2015/12/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にイーリスさんが現れました。
イーリス > 小さく舌打ちをして通りから路地へと飛び込んでくる。目の前には小さな影。
一度手を伸ばしたものの、それは空しく空を切るだけ。
半歩前を行く小柄な少年か少女か、兎も角その影は素早く駆け出している。
が、歩幅の違いか、二度目に手を伸ばしたときに掴んだ腕を後ろに捻り上げ、やや乱暴にそばの壁へと身体を押し付け動きを封じる。

「まったく…隙もあったもんじゃないな」

短距離のかけっこを終え、呼吸は乱していないが、やれやれとばかりにため息をひとつつく。
捕まえてみて、漸くそれが少年だと解り、彼の手から皮袋を回収。

「仕事熱心なのは構わんが、スリならもう少し相手を選ぶほうがいいぞ」

そんな忠告は、腕をねじり上げられ、壁に押し付けられているスリの少年には意味を成さないのだろう、暴れるばかり。
ため息ひとつついて手を離すと、脱兎のごとく駆けて、その少年は路地の奥、闇へと消えていく。

イーリス > スリの少年が消えた路地の奥へと視線を馳せ、ため息を一つ。
この先がどこに続くのかは検討もつかないし、あえて追う必要もない。
まさかと思うが、仲間を連れてくる、などということがないこともないが、今はその気配もなかった。

久々に王都へやってきてみれば、相も変らぬ治安の悪さ。
近道など考えずに、貧民地区を避けて通ればよかったが、最早そんな後悔は意味を成さない。
それに、ある程度のことであれば、切り抜けられる自負もあるし、早々にここを抜けることを考える方が利口に思えた。

ずしりとやや重みのある金貨の入った革袋を仕舞い込み、さて、とばかりに視線を周囲に配る。
ただの通行人でさえ、ゴロツキに見えてしまうから、ここの環境たるや恐ろしい。

「まぁ、スリも海賊も、根っこは似たようなモンか。説教なんてするんじゃなかったな」

今更ながら説教めいた己の言葉に自嘲気味な笑いを零してから、はっと短く息を吐き、通りへ出るべく足を踏み出す。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からイーリスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にリリさんが現れました。
リリ > 「はいはーい!あわてないで下さいね!まだまだ沢山ありますからー!」

貧民地区の中にあるちょっとした広間、
定期的にやっているボランティア活動で自家製のパンを配給していた。
誰かに強制されているわけではなくあくまで個人的にやっているだけの事。
時間も終わりに近づきそろそろ人もいなくなった頃。
残りのパンも後僅かでちょうどいいかなと心で思い頷く。

「私一人じゃどうにもならないのわかってるけど・・・、やらないよりましなのかな・・。」

遠くの方でパンを持ち帰る人の姿を見送れば、
売り上げは上がらないものの、
それ以上の価値はあると思えた。
後もう少し時間をまって誰もこなければ、
机の上に並べたパンを片付けて撤収作業に入ろうかと思いながら、
自分の休憩用に準備した椅子に、すとん、っと腰をかけた。

リリ > 「・・・皆が皆、同じ立場だったらいいのにな・・・。」

椅子に腰かけて自分用に準備しておいたお昼用のパンを食べながら、
目を泳がせて周囲の様子を伺う。

(やっぱり、自分の住んでるところとはぜんぜん違う・・・。
同じ立場に・・・、って言ったけど、きっと私が貴族で生まれたからそんなことがいえちゃうのかな・・・。
きっと、貧民街に生まれていたらそんなことはいえないかもしれない・・・。)

なんて、心の中で言葉を紡ぎながらパンをもうひと齧り。
そんなことを考えていると恵まれて甘えて生活してしまっている自分がちょっとばかりいやになる。
申し訳ない、なんて思うことが相手に失礼なんだろうけど・・・。
表情は行き詰ったように険しい。

「うー・・・、これ以上は答えなんて出ないかな。ん、おいし。」

諦めたといわないばかりの言葉を紡いで、
残り一口サイズになったパンを口の中に放り込んだ。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にアシュトンさんが現れました。
アシュトン > さてと、酒も飲んだし、そろそろ帰るとするかな。
相変わらず、娼婦の方は外れだったがな。
(ほろ酔い気分で安宿を出ると、大きく伸びをする男が。
エールと摘みで一杯やった後、この場所を後にしようという具合、なのだが)

ん……?
(広場の方角から此方へと向かい、普段とは違う人の流れが見える。
頭を傾げた後、ちょいと興味が惹かれたのか、其方の方へと歩いてゆく。
どうも広場から去っていく人々の共通点は、手にパンを持っている、という事の様だ
そしてその先、なんというか、酷く場違いな雰囲気を醸し出す女性の姿が)

リリ > 「食べ終わったしそろそろ・・・。あれ・・・?」

なんだろう?
何処からか視線を感じる気がする。
周囲をじーっと見渡して感じた視線を追うと、
一人ちょっとだけ遠くの方から此方のほうへ視線を送る男性と目が合う。

(もしかして、まだパンを貰ってない方かなぁ・・・?)

