2020/11/27 のログ
ティアフェル >  注射器のような、と思っていたがやっぱり注射器だったのか。やっぱり注射器投げたのか。針ついてなかったんでしょうね、と若干憮然。

「ただのヤク中の方がいっそ人畜無害なんでしょうねえ……」

 ぼそり、と思ったままを呟いては、肩を竦め。
 代わりに立ちさる少年からの所作に。ああ、ごめんごめん、とひらひら手を振って詫び。

「はあい、おやすみなさーい」

 去り行く背中を見送ってから残った剣闘士を振り仰ぎ。包帯を巻いた脚を見下ろして。

「んー……こいつ担いで行ける程じゃないわねえ……。
 狂犬病なんかは多分持ってないだろうけど……犬の病気には詳しくないし、貧民地区にいる動物に関してはなんかあると見た方が無難ね」

 うーむと悩まし気に眉を寄せて問いになんともいえないと首を振り。それから、

「ねえ、もうアルコールはないの? もしくは油とかなんとか……ちょい荒いけど、燃やしちゃうのが安全なんだけどね」

 もっと寒さの厳しい時期になると路傍で火を起こす路上生活者も多い。そんな連中がたまに火事やらボヤやら起こすので笑えないが。
 けれど、火の始末さえできればちょっとした荼毘くらいなら、大丈夫だろう。
 ここに放ってもおけない、流しにいくのも厳しいとなれば燃してしまうのが無難に思えて。
 マッチくらいならあるんだけどーと、火種は取り出した。

クレス・ローベルク > 「その言葉の刃は既に鬼畜有害だと思う。後、それ針じゃなくて薬液の高圧噴射で肌に穴を開けるタイプ。
……一本辺り2000ゴルドぐらいするから、ちゃんと返してね?」

さりげなく本来針がついている所には魔導機械っぽい部品が取り付けられていたり。
気軽に使い捨てているが、何気に貴重な完動する魔導機械製注射器である。
一本無くすと普通に困るので、早めに回収したいと、手を出して催促。

「まあ、別に犬ぐらい俺が担ぐけどねえ。
確かに貧民地区の動物なんて、何食ってるか解んないしな……野生の野犬みたいなもんだと思ってたほうが良いかもしれない」

酷い事を言っている自覚はあるが、しかし一面の事実ではあろう。
何処からどんな病気を持ち込んでるか解らないという点では、寧ろ野生よりもまずいかもしれない。

「ん、ああ。後二本ぐらいはあるよ」

そう言って、ポーチから更に二本同じものを今度は手渡しで。
アルコールに火を付ける訳だから多分問題なく燃えると思うが、逆に変な燃え方をした時の消火の為に念の為上着を脱ぐ。
流石にこの時期にシャツだけだと寒いので、へっくちとくしゃみをするが、

「んじゃ、せめてお空の上では良い飼い主に恵まれますようにって事で……点火、お願いできるかい?」

ティアフェル > 「……充分強い癖にそんなもの常備して歩いている辺り、つくづくラスボスだよね……いや……アイテムを何かと装備してる辺りは中ボスか……」

 どちらにせよ、なんらかのボス的な人だな、とその出で立ちやら腕っぷしはそう思わせた。
 催促する手に、はいはい、と肯きながら蓋を閉めなおしたそれを返却し。

「かなり流血してるから担ぐと血まみれになるよ、わたしがやったからだけど。
 猫食べる気だったところからしてかなりの悪食でしょうね。肉食の動物を節操なく食べると病気産むからなー」

 冷たい壁に凭れたまま腕組みして首を捻って無残な遺骸を見下ろし。こいつも何もここで燃やされる為に生まれてきた訳でもなかろうにな、と思うとさすがに大嫌いな犬相手でも多少の同情は抱く。
 やはり持っていた予備のアルコールを受け取れば、さんきゅ、と手にして犬の骸にしっかりと浴びせると、そこら辺の紙くずやら木っ端やら燃えそうなものを多少足してから。

