2021/05/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にシスター・シェリーさんが現れました。
シスター・シェリー > 貧民地区の一角で、ふー、っと肩を回しながら荷台を押す修道女が一人。
燃えるような、とはいかない赤毛の女は、依頼された掃除をこなしてから、ため息を一つ。

「……っても、こんな場所片付けてもまた汚くなるだけだろーに。」

ボヤきながら肩をすくめる女。
そこそこに長身の彼女は一人で仕事をしていても、それなりに目立つ。
近づけば、ぐっとその服を盛り上げるプロポーションのせいで、更に目立つ。

とはいえ、修道女の中でこういった場所で作業できる人間は限られている。
最低条件は、自衛ができるの一点だけだ。

そういう意味で、現役冒険者でもある彼女の抜擢は理には叶っていた。

シスター・シェリー > 「はぁー、めんど。」

端的な3文字で今の気分を的確に表現できる女。

元々犯罪者であり、口も悪いし素行も悪い。
だからこそ、ではないが、教会内部でも彼女には未だに疑念の目は向けられている。
何かあれば、真っ先に疑われるのは間違い無いだろう。
とはいえ、盗賊稼業に戻る気も無い。

こうやって誰にも見られないところで、軽く紙巻きの薬でも吸うことくらいが、彼女の小さなストレス解消でもある。

「………さっさとまた旅にでも出てーな。
 冒険の依頼でも受けっか。」

街の中にいても、良いようにこき使われるだけだ。
ふー、っと煙を吐き出しながら、頬をかく。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にジーゴさんが現れました。
ジーゴ > 淀んだ貧民街の空気。
貧民街の中でも人通りが多くない通りでは、安価な革靴が石畳に擦れる小さな音でさえ気を遣う。
誰かに絡まれたりする前にせめて大通りまで抜けようと足早に進んでいた小さな足音は、視界に思いがけない姿を見つけて立ち止まる。

「なんでこんなところに教会のやつが?」
小さくこぼした言葉は、相手に聞こえるかどうかの消え入るようなもの。
でももう数歩近づいてから漏らした声はきっと相手にも聞こえるような大きさ。

「ね、おいしそうなにおいする。どこでかったの?」
クンクンと獣の鼻がかぎつけたのは巻かれた紙からする、煙草とはまた違う匂いだ。
出店で買うお菓子の話でもするかのように、少年は修道女姿の女性に引き寄せられて、身長差から上を見上げるように。
獣の耳は大きく上に伸びて、その獣の目はキラキラと女性の手の中に収まる薬を見ている。

シスター・シェリー > ふー、っと煙を吐き出して。
荷台に積んだゴミはあとは持ち帰るだけだ。仕事はちゃんとこなす不良シスター。

「ん……? ぁあ、何だよ。」

声をかけられれば一瞬身構えれば、肩をすくめる。
まさかここで子供に声をかけられるとは思っていなかったのか、少しばかり思案するように空を見上げて。

「子供の吸うもんじゃねえよ。身体にくっそ悪いやつ。
 私は悪い大人だから吸ってんの。

 そーだな、身長で私を超えたら教えてやるよ。」

なんて、少しばかり口元を持ち上げて、ウィンクをパチリ。
悪いオトナである。

ジーゴ > 「教会のやつなのに、すげー口わるいのな」
服装と発言が似つかわしくない相手をみて、笑う少年。
笑うと少し尖った獣の歯が口の端から覗く。

「な、トぶやつ?トばないならおちるやつ?
悪いこどもだって、そーいうやつ吸うんだよ。
あー、いいなぁ。すげぇおいしそーなにおいしてんだよ。
どこでかったんだよ。なぁ、おしえろって」
多少なりとも薬物に依存している傾向がある少年は、目の前でいい香りがするのに腹を立てて。
せめてもとでも言うように、ポケットから出した紙巻き煙草にマッチで火を付けた。
マッチはそのまま地面に落として、革靴の踵で踏みつける。

「な-、なんでお前、シスターだっけ?教会のやつがこんなとこいるの?おそわれるくない?」
数度、煙草を口に運んでちょっと落ち着いた様子の少年は、場違いにも見える相手に尋ねた。
街中のゴミ、流れ者、浮浪児、犯罪者などなど。
多種多様なゴミが集まる貧民街だ。まさかこんなところを掃除しているだなんて想像もせずに問いかける。

