2016/03/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にヴァイルさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にチェシャ=ベルベットさんが現れました。
■ヴァイル > 貧民街の路地裏。
普段誰も寄り付かないそこには血の臭気が漂う。
血痕の奥、袋小路、左腕をずたずたに引き裂かれた焦げ茶髪の少年が壁に凭れていた。
気だるげに動かない左腕を眺める。
撒いたのはいいが血を流しすぎた。
獣の類が血の臭いに引き寄せられて訪れるのを期待するべきか、
自ら血を求めて表へと出るべきか、判断に悩む。
あまり動きたくはないが、今の状態で退魔師の類と出くわしたくはない。
さて。
■チェシャ=ベルベット > ひたひたと人間のものとは違う軽い足音がヴァイルのそばににじり寄ってくる。
足音の先を見やればそこには夜色の体毛をした小さな猫がじっとヴァイルを金緑の瞳で覗き込んでいる。
おもむろに猫が口を開いた。
「やぁ、随分惨めな姿だな吸血鬼」
猫の口から少年の透き通る声が発せられる。
血だまりを器用に避けて、むせ返るような血の匂いに顔をしかめながら
ひたひたと不用心に近づいてくる。
間近まで来るとすとんと腰を下ろして、特に何する様子もなくしっぽを揺らしながらヴァイルの様子を伺う。
「誰にやられたんだ?」
■ヴァイル > 「これでは吸血鬼ならぬ流血鬼だな」
夜闇を切り取ったような毛色の猫を認め、薄く笑う。
うずくまったまま普段通りの軽口で応える。
「《鋸翼》の一人だ。
きさまらにとっては内輪揉めのようなものかもな」
簡素に教える。
魔の氏族、《鋸翼》が魔族に与える傷は特に癒え難い。
一説には彼らのルーツが堕ちた天の遣いにあるからと言う。
緩慢な動作で、近寄る猫の小さな頭に掌を伸ばす。
■チェシャ=ベルベット > 「何だそれ、つまらない冗談だなぁ」
伸ばされた手を避けることもなく、人懐こい猫がするすると頭をこすりつけるようにその手に触れる。
相手の冷たい手はあまり居心地が良くない。
「ふぅん、随分と敵が多いとみた。まぁお前みたいな性悪じゃあ仕方ないけど」
魔族同士の小競り合いにはあまり詳しくはないが、なにかとこのヴァイルという男は
魔族の中でも一等変わり種らしいからそうやって出た杭を打たれるようなこともあるのだろう。
「それで?お前このままだと危ないんじゃ?」
猫の目が細くなって相手を覗き込んだ。
■ヴァイル > 「ふ。おれは奴らにとって、本来であれば滅びてなければおかしいはずの者だからな」
猫とは対照に心地よさそうに目を細めて頭を撫ぜる。
存在に関わる傷を負ったものとは思えない穏やかさであった。
「……危ないし、正直を言えば血が欲しいところだな。
なんだ。襲っていいのか?」
特に隠すこともなく現状を口にする。尖った歯が笑みの下に覗いた。
襲う許可をわざわざ問うというのも妙な話だ。
負傷した今の自分では、チェシャが本気で離脱しようとすれば
追うことはできない、と承知しているゆえの発言だった。
■チェシャ=ベルベット > 一度相手の終わり際を眺めたことがある身としては彼の窮地に対しての穏やかさは意外に思うこともない。
黙って死を受け入れてやっても良いような器の大きさはまぁ否定しがたいところだからだ。
襲っていいのかと尋ねられれば「待った」とひらりと飛びのいて距離を置く。
「交換条件だ。血を与えてやってもいいがその前にお前が執心している”宝”とやらについて詳しく話せ。
それができなきゃその場で野垂れ死ぬか、あるいは僕の手で引導を渡してやる。
だいたい調べは付いているんだよ。とぼけたって無駄だぜ。
昨今王城に上がったあの褐色の修道士王子様、あいつと随分親密だそうだね。
僕もあいつには良くしてもらっているよ。お前がいない間慰めてもやっているしね。
たまにパンやら肉の切れ端やらミルクやらを分けてもらえる、随分とお優しい人のようだけれど……」
