王都の周縁部分に位置する貧民地区。その名の通り、貧しい者が多く住む。
また、荒くれ者やごろつきなども多い。柄はよくない地区だ。
そのため治安は王都の中でも特に悪く、毎日多くの事件が起きている。
この地区の衛兵はごろつきなどの仲間であることが多く、助けを求めても、逆に彼らの味方をされてしまうこともある。
貧民地区という名ではあるものの、娯楽施設も多く、いかがわしい店も多い。
こっそりお忍びでやってくる王族や貴族もいるという。
特にこの地区には娼館が多い。このような場所で働かざるを得ない者が多いためだ。
※王都の貧民街です。特に治安は悪い場所になります。
貧民地区にあるような施設や場所などを色々と考えてロールしてくださってかまいません。
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参加者(0):ROM(1)
Time:00:10:25 更新
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からクレイドルさんが去りました。
■クレイドル > それだけではなく、目の前も穴も塞がっていた。
より正確に言うならば長く垂れ込んでいるトゥニカの裾の一部が延びて穴に覆いかぶさり。
周囲の土の色彩と一体化して一見見れば何も見えないように仕立て上げてしまっている。
こんもりと盛り立てられた土饅頭も綺麗に均され、穴掘りの痕跡すらも均一な路面に呑まれた。
「大きすぎる幸いよりもちょっとした幸運を…♪あんまりに丸見えだと疑心暗鬼ですものね…♪」
懐に手を入れて取り出すのは金光りする僅かなゴルド貨幣。
大金!とまでは言えないが、明日ちょっと贅沢な食事は出来るかも知れない程度の値打ち。
きらきら輝くそれらを、街中に拵えたフォールトラップの上にへと投げて撒く。
ちゃりん、ちゃらん、と、ささやかに響き渡る金音は巡り回り。
程無くしてカバーをされた穴の上にへと落ち着いた。
貨幣の軽さ程度ならば悠々と耐えるが、もしも人間ぐらいの重さの人間がこの貨幣を拾いに来たならば。
途端に穴はそこに正体を表し、憐れな犠牲者を一口に食べてしまうだろう。
「後は時間の解決を待つばかりですわ…♪」
そそくさと仕掛け人側であるシスターはそのまま現地から少しだけ離れる。
こういった場所では珍しくも無い壊れかけた廃材の積み上がった物陰に屈み込んで隠れ。
後はどすん、だとか、それに誰かのあげる驚いた悲鳴を待ち構えるばかりとなった。
■クレイドル > 貧民地区。通り道。
日暮れを迎えてもまだ昼間の熱波の残滓はこびり付いていた。
体を撫で付けて過ぎ行く生温い風が吹いている。
その風力の大半は遮るあばら屋によって削られ、納涼どころか不快感を煽る軟らかさしか無い。
此処は馬車が行き交う事が出来るぐらいの道幅である、往来からは外れた路地裏の方に続く道となる。
暗がりが幅を利かせだす時刻に人通りは殆ど無く、だからこそ絶えずそこから聞こえ続けている音に気づく者はいない、
その道の真ん中、舗装されていないのを良い事に剥き出しの土壌を掘削した大きな竪穴が開いていた。
そこを出所に、ざく、ざく、と、繰り返される音が立ち昇り続けている。
いや、不意にそれが止まった。穴の中から放り出される土が縁にへと積み上げられて行くのも。
そこからひょっこりと顔を覗かせるのは、一人のトゥニカを身に纏ったシスターであった。
「ふふふ…♪凡そ深さは6m程度…ちょっとした大人でも這い出るのは苦労する深さですわ…♪」
ウィンプルまで被った泥土で汚れてしまっている。
その手には墓掘りに使うかのような大きな円匙。
そして今言葉にした通りの深さだというのに穴淵にへと手をかけると、そのまま軽々と跳ねるようにして穴の外にへと飛び出して来てしまう。
「労働をすると良い汗をかきますわね…♪後はただの無益な穴掘りに終わらず、成果が出れば言う事も無し…♪」
ふ、と、額を拭う手の甲も土埃だらけ。
しかし、月明かりの差す下でその汚れが少しずつ消えて行く。
まるで衣装や肌の下にへと飲み込まれるように。
僅かな時間を数えるだけで肉体労働に従事していた証は跡形も無く、無くなってしまう。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にクレイドルさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からエレイさんが去りました。
■エレイ > ──ある日の夜。
男は人気の少ない夜道を、傍らにいる女性に肩を貸しながらえっちらおっちらと歩いていた。
