2022/10/17 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」にミーアさんが現れました。
■ミーア > ひた……ひた……と足音を押し殺しながら。
けれど手練ではなさそうに身を装い。
路地裏に消えた男を尾けまわす。
黒猫のかぎしっぽがゆらり、と揺れる。
金の瞳が細められ、尻尾をまたゆらり、と揺らして。
耳をぴこぴこ、と揺らしてから。
「……。…………」
ひた……ひた……と足音を押し殺し。
路地裏に逃げ込んだ男を探すように、首を巡らせる。
猫耳は音を捉えるようにぴこり、とまた揺れた。
■ヴァン > 自意識過剰か被害妄想だったかと酔った頭で考え始めた頃。
路地裏に現れた小柄な人影に目を細めた。猫耳が動く様で、男は静かに物陰に佇んだまま。
相変わらず殺気は感じない。子供の遊びか何かだろうか。それはないか、と音を立てずに笑う。
少しづつ近づいてくるのを待って、3メートルほどの距離で物陰から姿を現した。
「どうした、君?何か俺に用事か?」
路地裏は暗く、体格がわかる程度。相手の性別まではわからずに目を細める。
■ミーア > 「……」
殺気は立てぬまま、金色の瞳が見つめる。
路地裏に逃げ込んだのだから男にも相応に尾けられる理由もあるのだろう。
こちらとしては男を尾けろ、と言われていただけのやる気も出ない依頼。
だから男を金に輝く瞳で見つめてから。
「しごと」
端的に仕事で尾行していた、と白状した。
金もそんなに積まれてもいない安い仕事。
だから、忠義心も義理もない黒猫はそうそうに吐いた。
■ヴァン > 微かに月明かりがさして、体格がわかる。
非常に長い髪、女性を主張する体形。しかし背は低く、子供にしか見えない。
「仕事、か。……となると、色々君に聞きたいことがある。依頼人とかな」
一番に思い浮かぶのは主教関係者だが、それにしては雇った相手が若すぎる。
酒場の博打で大勝ちしたとか、喧嘩で叩きのめしたとか、その程度の相手からの依頼かもしれない。
少女にどこまで仕事への忠義心があるかわからないが、簡単には吐かないだろう。
腰を低くし、いつでも捕まえられるように姿勢を変える。
■ミーア > 「……」
依頼人を問われ、はて、と思う。
そんなものを聞いてどうするのだろうか。
「しらない」
見も知らぬ男から頼まれただけの仕事。
それ故に応えるのはそれだけで。
男が体勢を低くした。
それに対してどうするかな、とぽけ、と考えた。
それを一瞬の隙と取るか、油断ととるか。
どちらにせよ一瞬の間隙が開く。
■ヴァン > 仕事への熱意は低そうだ。そこまで金を積まれていないのか。
返ってきた言葉は予想通り。知っていてもそう答えるだろう。
長く、静かに息を吐いた。少しでも酔いを醒ましておきたい。
子供相手にやることは限られるが、脅すくらいなら大丈夫だろう。一瞬の隙を見逃さない。
地面を蹴ると距離を詰めて、腕を掴むとそのまま周囲の建物の壁に身体ごと押し付けようとする。
少女の両手を掴んだ後、万歳をさせるようにして片手で抑えようと。
「ねぐらをつきとめようとしていたか?報告の場所や時間は?」
目を細め、鋭く。怒っている大人を装う。
■ミーア > 「……」
どっ、と言う音と共に腕を捕まれ、片手で抑え込まれ。
猫の耳がぴこぴこと眼下で揺れて。
不愉快そうに壁に押し付けられれば金の眼が見上げる。
「……」
無表情に、感慨もなく、その怒ってるような男の様に。
尻尾をゆらり、とくねらせて。
体躯の割には、ずいぶんと肉付きの良い体を眼下に晒して。
「……明日。夜。」
時刻と日時を告げ、そしてその後に告げたのは男がふらりと立ち寄った覚えのある酒場と告げて。
さして金を積まれてもいないし、こんなミレー族の子供に与えるような"おつかい"だったのだろう。
黒猫はさらり、と白状する。
■ヴァン > 不愉快そうな視線には右眉をあげてみせる。
すらすらと言われると、拍子抜けしたような顔をする。
「……すまんな、そんなに正直に答えてくれるとは思わなかった。
君が答えずにいて、『それじゃ身体に聞こうか』とか言ってセクハラをするつもりだったんだが」
片手を離し、両腕を自由にさせると男は右手をあげて謝罪の意を示した。
その手を己の顎にあてて考える。聞き覚えのある酒場だが、何をしたか……。
「そうか。じゃあ、俺の側につかないか?金額にもよるが、少なくとも君の依頼人に言われた額の同額払おう」
懐柔するつもりなのだろう。懐に手を入れると、財布を取り出す。
