2021/12/02 のログ
リリン > 勝負の行く末を眺めている間、どうも真ん中よりもその周りの狭い所の方が、当たった時の歓声がやや大きいようにも思える。かと言えば、あえて広い部分を狙っている場合もあるように見える。
まどろっこしい、などと頭の中で思う。思いきりぶち当てれば勝ち、の方が好みだなどと微かに声に出ていたのか、偶々近くに来ていた店主が小さく笑ったのをじとりと横目で視線を刺して。

「酒が切れたわ。もう一杯、ひとまず同じのでよかろ」

飲んでいたグラスが空になったことにふと気づき、お代わりを催促。子供に見えるそれが最初の一杯に酒を所望することには流石にしばし怪訝そうな顔をしていた店主も、だんだんと態度から何か察したのか、何も言わず二杯目の用意を進め。
そんな様子に少し満足げにニヤリと笑うと、頬杖の腕を組み替えて。

「うむ、気の利くヤツじゃのぅ。子供に酒は、なんぞ言おうものなら蹴り飛ばしておるところじゃ。いちいち説明するのは面倒でかなわぬからな」

リリン > ざわめきが一瞬大きくなると、かたや一人の男が頭を抱え、もう一人は勝ち誇ったように片腕を挙げ。どうやら一旦勝負が付いたらしい、と言うことは理解できる。
男たちがカウンターへ近づいてくると、負けたのであろう方が二人分の酒を注文する。おおよそ酒代でも賭けていたのであろう。

ふと、勝った方の男が、隅に鎮座する小さなフード姿に目を留めて。勝負に勝って機嫌が良いのか、お嬢ちゃんも何か飲むかい、などと声をかけてくる。

「いんや、タダより高いものは無いなどと言うものじゃしのぅ。賭けは当事者同士でやりとりするが良かろう」

お嬢ちゃん、の下りに一瞬目を細めたものの。毎度そこに蹴りをくらわせていたのではこっちの身が保たぬと言うもので。ちょうど、先刻頼んでいた二杯目が届くと、こっちはこっちで好きにやっているよ、と並々つがれたグラスを軽く指差して見せ。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区・酒場」にタツミさんが現れました。
タツミ > そんな少し酒場が騒がしくなっている所へ、新しく入ってくる、少年と青年の間位に見える、黒髪、黒目で、東方風顔立ちの男が一人。
カウンターを見て、一瞬少女が座っている事に驚いた様子を見せる物の、特に騒ぐことは無く、空いているカウンター席に座り、マスターへ声を掛ける。

「エールと、スープをお願いします」

そう言って、数枚の硬貨を置くと、落ち着いた様子の少女の方へ向き直り。

「少し良いですか、何かお祝い事でもあったのでしょうか?」

少し騒がしい店内で、静かに飲んでいる、しかも少女を常連と勘違いでもしたのか聞いてくる。

リリン > 勝って機嫌の良い者、負けてやや不機嫌そうな者、それぞれ絡んでくる様相を体よくあしらいながら。ふと、長身の――彼女からすれば特に大柄に見えようもの、男が一人現れて。

「む?……ああ、あやつらが騒いでおるのは、なんぞアレの勝負を終えた後じゃからの。わらわはただの見物客じゃよ。特別祝い事と言うものではなかろうな」

アレ、とひらひら指差す先には、壁に掛けられた樽の蓋と、数本刺さった手投げ矢のようなもの。
手元のグラスを一口あおり、何があったか話してみせつつも、暫し、新たに現れた男の様子をじっと伺い。目を細めれば、ぽつりと小さく呟く。

