。)

「…平然とやってのけてしまうんだね。
驚いたな、こともあろうに正義を貫く騎士様ともあろう人が、こんなにも躊躇なく。
奴隷という身分とは言え、つい先ほどまで意識のあった彼女を…あははっ。」

(楽しくならない、そんなことは全くなかった。
楽しくてしょうがない、そんな表情をしていた。)

クラーラ > 放たれた電流は一瞬の破壊力だけを持ち、少女を貫く。
本来であれば、電流による失神から痛覚と電流による機能不全を起こし、認識ができぬままに死ぬ耐える方法だが、認識外の情報を少女が受け止めていた。
それに少しばかり驚いた様子が見えるものの、おそらくはあの印の影響だろうと思い、じろりと彼を見やる。
身体に残したのは、電流が貫き、皮膚を淡く焼いたとても小さな黒い一点のみ。
壁へと投げ捨てるなら、自身の体に瞬時に電流を宿し、反応速度と、身体の俊敏性を強化し、壁にぶつかる前に受け止めるだろう。

「…私はただの指南役、軍属でもちょっと違う。それに、踏みにじられて壊れながら生きる方が苦しい」

届いたなら抱えたまま、彼に淡々と紡ぎながら視線を向け続ける。
こんなことを楽しめる辺り、余程捻くれた中身をしているのだろうと思うと、掃き溜めに相応しい輩と出会ったものだと思う。

アリウム > (ミレー族は軽く投げた程度だ。
胸に現れる、黒点のような痕が電撃を通った其れだろう。
本当に鋭く、強い魔力でもってあのミレー族を屠ったのであれば、なんとも。

陣はただ、ミレー族の少女の痛みをすべて快楽に置き換えてしまうだけのもの。
防衛本能で、彼女がただそれを受け入れただけに過ぎないのだ。
もっとも、人間と同レベルの弱い心しか持てないのであれば、それを壊れたというのならばある意味正しいかもしれない。)

「踏みにじられて…?なるほど、キミはその少女を踏みにじっているように見えたのか。
ふふっ、それは違う。その子は、踏みにじられることで幸せを感じていたんだよ。」

(クラーラの主観でいえば、確かに彼女は踏みにじられていたのかもしれない。
壊され、そして快楽を享受してそれを喜びに変えている、壊れた人形。
だが、今まさに死に追いやった少女は、それを幸せと感じていたのではないだろうか。
そこに幸せを見出したならば、それを一概に壊れた、などというべきではないと、アリウムは思う。)

「キミの主観で、彼女の幸せを否定するのは、とても愚かだと思わないかい?
幸せは千差万別、キミの主観を押し付けてそれを否定するべきではない、違うかい?」

クラーラ > 「……そう細工をしたのも、仕向けたのも、貴方」

死ぬ瞬間にすら快楽を感じてしまっていたのは、彼の言う通り、それしか幸福をわからなくなっていたのだろう。
ただ、それでは生きた人形と大差ないと思える。
ならばそう仕向けた根源、彼がしたことだと変わらぬ様子で答えれば、続く言葉に小さくため息をこぼす。

「元が破綻してる、その娘が健常でなくしたのが貴方なら、貴方が引き起こしたこと。その娘が本当に望んだ幸せとか、貴方が分かるはずがない。その娘が何が好きで、何を見て、何をして、どう生きてきたか。それぐらい知らないと、その娘の幸せなんて、貴方が分かるはずがない。仮に貴方がそれを語っても、それを正しいといえることなんて、何一つない。私がしたのは、今見えた狂気から解いただけ」

幾らでも予測すれば、腕の中で死に絶えた少女の背景は浮かんだことだろう。
けれど、それを全て見れるとは限らない。
見えている苦しみから解くことが、今見える最適解と選んだに過ぎない。
自身にも覚えのある陵辱の苦しみや、死に絶えた少女の苦しみなど、この男は意に介さないのだろう。
自身の中で、ただ笑うこの男に関わることに、価値を感じられず、冷たい表情も変わらない。

「…気は済んだ? 気が済んだなら…この子を弔ってくるから」

確かめるように問いかけながら、ゆっくりと首を傾けると、金糸がさらりと揺れた。

アリウム > 「なるほど、それは確かに正論かもしれないね。」

(そう仕向けたのがアリウムならば、それが本当に彼女の幸せかどうかはわからない。
そのことは確かに正論だ。しかし、仮にだが。
そのミレー族の少女が本当にそれを望まなかったのかどうか、其れすらわからないならば。
クラーラが狂気から逃がすため、というのもどこか自分に都合のいい言葉のようにも思える。
それがとても滑稽に思えて、余計に笑みがこぼれる。)