「大丈夫? いーよ、そっち脱がなくてどうせ汚れたからこっちの使うから。着ときなよ。―――ん、ちょっと待ってね」

 くしゃみをする様子を気遣ってから、血に汚れたエプロン型の白衣を脱ぐとワンピース姿で、しゅぼっと着火剤に押し付けてマッチを点火し、火のついたそれを意外と着火剤がわりの屑に放り込んだ。
 ッボ、と灯った小さな炎がみるみる間に触手を伸ばして舐めるように廃材から犬の遺骸へを舐めるように這いずり回りながら勢いを増して燃え上がり。
 それにしばし黙祷すると、遺骸が燃え尽きるのを見守るように傍にあった木箱を引っ張ってきてその前で座り、寒風の中で暖かさすら感じる火に当たりながら端に詰めてぽん、とその木箱の隣を叩くと。「座る?」と勧め。

クレス・ローベルク > 「奴隷戦やハンディキャップ戦を除けば、勝率は六割ぐらいさ」

と言いつつ、注射器を全部回収してポーチの中に戻して。

「まあ、血に濡れるのは慣れてるよ。病気持ちでなければだけど。
猫を食う文化の人もいるけど……流石に野良猫を食う気にはなれないよなあ。やっぱ食べるなら牛と豚と鶏だよ」

と言いつつ、彼女の勧めに従って服を着る。
彼の方にはあまり憐憫がないのは、元々魔物退治の教育を受けていたからだろうか。
それでも、一応は彼女に付き合う形で黙祷して。

「ん。飲むかい?回し飲みになるけども」

と、勧められた木箱に座って、酒瓶を軽く掲げてみせる。
上着を着直した以上、それをわざわざかけるのも違うと思うが、せめて酒で身体を温めるぐらいの事は、と。

ティアフェル > 「お仕事中の話じゃないわよ、プライベートでもその備えはどうよ」

 勝率のことじゃないの、と立てた人差し指をっちっちっちと振りながら。

「慣れてるからっていいって訳でもないでしょ。匂いがこびりついちゃうわよ。オフでも血生臭いなんて御免じゃない?
 シェンヤンとかね。あそこは足が四本あれば机以外なんでも食べるっていうし。
 わたし鴨とラム肉が好き」

 おいしくて無害ならなんの肉でもいいだろうけど、猫や犬はさすがに食べる気にはならない文化圏。うむ、と腕組みして肯き。ついでに肉の好みも。

「あ、うん、じゃあ……ありがと」

 酒瓶を受け取って、少しぼんやりするようにラベルを見るともなしに眺めてから、蓋を取り、軽く傾けて含み。こくり、と喉に通すと、はふ、と息を吐き出し。

「あー。そういえば実家の人はもう大丈夫なの?」

 思い出したかのように数日前追われて逃げ回っていた姿を思い出して小首を傾げた。

クレス・ローベルク > 「……試合で犯したお嬢ちゃんが後日マジ復讐に来たりするから、プライベートの方が備えは大事なんだよねこれが」

ふ、と暗い笑みを浮かべる男。
実際、アルコール入りの注射器も、試合ではまず使うことはない。
試合が一瞬で終わりかねないからだ。
酔わせて犯すハードプレイ用でもあるが、どちらかというと、相手を一瞬で無力化する為のものである。

「そこら辺はほら、紳士精神って奴。実際、女の子に重労働させるよりは幾分メンタルに良いしね。
シェンヤンは、たまーに猿とか虫とか出てくるのを除けば美味いんだけどなあ……
へえ、鴨と羊。意外と野趣な好みなんだなあ……俺は街で食うなら牛かなあ」

狩って食べるんだったら、コカトリスとかの鳥系だけど、と言いつつ、何となく近くにあった枝をぽいと投げる。
別に焚き火ではないので、焼き切れさえすれば火を強める必要もないのだが、何となく。

「店に入れたら、ホットワインでも奢るんだけど……」

流石にこの時間だと遅いし、何よりティアの身なりが悪すぎる。
一応、配慮として口を付けないように飲む。
ちなみに、此処らへんで買うにしては中々いい銘柄である。
ワインにはこだわりがある――と前にも言っていたのは嘘ではないようで。

