2023/04/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にミルフィリアさんが現れました。
■ミルフィリア > 貧民地区に居を構える孤児院
治安の悪いそこにあっても、子どもたちの声は賑やかだった。
「はい、今日のおやつは特別です。なんと『パンの耳のカリカリ揚げ』です。」
見た目は孤児院にいる子どもたちよりも僅かに年長と言えるくらい。
そんなシスターが麦わらを編んだ笊に入れて持ってきたのは、本日のおやつ。
それに、わぁーっと子どもたちの歓声が沸く。
それもそうだろう。おやつが出るということ自体が滅多にないこと。
そればかりか、貴重な油と、少量とはいえ砂糖を塗したそれは、子どもたちにとって紛れもないごちそうで。
我先にと奪い取るようにして群がる子どもたちを躱しながら、均等に配っていく。
「はい、がっつかない。ちゃんと並ばないと、配りませんから。」
どんよりとした貧民地区にあって、ここだけは春の日差しが溢れているようにも感じられ。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にエデンさんが現れました。
■エデン > 珍しくも賑やかな孤児院。
先客であった彼女とは別件で、その孤児院に姿を現したのは冒険者風の女性だった。
この孤児院への配給される物資の運搬、その護衛としての雇われ護衛。
大層な物が運ばれる訳でない為、ほぼ危険性のない仕事だ。
とはいっても冒険者としてそう高い腕を持たない自分にとって、数少ないらしい仕事である。
「……あら?」
たまに請け負う仕事もあって、普段と違う孤児院の様子にはやはり気付く。
それに気付けば気になってしまい、おやつを配られるその場にひょっこりと現れた。
■ミルフィリア > 少女に突撃していた子どもたちも、ひらひらと躱され続ければ、やがて諦めて大人しく並ぶことになる。
そうしなければおやつ抜きになってしまうのならば、選択肢はひとつしか存在しえない。
そんな子どもたちにおやつを配り終えると、頭を撫でてやりながら。
「あら……ご苦労様です…? 何かご用事でしたか?
もしかして、これが欲しいとかでしょうか…?」
ふと、こちらを見る視線に気づく。
そこには、まだ年若い冒険者風の少女の姿。
確か先程、物資の運搬が来ていたから、その護衛だろうとは察するけれど。
こちらをじっと見ている理由までは分からない。
しばらく首を傾げていたけれど、手にした笊に残ったパンの耳を摘まみ上げると、少女の方へと差し出して。
■エデン > 覗いてみれば、なるほどと納得が出来る。
孤児院の子供達が、その手その手に何かを持って美味しそうに頬張っていた。
遠目ではちょっと判別出来ないが、お菓子か何かなのだろうとは予想出来る。
そうして覗いていれば彼女と視線が合ってしまい。
なにやら首を傾げて考えていた後に、何かを求めていると勘違いして声をかけてきたみたいだ。
「ああ、ごめんなさいね?
別に用事があったとかじゃないのだけど、あんまりにも賑やかだったもの、気になってしまって。
えっと、これは?」
それでも、気になったのは確かなのだし、それは正直に答えながら。
仕事も終わったのだしせっかくだからと、少女の元へと近付いてみる。
差し出されたものを見てみるも、ぱっと見は何かいまいち分からなくて。
彼女に続いて今度はこちらが首を傾げながら、そう聞いてみるのだった。
■ミルフィリア > 少女の言葉に、「あぁ」と納得の声を上げ。
「ごめんなさい、煩かったでしょうか。
みんなたまのおやつだから、はしゃいでしまったようで……」
用事があったわけではないと言うなら、問題はなかったのだけれど。
煩くして気に障ったのならば、と申し訳なさそうに頭を下げる。
「これですか?