シスター・シェリー > 「教会の中も口わりーやつばっかだっての。
 あ、これは秘密な。」

修道服に包まれた女は、肩をすくめてはぁ、っとため息。

「とばねーしおちねーよ、知ってんならカンタンだ。
 匂いだけ強いやつだから、おいしそーに見えるだけだよ。
 こっからも仕事もあるしお祈りの時間とやらもやってくる。
 トんでらんねーの。」

昔の仲間から譲ってもらっただけだよ、と手をひらりと振る。

「あー、あれだ。転向組。
 元々シスターじゃねーけど、過去の罪を悔い改めて絶賛奉仕中ってやつ。
 んで、こういうとこに馴染みがあったからな。
 本当に温室育ちのねーちゃんばーちゃんをこんなとこで仕事させらんねーだろ。」

ふー、っと煙を吐き出しながら、ため息一つ。
根っこの部分の人の良さは、それなりにある。

ジーゴ > 「トばなくておちなくて、そんなにうまそうなの!?このへんで売ってるやつ、あたりはずれ大きすぎるからなぁ…いいにおいのやつほしい…」
貧民街で流通しているものは何にしても質が悪い。
薬物も混ぜ物が多い、匂いが悪い、依存性が強すぎるなど弊害のほうが大きいくらいだ。
昔の仲間から譲って貰ったと、この辺ではなかなか手に入れなさそうなその薬をヒトよりも鼻の良い少年が物欲しそうに相手が吸う紙巻きを見つめるのは変わらない。

「てんこー?おんしつ?んー、ぬくぬく育ったやつが、こういうところでギタギタに犯されてんのみるのがたのしいんじゃんよ」
語彙力に乏しい少年には幾つか分からない単語があるが、何となく雰囲気で察した。きっとシスターをやる前は何か後ろ暗いことをしていたのだろう。自分ときっと似ている。
一見、すくすく朗らかに育っているようにも見える少年は全く笑っていない目と口角の上がった口のチグハグに笑いながら、この街でよくあることについて語って、もう一度自分の煙草を口にくわえた。

シスター・シェリー > 「匂いだけみたいなもんだぞ。
 ちーとも気分よくなんねー。いやまあ少しはなるけどよ。」

流石にこの状況で質の悪いものを吸って、フラフラになりながら戻るわけにもいかない。
肩をすくめて、我慢我慢。
見つめられても、素知らぬフリの長身女。

「あー、まあ、知らんやつならそうかもだけどよ……」

頬をぽりぽりとかいて、肩を竦めて。

「まあ、そうじゃねえヤツもいるってこった。
 それに元々私は女だ。 それ見ていい気分にゃなんねーだろうよ。」

この国はこういうとこだとわかっているから、ショックを受ける様子もない。
人の良さそうなことを口にしながら、ふわ、と煙を宙に吐き出す。

ジーゴ > 「そこの角まがったとこの奥にうってるやつ、めっちゃトぶからためしてみなよ」
とても気分が良くなる一方、そのあとの具合の悪さがその体験を超えるような粗悪品だがその点には触れずににやにやと笑った。

「ふーん、そっか。ま、自分以外はどーでもいーけど」
自分以外のやつが犯されているときは少なくとも自分は安全、そのように感じる少年には他者を慮る余裕はない。

「つか、こんなにきたないばしょでほーししても、しかたないのにな。教会ってひまなのな」
挑発しているのか本心なのか、失礼な言葉を漏らしながら、それでも小さく首を傾げた。

「おまえ、これどこもってくの?なんなら手伝うけど?」
ふと相手の心配をするあたり、実は悪い子ではない。

シスター・シェリー > 「だからそんなん使ったら後がこえーの。」

理性的な判断ができる時点で、たしかに今のものは効果が薄いのだろう。
興味ねーよ、と言わんばかりにため息をつく。
まあ、その実、何でもかんでも自由であれば手を出しかねない自分がいることも自覚はしつつ。

「そーだな、ここで過ごしてんならそれでいんじゃね。
 汚い場所だからなー、掃除しても関係ねえとは思うんだが。
 いんだよ別に。 やれって言ったことをやってるだけだ。
 暇なのは上の方ばっかりだよ。」