■ミーア > 「……べつにしてもいいのに」
無表情なままにセクハラされてもいい、と言い返しつつ。
どうせ慣れているし、と言外に言う。
その身体は子供とは思えないほどに成熟しきった雌の体をしていた。
「…………少ない」
子供の使い程度の額じゃあそっちにはつけない、と。
ふんす、と息を抜けば、猫耳がぴこり、尻尾が不愉快そうに揺れて。
増額を素知らぬ顔で要求した。
■ヴァン > 「いや……情報を得ることが目的だからな。する必要がない。
それとも、される方が君のお気に召すかい?」
んなことはないだろうと笑ってみせる。
戯れに右手が少女の胸を覆い、長い指先を動かして揉みしだこうとする。
簡単に振り払えるような動き。
「わかったよ。君がもらった額は?倍までなら出そう。
君……名前は?俺はヴァン、という。神殿図書館の司書だ」
大人の厄介事に巻き込まれた子供に見えたのか、軽く首を傾げて訪ねてみせる。
ミレーであることを隠さないというのはやや珍しい方だろうか。
■ミーア > 「……」
ん、と小さく身じろぎして、声を漏らしてから。
無表情に金色が見上げて。
「そう」
振り払いもせずに、小さく反応しただけ。
倍額だそう、と言われたら尻尾をゆらゆら、と揺らして。
「ミーア」
名前だけ告げる。
本業は告げない。いつか標的になりえるかもしれない相手ゆえに。
猫の耳をゆらゆら、と揺らして、スカーフの下の首輪を隠して。
■ヴァン > 避けようとしない相手におや、と思う。
金色の瞳を不思議そうに深い青い目で見つめた。
そのまま乳房を弄びながら、徐々に先端を摘まみ、弱く抓ろうと。
「商談成立……だな。相手が提示した額は?……わかった。
じゃあ、明日のその報告場所に、君はこなければそれでいい」
尻尾の動きで不満はないと判断したか、胸に伸ばされていた手をひっこめる。
財布からいくつかの硬貨を取り出すと、少女の手に握らせる。
金額を確認する際にふっとスカーフに目をやったが、言及しない方がいいかと黙ったまま。
「君は普段どこにいるんだ?俺から頼み事をすることがあるかもしれない」
■ミーア > 「……ん」
身体がぴくん、と震えて、甘い声が微かに漏れた。
尻尾がくねくね、うねうね、と揺れて。
その手が離されると尻尾がぴたり、と止まって。
「……わかった」
その硬貨を受け取り、ポーチの中にしまえば。
スカーフでまた口元を隠して。
「……夜の空の下?」
ずいぶんと詩的なことを言いながら。
要するに野宿だ、と言外に示して。
■ヴァン > 意外な反応や声色にやや驚いた顔をする。
野宿だと受け取ったのか、やや考える素振り。
「嫌でなければ、だが。俺が寝泊まりしている宿の一室ぐらいなら手配できるぞ。
誰かの庇護下というわけではないのか?」
スカーフからのぞいた首輪を思い出して、そんな言葉を口にする。
季節は秋、マントなどがあればまだ寒さは凌げはするが、大変だろう。
路地裏から抜けるべく、歩き出す。
「俺は戻るよ。ついてくるもこないも自由だ。
……ちゃんと部屋は別だ。安心してくれ」
寝込みを襲うようなことはしない、と手をひらひらさせる。
■ミーア > 「……」
尻尾を揺らして、考える素振りをしてから。
す、とまるで目の前からも消えたかと錯覚するほどに気配を殺して。
男が路地裏から歩き出せば足音もなくひたひた、とついていき。
一宿出来るのなら襲われても別にいいか、と言う安直な考えと共に。
気配も声も足音も殺したまま、男の数m後ろをついていくだろう。
■ヴァン > 先程とは違い本格的に気配が消えているので一度振り返る。
一度把握すると、酒が抜けてきたからか動きはわかるようだ。
「そういや、1階の酒場の店長が従業員が足りないとか言ってたな」
少女の仕事を知らない男は、呑気にそんな事を言う。
住み込みでもすれば、屋根の下で毎日眠れるだろうくらいの考え。
しっかりとした足取りで、貧民地区から立ち去っていく。
■ミーア > 「……」
その日から酒場に一匹の黒猫が増えたのだろうか。
けれど、その黒猫はときどき、いなくなると言う。
何をしているのかはわからないまま。
黒猫はねどこを見つけてにゃあ、と鳴く。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」からヴァンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」からミーアさんが去りました。