「んー、まあ雇われのチンピラ共を半殺しにしたり、王都から一旦抜け出したり色々あったけど、まあ何とか。
あっちも一日中王都を監視してるわけにもいかないから、今日みたいな事は希なんだけどね」

俺もちょっと油断してたわと言って、また枝をぽいと投げて。

「そっちはどう?回復魔法の件、なんか進展とかあった?」

噛み跡をそのままにしていたという事は、流石に回復魔法を取り戻したということは無さそうだが――少し気になって。

ティアフェル > 「そんなの無理矢理試合に出すのが諸悪じゃない? 後腐れしないって話付けとかないと駄目過ぎじゃん。運営仕事しろ」

 公私混同は良くない。後々オフで報復行為に及ぶ選手を引きずりだすなと云いたい。
 アホ毛を複雑そうに揺らして眉根を寄せ。

「おう、さすがだね。血塗れの女見てもとやかく云わないし。いいこった。
 他にうまいもんあるだろ、って云いたくなるもん食べたりするよね。食べたことないからなんとも云えないけど……おいしいのかなあ……。
 えー? 羊は普通でしょ。ヘルシーで栄養価も高いのよ。……おいしい牛は高いじゃない……」

 コカトリスって毒抜きが要って面倒なのに、英雄一家の息子は胃も強いなと感心し。
 そして、ぱちぱちと爆ぜながら犬の皮下脂肪でかなり火力は強くなり、そして大分灰になってきた遺骸を眺め。燃えにくい場所を手近な木片をがごん、と強く突っ込んで崩して。

「じゃあ、また今度頼むわ。そろそろスパイスの効いたホットワインがおいしい季節ねえ」

 寒風に背中は冷えるが火に当たって前身はほこほこと暖かい。火の暖かさを感じる季節だと、風で時折吹き付けられる煙を払いながら思い。
 呑みやすくていいけど、高いんだろうな、と分けてもらったワインに感じた。

「あなたも忙しい人ねえ。試合で忙しいわ鍛錬で大変だわ実家からの刺客(じゃないが)に追われるわ。
 まあ、匿うくらいは頼ってくれて構わないから、いつでもどーぞ」

 何かと親切にはしてもらっているので、そのくらいは恩返しします、とそれなりに殊勝な気持ちで気安そうに手を振って小さく笑い。その笑みも続く問いに少し削げて困ったような顔で笑い。

「んー……なくもないけど……まだ先は長そうね。なかなかツライもんねえ。魔法が使えないっていうのは」

 微苦笑気味の表情を浮かべて頬を掻くと黒焦げになった後、灰になり塵に還って行こうとする遺骸を見やって。火も大分下火になってちろちろと小さくなってきたことを確認し。

クレス・ローベルク > 「無理矢理とか、騙して、とかそういうのが好きなファンも多いからねえ。いや、本当に後腐れだけはどうにかしてほしいんだけど」

素人を犯すのに良心を痛めたりはあんまりしないが、流石に「恋人に捧げるはずだった処女を奪われた復讐!」とか言われるとこっちが悪い気がしてくる。
それでも容赦なく叩き潰して犯している事を考えれば、男が言えた義理でもないのかもしれないが。

「冒険者なんて大なり小なり血を被るもんだからねえ。
美味しいといえば美味しいんだけど、微妙になんか損した気持ちになるかな……
まあ、牛に比べりゃ安いだろうけど。臭み取るの面倒じゃない?」

ナチュラルに言う辺り、普段からおいしい牛食ってる奴の発言であった。
火が爆ぜて熱が来ると、そろそろ全部燃えるだろうかなと思いつつ、

「良いねえ。シナモンとリンゴを入れたホットワインとか、この季節ならではの贅沢って感じで好きなんだよね」

あー、呑みたく鳴ってきたと頬を緩める男。
彼女に渡したのはコスパは良いが、決して安くはないワインである。
彼女の収入だと手は届くだろうが、常飲はできないだろう。

「……何というか、俺はいい友人を持ったなあ」

と、彼女の気遣いにしみじみ思う。
匿ってくれるのもありがたいが、何よりその気遣いが身に沁みる。
剣闘士は誤解を受けやすい仕事なので、なおさらである。
だからまあ、その恩返しは少しでもしたくて。