パン屋さんからいただいたパンの耳です。
精肉店でいただいた油で揚げて、少しだけ砂糖をまぶしたものです。
『カリカリ揚げ』って呼んでいるんですけど……おひとついかがですか?」
いただきものだから、原価はタダ。
砂糖だけは買ってきたものだから、多少のお金はかかっているけれど、それも少量だけ。
表面に軽くまぶすことで、少量でも甘さを感じられるようにしてある。
そんなきつね色の棒状のものをひとつ差し出して。
■エデン > 「あ、別に良かったのよ?
賑やかなのって、楽しくなって良いものね?」
自分としても、こうした子供達の賑やかさは見ていて楽しいと思えるものだから。
申し訳なさそうに頭を下げる彼女へと、小さく手を振って気にしないで、と伝えて。
「パンの耳?これが?
そんな調理法で、こんな美味しそうになるのね。
あ、私も貰ってしまって良いのかしら…
ならせっかくだし、みんなには悪いけど、1個だけ私も頂かせて貰っちゃうわね?」
マジマジと差し出されたパンの耳を見詰めてから、少女の説明に感心した様子で。
周りの子供達に笑顔を向けて、そう断りを入れてからそれを受け取って。
さっそくと一口分を頬張ってみる。
「あら、思ったよりも美味しい。
確かにこれなら、おやつとして申し分なさそうね。
私も機会があったら作ってみようかしら」
口に広がる甘味に少し頬を緩めながら、彼女にも笑顔を向けてそう伝えてみるのだった。
■ミルフィリア > どうやら気を悪くして、こちらを見ていたのではなかったらしい。
子どもたちに対して、好意的な相手にほっと肩の力を抜き。
それもそうだろう。いかに護衛依頼とはいえ、金額も安いもの。
場所が孤児院だと分かっていて、それでも引き受けたのだから、
少なくとも子ども嫌いということはないだろうことは想像できて。
「それならよかったです。
はい、ちょっと生臭かったりするかもしれませんけど……
一応、臭い消しにハーブも混ぜ込んであるので。」
何といっても油も貴重品。いただきもの故に、その品質は推して図るべき。
少女がそれを手に取れば、口に合うかどうか。
カリカリとした食感だけでいえば、大人であっても十分に楽しめる自信はあるけれど、
味となると少々自信がない。
こちらのそんな内心とは裏腹に、どうやら及第点は貰えたらしい。
「そんなに日持ちしないので、作ったらすぐに食べるのがお勧めです。
それはそうと、お仕事お疲れ様です。ありがとうございました。」
油が回ってしまうと、カリカリ感もなくなるうえに、味もくどくなる。
そう注意点を挙げてから、ぺこりと頭を下げた。
仕事ではあるのだろうけれど、孤児院の運営に協力してくれる人というのは大事なもの。
話している間にも、おやつを平らげた子どもたちが、構って欲しいらしく手を引いてくるのをあしらって。
■エデン > 見ていてわかる、彼女はこちらに気を遣っているのだろうと。
冒険者がこんな場所にやって来たら、確かにそうなってしまうのはしょうがない事かもしれない。
それがちょっと悪く思えたのだけど、彼女の人柄の良さを感じられて、つい小さく笑ってしまう。
「そうなのね、あんまり匂いとか気にならなかったから、そんな気遣いにも気付けなかったわ?
色々と工夫を凝らしているなんて、大したものね」
いわれてやっと気付けた、みたいな様子で少しだけパンの耳の匂いを嗅いでみるのだが。
いまいちわからなかったらしく、また首を傾げながらそう答え。
知れば知る程に、少女の腕に感心させられる。
「ええ、わかったわ、ありがとう。
うふふ、そんな大層なものじゃないからお礼なんて良いのよ?
貴女も子供が好きみたいね、私もそうだもの。
ところで、貴女はここの新しい人かしら?
