2022/11/18 のログ
ニーニャ > 「こんなところも、あるんですねー…」

段々と、息が荒くなってくる
けれどクィンスさんに迷惑をかけるわけにはいかないと
がんばって歩いていたものの…
魔族の血を引くとはいえまだまだ子供で、しゃがみこんでしまった
けれどそれでも、同じ迷子仲間のクィンスさんは背中を向ける
そして、おぶってくれるというから目を真ん丸にして。

「え…、いー、んです、か?」

遠慮がちに、おずおずと手を伸ばすも少しだけ止まって
本当にいいのかな、とためらってから…このまま止まっていても危ないと
ゆっくりその背に体重を預けて。首に軽く手を回し、足で胴に巻き付くようにして

「ん、しょ、と……。お、重くないです、か?」

道もまだわからないのに大丈夫だろうか…と
どこか安心した心地を覚えつつも心配になって

クィンス > 「うち、ここでお友達一人ほかっといて、一人でいってまうような、
薄情やないで?」

にっこりと笑ってみせる。
まだまだ子供なのは解っているし、もうすぐ夜になるまで歩いているのだ。
疲れないはずがないし、本当なら泣き出してもいいくらいだ。

だけど、帰り道がわからない以上、このままではじり貧だろう。
ここは仕方がないと…。

「ん、大丈夫やで?うち、大人やもん。」

重いか重くないかなんて、そんなものは気にもしない。
しっかりと体に巻き付いたニーニャを背負い、ゆっくりと立ち上がる。
女にしては、平均よりも高い身長で…。

「さて、ニーニャちゃん。
さすがにもう、危ないかもしれへんし…、お泊りする覚悟はできとる?
お金は心配せんとき、うちが持ったるさかいに。」

うちはかまへんよ、と肩越しに見やる。
お金を心配しているならば、おそらく問題はないだろう。
これでも根無し草生活なのだ、お金はそこそこ持ち歩いている。

ニーニャ > おねーさんが居なければ、ぐずって泣き出していたことだろう
取り乱さずに色々お話してくれたり励ましてくれるからこそ何とか限界まで歩き続けられた

視界がぐん、と上がると着物越しの体温に安心しているのか甘えるように顔をすりすりとクィンスおねーさんの首元にこすり付ける
更に少し力を強めて、ぎゅぅ、と音がしそうな抱き着き方

その途中、確認の声が聞こえてくればこく、と頷いて

「え、あぅ…。でも、私も少しだけ払える、よ?
でも…お泊りは、楽しいから好き…」

疲れているのか、少し抑揚の薄い言葉で
覚悟と言われても…ニーニャの記憶ではお泊りは楽しいものだ
場所についてはこわいところだけれどおねーさんと一緒なら怖くない

「じゃあ、今日は…一緒に寝よ?
ぎゅーしてないと、ゆーかいとかされちゃうかも。」

とは言っても寝る時は別。
家でなく、またまともではない場所で寝るなら少し安心を足したいと、そんなおねだりを。

クィンス > よく頑張った、とほめるべきだろう。
女性特有の、細い身体でありながらもしっかりとそこにある身体を抱きしめられた。
それも、さして気にすることもなく、むしろ笑みすら浮かべながら。

「ええて、ええて。これはうちがそうしたいだけなんや。
そもそも、大人が子供にお金を出されるとか、カッコ悪いやん。」

だから、ここはお姉さんに任せてほしいと言って見せた。
お泊りは楽しいもの、という一言に、せやね、と答えて見せた。

「…うちね、こうやって誰かと一緒におしゃべりすんの、好きやねん。
せやから、今日は一緒にな?」

少しでも安心したいニーニャと、少しでも話をしたいクィンス。
少しミスマッチかもしれないけど、安心してもらえるなら、それでいい。

「ええよ、いっぱい、ぎゅーってしたらええ。」

別に、甘えてもいいと、少しだけ悪戯っぽく言って見せた。
いや、冗談抜きなのかもしれないけれども。

この後は、少しでもましな宿に足を運び、一晩だけ宿泊することにしよう。
明日の朝、宿の主人に平民地区への道を尋ねて、一緒に怒られることになるだろうが…。

ニーニャ > おぶわれていると疲労が一気に現れて、瞼が落ちてくる
けれど宿屋に入るまではそうもいかない
しっかりとなんとか口を回して話し続ける

「かっこ…?そーなんだ…
おしゃべり、私もすきー…♪、いっぱい、しよーね」

と言っても小一時間ですやすやと眠ってしまうのだろうけれど
甘えるようにぎゅーっとしながら、宿屋の手続きなどは任せて
部屋に入れば、それこそ親子のように寄り添いながら眠れるのだろう