「そうか……。まあ、何かできる訳じゃないけど、また良かったら愚痴とか聞くよ。
一度付き合って、大体君の酒癖も解ったし……いや冷静に考えるとこれ、悪質な送り狼の言い方だね?」

と、苦笑いする男。
勿論、男にそんなつもりは今のところは無い。
彼女が自ら羊の皮を被るというのなら、狼にもなろうが、流石に友人を食うつもりもないのである。

殆ど、火も下火――完全に消えたら、骨とか灰を集めようかと思いつつ。

ティアフェル > 「だからって矛先が対戦相手に向くんじゃ見世物として道理が通らん。闘技場の運営がマズイんじゃない」

 ま、そんなことは百も承知で出場してるのだから、選手も選手だろうか。
 つくづく場外ならともかく場内では関わらない世界としておこうと痛感。


「好きで被ってる輩はかなりの少数派でしょうけどね。
 ラムは臭くないよ。乳児の内は羊は肉に臭みがでないの。大人になって牧草を食べるようになってから癖がつくのよ」

 ラムとマトンの違いを説く。別に何も求められていないトリビア。マトンは確かにちょっと厄介だと肯き。

「じゃあ、今度はそれのおいしい店にいこう。リサーチよろしく」

 こっちもこっちでホットワインが恋しい。店探しは丸投げしとく。なんだかそういうことを気軽に頼みやすいもので。

「おほほほ。ティアの価値を思い知るがいーわ。かわいく優しく女の子らしいティアフェル、と世間に広めておいてね!
 ――まあ、冗談はほどほどにして。なんだかんだ、クレスさんも充分親切だから、お互い様よ」

 アホな冗談を高笑いしながら飛ばしてから、一応本気で云ってないことを意思表示して微苦笑しつつ。
 にこ、と親し気な笑みを向けて言葉を返しておくのだ。

「いや、聞いてくれるだけで充分よ。わたしもやっぱり誰にでもぐちぐち云えないしね。ありがたい限りで。
 狼さんは友達の気持ちを踏みにじる狼さんではないのでした」

 NOと云えば尊重してくれるのは重々承知。闘技場でのように無理矢理などとしないことに関しては信頼を持っている。でなければ今頃友人としての付き合いはない。
 
 概ね燃え尽きたようで煙ばかりが立ち込める燃え残りを靴底で踏み潰して消火し。
 大きな骨や灰をざっと集めて路上に捨てられていたずた袋に詰め込み。

「下流に流せば終わりね、ここまで付き合わせちゃってごめんね」

 凶暴化した野良犬を駆除するのも一苦労だ。けれど最後まできっちり片づければ多少すっきりはするはず。立ち上がって、行くかと少々眠たげに欠伸をして歩きだそうか。

クレス・ローベルク > 実際、この辺りは難しい話ではある。
騙したり無理矢理出すのは運営の仕事だが、その利益は選手側も年俸や各種保証という形で被っているのだから。
だから、それについては苦笑いで流しつつ、

「あ、そうなんだ。それは初めて知った。羊なんて普段あんまり食べないからなあ」

全く食べないわけでもないが、普段食べるものとしては候補から外れがちなのは確かだ。
ただ、やはり一度話題に上がると食べたくなるもので、今度美味しい羊肉の店を探そうかなと心のなかで考えつつ。

「りょーかい……っていうか、行きつけの店があるからそっち行こう。ホットワイン一杯ぐらいなら大した値段じゃないし」

どうせ、何杯も飲むものでもない。
ちびちび飲めば時間も潰せるし、ツマミも安いものを選べばそこそこ安く上がるはずである。

「実際可愛いし優しい女の子だと思うけどね君は。
情けは人の為ならずっていうのは、古臭いけどやっぱ真理だよなあ」

冗談にマジ返しする悪質な褒め方。
とはいえ、別にからかいではなく、本当にそう思っているのではあるが。
実際、今日だって殺した犬を含めて、色々な事に気を向けているのだし。