暗に王位候補者の一人、王子ツァラトゥストラと接触していることをほのめかし
お前のいない隙に王子をどうとでもできるのだぞと脅しをかける。
さて、口を割るかどうかは相手次第だ。
■ヴァイル > ツァリエルについて触れられ、かすかに眉を顰める。嘆息。
「話してやっても構わんが……
きさまがおれの言葉を信じてくれるとも期待できんな。
まあよい。おれときさまの仲だ。
それに、おれの目的を果たすまでは、果ててやるわけにもいかん」
くつくつと笑う。
「かつての主、滅びた《夜歩く者》の王、グリム・グロット。
おれの目的のひとつは、彼を蘇らせることだ」
至って簡単に、それを口にする。重みのない声。
「おれの存在はグリムなくしてはなかった。
取り戻す手段がどこかにあるというのならなんとしてでも見つけ出す。
わかりやすいだろう。納得したか?」
あまりにもあっさりとしていて、
嘘ではないにしても、真実とも判断しがたい答え。
■チェシャ=ベルベット > いとも簡単にあっさりと自身の目的を明かされれば少々拍子抜けした様子でしっぽを垂らした。
「……なるほど。失った主を蘇らせる術を探していると」
半信半疑といった様子で無遠慮にヴァイルの表情や仕草を眺め回す。
「しかしどうして不死者であるところの吸血鬼の、それも王と呼ばれるほど力のあるものが滅びたんだ?
そんなにあっさり死なれちゃあ不死者の名が泣くんじゃないのか?」
さらにヴァイルの口にした言葉の『目的のひとつ』というところにピクリとひげを揺らした。
「へぇ、ひとつっていうからにはもういくつか大それた願い事でもあるっていうのか。
吸血鬼は欲が深いもんだなぁ」
ヴァイルから相変わらず距離をとったままではあるが体制を崩して地にペタンと伏せの姿勢に変わる。
話を続けろという態度。
■ヴァイル > 「それは……」
グリムの滅びた故について問われ、表情が一瞬歪む。
「……いかな怪物とて、急所はある。それだけの話だ」
一転して口調が重々しいものになる。
なぜ敗北に至ったか――それはヴァイルにとっては触れ難い話題だった。
「まだ満足いただけないか。きさまこそ欲深であるな」
繕った笑みを取り戻す。
「それ以上は先におれからも質問させてもらいたい。
チェシャよ、きさまも召使いの身分であろう。
仮に主人が息絶えたとしたら、どうする? 後を追うか?
それとも、おれのようにありもしない蘇生の術の在り処を追ってみるか?」
傷が障るのか、瞼をかたく閉じる。出血は止まっているわけではない。
「自らの存在意義が消えてしまったとき、そいつはどうするのが正しいのだ?」
■チェシャ=ベルベット > 相手が話したがらない様子ならば少々不満気ではあるがそこに目をつぶる。
「なるほど、そういえばお前も不死ではなかったしね」
相手の繕った笑みには肩をすくめるように身じろぎして返す。
もっとも猫の姿ではひどく人間臭い仕草であったが。
ヴァイルの問いかけに猫の目がまるまるとする。
言葉の内容を吟味するように三角の耳を傾けながら尻尾の先をぱたぱたと揺らすと
「主人が息絶える?……僕が息絶えるのが必ず先に来るのに?
考えたこともなかったな。あの人は死すらも遠ざけるようなお人だから。
ふぅむ、しかしまずあり得ない話だ。
偉大なる主人を殺せるような何かがあるのならそれは世界が間違っているからで
それに何より僕が先に身を挺してもお守りするのが筋だろう。
僕が先に死にこそすれ、あの人の死に際には立ち会えないしそれは世界の終わりと同意義だ。
そんな間違った世界は滅んじまえばいいし、後追いでも破壊でもなんでもするといいけど。
だけど復活の術があったところで一度失ったものはもう一度取り返せるのかな。
僕はもう一度主人が戻ってきてもそれが生前の主人と同じ人と呼べるかどうかわからない」
こういう小難しい話は好きじゃないと呟きながら後ろ足で耳をかりかりとかいた。
「一度失った存在意義を取り戻したところで同じ失ったところにすっぽり収まる形で戻るのか?