少しでもマシな宿屋であれば特に絡まれることもなく次の日を迎えられるか

翌朝、何とか家に帰ったら母親にしこたま怒られ
おねーさんとこっそり苦笑いしたのは、また別のお話

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からニーニャさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からクィンスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にドラゴン・ジーンさんが現れました。
ドラゴン・ジーン > 夕方を迎えた空は暮れなずみ、茜色に蕩けた色合いが揺蕩う雲にまで染まっている。
時期と時間的に陽射しに暖められた暖気は次第に冷え込み、吹き荒ぶ風は体感的に軽く刺す程度にまでになりつつあった。
びょうびょうと荒れる風圧に運ばれる塵芥は、此処には無尽蔵に溜まっている。
インフラ整備も殆どされておらず荒れ果てるばかりの貧民区の路上。
そこに在住している住民達の影も乏しい更なる僻地においてそれは蠢いていた。

一帯に積み木を無造作に積み上げていったかのように犇めくあばら屋が佇んで日光を遮蔽してしまい、その建物間の路地の陰りは恰好の潜伏場所となる。
敷石も剥がれかけた路面の上に巨大なスライムが陣取っていた。
いや、単なるスライムと呼ぶにはそれは奇怪な形をしている。
輪郭を結んだ四肢には意味があるのか爪らしきものまで構成し、今にも零れ落ちそうな巨体の自重を支え続け。
その頭部の位置する場所には鼻面の長く伸びた爬虫類にも似た面相が在った。
不格好な竜を模したような不定形がそこに蹲るようにして潜んでいる。

ドラゴン・ジーン > 周辺には食い散らかした、スラムに巣食っている分解者である鼠やゴキブリなどの小動物の死骸が累々と転がっている。
不気味なのは単純に咀嚼によって食い千切った個体だけではなく、あたかも全身の体液を吸い尽くされたかのように干乾びた死体も在るという事だ。
あるいは此処に住んでいる住民ならば、此処最近のささやかな生活圏における変化に気付いている者も居るかも知れない。
日常生活に馴染んだ風景の一部であるそれらの生き物に、肉体的な奇形化が目立ちだしているという事に。
手足が何本も出鱈目に生えた鼠や、爬虫類の鱗のようなものに翅を覆われた蟲。
それら全てはその黒色粘液を揺り籠にして産まれた望まれぬ生命達だ。
今も潜伏しているその身体の粘液質の一部、表皮となる粘膜部分において膨れた瘤の中に透かし見えるものが在るだろう。
それは種族を問わず、その垣根を越えた冒涜的な交配のもとに怪物の孕んだ異種生命の胚芽達。
ご丁寧に子宮の代替器官として備わった内包空間には臍の緒のようなものまで拵えられ、哺乳動物である鼠と怪物のあいの子の腹部に結わえつけられている。
それが今も栄養と環境を与えられ息衝いているその証左に、どくん、どくん、と、胎動めいて蠢いている様すらも見えるだろう。

ドラゴン・ジーン > 「…………」

その慄然たる不浄の生き物には多くの遺伝子が必要だった、更に言うならば膨大量に及ぶ遺伝子情報の生命工場に供される材料も。
まだその甚大な生命力に支えられて生き延び続けているが、お世辞にも目的としている竜に至っているとは言い難く、派手な行動に出る事は許されない、身籠った子供達の為にもだ。
それが故にこそ街の暗がりに身を潜ませ、慎ましく此処で得られるものを搔き集めるようにして貪っている。
雨垂れや廃棄された生ゴミ、砕けた建造物の欠片である建材なども全てどろどろと濁った黒い前足で掻き寄せ。
そこに頭を突っ込むようにして開く顎で噛み砕き、細かく分解した欠片を呑み込み消化する。
その合間においても目の代わりに飛び出した無数の触角はぼんやりと深海の提燈鮟鱇にも似た薄明りを発光し続け。
周辺の索敵と、及びに新たなる獲物を求めて物欲しげに揺らぎ続けている。

ドラゴン・ジーン > 「………!」

その触角が凍り付くように停止するのは、危険を察知したという意味を持つ。
骨肉の欠けた母体というのはある種においては便利なものだとも言えるだろう。
その柔軟性を生かしてたちどころにその場より移動を始めた。
普段においては竜を模している稼働は原始生命の振る舞いをし、地を這う蛞蝓が如くに廃墟の一部にへと張り付き。
外壁の壁面に、ほんの僅かな隙間だけでもそこにあれば十分なのだ。ほぼ水分の肉体はまだ産まれていない子供達を抱えたまま、吸い込まれるようにして孔を経由して内部に。
そのまま途方もない質量はその場より離脱し、あっという間に姿を消し去ってしまう。後に残るのはそこに何かが居たという湿潤した黒い水溜まりばかりだ。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からドラゴン・ジーンさんが去りました。