「はは、そう言ってもらえると、少しは年上をやってる甲斐もある。
ただ、狼さん、結構君みたいな子好物なんだけどねー……。あれだ、童話で兎と友だちになった狼の気分だよ」

流石に、介抱で抱き抱えたりした程度でプッツン行くほど初心ではないが。
とはいえ、実際偽装デートの時はクラっと来た事もあるし、別にティアを女として見ていない訳ではないのである。
ただ、男にとって食べたいと守りたいは、非常に近い感覚なのだった。

だから、付き合わせてごめんと言われれば、苦笑とともにこう返すしか無い。

「なあに、お互い様ってやつさ」

そう言って、ティアについていく。
川に流す所を見届けたら、後は適当な所で解散となるだろうか――

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からティアフェルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/酒屋店頭」にビョルンさんが現れました。
ビョルン > 貧民地区に酒を扱う店はそう多くない。
それでも、質の悪くない酒を相応の値段で供する店を知っているのは生業柄か。

個人的な来店は珍しいというように接する店主から甘口の燗酒を貰って金貨を渡して、立ち飲み席へ。
貧民街の通りを眺めながら、酒器から小さな焼物に酒を注ぎ、口をつける。

甘いが喉を過ぎればカッと焼けるようだ。
己には、これの善し悪しがわからぬ。
それでもかった1本は飲み切ろうと決める。

そうして、再び街路に視点を向ければ──。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/酒屋店頭」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > 「ふんふふ~ん……うん?」

もはやホームグラウンドの如き、貧民地区。
男は、鼻歌交じりに道を歩いていたが。
そこで、何か面白そうなものを見つけた、と。
足を止め、つい、と覗き込むようなジェスチャー。

「……あら、若旦那。
 こんなところで奇遇だねぇ」

そこで、男は得意の……軽薄そうな笑顔を顔に貼り付け。
ぺこ、と。頭を下げつつ。
相手に向かって、ひょこひょこと近づいていく。

「ご相伴にあずかっても?」

無遠慮に近づいておきながら。
相手の間近にきてから、そんなことを言う男。
はっきり言って、失礼千万な振る舞いと言えた。

ビョルン > 通りを来たのは己よりも年長の知り合いであった。
お辞儀を受ければ、片手を軽く挙げて。

「──よぇあ…!」

覆面を付けて同じ敵に対した際の『よう』と、それよりは距離の開いた『やあ』がせめぎ合い、どちらでもなく舌を噛みそうな挨拶が口をついた。

テーブル代わりに置かれた酒樽の上、酒器に目を落として快諾するように頷いて。

「ああ、こちとら精進落としの酒だけれどね──。
 だから乾杯とはいかないが、それでも良けりゃァどうぞ」

店主に視線をやって相手の分も酒器を運ばせる。
己の分の酒を継ぎ足してふとポッケに片手を入れ。

セイン=ディバン > 「お久しぶりかな?」

くくっ、と。相手の挨拶に対して笑いつつ。
男は体をふらふらと揺らしつつ近づき。

「精進落とし? なんだっけかそれ。
 あぁ、いやいや。ここはオレが持とう。
 年長者だしね」

精進落としとは? と首を傾げつつ。
男は、相手から貰った酒をくっ、と一息に飲み干し。
店主に、金貨の入った袋を渡す。

「しかし、旦那。この間酒場で会ったときは。
 飲めない、って言ってなかったっけね?」

その精進落とし、ってのと関係あるの? と。
相手に疑問を投げかけつつ、男は酒瓶をひょい、と取る。
琥珀色のそれを器に注ぎ、ちび、と舐めつつ。
どこか、表情は楽しそうににやにやと。相変わらずの軽薄節。