違ったらごめんなさいね?何度か来ているけど、見掛けた事がなかったから」
彼女の説明に何度か頷き応えながら、改めて頭を下げる彼女に、再び手を振って…なんて、同じ事を繰り返す。
子供達と同じく自分もおやつを食べ終えれば、ふと気になった事を彼女に聞いてみる。
気になったから、というのもあるのだが、彼女に興味を持ったから、という理由もあるのだけど。
■ミルフィリア > 「そんなに手放しで褒められると困ってしまいます……
大したものではないんですよ、ほんとに。」
いただきものに、ほんの少し手を加えただけ。
大仰に褒めてくる相手に、そう言って、はにかんで見せる。
お金がないなら、ないなりに工夫するのは、当然のことで。
「子ども好きな方に悪い人はいませんものね。
あ、申し遅れました。見習いシスターのミルフィリアと言います。
ここには、少し前からお手伝いでお邪魔させていただいています。」
子どもが好きだという少女には、ぱっと顔を輝かせる。
それは何かあった時に助けを求められるという打算的なものでもあるし、
同じ嗜好の仲間を見つけられた喜びでもある。
そして向こうからの指摘にハッとしたように居住まいを正して頭を下げる。
その礼は、貴族のそれと比べても見劣りしない洗練されたもので。
見る者が見れば、どこかの貴族令嬢が行儀習いの一環で奉仕活動をしているのかと思われるだろう。
仮にそうだとするならば、こんな貧民地区ではなく、富裕地区の教会に配属になるだろうけれど。
■エデン > 「そうかしら?
出来合いのものを美味しく出来るのも、一つの才能って思うもの。
料理が苦手な私からすれば、羨ましいものよ?」
彼女にはそういうも、実際には苦手ではなくて可もなく不可もなく、の料理しか作れない。
有り体な料理だけで工夫も出来ない自分からすれば、確かに羨ましいものなのだ。
「子供好きに悪い人はいない、私もそう思うわ?
あっと、そうだったわね、私は冒険者のエデンよ?
そう、それならこれから会えるかもしれないし、よろしくね?」
お互いの共通点に顔を輝かせる彼女。
そんな可愛らしいところを見せられれば、自然とこちらも微笑を浮かべてみせる。
そして、改めて礼をする彼女の姿に、礼儀作法も大したものかと思いながら。
より興味を強く抱く彼女へと、軽く目線を下げて視線を合わせ。
「それで、ミルフィリアさん、後のご予定はあるかしら?
せっかくの出会いだもの、もうちょっとお話とかしたいから、この後に時間があればご一緒したいって思うのだけど…」
そう彼女へと、ゆっくりと言葉を伝えるように聞いてみるのだ。
■ミルフィリア > 「才能だなんて、そんな……
そりゃあ、最初からこれができたら才能かもしれないですけど、いろいろ試してみた結果なだけですよ。」
褒められ慣れていなのか、ぶんぶんと首を振る。
やや子どもっぽいその仕草は、孤児院の子どもたちとそうは変わらないようにも見え。
自分でもその自覚はあったのだろう。
恥ずかしそうに、赤く染めた頬に手を添えて。
「エデンさんですね、今後ともよろしくお願い致します。
この後ですか……? そうですね……」
遊んで欲しそうにしている子どもたちをちらりと見遣る。
それを差し引いても、掃除や洗濯などやるべきことは多かったりするのだけれど。
目が合った少女のことを何故だか無碍にはしづらく。
「少しだけでもよろしければ、構いません。
お茶でも淹れましょうか。」
子どもたちには、ちょっとお話ししてくるから遊んでいてね、と断りを入れる。
掃除や洗濯は少しくらい遅れても問題はないだろう。
食事の準備のほうは、今日は別のシスターが当番だから問題ない。
そう算段を付けて、古びた孤児院の一室へと案内しようと。
■エデン > 「私だったら、それを試そうとさえしないもの。
そうしたものを思い付いて、試そうってするだけでも十分じゃない?」
現状で満足してしまう自分とは違って、彼女はその上を目指そうとする、その違いは大きいのだろう。
そんな事を思いながらも、褒められ、恥ずかしがる彼女に目を細めて。
彼女の仕事がどれ程のものかはわからない。
だから、その言葉に彼女が断りを入れのもしょうがないかとは思っていたのだけど。
承諾を得られれば、嬉しそうにポンッと手を叩く。
「本当?それは嬉しいわ?