僕はそうは思わないけど、まぁ好きにすればいいだろ?お前がしたいことをするのが正しいよ、たぶん」
フン、とつまらなさそうに鼻を鳴らすとそれきり口を開こうとはしない。
■ヴァイル > チェシャの言葉に耳を傾けるヴァイルの表情は
貼り付けた薄笑いのままで、情動を伺うことは難しい。
「主人の死などありえない、か。一途で、模範的な、つまらん答えだ。
きさまはかつてのおれに似ている。
おれもかつては、そう信じて疑わなかったのだから。
きさまからすれば、おれは主人を守れなかった出来損ないの従者なのだろう」
愉快そうに肩を揺らす。
薄く開かれた瞳は、嘲るようでもあり、羨ましげに見るようでもあった。
「きさまの言うとおりだ。
人魔かかわらず、失われたものは決して元の形で蘇ることはない。
だからおれの望みは決して叶うことはない。
――畢竟、おれに目的などない。したいこともない。
だが、意義なくして生きることなどできん。
それがおれのいう《宝》の正体だよ」
失望したか、と嗤う。
よろめいて、よりかかる壁に血の跡を残す。
長い髪が夜闇の中に赤く濡れた。
■チェシャ=ベルベット > 「さぁな。主人と違って僕達下々の者は完璧じゃあないから
守りたくても守れない時だってあるだろうさ。
肝に銘じておくよ、せめてお前みたいにはならないように」
ヴァイルの語る《宝》の正体に半眼で胡散臭そうに見やるも
どうやら相手の体力の限界が近いことを悟りここが引き際かと諦めた。
猫の小さなため息が漏れると、くるりとその身が翻りたちまち少年の姿が現れる。
自身の襟元をくつろげると、白い首筋を相手の前に差し出して
「料金だ。痛くするなよ、僕は本来注射が嫌いだ」
シャツの襟をひろげ手で抑えると相手の出方をじっと待つ。
■ヴァイル > 「ほう? いやに優しいじゃないか。
チェシャらしくもない」
首筋が差し出されると、眠たげに濁った瞳を向ける。
ゆっくりと身を起こし、濃厚な血の臭気をこすりつけるようにしながら、
チェシャへとしなだれかかる。
血塗れの冷たい感触。
無言で、首筋へとかぶりつき、牙を立てる。
尖った先端が侵入するおぞましい感触はあれど、苦痛はなく、むしろ甘やかですらあった。
血液が溢れ、肌をつたい、衣服を染める。
故意か、品を良くする余裕がないのか。
流血をべちゃべちゃと熱の篭った舌で舐めとる。
濡れた肌を、吐息がくすぐる。優美さに欠けた、飢えた獣を思わせるような所作。
■チェシャ=ベルベット > 「うるさい、約束を果たしただけだ。別に優しくなんかしてない」
すねたように反論して唇を噛む。
ヴァイルの身が自分へと覆いかぶされば緊張したように体をこわばらせるが抵抗はしない。
首筋に突き立つ牙の鋭さにうっ、と呻いて震えた。
薄くまぶたを閉じ、捕食される甘美な痛みにぐっと息を押し殺して耐える。
普段の余裕あふれた態度とはかけ離れた下品な食事の様子に
これがこいつの本当の姿かとぼんやり考えながらとりあえず好きにさせる。
だがあんまりにも吸血が長引けば
「おい……吸い殺すなよ……」
と眉をしかめ軽く相手を押しのけようとする。
■ヴァイル > 押しのけようとする腕の動きに、舌を傷痕に一度強く押し付ける。
そうすると出血は止まり、口を首から離す。
しかしチェシャからは、腕を彼の身体に絡ませたまま離れようとしない。
「おまえの優しいところも、冷たいところも、好きだよ、チェシャ」
淡い色の唇に笑みを乗せ、
視線は穿たれた傷ではなく胸へと零れた血のほうへと移る。
身体をずらし、未練がましくそこに舌を這わせ、吸い付き、丹念に舐めとっていく。
■チェシャ=ベルベット > 妙に絡みついて離さないヴァイルにむっとすると、今度は力を込めて引き剥がそうともがく。
「やめろよ、お前の好きっていうのはどこか白々しいんだよ!