ビョルン > 「夏以来かな」

互いに素性は探り合わないという建前の集団に属していたことをどう処理したものか、決めかねて語尾を濁した。
会計についての申し出にはきっぱりと首を振る。
今ある酒は前払いしてきたので問題はない。

続けられた言葉には、緩く首を傾げて。

「その旦那っての止めて頂きたい──…、
 それと、そう。
 飲めないし、飲まないよ。
 けそ、精進落としとあっては飲む……ほんの小さな弔いを終わらせる為さ」

相手のニヤケ顔、内心蹴りたくないと言えば嘘になろうか。
諸々肚に隠して、今日も表情は薄く。

セイン=ディバン > 「うっそ。そんなになる?」

あれ~? と、白々しく考える男。
当然、男とて、相手の気配を覚えているわけなので。
そこらへん、触れないように、という意味合いでの言葉でもある。

「だぁってねぇ。血盟の若旦那じゃん。
 ふむ、そうなのか。
 ならまぁ、無理しない程度に胃に収めるこったね」

ふぅん、と。男は、相手の言葉からある程度、推理し。
そんなもんか、という調子で、自分の取った酒を呷りつつ。

「ほんで。なんともまぁ明るくない表情だけど。
 その弔いの相手、ってのは。
 大事な人かい?」

いきなりだった。ずけっ、と一歩踏み込む男。
踏み込んでいけないかどうかは、その場その場で判断しているのだろう。
器を空にすれば、再度酒を注ぎ、飲みつつ相手を見る。
それは、窺う、とも。観る、とも。どちらともいえないような目つきであった。

ビョルン > 「もっとかも」

そこはすっとぼけるが、以前に酒場で話した時よりは態度も言葉も砕けているのが容易に知れるだろう。
相手が続けた言葉に、苦笑いするような息をつく、

「でも、それじゃまるで旅籠かどこかの二代目みたいでは──…、
 ……飲めなくはないんだ、倒れたり怒りだしたり泣き出したりはしない」

証明するわけではないが、注いだ酒はすいすいと飲み下す。
これからの季節には悪くはないのかもしれない。
そうして注いだ酒、今後は舐めるようなペースで減らしていく。

「ン、まぁ──」

縁もゆかりもない小動物の遺骸を埋めただけだとも言えず、言葉を濁す。
そうしてポッケに入れた手は触れた物を引き出す。
それは1セットのカードで。

「そういや、すごくすごく……ポーカーの弱い仕事仲間が居たんですよね。
 そぉ、ちょうど──セイン殿のような年恰好の」

ククッ、と喉元に笑う息を籠らせてケースから抜き出したカードを差し出し。

「一戦いかが」

僅かに口元上げた。

セイン=ディバン > 「あぁ、やだやだ。
 歳を取ると日時の感覚が……」

そう言って大げさに頭を振る男。
茶番、と言えるかもしれないが。
これもまた、互いのことを、ある意味守るためのやりとりである。

「間違ってもないんじゃあない?
 ははっ。それなら一安心かな」

互いに酒を飲みつつ、なんとも間延びした会話。
しかして、男は相手の次の行動に、む? と首を傾げつつ。

「……それはそれは。
 ま、ポーカーってのは奥が深いからねぇ」

相手の言葉に、天を仰ぐように仰け反りつつ。
苦笑を返す男。その声色は微妙に苛立ちと愉快さが混じっているかもしれない。

「……あぁ、いいよ?
 ……何か、賭けるかい?」

挑戦的な相手の様子に、男は笑みを浮かべ。
望むところだ、とばかりに、相手に提案を返す。

ビョルン > 「そんな大年寄りみたいなこと」

大袈裟な言葉にはちょっと肩竦めるだけで聞き流す。
相手が続ける言葉には頷いて。

「それは、実際そのようなものですが──そのようなものである所以を語ると長いですから。
 ……そのうち酒が美味いと、思う時も来るンでしょうかね」

他でもない酒屋の店頭ゆえに、声は潜め気味に言い添えた。
ポッケの底に入っていたカジノ用のチップも酒樽の上にころりと転がして。

「そう、ポーカーは難しい。
 じゃあ、ブラック・ジャックって遊びなんてどうです」

手の上でカードを十分に切りながら簡略なルールを説明した。

「賭けの報酬は──…俺が勝てばひとつお願いを叶えて貰おうかな。無償で。
 俺が負けたら、そこに報酬がつく──、拒否権は有ります」

【ルール説明:
 手持ちの札は最初にダイス式2d13を引いてください、「1」は「11または1」「10・11・12・13」は10と数えて合計を出します。
手持ちの札は捨てられませんが、手札を追加することができます合計が21を越えず、21に近い方が勝ち】

