2021/05/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にジーゴさんが現れました。
ジーゴ > 木を隠すなら森の中。
奴隷が隠れるなら奴隷がたくさんいるところだ。

貧民地区の奥。好きこのんでうろつくヒトはいないようなエリアを息を潜めて少年が一人。
ぐしゃぐしゃの髪、素足の足は静かに土埃の舞う地面を蹴る。
普段よりもお金がなさそうに、それこそ野良奴隷や逃亡奴隷のような風貌の少年はわざとその格好をして、裏路地を捜索中。

「久々にクツないとあしいたいな…」
小さく漏らした独り言。
以前は素足で歩くのにも慣れていたはずの足の裏は久々に素足で歩く刺激を前よりも強く伝える。

「つか、どこにいるわけ…」
受けたのは冒険者ギルドの依頼。
逃亡奴隷の捜索。
迷子の犬探しが上手くいって味を占めた少年は、逃亡中の奴隷を探す依頼を受けた。
昼間も一通り探したけれど、それらしき奴隷の姿はなく、しかたなく夜も更けてから貧民街を捜索している。
奴隷はその地区に馴染まないヒトの気配を敏感に察知して逃げてしまうから、逃亡奴隷を装って探すのは悪くない暗に思えるが、同時に自分も逃亡奴隷と間違われて捕まる危険性のある手段だ。

ジーゴ > 「ぜんぜんいねーのな」
いくら少年が貧民街に詳しいと言っても、奴隷が隠れられそうな場所は幾つも幾つもある。

崩れかけの廃墟の中、塀の裏、建物の影。
それらを一つ一つ、ギルドで聞いた風貌の奴隷を探しながら歩く。少年がうろついていた頃から何か情勢が変わったのだろうか。奴隷のねぐらの場所も変わっているようで、
探す場所のうち、半分も奴隷が見つかればいいほうで、なかなか探している顔は見当たらない。

「いっったッ!!!」
素足で夜道を歩くうちに何かを踏み抜いたらしい。
それが何かを確認することさえ月の光のみでは難しい。
しゃがみ込んで、足の裏を確認するもどれくらいの怪我かは見えずに。

「あー…今日はかえろ」
なんとか、傷の部分が地面に接しないように気をつけて、また歩み始める。
その姿は平民街の方へと消えていって。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からジーゴさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にゲーゲン・アングリフさんが現れました。
ゲーゲン・アングリフ > 「……」

涼しい、と言うには少し寒さが厳しい貧民地区。
その裏通りの片隅、流行る気配まったく無しの酒場にて。
店主たる男が、読書しながら酒で口を湿らせていた。

「……ぬ、もうこんな時間……」

キリのいいところで、ちらと時計を見れば。
だいぶ遅い時間になってきている、ということに気づく男。
どうせ客も来ないから、と。
捨て鉢にのんびり読書をしていたのだが。
事実、本日も客はゼロである。

「……」

どうしたものかなぁ、などと考えつつ。
男は、ちびり、と酒を飲み。店内の風景と、外の景色を見る。
静かである、ということは売りでもあり、あるいは欠点でもあり。
静か過ぎる店内に苦笑しつつ。男は、来るかわからぬ客を待ちつつ。
自由人気取りで、また本に目を落とすのである。

ゲーゲン・アングリフ > そのまま、没頭すること数十分。
結局のところ、深夜になるまで客が来ないため。
男は読んでいた本を完全に読みきってしまう。

「……さて、店じまいしましょうか」

ある意味では、いつもどおりだなぁ、などと。
のんびりとしたことを考えつつ。
男は、今日の営業を終了することにしたのであった……。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からゲーゲン・アングリフさんが去りました。