2022/03/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にローザリンデさんが現れました。
■ローザリンデ > こつこつこつこつ。硬質な靴音が怪しげな裏通りを通り抜けていく。
今朝は気がついたら体液でベトベトになった身体で借家の中で床に座って呆けていた。
はっきりしない記憶を遡ってみると、王都に来て早々に犯されてしまったことを思い出した。
ところどころ記憶が断片的な気もするが、この女の記憶にこのような虫食いがいくつもあるのは珍しくない。
ただ、さすがにザーメン臭い身体でギルドに挨拶に行くのは憚られたので、今日の営業はできなかった。
結局、ベトベトになった衣服や靴を綺麗にすることと引っ越し間もない部屋の整理だけで今日は終わってしまった。
仕方ないので。今夜は景気づけのために酒場に行って一杯引っ掛けて、今はその帰り道だ。
「我ながら幸先悪いわぁ…」
酒場と借家の間の最短距離を開拓するつもりで入ってみた裏通りだがここが予想以上に入り組んでいた。
しかも裏通りというだけあって道もほとんど補修がされていない。
石畳の割れ目にヒールを突っ込まないかと冷や冷やしながら歩かざるを得ない。
昨夜ほどは寒くないのと今日は荷物も持っていないのが救いといえば救いだが。
「とにかくこんなところ、早く通り抜けなきゃ」
黒いワンピースの上から羽織ったコートを両手でしっかりと押さえながら女は家路を急ぐ。
■ローザリンデ > 「ええと、こっちかしら?」
人の気配はするが静まり返った裏通りを何度も曲がっては周囲を見回す。
同じような建物ばかりで非常にわかりにくい。
やはり土地勘がないうちはこのような冒険はするべきではなかったかと軽く後悔。
「う~ん、あっちの明るい方は娼館よね………。
だったらあっちは違うってことよね」
仕方なく、さらに裏通りを暗い方へと歩いていくけれど、なんだか変な臭いが漂い始めてきた。
不安にかられながら、また曲がる方向を変える。明らかに迷走。
酒場では一杯しか飲んでいないから酔いが回っているわけでもない。
方向音痴なつもりもないのだが、やはり土地勘がないのが致命的だ。
しかし、街に慣れるためにはこうやってとにかく歩いて学習するしかない。
便利な地図が売られているわけではないのだ。
「あ、でも、あの建物見たことあるかも」
少し大きな建物を見上げ、女はかすかな希望を抱きつつ歩を進めた。
■ローザリンデ > 大きな建物に近づいていくと、そこはただの倉庫だった。
「あら…
形が同じだけの建物だったってことね。
王都恐るべしだわ…」
倉庫の周りをぐるりと回って立ち止まると頭を振った。気持ちを切り替えよう。
いま、自分は王都を攻略しているのだ。
迷えば迷うだけ経験は蓄積して、やがてそれが土地勘となる。
「気持ちだけでも前向きじゃないとね。うん」
両手で頬を張って気持ちを切り替えて再び歩き出す。
こつこつと硬質な靴音が密やかに夜の街に響く。
しばらく歩くと、裏通りから表通りに接続する場所が見えてきた。
「あ、よしよし。こっちみたいね」
安堵の溜息をつくと足早に裏通りの終点へと向かう。
■ローザリンデ > ようやく裏通りから表通りへの接続点に辿り着いた。
「はぁ。やっと知ってる場所に出たわぁ。
近道なんてとんでもないわね。
かえって時間かかっちゃったわ」
女はピンク色の前髪を直すとコートの襟を立てて裏通りから脱出した。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からローザリンデさんが去りました。