少しでもお話をしたいし、美味しいおやつも頂いたもの。
普通にお話出来れば良いし、オトモダチとして気遣いとかは無しにしましょう?
ミルフィリアさんとは、きっともっと仲良くなれそうだもの」
彼女に続いて、子供達へはお姉ちゃんをちょっとだけ借りるわね?と伝えておいて。
案内をしようとしてくれる彼女の隣に、それではお願いね?と耳元で囁くように伝えるのだった。
■ミルフィリア > こちらの了承に嬉しそうな表情を浮かべる少女
それを見れば、多少の無理は致し方がないと思ってしまう。
仕事をさぼるわけではないし、と自身に対しては言い訳じみた言葉を心の中で漏らし。
「ごめんなさい、おやつはあれだけしかないんです。
お友達……ありがとうございます。こちらにどうぞ。」
残念ながら、お茶はあってもお茶菓子はあれだけ。
仮にあったとしても、子どもたちに隠れて食べるという訳にはいかないだろう。
会ったばかりだというのに、友達と呼んでくれる相手に気恥ずかし気にお礼を向ける。
好意を向けられると、それを返したくなるのが人情というもので。
「ひゃっ……び、びっくりしちゃうじゃないですか……」
案内しようとした矢先に、耳元に囁かれたものだから、小さく驚きの声を上げてしまう。
跳ね上がった心臓の鼓動を宥めながら、改めて孤児院の食堂へと案内する。
そこは日当たりも良く、古びてはいるものの、掃除が行き届いていた清潔感のある場所だった。
10人ほどが掛けられるテーブルへと勧めると、「少し待っていてくださいね」とお茶の準備のために台所の方へと向かい。
■エデン > 彼女のそんな考えまではさすがに読み取れず、ではあるが。
無理まではさせるつもりはないので、取って貰う時間の判断は彼女に任せる事とする。
彼女が良いというまでは、一緒に居させて貰う事となるだろう。
「大丈夫大丈夫、貰えるなんて思ってなかったら、貰えただけで十分よ?
うふふ、良いかな?とは思っていってみたのだけど、ミルフィリアさんも認めてくれて嬉しいわ?」
それは自分も思っている為、それで十分と伝えておいて。
彼女が自分との友達である事にお礼をいえば、こちらも同じだからとお礼で返す。
本当に、良い人だから…もっともっと、深く関わりたいと、そんな思いが強まって。
「あっと、ごめんなさいね、嫌だった?
ミルフィリアさんと、もっと仲良くするにはどうしたら良いかなって思って、つい、ね?