僕はお前なんか嫌いだ、それにここまでしていいなんて一言も……っ!」
ヴァイルの舌が自分の胸元へと這って行くとうっ、と息をつまらせた。
夜歩く者の唾液の毒が回ったことでほのかにチェシャの肌が赤らんできている。
必死に隠そうとするが押しのけようとする力がどこか弱くなってきて視線を逸らした。
「やめろよ……もう終わっただろ……」
■ヴァイル > 「知っているよ。それに、別に好かれたいなどとは思っていないさ」
蛙に打ち水、飄々とした様子で応える。
制止の言葉や抵抗を無視し、いよいよチェシャの身体を力づくで押し倒し、
さらに服に手をかけはだけさせていく。
血を舐めることをやめ、赤らんだ肌、胸の頂きを暗闇のなかに探り当て、
その周縁にすぼめた唇を合わせ舌先で弄る。
「それに、好きではない相手とだってできるだろう、チェシャは。
血をよこせないとなれば、別の精であがなってもらうしかないな」
衣服を剥ぐ右手が脚衣へとかかる。
■チェシャ=ベルベット > 「血はさっきたらふくやったじゃないか……くそっ、ごうつくばりめ……」
奥歯を噛み締めいかにも悔しそうにヴァイルを組み敷かれた下から睨めつける。
衣服に手をかけられそれがはだけられ、ヴァイルの舌が好き勝手に自分の肌を蹂躙し始めると悪態をつきながらとうとう抵抗をやめた。
薄汚い路地に伸びるようにしてしなやかな肢体が投げ出される。
「……そうさ、好きにしろ勝手にしろ……。
所詮まぐわったところで奪われる何かがあるわけじゃあないからな」
はん、と自嘲気味に笑うと自ら足から着衣をすらりと脱ぎ落とす。
白い足が闇の中でほのかに輝いたようにも見えた。
■ヴァイル > 「業突く張りに身体を預けるとこういうことになる」
恥じることもなく言い放ち、突端を口に含み、ぬめる舌で吸い付きながらなぞり回す。
自身も血で張り付いた着衣を惜しげも無く破り捨て、
上は裸体、下は黒いタイツ一枚になる。
先程までの弱った様子は擬態かと思われるほどに生き生きとした表情。
「失うものがないのは、お互い様だな」
組み敷いたチェシャの股座の上に腰を下ろし、
彼を見下ろしながら、滑らかな布地に包まれた臀部で彼の象徴を擦り上げていく。
その感触を楽しむように。
■チェシャ=ベルベット > 自分の上で尻を擦り付け、喜々としているヴァイルを見上げながら無感動に視線だけ鋭く投げる。
自身のものに彼の尻がこすれるたびにぶる、と震えながら喘ぎを押し殺す。
「なんだよ……さっきの弱り切った姿は演技か……?
随分元気になって、これならほっといても死ななかったな……っ」
はぁ、と熱い吐息をこぼす。自分からは特にヴァイルに手を出すことはしない。
自分の腹の上で何かが勝手にしていることだと諦めて
だが、陰茎は刺激に否応なく反応し始め徐々にもたげていく。
すっかり唾液まみれにされた胸が呼吸で上下しながらてらてらと光った。
■ヴァイル > 「いやいや、そんなことはないぜ。
チェシャが来てくれて助かったのは事実さ」
チェシャの鋭い視線を受け止めるヴァイルの瞳も、また冷ややかなものだった。
陰茎が反応したことを感じ取ったヴァイルは、舌なめずりをしてタイツを下ろす。
ヴァイルのものも同様に張り詰めていた。
冷たい雪花石膏の下肢が、蛇のようにチェシャに絡みつく。
「おれはチェシャを騙したりなんかしない。
チェシャが勝手に騙されているだけさ」
反り返った逸物の先端が双臀の中心へと触れ、首を反らす。
何度か押し付けている内、既に受け入れの準備ができていた後孔が、
柔らかい感触とともに開き、それを飲み込んでいく。
そのさまを、ヴァイルは冷酷な眼差しで見下ろす。
■チェシャ=ベルベット > 「はん、どうだか……どうせ僕が通りかからなくたって……
どっかの誰かを引っ掛けて同じ事すればいいだけなんだからさ……」
減らず口を叩きながら、ヴァイルの行いを苦々しげに見守る。
張り詰めているのは相手も同じ様子で固く猛った相手の性器を見れば
面倒くさそうに右手で包み、扱いてみせる。
実に作業的な動きではあるが、それなりに場数を踏んでいるだけにチェシャなりに良くしているようだ。
「……ふ、ぅ……ん……っ」
ヴァイルの内側へと自身の性器が飲み込まれていけば柔らかく締め付けられてたまらず呻く。
びくびくと脈動する逸物がヴァイルの内側から伝わるだろうか。
「……早く終わらせろよ……面倒だから」
気だるげにまぶたを閉じ、やる気のなさそうに寝転がってヴァイルの性器をゆるくしごき続ける。
■ヴァイル > 「ああそうさ。不満か?