「ほぅ、おぬし……土の匂いがするのぅ。じゃがどちらかと言えば、おぬしは火じゃな」

タツミ > 「あれ…あぁ、賭けダーツですか、なるほど」

その言葉に壁を見て、何本か刺さっているダーツを見て頷く。
何度か誘われたことはあるが、ルールがいくつかあったりで結局したことは無く。

更に続く少女の言葉に、一瞬驚きながら…少女をしっかりと見つめ。

「あー、違和感はこれでしたか…確かに言われるとおりですね、貴女は…地であってますか、すみませんこの状態だと大体しか判らなくて」

苦笑しながら、軽く頭を下げ、でてきたエールを一口飲みこむ。

リリン > 「うむうむ。そういうモノらしいのぅ。なんぞ面倒くさそうで覚える気にはならんのじゃが」

真ん中狙えば良いと言うものではないらしい、とはさも面倒そうな顔をわざとらしく作ってみせて。すぐに小さく笑う顔は、今度は見た目通りの幼さにも見えるようで。

僅かなやり取りの間、相手の方でも何かを察したような様子に、ふむ、とまた落ち着いた雰囲気に目を細め。髪の間から伸びる茶色の、一見フードの飾りのようにも見える細長い耳をぐにぐにと自ら左右に引っ張って見せて。

「お互い見たままではなさそうじゃのぅ。わらわもコレは自前じゃ、作り物ではないぞ。――そうさの、人どもの決める体系づけと言うのは見ようによって変わるものじゃが……地属も正しき。存在を指すならば、わらわは雷そのものじゃ」

頭を下げる相手に、会釈代わりにそっと目を伏せて。つられるように自分のグラスをまた一口あおり。

タツミ > 「以前にルールを聞いた事あるんですけど、細かくて、覚えきれませんでしたね」

弓術みたいにシンプルだと楽なんですが、と苦笑し。笑顔に釣られたのかこちらも微笑して。

コロコロと変わる雰囲気に、見た目通りの年齢ではなさそうだなと思いながら。

「確かにそうですね。こういっては何ですが、可愛らしい耳かと。あー、僕はここら辺だと属性の考え方が違ったりするので余計に変わりますね。雷ですか、なるほど」

耳を弄る様子に褒め?ながら、スープを一口。

「その見た目だと、ここら辺だと大変そうですね、大抵は対処できるでしょうけど」

治安というか、色々を危うい国ですし、と。

リリン > 弓術、あれは良い、真ん中狙えば良かったはず。などと実際の弓師の苦労などそっちのけに、楽しげに軽く手を叩き。

「この耳な、この格好に化身する時になんぞ耳だけ上手く出来ずに残ってしまってのぅ。ま、これはこれで飾りのようで気に入っておるから放置じゃ。見た目には上手いこと合っておるらしいしな」

子供扱いするならば機嫌ひとつで怒りもするのだったが、可愛いものは好きらしい。ゆえに可愛いもの扱いするのはまんざらでもないようで。ふふん、と自慢気に両耳を見せびらかし。

「なんぞ魔術師どもの言う場合と、教会どもの言う場合……はてはどこぞ遠方の、なんじゃったかな――ごぎょーじゃったか、あれもまたややこしいからのぅ。とは言え、そういう連中の方がわらわがこの見た目なのをあまり説明せんでも良くての」

言われる通り、呆れるほど子供扱いを受けるらしく。半ば慣れっこではあるものの、魔の者絡みに知識のある者達の方が、説明にも手間がかからないから楽だ、などと肩をすくめて見せて。そういう相手の方は見た目は絡まれ無さそうにも見え、そういうのも気が楽かな、なんてじっと体格など見直してもみて。

タツミ > 「化身ですか、そこまでできて入れば獣人やミレー族といえますし。確かに似合っていますね」

化身と聞いて感心して、耳を見せる態度に微笑む。

「僕の方は最後に言ってた五行になりますね、相生と相克は説明しても中々理解はし辛いらしくて。相手の力をある程度把握できれば外見で判断はしないからですね」

普通は外見で判断するので、人の世界で生きるなら仕方ない所ですねと、苦笑。

「此方は体格はこのままでしたから、ある意味楽でしたけど…それでも新人扱いはされたりしますが」

体格はまだしも、東方系の顔立ちの為か若く見られがちでと愚痴を言いながら。

リリン > 「うむ、獣人やらが沢山おるからの、完璧に人のフリをせんで良いからそこは気が楽じゃ。おかげで紛れ込んで生活してみるのもなかなか面白くやっておる。嗜み程度に商売なぞもできるしのぅ……とは言え、おぬしもまぁ人の基準で言えば顔立ちは若く見えるやもしれんが。わらわよりはマシじゃろうて」

