2023/03/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にファラさんが現れました。
ファラ > 「待って、おねがい、待って…! どなたか、捕まえてください、まし…!」

叫び通し、駆け通しで、ふと気づけば見知らぬ界隈に入り込んでいた。
息を弾ませ、苦しげにお仕着せの胸元を押さえ、ふと、気づいて辺りを見回した時。
女の上気した顔は、困惑に彩られて曇り、

「ぇ、……… ぁ、ら、ここ、……一体……?」

疲れ果てた足を止め、うらぶれた通りに佇んで。
ほつれ髪を片手で撫でつけながら、きょろきょろと周囲を見回し、

「おかしいわ、……わたくし、どこまで来てしまったのかしら」

主人の使いで、平民地区のとある商店へ出向くつもりだった。
預かった金子をすられ、すぐさま気づいて追い駆けたは良いが、
どうやらまんまと逃げられてしまったようで。

―――――そればかりか、女は迷子になってしまったようだった。

「どう、しましょう、……どなたか、に、道を、きいて……」

人通りは皆無、建ち並ぶ建物も、廃屋なのかまるで人の気配がしない。
女は仕方なく踵を返し、とぼとぼと歩き始めた。
当人は来た道を引き返しているつもりだが、実はまるで見当違いの方へ歩き出している。
しかし残念ながら、この場にそれを指摘してくれる者は居らず。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にグスタフさんが現れました。
グスタフ > 路地裏に女の声を聴いて、義務感半分・物見遊山半分で声のした方を探る。
その姿を発見した時には女は一人で他に誰もおらず途方にくれているようだった。
乱れ髪が妙に艶めかしい。誘われるように声をかける。

「こんなところにおひとりかい?」

声をかける。迷っているという相手に頷いて。
騎士の素性を明かして腕章を見せる。そこまでは嘘偽りがない。
男は持っていた水筒を手渡して続ける。

「ほら、とりあえず落ち着いて水でものみな。
 …そいつはお気の毒に。道案内も、その金を探すのも――協力しようじゃないか」

にやりと笑う男は怪しい手つきで彼女に手を差し出した。

ファラ > 土地勘のない界隈で、不意にかけられた声。
ぎくりと肩を揺らして振り返った時、女の顔はきっと、
男に対する警戒心で強張っていたことだろう。

しかし、相手は騎士であるという。
差し出された水筒を、ほとんど反射的に受け取って。
たぷん、と聞こえた水音に、乾いた喉がこくりと鳴った。

「ぁ、ありがとう、ございま、す、騎士様……、
 ―――――… え、いえ、でも、あの、そこまで、は……あの、」

見ず知らずの相手に、そこまで頼っても良いものか。
曖昧にかぶりを振って、協力までは断ろうとするけれど、
差し伸べられた手には、やはり、ほぼ反射的に片手を預けてしまっていた。
道案内程度なら、――――それにこの水筒の中身を、ひと口頂くくらいなら。
そんな女の甘い考えが、男に付け入る隙を与えることになるのだろう―――――。

グスタフ > 【移動します】
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からグスタフさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からファラさんが去りました。