だが、手間は省けたし……
選り好みできるのであれば、チェシャの血がほしかった」
淫猥な音を立てながらチェシャの獣を飲み込んでいき、侵入者を溶かす炉心へと誘う。
やる気がなさそうな手淫に苦笑しながらも、
チェシャの手の中で牡茎は膨らみ、淡紫の先端から雫が垂れる。
「早く済むかどうかはチェシャ次第じゃあない?」
ぐり、と腰を円を描いて動かす。
柔肉のクッションがぴっちりとチェシャのそれに抱きついて、絞り上げ、こね回す。
内からの脈動が伝われば、呼気を吐き出し身体ごと揺らして、はしゃぐように笑った。
■チェシャ=ベルベット > 心にもないことを、とまたもや減らず口を叩こうとしたその時にヴァイルが
腰をぐりと動かすものだから思わず喘いで慌てて口をつぐむ。
相手が好き勝手に動くのを懸命に耐えながら、やがてさっさと済ませたほうがいいと判断して
ゆるやかに相手の動きと合わせて腰を突き上げ始める。
右手で先走りを垂らし始めたヴァイルのものも、手のひらで先端をこすり、ぬめりを全体につけるようにして徐々に激しくしてゆく。
「はっ……あ、……っん……!」
頭を振ってなるべく声を噛み殺し、ただ相手がさっさと達してくれと作業的に行為をすすめる。
だが、自分の陰茎を締め付けるやわらかな肉と動きに徐々に乱れ始め、ぎゅうと手足が縮こまり始める。
「も、い、っ……イけよぉ……っへんたい……!」
甘ったるく鼻にかかったような声と涙目の瞳がヴァイルを睨みつけた。
■ヴァイル > 喘ぎ声を噛み殺す様子に首をかしげる。
交接の楽しさに抗おうとするのが理解できない、と言わんばかりに。
「ん……あ、はっ。
悪いが、チェシャの精をいただくまでは止めてやるわけにはいかないね」
くすぐったそうに唇を緩める。
突き上げられるたびに青白い顔を喜色に歪ませた。
陰茎はチェシャの手の中で乱暴に荒れ狂い、ぐいぐいと指に押し付け、先走りを塗っていく。
ずいぶんとチェシャの手が気に入ったようだ。
「ふふ、その言葉そっくりお返ししよう。
気持ちいいだろぉ……? ほら、遠慮しないで出しちゃえよぉ」
優越に満ちた笑み。返す声は、チェシャに合わせたように甘ったるい響きで脳に響く。
チェシャの竿を包む肉壷が、それ自体が意思を持ったかのように小刻みに律動する。
根本から先端にかけて、波打つように責め立てた。
■チェシャ=ベルベット > さっさと射精してしまえばこの交接もすぐに終わるのだろうが、
こいつの前で情けなく果ててしまうのは悔しいチェシャとしてはすぐ達することもできない。
苦渋とも快感に耐えているともつかないような上気した顔で息を荒げる。
やがてだんだんと興が乗ったのか自分の手をいいように使いはじめるヴァイルに気がついて
これではしてやっているのではなく使われているだけであると感じ始めると
意地を張ってぐりぐりと指先で彼の先端、鈴口を押し開こうとする。
「う、うるさっ……んひ、……ぁ、おまえがさ、き、……っ!