傍らの女性はだいぶ酒に酔っているようで、殆ど男にぶら下がるようにしながら千鳥足でなんとか歩を進めている。
「……こう激しく酔っ払ってしまってはもつわけもない。とりあえずここに入って休もうず」
ちらりと女性を横目に見遣り、その酔い具合を見て苦笑を漏らす男。
度を越して飲みまくったのか、あるいは極端にアルコールに弱かったのか、それとも何か他の要因か──それはまあさておき。
男は安宿の前で一度足を止めると女性にそう提案し、返事を待たずにその中へと入り込んでいって。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にエレイさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からレベリオさんが去りました。
■レベリオ > 夜気に混じるのは、真夏に近い濡れたような空気。
その中に、響いていた足音が、ある刹那、まるで幻のように消える。
気配を感じさせるのを止めたせいか――それとも。
答えを知るのは、ただ、路地を人魂のように滑っていくランタンの光だけだった―――…。
■レベリオ > 月明かりに照らされる人気のない路地。
平民地区への近道、として使うものがいない訳でもないが
夜も更け始める時間ともなればそういう者も少ない。
空き家やあばら屋に囲まれた路地は視界も悪く
不心得者に引き摺り込まれて、それきり――なんて危険性も充分ある。
そんな中を、長身の影が歩いている。
貧民街には似つかわしくない仕立ての良い衣服に身を包む。
歩く足取りは、深夜の散策を楽しむようなそれに近いゆるりとしたものだ。
片手には申し訳程度に金属製のランタンを持っている。
けれど、そんなものがなくても存分に夜を見通すことができる。
人の気配のない家々、積み上げられ、崩れそうながらくたの数々。
「今夜は外れ、か――?」
唇が微かに解け、低い声音が零れ落ちる。
独り言。残念そうに、けれどどこか楽しそうに紡ぎ出す。
その唇からは微かに、犬歯というには些か長い白い歯が覗いて見えた。
散策と呼ぶには、いささか物騒な期待を秘めて
狩りと呼ぶには、いささか目的が明確ではない。
何かが起こるかも知れないし、起こらないかも知れない。
これはそういう時間の潰し方だった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にレベリオさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からアザン・フェーグスさんが去りました。
■アザン・フェーグス >
「……応援、早く来ないかねえ…」
結局男はその後も一人で黙々と作業を続けることになる。
まあ下種な男には…偶には、こういう因果応報があっても良いのだろう。
■アザン・フェーグス >
「…折角だから、こういう時くらい都合の良い女だのガキだのでもいればなあ…」
金が無いので女を買う事は出来ない。
であれば、立場を活かして痴漢行為でも…と思ったりもするのだが、生憎今日は男一人の雑用。
単調な仕事のストレスと、じわじわ昂っていく性欲に苛々を募らせつつ。
それでも一応真面目に仕事はこなすタイプの男は、せっせと準備に勤しんでいる。こんな男に声をかける様な物好きなど────
■アザン・フェーグス >
「……全く、どうして私がこんな雑用を…」
ぶつぶつ、と不満を垂らしながら木箱の山から資材を取り出し、積み上げる男。
ギルドで偶に行っている貧民地区への施し…まあ、寄付ありきなので滅多に行われないのだが、その準備をせっせと行う男の姿があった。
まあとどのつまり、炊き出しや配給の準備である。当日は此処にテントや簡易の受付を設置して、様々な支援をギルド職員が冒険者と共に行うのだろう。
流石にまだ本番前という事もあり、此処にあるのはそう言った設営資材や空の木箱だのなんだのといったものばかり。
それを整理したり、設営しやすい様に並べておくのが今日のアザンの仕事…なのだが。
「せめて目の癒しになる女くらいは一人くらいいても良い筈なのに……全く…」
と、見張りもいない状態であるのを良い事に愚痴を吐き放題。
それどころか、一応持たされていた配給用の食料やらお菓子やらに手を付けて貪り食っていた。まあ、何事かと尋ねられた時に配る様のものなので、無くなったところで…という部類のものではあるが。
「金も無いし、この後娼館にも行けない…。つまらん……はぁ…」
男の溜息が、貧民地区の一角に空しく響いていた。