2021/04/04 のログ
エインセル > 「つまり、私から生まれたら君もより貧乏になる。その運命は多分必至。
 ――まぁ、実際、自分が産んだ子だとしたら、きっと慈しむだろうけど」

産んだこと無いから多分ね、という程度に留めて、一緒にゆらゆら。
それから、少女の正体を知らずに安請負した彼にニヤリとほくそ笑む。
ならばサービスはしっかりしよう。のんびり由無し事を話して、のんびり過ごして。
それから、彼の懐で添い寝となる。湯たんぽより温かくて落ち着くから気分は良い。
そうして、朝になれば、簡単な朝食を分けっこして、ゆるっと別れるのだろう。
同時に、彼の財布が潤ったら、一気に素寒貧に戻る運命が確約したのだとか――。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 公園」からリンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 公園」からエインセルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にレトさんが現れました。
レト > 貧民地区の奥、浮浪者すら近づかないそこは指名手配犯や危険人物が逃げ込むにうってつけ。
そんな場所を一人突き進む獣人の女、漂う腐臭や微かな音を頼りに目的の人物を発見、捕縛あるいは始末するのが仕事だ。
依頼そのものにターゲットの詳細以外の情報が無いのが気になるが仕事を選べる立場でもなく。

「…」

どうせどこかの貴族の逆鱗にでも触れた哀れな盗賊とかそこらへんだろうと軽く考えつつ。
自分の生まれ育ったフィールドである慢心もありはするが、いつでも武器を取り出せるくらいには警戒心は持っている。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
ギュンター・ホーレルヴァッハ >  
ターゲットを探す彼女の嗅覚が、奇妙な香りを捉えるだろうか。
正確には、香りそのものがおかしいという訳では無い。
此の場所でその香りがする事に、違和感を覚える様な。
それは、上質な香炉の残照と甘ったるい紫煙。
富裕地区や王城ならまだしも、貧民地区という場所から漂うには、余りにも似合わぬ香り。

「……思っていたよりも早く辿り着いたものだな。
腕が立つ、という噂はどうやら信頼のおける情報の様だな」

そして、その香りの出所は探す迄も無い。
彼女の眼前に現れたのは、豪奢な礼服を纏った小柄な少年。
崩れかけた廃屋を背に、月光に照らされた少年は尊大さと傲慢さを滲ませた緩やかな笑みで、彼女を見据える。

「私が依頼主……いや、正確には貴様に依頼をさせた者の上司、と言えばわかりやすいかな。
貴様の腕前を確かめる為に、敢えて情報の不足した偽の依頼書を出してみたが…まあ、及第点と言えるだろう」

レト > 慎重さと無謀さの入り交じった足取りで進んでいたが、ふとその足が止まる。
この場に不釣り合いな匂いを感じ取ったからだ。
その上質な匂い…上質なものと無縁が故により違和感しかなかったが、こういう場でそういう匂いがすると大抵ろくでもない結果だったりすることが多い。
止めていた足をさらに進め、その匂いが濃くなってくれば一人の少年が待っていたかのように現れる。
その口ぶりからこちらの力量を図っていたのだとわざわざ口にする傲慢さと尊大さ。
本当に気に食わない。

「チッ…」

明確な不満と不遜そして不機嫌さを微塵も隠すことなく舌打ちをかました獣人の牝は、懐から早々にタバコを取り出して火を付け、苛立ちを払拭するかのように煙を吸い込み吐き出す。
次いでその鋭く愛想の欠片もない視線を少年に向けて。

「そんでお坊ちゃま、こんな手間かけてまでやってほしい仕事って何だよ」

相手が何者であれ不遜な態度で貴族の少年に接する女。
良い話でもなければ今すぐこの少年の身ぐるみでも剥いだ方が早いとでも言いたげだ。

ギュンター・ホーレルヴァッハ >  
不遜不敬な彼女の態度にも気を悪くした様子は無い。
己の絶対的な立場、権力、資産。そして、それらが生む余裕。
そんな態度で、笑みを浮かべた儘小さく肩を竦める。

「気の早い事だ。しかし、用件を簡潔に済ませるのは良い事でもある」

懐から取り出した煙草に火を付ける。
先程と同じ香り。舶来品の上質な甘ったるい紫煙が彼女の鼻腔に届くだろうか。

「近々、ある貴族がタナール砦を訪れる。
そいつを殺せ。方法は問わん。
まあ、此の国の貴族の嗜みと言わんばかりの女好きだ。寝所にでも潜り込めば、容易い仕事だろうよ」

逆を言えば、或る程度そういった仕事に慣れており、男を篭絡させる技術を持っており、それなりに腕が無ければ依頼しにくい裏仕事。
だから、数人の傭兵を見繕い嘘の依頼書を流して…最も見込みのある彼女に、こうして声をかけた次第。

「報酬は当然貴様が満足いくものを用意しよう。
引き受けて貰えると、嬉しいのだがね?」

コツリ、と此の地区に似合わぬ革靴が地面を叩く音。
紫煙を燻らせながら、ゆっくりと彼女に歩み寄りつつ首を傾げてみせる。