そうじゃなかったら、私はもっと嬉しくなるんだけど…」
囁いた時の、その後の、彼女の反応を終止横から見詰めて確かめていれば。
その変化には何となしに気付き、細く笑む。
言葉の通りで、彼女が嫌がりさえしなければ、ぴったりと身を寄せて案内をされる事だろう。
それこそ、人から見たら本当に仲が良いかに見えるかのように。
案内の合間に見詰めては、ちょっと言葉を交わしたりとしていって。
そうしてゆけば、案内先の食堂へと到着するまでに少しは彼女の想いが傾けられる事だろうか。
そんな変化も楽しみにしつつも、勧められるままにテーブルの席へと座る。
■ミルフィリア > さほど広いわけでもない孤児院の中
食堂まではすぐだった。
とはいえ、その間にぴったりと身体を寄せられていれば、戸惑いもする。
今日というか、ついさっきで会ったばかりの相手。少し距離感が近すぎる気がする。
そんな気がするのだけれど……
「あ、あの……その、嫌って、わけじゃ……ないんですけど……」
ぐいぐいとこちらに踏み込んでくる少女を、どうにも突き放せない。
事実、好意を向けてくる少女のことは、嫌ではないのだけれど。
ぴったりと身を寄せる姿は、子どもたちの年齢であればともかく、仲が良いというのを通り越しているようにも思えて戸惑うばかり。
ただ、伝わってくる温もりは、決して嫌なものではなく。
それでも食堂に着くと、素直に席に座ってくれたことに安堵する。
台所に消えてしばらくすれば、優しい香りを立ち昇らせるポットを手に戻ってきて。
「お待たせしました。
ここの庭で採れたハーブのお茶ですけれど、苦手じゃないですか?」
人によっては香りが駄目だという人もいる。
念のために香りを嗅いでもらって、大丈夫そうならカップに注ごうか。
大きなテーブルは、ふたりだけが向かい合わせに座るには、少し大き過ぎる。
そんなわけで少女の隣に腰掛けて。
■エデン > 食堂まで、どちらかといえば距離的には近いだろう。
そんな距離であろうとも、彼女が身を寄せる事を嫌がらずに戸惑いながらも受け入れてくれる。
密着同然の近さと、その距離で言葉を交わすなら同じように耳元近くでの囁きとなるか。
「良かった、私ってその人と仲良くなりたいって思うと、距離感が近くなるっていわれてしまう事があってね?
もしかしたら、ミルフィリアさんが嫌がっているんじゃないかなって、ちょっと心配だったのよ?」
食堂前の辺りである頃合を見計らい、そんな言葉を彼女へと伝える。
自分の近過ぎる距離感に、実は不安があるような含みを持たせれば、彼女の性格ならば…との打算的な考えあるが、それは表に出さずで。
そうして席に座って待っていれば、お茶の注がれたポットを持って戻って来る彼女。
「私は特に好き嫌いがないから、大丈夫よ?
ありがとう、ミルフィリアさん。
……うん、良い香りね」
改めて気を遣う彼女の言葉に、笑顔のままそう答えれば。
隣に腰掛ける彼女を横目で見ながら、そっと身を寄せるようにしてから、カップに注がれたお茶に匂いを楽しむ。
心配していた香りを褒めた後、そのまま、優しく彼女の頭に手を伸ばし、撫でようとするのだが。
そこは彼女の反応次第で手を引っ込めるか、撫でるかは決めておこう。
■ミルフィリア > 食堂手前で、密着するような相手から告げられた内容
それで戸惑いが消えるかと言えば、そうはいかないものの。
それでも、そっれなら仕方がないかとは思ってしまう。
「えと、嫌がってはないから……そこは安心してください。
その……ちょっとびっくりしただけですから。」
自分からすれば、年上に見えそうな少女であってもまだまだ子ども。
頼られている様子に悪い気はしないから、少し不安そうな相手を、そんな風に宥め。
ハーブティが問題ないと知ると、ほっとした笑みを浮かべ。
「良かった。このハーブには心を落ち着かせる効果があるんです。
えと……なんだか、恥ずかしいですね……」
香りも気に入って貰えたみたいでひと安心。
自分の分もカップに注ぐと、一口つける。
と、不意に頭を撫でられる。
今度は驚きの声こそ上げなかったものの、子ども扱いというか、なんというか。
見た目だけでいえば、ほんの少しお姉さんな少女から褒められるように撫でられている。
そんなシチュエーションには、気恥ずかしさが先に立ち。
頬をほんのりと赤く染め。
■エデン > 今の彼女の言葉にはきっと一切の嘘や誤魔化しはない。
その言葉の通り、自分が思っていた通り、彼女は戸惑うも受け入れている。
そして、頼られる事も悪く捉えたりはしない。
少しずつ彼女を知れる事に、喜びを感じながらも。
「あら、そうなのね。
心を落ち着かせる…うふふ、でも、ミルフィリアさんは、ドキドキしてるみたいね?