「でも、その陣を組んだのは、残念ながらボクじゃない。
確かに、ボクはそういう力を使えるのは否定しないけどね。
そして、安直に死という答えに行きつくキミもまた、狂気に染まりかけていると、ボクは確信するよ。」

(クス、と笑みを浮かべる。人殺しはみんな、狂っている。
気が済んだならばもう行く、という趣旨の言葉を並べるならば、アリウムはそれを見送るだろう。)

「ああ、行くと良い。…ボクは少し城に用事があるのを思い出したよ。
玩具を補充しないとね…、何と言ったかな、あの女子…。
療養中なんだってね、だったら君のいう細工をするのは、とっても簡単だからね…ふふ。」

(アリウムはあっさりと背中を向けた。)

クラーラ > 「……」

正論と言いながら彼は笑う。
こういう類は、ただ何かにつけて人を嘲笑うことばかり考えているように感じる。
違うにしても、深くは知りたくない。
どうせ王城で腐る王族や貴族と同じような、暇に歪んだ感性からくる楽しみでしか、欲を満たせないのだろうから。
静かな苛立ちが、鉄のように表情を固く留めていく。

「……そうかもね」

自我を崩されるほどに心を踏みにじられてからか、死に対して恐怖を覚えなくなっているのに、彼の言葉で気づく。
屈辱よりも死を、人らしさを失ってまで生きたくないと壊れゆく中に願った一瞬が脳裏を過り、顔を僅かにしかめて緩く頭を振った。
先程の言葉、彼以外が仕組んだ術ということであれば副官の術もと思うも、少女のような印は見当たらない。
そうすると別の誰かかと思い、立ち去ろうとした時だった。

「……」

意味深な言葉に重なるキーワード、今は師団の駐屯地を点々としているだろうが、城もその一つに数えられなくもない。
女子、療養、それが副官を指し示していることだろうか。
そう思うと足が止まり、その場を離れなくなる。

(「確かめる…? いや、それだと…バレるかもしれない。それは駄目、一番最悪」)

これ以上狂わないためにと隔離した意味がなくなる、それに下手な手を加えられれば一層面倒にもなる。
どうすればよいか、即答しきれぬ曖昧な現状では彼の背中を見やることしか出来ない。

アリウム > (暗黒街を、アリウムは歩いていく。
かつて狂い、壊れたことで死による救済を与えるようになったならば。
それはとても、安直で単純な思考だと、笑わざるを得ない。
足掻こうとしているものがいるというのに、あっさりと死という救済を与える。
それは神による愚行、死神の所業だ。)

「……………。」

(足音が聞こえなくなるまで、アリウムはゆっくりと歩いていく。
クラーラがどこで何をしようと、もはや興味はない。
何を目的として、ここに来たのかは知る由もない。

だから、アリウムはただ自分の考えだけで行動していこう。
それが、彼女にとってどんな結末になるのかは――。
今はただ、この場は静かに去っていく。)

「次の隠れ家は……富裕地区三番街、葉の12。」

(クス、と笑みを浮かべながら言葉を残す。
その場所は、第七師団の隠れ家となっている場所、ぴったりだろう。
ひらり、右手を振ると、その姿は雲のように掻き消えるのだった。)

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 闇通り」からアリウムさんが去りました。
クラーラ > 「……っ」

不意に紡がれた住所は、次の移転先と聞いていた場所ときれいに重なっていく。
城と言ったのはフェイクで、こちらが本当か。
何であれ、知られている以上は移さねば大変なことになると、消えた姿に一層の危機感を覚える。
剣の柄をギュッと握りしめれば、周囲から見ても分かるほどに紫電を体中に巡らせて力を溜め込んでいく。

「ケラウノス…加減なしでいいから。パルスアップ…!」

普段は魔法の力で反応速度と、速度の底上げをするものの、更に身体能力のリミッターすら外しての加速を開始する。
バチバチッと電流を迸らせると、少女の亡骸を抱えたまま、全力疾走で暗い道を一気に駆け抜ける。
壁を交互に蹴って屋根の上り詰めると、そこを足場に長い跳躍幅で移動し、次の隠れ家へと駆けていく。
身体の軋む音に顔を顰めながらも、今はただ急ぐしかない。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 闇通り」からクラーラさんが去りました。