2022/07/12 のログ
ワルシュミスタ > 頬杖をついている。
 基本人待ちぼうけに慣れているはずの色ボケ女にしては珍しく、クッキー摘む手はゆっくりとしたもので
何となくぼんやりしながらテーブルに左手ついてそこに顔乗せている。

「・・・今日はこのままお開き、ですかしらねえ・・・」

 相変わらず人の気配がしないため覗いてみたところは、一見すると誰かが来そうにはない。
いくら貧民地区だからと言って宿無しはそう多くない。それにそういう者たちは大概定宿・・・少なくとも落ち着いてゆっくり寝られる場所を知っているものだ。わざわざこんな建物に入ってみようという物好きはまずいないだろう。ましてそんなぎりぎり建物名乗れるくらいしか取り柄無さそうな物件の真ん真ん中にあるのだ、今日の扉は。
 では魔法で移動させればいいだろうと考えるものもいるだろう。それをしていないのは・・・

「・・・魔法使うのかったるいですわ・・・」

 と言うろくでもないものである。

ワルシュミスタ > まあいくら引きこもり未満の生活しているとはいえ、連日の暑さは流石に堪える。
 たまには体動かそう(街ブラレベルの運動だが)と外に出たはいいが、0.7秒で再び扉閉じてしまった。
それほどまでに暑かった。少なくとも女にとってはもう少し涼しくなるまでは外には出ないぞと
思い切り後ろ向きな決意固めたほどには。
 それだけに扉くぐってくる誰かさんは、最低限話し相手、無論それ以上の・・・として貴重なのだが、
そのために扉動かそうという気力さえ既に無かったりするのだ。

「しかたありませんわよねえ・・・今日みたいな日にわざわざ外出する方もそう多くないでしょうし・・・」

 最近ほぼ連日こんな暑さ続いていると知ったら、もはや冷凍倉庫にしか扉作りそうにない蕩けた声でぼそりと呟きながら、また一口クッキーをポリポリと齧っている怠惰極まりないダメ女。

ワルシュミスタ > 「まあ今日はこんなものでしょう。もう少し扉の場所考えるか、いっそ・・・」
 それなりに聡明なはずの女の頭には『しばらくの間、涼しい場所にしか扉は作らないでおきましょう』などという
完璧後ろ向き思想しか浮かんでこない模様で最後のクッキーを口に入れると立ち上がって扉に近寄り。

「戻れ戻れかりそめの門よ・・・わたくしの手に寄って再び木片と成せ、<無いはずの扉>」

 黒檀の扉に触れながら妙なイントネーションで呪文らしきもの呟くと、一瞬だけ扉がぶれ。
それと同時に廃屋の真ん中にあったはずの扉も、ぶん、と音立てて消え失せて、後には元の静寂残るばかりで。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 廃屋」からワルシュミスタさんが去りました。