2016/06/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 とある酒場」にクルツさんが現れました。
クルツ > 「なぁマスター。どうしてオレがこんな事しなきゃなんねぇんだよ……」

愚痴りながら店内の掃除をしているのは、まだまだ可愛らしい顔立ちの少年。
顔立ちと高い声とは不似合いな口調で、店の奥で作業するマスターに届く声でまだまだ愚痴る。

「こんなの用心棒の仕事じゃねえよ…。契約違反じゃねぇのか……。マスター?なぁ、聞いてんの?」

ぶつぶつと文句を垂れていると店の奥から、その用心棒として大して役に立ってないんだからこのぐらいサービスでやっとけ、と素っ気ない返事があり反応はそれっきり。
そう言われると辛い立場なので、短く呻くと嫌々といった様子ながら作業を続ける。
大して役に立ってないと言われるのも分かってはいるのだ。
暴れる酔っぱらいを大人しくさせる程度は訳ないのだが、冒険者同士の喧嘩となると手に負えなくなるこの頼りない用心棒はマスターに頭が上がらない。
昨日もそういったトラブルをマスターが拳骨で解決して、クルツの用心棒としての面子は今のところ丸つぶれである。
ちなみに昨日に限った事ではなくしばしばある事である。
よって、用心棒という名目で住み込ませてもらってはいるが店の雑用をよく押し付けられ便利に使われているのだ。
こんなやり取りも何度目か既に覚えていない。
ちなみに店は開店中だが、店に戻ってきたところ捕まってどうせこんな昼間に客などこないのだからと掃除を押し付けられたという状況だ。

クルツ > 「ああっ、クソ!ギルドの奴らもハゲ店主も調子に乗りやがって……!」

口汚く罵りながらガシガシと音を立ててモップがけをしていると店の奥から、壊したら弁償だぞ、と短くたしなめる声。
ボサボサの髪をかきむしり、叫びそうになるのを堪えながら身悶え。
今日は朝からギルドにでかけたはいいがクルツに回せるような仕事は残ってないととりつくしまもなく追い返され、すごすごと戻ってきてからはこうして雑用係。
別に今日だけの事ではなく、なかなか思い通りにいかない毎日にそろそろクルツのイライラは限界に達しようとしていた。

「ぐぐっ…、くっくそ!や、やってられるかこんなもんっ!」

ぶつぶつと呟きながらも割り振られた仕事は途中で投げ出さずこなしていく。
立場が弱いことをよく理解しているが故だ。

クルツ > 「終わったぜマスター!今日はもうやめだやめ!」

掃除道具を片付けるとそのまま荒々しい足音を立てて二階へある部屋へと引っ込んでしまった。
そして数十分後……。

「お掃除も終わったので、少しお散歩に行ってきます。夜にはちゃんと戻りますから」

どう見ても少女にしか見えないが、部屋で着替えて女装したクルツである。
二階から降りてくると別人のような柔和な笑みを浮かべながら、さらさらの髪をなびかせて町へと繰り出すのであった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 とある酒場」からクルツさんが去りました。