私がそうしてしまっているのだったら、ちょっと嬉しいかも…どう?」
香りを楽しんだ後に彼女に続いて自分も一口。
頭を撫でてみれば、やはり恥ずかしながらも大人しく撫でられるみたいで。
そうして優しく撫でてあげながら、先程のように耳元で囁き。
その囁きに彼女がまたも恥ずかしがるだけで悪く感じてない様子なら、赤くなった頬に触れるだけのキスを落としてみるのだが。
■ミルフィリア > 恥ずかしそうに撫でられてはいたけれど。
またも耳元に囁きかけられると、ほんのりと赤かっただけの頬が、一気に赤く染まる。
「そ、そんなこと……うぅ、ちょ、ちょっとだけ……」
こちらも内緒話でもするかのように、小さな声で返す。
耳元で囁かれるのは、何故だかドキドキしてしまう。
それは睦言を交わしているみたいだからなのか、耳が敏感なためなのかは、自分でもよく分からない。
けれどもそう問いかけられると、素直に告白してしまう。
というのも、相手が嬉しいと言ってくれたからで。
「え?……え、えと……エデンさん……?」
俯き加減で恥ずかしがっていると、頬に柔らかいものが触れる。
それが離れてしまってから、ようやくキスをされたのだと知れて。
驚いたようにぱちぱちと蒼い瞳を瞬かせ。
■エデン > 耳元の囁きに彼女はより強い反応を示す。
真っ赤になった顔を覗き込み、返す小声にニッコリと浮かべた笑みを向け。
「そう、良かった。
実はね?ほら、私もドキドキしてるのよ?
会ったばっかりなのに、不思議ね?
もしかして、私達の仲って相性が抜群なのかしら?」
お互いに小声で交わす、密談のような会話。
そう強く思わせるという思惑もあるが、更に彼女の想いを強めるかのように。
そんな言葉と共に彼女の手を取り、自分の胸へと当てさせる。
彼女と違い、彼女の想いが強まる事に興奮を覚え早まっている鼓動だが、それを感じた彼女がどうそれを受け取るのか。
「あら、ごめんなさい?
ミルフィリアさんが、あんまりにも可愛らし過ぎて…嫌だったら謝るわ?
でも、そうじゃなかったら…とても嬉しい」
恥ずかしがっているところへのキスに更に驚く彼女だが。
そんな彼女へと、そう言葉を続けてみせる。
彼女の肩を抱いてこちらへと向けさせて、真っ直ぐにその目を見詰め。
そうした時の彼女の仕草に嫌がるような素振りがなければ、ゆっくりと顔を近付けてゆくのだ。
勿論それは、今度は彼女の唇を優しく奪う為に、だが。
■ミルフィリア > 少女に手を取られ、そして押し当てられる。
どこに? それは少女の胸元に、だった。
柔からな弾力を感じさせるそこは、自分のものと比べてあまりに違う。
そして何よりも、ドキドキと高鳴るような鼓動が感じられてしまう。
自分と同じ。
そう思わされてしまうには十分で。
「か、可愛らしい……なんて………」
隣に座った状況から、身体を真正面へと向けさせられる。
けれど、少女の顔を魔法面からは見られない。
真っ赤に染まった表情で。俯き加減でいたけれど、そっと上目遣いに窺うような仕草を見せ。
ゆっくりと近づいてくる少女の顔。
小さく漏らした声が相手にまで届いたかどうか。
嫌がる素振りは見せない。ただ自然と瞼が閉じられてしまい。
■エデン > 自分の鼓動を彼女に感じさせながら。
今度は自分の手を彼女の胸に添えてみる。
きっと、同じような鼓動の速さを感じ取れるのだろう。
「本当なんだから、自信を持って?
