2015/12/12 のログ
マルティナ > 「ありがとうございます。でもこれって中途半端に隠すと……。」

人さらいか死体運んでるみたいですよね、と小さく付け足した。
人形の体を隠す事は最初に試したが、顔も体も半端に隠すと余計不審度が増すだけに見えて結局裸のまま抱きかかえてきたのである。

「ま、まあ別にやましいことも何もないので。下手に不審な姿になるよりはこのままでも……。」

とはいえこの辺りはまだいいが、自室まで戻るとなると大通りを抜ける事は避けられない。
まともに体を覆う物があればそれに越したことはないのではあるが……。

ロッシュ > 「ああ、確かに……それは拙いですよね…。」

呻く様にして同意する。
それで見咎められ、運んでいるものをはっきり見られたら……もっと事態がややこしくなるのは火を見るよりも明らか。

「そうかもしれませんけど、やっぱり人目とか気になりますよね……うーん……。」

ごそごそと荷物を探るが、流石に人一人を覆い隠すほどの大きな覆いになるようなものは持ち合わせていなかった。
……いや…一つだけ、ある事はある、けど。

マルティナ > 「大丈夫ですって!拾った物を持ち帰っているだけですし、堂々としていれば…、多分大丈夫だと思います。」

言っている内にやっぱり大丈夫じゃない気もしてきたが、現状打てる手は堂々として見咎められないように振る舞う程度。
こんな風情でこそこそとしていたらそれこそどうなることか。

ロッシュ > 「……多分でそれを堂々と持ち運ぶのは……。
 ……これしかないよね……

 …マルティナさん、ちょっとこっちへ!」

自分の言っている事を信じ切れていない様子の少女に、やはりこれしかないか、と覚悟を決めて小さく呟けば。
突然少女の片手を掴むと、人目の更に無い裏路地の方に引っ張り込む。
一際明かりの届かない路地に足を踏み入れれば、少女の前で突然着ている祭服を脱ぎ始める。と言っても造りはそれ程複雑なものではなく、簡単に脱ぎ去れば。

「こ、これっ!その子に着せちゃって下さいッ!」

シャツとブリーフのような下着姿で、祭服を彼女の方に差し出す。…サイズは合わずとも、露わな裸体を隠すのは容易だろう。

マルティナ > 「ちょ、ちょっとダメですって!?何を考えてるんですかこんなところで!」

なすがまま引っ張りこまれ、止める間もなくロッシュが服を脱ぎだしてしまった。
申し出は嬉しいがこれは余計まずい。
見習いとはいえ司祭の服を剥いで人形に着せましたとなれば何かあった時いよいよ言い訳が出来ない。
それに彼を下着姿で往来に放り出すのもいけない。

「こ、こんなところで下着姿なんて…。男の人でも、危険な事はあるんですよ!」

自分の格好のことは完全に棚に上げてロッシュに服をつき返す。

ロッシュ > 「こんなところだからです!僕は男だし、一応まだこれ着てますから!」

とはいえ、とても恥ずかしいのも事実。
殆ど年の変わらぬ少女の前で、裸同然の恰好になるなんて死ぬほど恥ずかしいし、神に仕える者としてとても申し訳ない。
後で只管懺悔しよう、と心に決めて。

「女の子なら尚更です!こ、この人形を見て不埒な事を考えちゃって、その勢いでマルティナさんが危険な目にあったらどうするんですか!」

普段の気弱げな様子とは一変、はっきりとした意思をもって、突き返された服を彼女の方に押し付ける。
この年の少年としてはそれ程腕力が強い方ではないが、少女はどうであろうか。力が勝るようなら強引に押し付けてしまうが、果たして。

マルティナ > 非常に困った事になった。
本音を言えばこのまま逃げたいところであるが、さすがにそれは失礼すぎるというもの。
となると、少々悠長ではあるが彼を説得するしかないだろうか。

「ええっと…、本当に申し出は有り難いのですけれど…。これって何かあった時余計私が危険だと思いますので……。」

肉体的にではなく社会的、立場的にという意味で危険。
聖職者を下着姿で往来に放り出して代わりに人形に着せるなど、駆け出しの冒険者の身分で許される事ではないだろう。
なのでここは絶対に受け取る訳にはいかず。

「なので申し訳ないのですけど、いくら脱がれてもそれは受け取れません。」

迫るロッシュをさらりとかわすと、再び人形を抱きかかえて先に歩いていこうと。

ロッシュ > 「……うッ… そ、それは……。」

少女の言葉に、冷静な部分がその通りだと理解を示す。
その様な事態になれば、自分の行為は只の自己満足に過ぎず、少女を尚更苦境に追い込む事になりかねない。

「……考えが、足りませんでした……御免なさい……。」

渡そうとした服を持った手を下ろし、俯き加減に足を止める。謝罪の言葉を呟き、追いかける事はない。そう言われてしまえば追いかける事は、できなかった。

マルティナ > 仕方のない事とはいえ、親切を無下にしたようで心が痛む。
とはいえ他に良い手も思いつかなかったので仕方あるまい。
一応振り返り、声をかけてみる。

「あー、あの、あんな事を言った後で差し出がましいのですけれど……。よろしければ平民地区の方までついてきて頂けると助かるのですが…。」

若い見習いとはいえ身元のしっかりした教会関係者が一緒ならばそうそうトラブルに巻き込まれることもないだろう。
もし彼が協力してくれるのならこれが一番心強い助けになると思う。

ロッシュ > 考え無しの行動に対する後悔や色々な事を思い、俯いていれば歩き去った筈の少女の声。
下げていた頭を勢い良く上げて。

「…わ、分かりました!全然平気です、任せて下さい!」

慌てて祭服を着直しながら、少女の側へと小走りに駆ける。
協力する事には何の問題もなく。人形の事を言い咎められたら、必死になって擁護する事だろう。

マルティナ > 彼が協力してくれるということで内心ほっとした。
珍妙な取り合わせではあるが教会関係者がいてわざわざ突っかかってくるようなチンピラもそうはいないだろう。
無下に断るよりは遥かにロッシュの面目も立つだろうし、最初からこうして頼んでおけばよかったかもと今更ながら考えてしまう。
こちらも自分一人で何とかしようと意固地になっていたなあと反省。

「とりあえず、後からついてきていただけるだけでも助かりますので、よろしくお願いします。」

今度は彼の支度が整うのをちゃんと待ってから歩き出す。

ロッシュ > 服を着込みながら、ほっと一安心する。
自分の存在が友人の邪魔にならず、役に立てるようで本当に良かった。
同時に、もう少ししっかりしないといけない、と改めて反省。

「分かりました。こちらこそ、宜しくお願いします。」

しっかりと身なりを整えたのなら、少女と一緒に歩きだし。

マルティナ > その後、直接誰かに絡まれるということもなく無事に平民地区の自室まで戻ることが出来た。
この点はロッシュに大いに感謝するべきところだ。
とはいえ道中人形を含めて散々自らの体を見られてしまいいつも以上に恥ずかしい思いをした気がする。
人形を触っているとどうしても陰茎が甘立ちしてしまう事もあるし、何より単純に異様な風体が目立つので仕方のない事だが。
部屋に着く前にロッシュにはお礼を言って別れて、人形を部屋に運び込みベッドに横たえるとようやく一息ついてその場にへたり込む。
まるで本物のような感触の人形に触れ続けていて、色々と欲求の方も限界が近い。
結局その後、暫く部屋に篭もり自分で処理する事となるのであった……。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からマルティナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からロッシュさんが去りました。