2021/02/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にラッツィオさんが現れました。
ラッツィオ > 仕事の話があると匿名の手紙で貧民地区の片隅に呼び出されてから、どれほど時間が経っただろうか。
待たされるのも待ちぼうけを食らうのも日常茶飯事な男は、特に悲観することもなく、道端に投げ捨てられている木箱に腰掛けていた。
目の前を通り過ぎていく人の数はまばら。
男が地面に垂らしている刺々しい尾にぎょっと視線を向ける者もいるが、詮索せずという貧民地区のセオリーに従い、声までかけてくる者はいない。

「いつになったら切り上げるかねェ――。っと、ミスっちまった」

こういう時の暇潰しの道具を、男は常に持ち歩いていた。小刀と木片だ。
木片に細かく刃を入れて、形を削り出していく。
作るものは思いつくまま、今日は犬でも彫ろうという気分になっていたのだが、刃が滑って耳が片方欠けてしまった。
まぁいいさと気を取り直し、黙々と作業を続ける。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からラッツィオさんが去りました。