ミルフィリアさん…大好きよ?」
向き合うようにすれば、俯き、上目遣いに。
そして顔を寄せてゆけば、その瞼が閉じられる。
その仕草を確かめた後、チュッと触れるだけのキスを彼女へと与えた。
「受け入れてくれてありがとう、ミルフィリアさん。
大好きな貴女との2人の時間、また作りたいって思うのだけど、どうかしら?
もし良かったら、ここに連絡して欲しいわ?
私も、貴女が大丈夫なら時間を作って連絡をするから…良いかしら?」
コツンと額と額を合わせ、彼女へとそう伝える。
こちらの連絡先は彼女の答えがどうであれ手渡すのだけど。
彼女の承諾が得られたなら、きっと時間が出来た時に彼女への連絡をするのだろう。
そうした遣り取りの後に、残ったお茶の味を楽しんで。
もう少しだけ、彼女を抱き締めたりして温もりを確かめてから、孤児院を後にするのだった。
■ミルフィリア > 大好き、と言われると、思考が停止してしまう。
それは歳を重ねても、そうそう言われ慣れない言葉で。
そのままキスをされると、閉じていた瞳は、すっかり潤んでいて。
こつんと額同士がぶつかり合う。
こんな出会ってまだ1時間も経ってはないのに、おかしいと思う。
その一方で、もっとこうして居たいという思いもあって。
連絡して欲しい、というお願いには、小さく頷くのが精一杯。
抱き締められると嬉しそうに、でもやっぱり恥ずかしそうに微笑んで。
孤児院の玄関まで見送る際には、こちらの方から甘えるように身を寄せていたのが子どもたちにも見られたことで―――
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からミルフィリアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からエデンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にミルフィリアさんが現れました。
■ミルフィリア > 貧民地区の一画にひっそりと佇む孤児院
子どもの数は多い時でも十数人と、それほど大きくはない。
木造の建物はかなり古びてはいるものの、手入れはされているらしく、
朽ちてはいないだけこの区画にしてはマシなほうだろう。
そんな孤児院の小さな裏庭から、子どもたちの賑やかな声が響いていた。
仮に覗きこめば、大きなタライに水を張って、洗濯している様子が見て取れるだろう。
まだ幼い子どもたちにとっては、水遊びの延長のようなもの。
子どもたちに交じって、世話係だろう修道服姿の少女の姿も見える。
明るい春の日差しは、洗濯ものには絶好の日和と言え。
多少の難点があるとするなら、修道服の裾を持ち上げて素足を晒した格好ということくらいか。
大きなシーツを洗おうとすれば、手で洗うよりも足で踏んだほうが効率が良いのは違いないのだけれど。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にジェイクさんが現れました。
■ジェイク > 暖かな春の日差しに、無邪気な子供達がはしゃぐ笑い声。
牧歌的な光景は、まるで長閑な辺境の村を想像させる。
だが、此の場所は背徳と退廃が蔓延る王都マグメールの中でも治安が悪い貧民地区。
強盗、殺傷、詐欺、強姦、そんな犯罪行為は日常茶飯事で、
犯罪を取り締まる筈の衛兵達も、悪党の仲間であり、憐れな犠牲者を助ける者は何処にもいない。
そして、その貧民地区には似付かわしくない和やかな光景に
土足で足を踏み入れて、踏み躙ろうとするのは件の衛兵達であった。
「よぉ、シスター。今日も元気に神の思し召しに預かってるか?
