2021/02/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 『二口狼』亭」にシェラグさんが現れました。
■シェラグ > 今日も一仕事終えると、すっかり日も落ちていた。
そうなればもちろん、お楽しみの時間である。
馴染みの酒場に赴くと、店主に元気よく手を上げて挨拶。
店主の好色な視線が胸に集中するが素知らぬ顔で席についた。
「煮込みと、お酒をお願いします! あー…。今日は、”芳醇”ワインの赤を。」
眼を丸くしながら応じる店主を見て、内心ほくそ笑む。
”芳醇”ワイン…すなわち、”水で薄めていない”ワインを頼む客は、この店からすれば上客である。
サービスのつもりか、器から溢れそうになるぐらいに盛られた熱々の煮込み料理と、”芳醇”なワイン。
目の前にそれを眺めて満足気な表情を浮かべると、スプーンを手にとった。
■シェラグ > 熱い煮込みをやり、火傷する前にワインで流し込む。 思わず唸る。
労働の後のご飯はなんだっておいしい。 特に、気分がよい時は。
例えこの煮込みが少し肉臭くても、ワインがちょっとばかり味が悪くても、
今の自分にとってはこれが最高の食事であることに、だれもケチはつけられまい。
せっせとスプーンを動かしても、まるで減らぬ煮込みの山。
食べ進めているうちに、ほんの少しだけ後悔が脳裏をかすめる。
”食べた分、胸と尻に行くんだろうな”…。
一瞬手が止まったが、再び動き出す。
後悔するぐらいならやらない。 今は楽しむときなのだ。
ワインのボトルを掴むとラッパ飲みである。
口の端から溢れたワインが、白い首に赤いラインを描いた。
「すみません、なにかパンの類とかあります?あ、どうも。」
有無を言わさず店員が持ってきてくれたのは、硬いもそもそしたパンである。
スープにつけなければ食べられたものではない。
逆に言えば、目の前の煮込みのスープさえあれば、食べられるということだ。
パンをスープに浸し、柔らかくなったところで口に運ぶ。
パンの埃っぽさと汁の肉臭さがいい感じにお互いを打ち消し合ってくれた。
思わず笑みが浮かぶ。
■シェラグ > 格闘することしばらく、たっぷりの煮込みとワイン一本、そしてパンを胃袋におさめると満足げに立ち上がった。
「ごちそうさまでした!」
店主にお金を渡すと、ものすごくいい笑顔でお礼を言われた。
多分一人客にしては十分…十二分な支払いだったのだろう。
自分もお腹いっぱいだし、相手も満足。
お互い満ち足りた表情になると、お店をあとにするのでした。
ご案内:「王都マグメール 『二口狼』亭」からシェラグさんが去りました。