2022/08/09 のログ
ご案内:「貧民地区 娼館街」にシェラグさんが現れました。
■シェラグ > 「ふんふんふふーん、ふふふー……♪」
テントの前で火を炊き、火にかけた鍋をゆっくりとかき混ぜる。
とろみのある液体は、自分が使う膏薬だ。
先日買ってきた薬草を何種類も使って作る、部族に伝わる薬である。
もちろん、王都ともなれば魔術であるとか、効果の高い高級な薬なども手に入るだろう。
しかし、娼婦なり奴隷なりといった存在に使われることはめったにない。
そうなると、安価に薬を作れる自分のような者が収入を得ていられるというわけである。
ゆっくりと鍋の中身をかき混ぜる。
湯気に混じって、嗅いだことのない妙な匂いがあたりに立ち上るが、
自分にとっては慣れ親しんだ匂いである。 驚くほどのものでもない。
やがてしばらく煮詰めていた鍋の中身が粘度を増し、じんわりと色を変えたのを見て、
鍋を火からおろした。
「これで冷やせばよし、と…。」
額の汗を拭ってうなずく。 いつ、何度やっても薬作りは緊張するものだ。
患者に使って、きちんと効果がある濃度か、そして、強すぎないか。
いつものレシピとはいえ、その時々で細かく出来は異なるのだ。
鍋の中身を覗き込んで確認。 これなら大丈夫だろう。 基準内だ。
■シェラグ > 「よいしょ、っと。」
がたごとと音を立てながら、テントから折りたたみテーブルと椅子を持ち出す。
鍋の近くにその2つを展開して、陣取る構えを取った。
次にテントから持ってきたのはポットとカップである。
ポットにたっぷりのお湯を注ぎ、カップにお茶を注ぐ。
注いだからといってすぐに飲むことはせず、適温になるのを待ってから、日向ぼっこをしつつお茶を飲む。
普段、治療であるとかえっちなことであるとかに追われている中での、ゆったりとした時間。
椅子の背もたれに体を預けてぐっと背を伸ばすと、オスらしからぬ大きくたわわな胸が揺れた。
「あ~…。たまにはこういうのもいいな~。」
太く長い尻尾をゆらゆらと動かしながらご満悦の表情。
こうしてくつろぐ時間は、貴重だからこそこうして満喫すると心地がよいのだ。
日光をたっぷりと浴びてすっかり体から力を抜くと、眼を細めて小さく呟いた。
■シェラグ > 鍋をチェック。 のんびりしている間に鍋の温度も下がったらしい。
瓶に移して膏薬の補充は完了である。
「よし、今日も頑張るぞー!」
そろそろ日は暮れつつあり、娼婦たちも準備をし始めるころだろう。
彼女たちの仕事の前の時間こそが、自分のしごとのタイミングなのだ。
気合を入れてテントに戻ると、治療の準備を始めるのでありました。
ご案内:「貧民地区 娼館街」からシェラグさんが去りました。