2021/01/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 「へえ、意外な人の名前が出たな。
言っちゃ何だけど、偶々会っただけだし、忘れられてると思ってたけど……。今度見かけたら、声をかけてみようかな」

と、嬉しそうに笑う男。
野郎に覚えられても嬉しくもなんとも無い、と冗談や韜晦では良く言うが、実際には中々嬉しいものである。
勿論、相手はお世話にならなければそれに越した事はない相手ではあるが――案外、友人としてなら付き合いやすい気がしてきた。

「は、腹の立つ言い方……!まあ、確かに君の様な子をナンパするのはすっごく苦手なんだけど!今まで一度も成功してないけど!
……でも、どっちかが何かピンチだったり仕事中なのもあるのでは」

多分、それなりに余裕のある時ならばそれなりにちゃんと口説けるのかもしれないが、中々その時が回ってこない。
英雄小説の恋愛譚だって、もう少し落ち着いて二人で会うシーンが挿入されるものだが、基本どっちかが怪我してたりメンタルやられてたり仕事中だったりである。
嫌な意味で運命を感じる出会い方しかしてないな……と遠い目で呟きつつ歩くが、歩くのが早すぎると言われれば、おっと、と歩幅を狭め、

「ごめんごめん。考え事してたのもあるけど、重心のコントロールが意外と難しくてね。
ある程度腕が離れてた方が、かえって手の押し引きがしやすいもんだから、つい」

んー、とはいえ困ったな、と男は思う。この技は、身体の距離が近いと帰って失敗しやすいのだ。
かといって、前みたいに抱き上げるというのも今回は難しい。
此処まで足場が悪い状態では、そっちの方がバランスを崩しかねない。
緊急事態の時はそれも考えるが、今回はそこまででもないし、万が一足を滑らせてころんだ場合、最悪ティアフェルを地面に叩きつける事になる。
どうしたもんかなーと思うが、ああ、そうだと思いついた様に頷いて、

「ちょっと失礼」

そう言うと、一度手を離してから、背中側に回って今度は背中に手を回す。
身体をぴったりくっつけて、手指は横腹に優しくつける。
手と身体で背中を支え、いざという時はもう一方の手で支える形。

「歩きにくく感じるかもしれないけど、思いっきり前に足を前に出しても全然問題ないから。
これなら、それなりの安心感はあると思うけど……」

どう?と聞いてみる。
どうやらこれは下心ではなく、単純な思いつきであるらしい。

ティアフェル > 「ま、袖すり合うも他生の縁と云いますし。結構いい子だし、いんじゃない」

 再会してそのままごはんを呼ばれるという離れ業までやらかしました当方。うんうんと肯いて見せ釣られたように笑い返し。

「苦手なら手ぇ出そうとするのよしたら。――バッカねえ。ピンチこそチャンスよ? 活かせてねえなー。
 このままでは安定の平行線ねー」

 仕事中はともかく、ピンチをチャンスに変えて懐に入り込むくらいのガッツがなければ話にならんなと鼻で笑い。

 それから、もともと歩幅も違うのだからそちらのペースで歩くのはこの凍結ゾーンではなかなか至難の業だと少々唇を尖らせていたが。

「コントロールねえ。難しそうな印象はうけないけどね。――って、わ……」

 この状態の悪い路面で担いで運べとは云わないが、もうちょっとどうにか、と云おうとすれば、何か閃いた彼が不意に背中に手を回し密着状態で身体を支えてくる。
 これは確かに安定してるが、歩きにくさは絶対的にある。
 オプションで多少暖房効果がある。

 かつて姫抱きで楽に運搬してもらった経験もあるので、顔を赤らめたりすることもなく。平常運転で、まあこれくらいしか手がないならしゃーないかと肯いて。

「そーね、じゃ、この調子でよろしくー。家までね。こないだ来たとこだから分かるっしょ。あっちあっち。真っ直ぐ――」

 なんて進路を指示しながら貧民地区のツルツルアイスバーンから平民地区の多少整備された家の方へと帰宅の途へつくのであった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からティアフェルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にキールさんが現れました。
キール > 貧民地区酒を煽りながら進む一人の男。

冷たい風が体を撫でるが男の巨躯が生む熱では涼しい程度。
靴裏から伝わる冷たさも歩けば気にならず。男は目的もなく貧民地区を闊歩する。
夜の帳の落ちたその場所にはあちらこちらに深い闇がある。
「さて、良い女でもどこかに落ちてないか…」
等と、呟きながら自身の顎を撫で饐えた匂いの中鼻を鳴らし雌の匂いを探し始める。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からキールさんが去りました。