いっちゃえってばぁ……!はひ、っ……ひ、くそぉ……」
およそ人間ではできないような肉体の動きに翻弄させられ与えられたこともないような刺激に背筋を反り返す。
慌てて腹に力を込めて、射精したいのを堪えるがしばらくのうちに拷問のような快楽をぶつけられて
やがて観念したかのように口を半開きにしはぁはぁと喘げば
「で、ちゃ……っへんたいっのなかに……だしちゃ……!」
ぎゅうと体がこわばったと思った後下からぐいとヴァイルを突き上げ達する。
どくどくと熱い体液がヴァイルの腹の中にぶちまけられた。
しばらく余韻のうちに体を痙攣させ舌を突き出して喘いでいたが、やがてぐったりと体から力が抜ける。
頭のなかを星がまたたくような目眩に薄くまぶたをつぶって耐える。
■ヴァイル > 相手が達するのに呼応して、ヴァイルもチェシャの指の合間から
粘着質の液体をほとばしらせ、手中に収まらず彼の身体を白く汚す。
絶頂に至ったところですぐには解放しない。
腸壁は暫くの間蠕動して、チェシャの放った精を貪欲にすすり上げていく。
その魔技が、この少年が魔に属するものであるという事実を雄弁に語っていた。
「馳走になった。
きさまはいつも抗わずにいいところで抗い、
抗わねばならぬときに抗わぬのだな。
――その無為な抵抗が愛おしいのも、事実だが」
下腹部をさすりながら、したり顔でそう呟く。
ゆっくりと腰を上げ、突き刺さっていた肉槍を引き抜き、見下ろす。
にぃ、と唇が弧の形を作る。
「きさまではおれに勝てん」
■チェシャ=ベルベット > 白濁に汚された右手の隙間から精液がぽたぽたとこぼれ落ち、
自身の体にも幾分かかってしまって様子に気だるい様子で見やる。
自分の精が啜り上げられる感覚に達したばかりで敏感な陰茎がビクリと刺激されて
チェシャの体がわなないた。
ようやっとヴァイルの胎内から自分のものが抜け落ちるとはぁと大きくため息をもらす。
「抗うべきところと……抗わなくていいところなんて、簡単にお前に決められたくない。
そんなの僕が勝手に決めるから……口出しするなよ」
ようやく身を起こし衣服を整え、簡単に手巾で汚れを拭って身づくろいすると立ち上がる。
不満気に猫の耳を伏せ、しっぽをイライラと振りながら
「よく言うぜ。僕に一度殺されかけたくせに」
フンといつもどおりのツンと澄ました顔でそっぽを向いた。
■ヴァイル > 呵呵と笑う。
「よもやあれで勝ったと思っているわけではあるまいな。
大きな隔たりがあるぞ、“殺されかけた”と“殺された”では」
脱ぎ捨てた衣服を路地の隅へと無造作に蹴っ飛ばし、
自身も立ち上がる。
「そうそう、飼い主に伝えておけ。
話があるなら直接出向いてこい、とな。
きさまとのせっかくの逢瀬に、くだらん陰謀を持ち込まれては興醒めだ」
相貌に――チェシャに向けられたものではない――明確な蔑みを浮かべると、
背を向け、半裸のまま袋小路より去っていく。
■チェシャ=ベルベット > 「なら次はしっかり殺してやる。ちぇ、無駄な面倒みてやるんじゃなかった」
つま先で苛立つように地面を蹴りつけると、くるりと身を翻して再び猫の姿に戻る。
ヴァイルの残した伝言には、四足の姿勢を低めて訝しむようにうかがっていたが
それには肯定も否定も返さなかった。
やがてヴァイルが立ち去ろうとするとその半裸姿を咎めもしないまま
チェシャもまた路地裏の狭い隙間へと飛び込んで行ってしまった。
主人の差金だとわからせてしまったのが大きな失態だが、ほしい情報は得られた。
家々の屋根を飛ぶようにかけやがて猫の姿は消えていった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からヴァイルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からチェシャ=ベルベットさんが去りました。