妙に小さな姿になってはいても、見た目の整え方にはそれなりにこだわりがあるようで。似合っている、と言われれば素直に嬉しそうに笑っているのであった。
対する相手も、じゅうぶんに精悍と言えるであろ、などと自分にはない引き締まった様相を褒め返し。

「おお、まさにそいつじゃな。ご……五行、はあれじゃ、たしかこう物語仕立てにすると理解しやすいんじゃと思ったがのぅ。土が水をせき止め、水は火を消し、火は金を溶かし……じゃったかな?」

人の観察を趣味のひとつとしているからか、思い出そうとすれば案外いろんな事を知っているようではあった。知識の箪笥からひっぱり出してくるのはまた大変なのか、腕組みして考えこみながらではあったが。

タツミ > 「商売ですか、そう言った方面は全く判りませんが、売り子には向いている気もしますね。そうですね、ここら辺でも成人扱いされる位の外見ではありますから、確かに」

買い物などで考えれば男女どちらでも可愛い少女は話しやすく、警戒もされにくいですしと頷き。
装備を少し整えれば冒険者として登録も簡単でしたと、微笑み。

「えぇ、今仰ったのは相克の方ですね、金行と木行あたりがここら辺とは特に違うので難しいみたいです。色々知っているのですね」

その知識に素直に感心して、頷くと。

「そういえば、すいません名乗りもせず…僕はタツミといいます、お名前を聞いても?」

そう尋ねる。

リリン > 「おぬしは戦う方が似合いそうじゃからのぅ、冒険者なぞやるのもさもありなん。わらわはちょいと機会があってタロットと言うやつを趣味で覚えてな。あれで占いをやってみたらわりと客が付きよるわ。これも丁度そういう雰囲気にも見えるじゃろ」

そう言いつつ、耳の毛色に近い、ケープとおそろいのフードの端をつまんで見せて。
もちろん、最初はお手伝いの子だと思われることが多々あるようで、店主がこれとは大抵思いもよらないようなのだが。ほそぼそと道楽でやるにはそれなりに楽しめているのだ、と。

「ああ、言われてみれば……木は金気で斬るんじゃったよな?わらわの雷はアレによると金の扱いらしいが、別にわらわは火に弱いわけでもないしのぅ。案外、使う者自身の儀式的なものなのやもしれん。コトダマとか言うやつのように、意識することに意味があるようなやつとかの」

話していて、雷が金だったり地だったり、解釈で違ったりするものだったような、と首をかしげて考えつつも。
おお、言われてみれば、とはたと顔を上げ。

「おお?――そうじゃ、名乗っておらなんだわぇ。わらわはリリンじゃ。正しくはリリニアなのじゃが、まぁそっちは種族名に近いからのぅ。リリン、の方が名前らしくて好んでおるぞ。よろしくのぅ、タツミ」

タツミ > 「似合うというか、ほぼ戦い専門ですね。タロットというと何処に何の札がとか、正逆の位置で占うものでしたね、確か。確かに雰囲気や衣装も似合っていますね」

不思議な気配もあって、言われればなるほどとうなずける。楽しめる事があるのは良い事だと笑みを返す。

「そうですね、木は金属の斧で切られるので、金克木になります。前にここら辺の魔術師の人と話しましたが、術理の捉え方が違うので、術で出る結果が違うんじゃないかと、難しい話をされまして…とりあえず、自分の術が通じるならいいかと思う事にしました」

そもそも自分の術の理は判っても他の術理は自分の術に混乱をもたらす可能性があるので、あまり考えずそういうものなのだととりあえず納得したのであり。

「リリンさんですね、こちらこそよろしくお願いします」

名前を聞いて、確認しながら、また一礼する。

「そういえば、リリンさんは、今何を飲んでいたので?」

リリン > 合間にふと話に出したタロットのことも、それとなく知っている様子の相手ににこやかに頷いて。漠然とでも、互いの分野がどこかしら解っているのは良いことだ、と沢山喋るのが久々なようでもあるのか、フードに結んである小さなリボンを楽しそうに指先で揺らしつつ。

「じゃなぁ……何をもってして術を使っておるのか、手段の違いと言うやつかもしれんのぅ。わらわなど雷は呼吸するようなもんじゃから、使う、と言うものですらないからのぅ。ある、に近い。ま、通じるならおぬしなど鉄拳でよいじゃろ、気合じゃ気合」

