2023/05/21 のログ
ご案内:「王都貧民地区/魔具店『シャイターン』」にアシュベールさんが現れました。
アシュベール > ―――気付けば、既に夜。
魔具の調整を行い、素材を集めに行き、買い取った過去の遺物の鑑定をし、こんな時間。
左目に付けていたモノクルを外し、熱を灯した掌で目元をぐりぐりと圧迫して、疲れ目を和らげる。
肉体は子供でも、何時間も椅子に腰掛けて様々な業務を行っていれば、疲労は貯まるのだから。

「んーぃ。……ふぁぁあ……今日も静かだったねぇ。
 ま、このぐらい静かな方が魔具の調整が出来て楽だけどねー……。」

相変わらず、シャイターンの店の入りは其処まで良くない。
そろそろ春先になってきたのもあり、冬物以外も色々と売り出そうと思っているが、まだいい感じのひらめきは出ず。

それならば、と色々と調整を終えたのが―――。

「ま。これが完成したからよしよしだーね。
 ……任意のダンジョンを作る魔具。遺物は凄いよねぇ。
 ……店限定のアトラクションとして、お客に此処に入ってもらうとか……案外面白そうかな~……。」

手の中にある、正八面体の魔具。其処の中には巨大なダンジョンが存在しており、
魔力によって、その中身を自裁に変える。それこそ、自分が呼び出せない魔物を生み出すことや、鉱物があるエリアを生み出して素材を得たり。
掘り出し物のそれを撫でながら、閉店前のちょっとしたのんびりタイム……。

アシュベール > 「新名物!魔具店ダンジョン!
 手に入れた素材は持ち帰り放題!……殺傷モードにしなければなんとでもなるしねー……。
 何なら、魔力を送れば……。」

正八面体に魔力が通る。―――その瞬間、うぞ、うぞ。とその中で蠢く何か。
影の触手のようなものが、その小さい物体の中で蠢くのは、そう。……エロトラップである。

「魔力を絞り出すことにも使えるしー……多分、これ。罪人とかを閉じ込めて都合よく拷問するアイテムだったんだろうねぇー……。
 ま、ぼくは鑑定士じゃないから、実際のとこはわかんないけど。」

きゅ、きゅ。その正八面体を磨きながら、魔力を止める。
同時に、中に映り込んだダンジョンの陰影は元に戻る。そうして、さらさらと―――チラシに筆を滑らせる。
そう、新しいチラシが必要だ。新たな目玉が出来たのだから。
……メグメールなどや九頭龍山脈にいけないほどの新人冒険者とかがいけるような、そんなダンジョンをお手軽に。
おそらく、チラシを見たところで「ホラ話」だと笑う人も多いとは思うが―――。
信じてくれた人には、まぁ、少しぐらい還元したい。

アシュベール > ―――さらり、さらり。響かせていた羽ペンの滑る音が止まった。
出来上がったチラシを見れば、どこか満足げ。
これまでのチラシに付け足されるように描かれた謎の正八面体と、ダンジョン説明。


「アトラクション始めました!」
王都から出るのが怖い。ダンジョンに入るのが初めて!
そんなあなたに魔具店ダンジョン!
ダンジョンを生み出す魔具で、貴女好みのダンジョンを作って挑戦しよう!
もちろん、クリア報酬はあなたのもの! 参加費:○○○ゴルド


「―――完璧。自分の才能が怖いねぇ……うへへ。」

アシュベール > 「さてと……後はこれを複製して、ちょっと何処かにチラシを張りに行く……のは、明日でよさそうだねえー……。
 ふぁ、もうこんな時間か。」

時計を見れば、1時半。良い時間だ。
チラシは近くにいるミミックに保管させて、後々複製の魔法でどうにかして、冒険者ギルドとか平民地区、貧民地区のそういった場所に貼りに行けばいいだろう。

今日は、店じまい。のそのそとお店の外に歩いていけば、扉を開け―――空を見上げる。

「あたたかくなってきたし、そろそろ春物、夏物も用意しないとねー……。」

黒い空は綺麗で、自然と目を奪われた。
肌を撫でる緩い風も、心地よい。
―――また、色々と考えながら、扉の札をくるりと回転させ、本日の営業は終了。

『OPEN』⇒『CLOSED』―――またのお越しを。

ご案内:「王都貧民地区/魔具店『シャイターン』」からアシュベールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にミルフィリアさんが現れました。
ミルフィリア > 貧民地区の一画にひっそりと佇む孤児院
子どもの数は多い時でも十数人と、それほど大きくはない。
木造の建物はかなり古びてはいるものの、手入れはされているらしく、
朽ちてはいないだけこの区画にしてはマシなほうだろう。

そんな孤児院に併設された小さな礼拝堂
こんな貧民地区では、信者の数も数えるほどしかなく、訪れるものも滅多には居ない。
炊き出しでもあればまた別なのだろうけれど、そんなお金があれば子どもたちの食費に消える。
それでも辛うじて礼拝堂の形を保っているのは、年若いシスターが丁寧に手入れをしているからだった。
今日も掃除を終えたシスターが、一日の終わりの祈りを捧げている最中で。
罅の入ったステンドグラスを背にした聖像へと感謝の聖句を唱え。