そのお裾分けを俺達にも分けてもらいたいんだがなぁ」
複数人の柄の悪そうな面持ちの男達は孤児院の裏庭に無断で立ち入ると、
はしゃぎ回る子供達に一瞥を与えながら、にやにやと口端を歪めて世話係の修道女に話し掛ける。
分かりやすい、みかじめ料の請求をチラつかせながら、
彼女の衣服の裾から覗いた素足に囃し立てるように口笛を吹き鳴らして煽り。
■ミルフィリア > 穏やかな日常に土足で踏み込んでくる衛兵たち
幾ばくかの補助金を国から貰っている一方で、こうして国の役人から搾取もされる。
マッチポンプのような状況ではあるけれど、それに対して不満を言ったところで何が改善されるわけでもなく。
「みんな、部屋の中に入っててね。」
まずは何よりも、子どもたちを安全な場所へと移動させる。
年長の子どもたちが中心になって、すぐさま動いてくれるのはありがたい。
そうしてから、衛兵たちに頭を下げて。
「毎日のお勤めご苦労様です。
おかげさまで、恙無く過ごさせていただいています。
準備させていただきますので、少しお待ちください。」
濡れた脚を拭きもせずに、謙った挨拶を述べ。
相手の要求がみかじめ料だけなら、まだ安いもの―――決して安価ではないけれど。
毎度のことながら、はたして金庫にどれほどの現金があっただろうか。
少し足りないかもしれない。そんな不安を押し殺して、相手に渡すお金を取りに行こうとして。
■ジェイク > 貧民地区での孤児院運営、その立派な志には金銭が必要となる。
衛兵達に支払うのか、或いは、この辺りを根城にするゴロツキ達に支払うのか。
孤児院の責任者は、まだマシであると考えて前者を選択したのだろうが、両者に大した違いなどありはしない。
未だ年若い修道女の一声に、子供達が遊ぶのを止めて隠れるように逃げるのを見届けながら、
複数人の兵士達の先頭、彼女に話し掛けてきた黒髪の衛兵は口端を歪めて嗤い。
「子供達は元気でいいねぇ、シスター。俺たちは子供も大好きだぜ」
何処まで本心であるのか、別の含みを持たせているのか。
肩を震わせながら笑うと金銭を取りに帰ろうとする少女の後に続き、
その肩へと馴れ馴れしい手付きで触れながら、
「いやぁ、悪いな。話が早くて助かるぜ。シスター、……名前は何だったかな?
二度手間になるから、俺達も一緒にあがらせてもらうぜ」
有無を言わさぬ口調にて、肩から腰へと廻した手を滑り落としながら、
孤児院の中へと兵士達は無理矢理にでも押し入っていき――――。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からジェイクさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からミルフィリアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にガイルさんが現れました。
■ガイル > 娼館が並ぶ貧民地区、唯一の歓楽街。
夜に花開くその一帯は煌々と眩しく明かりが灯され、露出度の高い服を着た花売りたちが客引きをしている。
腰に下げたショートソードに腕を掛けながらぶらぶらと見回る赤髪の大男が一人。
誰かが「ガイルー!」と呼ぶ。ひらりと手を振る。
「仕事が終わったらなァ。それまでに良い客、そのでけぇケツで引っかけろよォ」
笑う遊女の声にケラケラと笑い返し、大男は生まれ育った庭である娼館通りを歩く。
生まれも育ちも娼館街。大男はこの地区の用心棒。
娼婦に男娼ならば知ってる顔。ここへよく来る客も目立つ男を見たことがあるかもしれない。
初めてくるなら気さくに声をかけるだろう。懐具合によって良い娼館を紹介する。
悪さをする貧民地区の卑しいネズミやら犬やらを追い払って、金を貰って女を抱く。たまに男も抱く。
今日も仕事に励んでいるわけである。
■ガイル > 貧民地区という場所柄、悪道を行く者は多いので、大男の仕事は夜の歓楽街からそれらを追い払う役目だ。
とは言え、客引きの女たちの腰を抱いたり軽口で誘いを受けたりしているので、全然そんな風には見えなかったかもしれない。
盗みを働く者には足を引っかけてふんじばり、娼婦たちに絡む柄の悪い客は頭を鷲掴んで引きずってポイだ。
そんな風に、客引きの時間が過ぎるまでぶらぶらと慣れた道を歩いている。