くわ、と口を開いて見せると、ぱちぱちとその中で小さな雷が跳ねて。それをおおげさに咀嚼するかのように閉じた口の中でもぐもぐとやってみせ。
細い小さな身体で、いかにも子供がだだをこねるように、しゅっしゅっと両拳を突き出したり引いたりしながら、おぬしの場合はこっちがよかろう、と可愛らしいパンチが飛び出ていた。

「うむ、今後とも宜しく、じゃ。――ああ、飲んでおったこれは酒じゃ。葡萄系の果実酒のようじゃなぁ」

一礼に同じく礼を返しつつ、ふと告げられた質問には、グラスを持って少し相手の方へ傾けて。

タツミ > 細かな仕草なども、雰囲気や年齢、衣装に似合っているなと、微笑みながら。

「そうですね、自分の術が何を元にしているかの違いですし。あぁ、呼吸するようには判ります、僕の場合は火ですけど。最終的に殴り合いで気合勝ちは確かにありますね」

口の中の雷を見て、納得し。同じような事を火で見せる。
拳を突き出す動きに、少し噴き出す様に苦笑しながら、こうですか、と…軽く拳を突き出す。

「葡萄のというと、ワインですね。…んー、もしかしてですが適当に頼んだ感じですか?――もし甘いのがお好きなら蜂蜜酒というのもありますよ」

グラスの中を見て、名前を知っていなかった様子を見て、提案し提案してみる。

リリン > 「お、おぬしも近しいような生体しておるな?これはなんで出るのか説明できるようなものではないからのぅ」

そういう生き物だから、としか言い様がないものもある。それはそういうものなのだ、と火と雷の違いはあれど、似たようなことができる様子をニヤリとして見届けて。
こちらの仕草への視線や、拳を突き出しながら噴き出したのを目ざとく視界に捉えては、腰に手を当て対の手でびしっとそれを指摘して。

「こりゃ!今、わらわが子供っぽいと思ったじゃろ。まったく……見知らぬ相手であればお仕置きするところじゃぞ」

おおげさに、無い胸を張って見せる様子は、実際にそれほど怒ってるわけではなさそうで。今はむしろ機嫌が良さそうに見えるのである。

「ああ、うむ、なんとなくで飲んでおったからのぅ。酒場と言うから酒、と言う発想で適当に頼んでおるばかりじゃしな……おお、蜂蜜酒と言うやつはまた作り手で色々混ぜるものが違ったりもするらしいのぅ。それも飲んでみたいところではあるが――いかんせん、そろそろ戻って寝なければの」

話すのは楽しんでいるようで、名残惜しくはある、とは言え無制限に話していられるわけでもなし、と少々すまなそうに頬を掻いて。

タツミ > 「出来るからとしか、言い様がないんですよね、ここら辺は。あぁ、すいません、可愛らしいなと思っていました」

指摘されれば素直に頭を下げて謝り、けれどその様子に微笑を返す。

「お仕置きはご勘弁を…えぇ、此処でも扱ってるとは思いますよ、蜂蜜酒。ん、確かに結構良い時間ですね。近くまで送りましょうか?」

戻るという言葉に、エスコートはいりますか?、と問いかける。

リリン > 「まぁよい、ある意味慣れっこじゃからの。見た目が子供なのは自覚しておるしな。爪の間に栗の棘を刺してやったりは勘弁しておいてやるわぇ」

ふふん、と腕組みしつつも笑って見せて。適当にその場で思いついたまま告げたお仕置き内容が、地味に嫌な感じの内容であったが。

「ふむ、いずれこの辺りをうろつくこともまたあろうし、蜂蜜酒を所望してみるのもよかろうかの。……ん、おぬしもそろそろ出るのであれば。身ぐらいは守れんわけではないが、おぬしが横におればそもそも家路で絡まれる事自体が減りそうじゃからの……それは素直に助かる」

道中、絡んでくるごろつきどもをいちいち転がして回るのはわりと面倒なものである。そこはお言葉に甘えるとしよう、と頷いて。飲み代を確認してから、よいしょ、と身の丈には高い位置の椅子から飛び降りて。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区・酒場」からリリンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区・酒場」からタツミさんが去りました。