椅子から静かに立ち上がって、
ぺこりと其方に向かって軽めに頭を下げて、
にっこりと暖かい笑顔を送る。
暗にこんにちわっと告げるように。

アシュトン > (視線があえば、瞬きを数度。
相手にヒラヒラと右手を振ると、そのままと歩み寄ってゆく。
同時に左手も、拳を開いたまま見える位置に。
とりあえず、妙なモノは持っていませんよ、というポーズだが相手に通じるかは別として)

いや、俺は別に貰いに来た訳じゃない。
何かやっているなと思ってね、そのまま座っていてくれて構わないよ。
ふむ……パン配りの、ボランティアか?
(聞きながらと首を傾げ。
軽くと口の端を上げれば、相手の頭から、脚の先まで一度と眺める。
これと言って汚れた風もなし、肌や髪のツヤも良さそうに見える。
少なくとも平民以上、それなりに裕福と見て良さそうだ)

リリ > 「あっ・・・!」

手を振ってくれてる!
ちょっと嬉しかったのか此方も右手を開いてゆっくり振る。
あれ?でも左の掌も開いてこっちにみせてる・・・。

(もしかして・・・、ここの挨拶のやり方かなぁ・・・?)

首をかしげて此方も彼に釣られて左掌を見せる。
なんだろう、ちょっと不思議だなーとか思ったりして勘違い。

「そうなんですか?、パン、少し余ってしまっていますし・・・、よろしければもっていってくださいね?
・・・はいっ!ボランティアですよっ♪
えへへーっ・・・、お客様がいるのに、座るなんてことできないですよっ、でも、お気遣い有難うございますっ。」

幸せそうなふんわり笑顔、
お話がそもそも大好きなのだろう。
彼の視線を追うと私の体をみているみたいだ。
も、もしかしておかしいとこあるのかな・・・!っと、
更なる勘違いをして・・・。

「あ、あのっ、ど、どこかおかしいでしょうか・・・!」

若干恥かしいのだろう、
エプロンとか服の状態をあわててチェックして異変が見つからず、
背の高い彼を少し見上げる形で見つめて困ったように聞いてみた。

アシュトン > ……まー、うん、そうだろうなぁ。
(マネして左手を広げ、首をかしげる姿は、なんとも気の抜けた感覚さえ漂ってくる。
ハッキリと言ってしまえば、無防備感満載とでもいうか。
まぁ、それが彼女のいい所、でもあるのだろうけれども。
微かに肩を竦める仕草の後に、ちょっとだけ離れた目前に佇んで)

余りか、なら、良ければ一つと貰っていこうか。
ついで、帰り道で飢えてるガキでも見つけたら渡しておくさ。
(ニコニコとした笑みに合わせて、小さく喉を鳴らせば肩が揺れる)

ん、あぁ。
別に変な所はないさ。
服もに合ってるし、可愛らしいと思うぜ?
(表の街であれば、間違いなく馴染む格好だ。
通り掛かりに見惚れる男が居ても、おかしくはないだろう
――なお、体格の割に大きくと見える胸に一瞬視線が止まったりもしたようだが)

ただまぁ、そうだな。
こういう場所を見慣れてる立場から言わせてもらえれば、だ。
お嬢ちゃんは身なりが良いのに、少々と無防備過ぎる。
ゴロツキや厄介な奴らも居るんでな、身を守る手段位用意しておいても、損は無いと思うぞ。
(コートの袖、その内側からナイフを一本手品のように取り出して。
掌に持てば、くるりと一回転、再び元有った場所へと、消えるように失せる
言ってみれば、此方がその気なら今すぐ襲う事も出来た、という意思表示でもある)

リリ > 自分の広げた左手、
結局如何したらいいのか如何いうものなのかわからず、
《?》が頭に浮んだように首をかしげて、
とりあえず左手を下ろしておいた。

「はいっ、それじゃあ、おふたつどーぞ・・・!
あなたの分がなくなっちゃうから、おいしいから是非たべてくださいねっ。」

やさしーなぁ、なんてちょっと心の中で呟いて。
パンを包装して「はいっ、どーぞっ」と手渡ししようと差し出した。

「そ、そうでしたか・・、安心しました、で、あ、で、でも、可愛いは余分ですっ・・・!」

困ったように眉を下げて頬を若干朱に染める。
ちょっと俯いて顔色が見えないように左手で額の辺りをおさえた。
なれてない証拠で男の方にこんな風に言われたことないし・・・。

「ゴロツキや、厄介な方から身を守る手段・・・?
わっ・・・!」

瞬時の事、ナイフが彼の手元にでて此方に刃先が向いたかと思うと、すぐさまきえてしまう。
確かにいきなりおそわれたら抵抗できないかも知れない・・・。
ちょっとだけ血の気が引いてどきどきと胸の鼓動が収まらない。

「で、でも・・・、私、ここでパンを配りたいです。
だけど、身を守れるかっていわれたらできないし・・・」

確かに危険さは彼のおかげで伝わった。
如何しようかな・・・、と、唇に人差し指をあてて考えて・・・。