ケケケ、と少し悪そうに笑って見せながらも、首を横に振って。

「こういうとこで生きる鉄則。
 貸し借りは無し、自分のことは自分でやる、だろ。
 何を言ったって、私のは譲んねーぞ、なんてな。」

にひ、と歯を見せて笑って、ぽんぽん、と少年の頭を撫でる。

ジーゴ > 「トんだらすげイイじゃん。もったいねーの」
クスリでトんでいれば、嫌なことも怖いこともぜんぶなくなる。もちろんクスリが切れた後の反動はあるし、金もかさむけれど。

「ゴミがふえつづけるゴミ貯め、そーじしてもなんにもなんねぇっつの。ふーん、教会ってやつもたいへんだな」
意味がないような仕事をしないといけないシスターには同情して。

断られるなら無理に手伝おうとは勿論しない。
「別に、それ欲しくて言ったわけじゃねーよ。勝手にしろよ」

「さわんなよッ」
こちらに伸びる手に反射的に身を震わせて、嫌がりながら身じろいで。
それでも撫でられるとじっとして言葉とは裏腹に、獣の耳は心地よさそうに後ろに倒れる。
彼の頭を撫でると、狼のごわごわの毛とふわふわの毛の二層構造が手に触れるだろう。もふもふ。

シスター・シェリー > 「っせーな。いんだよ別に。」

トんでひどい目にあったことは何度もある。捕まった時にたっぷりとトばされた経験を思い出して、目を少しだけ閉じて、ふー、っと息を吐く。

「そうなんだよなー、教会って意味のねーことばっかしてんの。
 まあ、そういうことしてても食っていけるんだから、そいつはありがてーことだけどよ。」

撫でようとして言葉を荒げた相手に、肩をすくめ。
長身故に、相手の頭を撫でることは苦労はしない。

「そう尖んなよ。
 こんだけ意味のねーことをわざわざここでやってんだ。
 何もしやしねーよ。」

にひ、と笑って見せれば、残った灰を落として。
赤い首輪の光る胸元から小さなポーチを出せば、そこにしまい込んで。

ジーゴ > 「しんじゃ?だっけ、かみさましんじてるやつが金くれるんだろ。いい商売だよな。」
神様のことも教会のことも実はよく知らないからイメージだけで適当なことを言った。

「犬じゃねーんだから、なでられても、うれしかねーんだよ」
言葉は嘘だ。獣の耳は嬉しそうに後ろに倒れて、撫でられるまま。そのままに結局逃げようとはしない。
このままでは撫でられる心地よさに心を許しそうになってしまうとばかりに続く言葉は乱暴だ。

「あ、もうかってにそうじでもしてなッ。お前もだれかに犯されてたってしらねーからな。じゃ、オレもひまじゃねーし、帰るから」
ふるふると頭をふって、撫でられている手をふりほどこうとする。
ゴミを載せた荷車の元にいる相手は置き去りにして、じゃーな、と去って行く少年。
すぐに家路を辿るわけではなく、いい匂いのクスリを求めて、貧民街をまだうろうろと路地に消えて。

シスター・シェリー > 「その通りなんだよなぁ……。」

綺麗事を並べてもどうにもならない。彼女はそれくらいの理は理解している。
信者から金を得て、それで私腹を肥やすヤツもいる。
まあ、そのシステムに便乗しているのだから、批判もする気は無いが。

「そうツンツンすんなっての。 こう見えても逃げんのは得意だからな。
 残念だけど、そいつは見せらんねーなー?」

ぺろ、と舌を出しながらウィンク一つ。 ガッツリ修道服の上からでも分かるプロポーションはそういう危機を呼びそうではある。
何より、首元に光る枷もそういった被害の結果だ。
だからこそ、この場所で離れた相手の目的を一々気にするほどに優しくもない。

ぷい、っとどこかにいってしまうなら、んじゃなー、と軽い言葉をかけた上で、荷台に手をかける。

「ゴミって持ち帰ってどーすんだ。
 ほんと、無駄がお好きなことで。」

一人ぼやく女はため息をついて。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からジーゴさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からシスター・シェリーさんが去りました。