セイン=ディバン > 「もう年寄りなんですよ、っと」

へら、と笑いつつ。
自分はもう現役最前線の人間でもない、とばかりに。

「遠巻きに見ている人間からは。
 あんま、区別はつかないんじゃないかなぁ。
 ま、そりゃ人それぞれ。酒それぞれ」

誰でも、何の酒でも美味いと思うわけでもないからなぁ、と。
男は、そういいつつ。相手の取り出したチップに、苦笑を増やし。

「ふむ。まぁ、こういう場なら。
 そういう勝負のほうがいいかな」

ブラック・ジャックは、ポーカーよりもスピーディだったりする。
ただし、その辺りは参加者の人数次第なのだが。

「……ま、それでいいよ。
 それじゃあ、はじめようか」

提示された報酬に、男は一度頷き。
勝負が始まった、その空気に息を吐く。

ビョルン > 【ルール詳細:
 互いの手札に同じ数字が5枚以上になればトラブルの上流局とします。
 ゲーム中の行動描写は(カードを引いた)などのゲームにまつわる簡易描写でも構いません】

「その辺り、気にしてくれないのは有難いかな。
 ──美味い酒を知らないんだ、なんて無粋なことは仰らなくて」

勝負の話に指を2本立てて示す。

「とりあえず2勝先取というルールで」

樽の上に重ねたカードを積み、その脇にチップも重ねる。
今回チップは使わないが勝ち点を数える為に使うかも知れない。

「お先」

2枚のカードを引いた。
[2d13→3+10=13]
セイン=ディバン > 「オレだって、全部の酒が好きなわけでもない。
 ……苦手な酒は、一度も飲まなかったりするし、な」

相手の2本の指、そして、二勝選手というルールに頷きつつ。
男は、相手に続いてカードを引く。

「……まぁ、お手柔らかに頼むよ」

この男、実際、ギャンブルには強いが。
『勝負』に弱いタイプだったり。
[2d13→5+6=11]
ビョルン > 「酒にも得手不得手があってもおかしくないと言うことか」

そう呟いて手酌の酒を飲む。

そうしてカードを引けば瞬間難しい顔。
しかし8以下を引く確率の方が低いと見て山へ手を伸ばす。

「もう1枚」

カードを引いた。
[1d13→12=12]
ビョルン > 無表情にカードを伏せた。
合計23でバーストである。

だが表情には出さない。

セイン=ディバン > 「そらもちろん」

食品もそうだが、酒もそう。
合う合わないは絶対あるので。
そこも、無理しないのが大事である。

「オレももう一枚」

安全圏なら、勝負だ、と。
男も1枚引く
[1d13→3=3]
セイン=ディバン > 「……」

16。勝負には弱い。
だが、これ以上引くのも危険だ。
男は、1敗覚悟で。

「じゃあ、これで勝負といこうか」

そう宣言し、カードをオープンした。

ビョルン > 「これで勝負します」

カードを伏せたまま相手に視線を投げかけた。

「どうします?
 引くか、勝負か、降りるか」

強気な口ぶりで煽る。

セイン=ディバン > 「オッケー、じゃあいこうか」

2本先取なら、一回までは負けれるのだから、と。
男は、相手の圧を気にせず勝負に行く。
……結果は、押して知るべし、だ。

ビョルン > 煽っても相手はカードオープンに出た。
こちらも表返して示す。

「負けました」

相手の前にチップを1枚。

「お先どうぞ」

セイン=ディバン > 「……ふぅ、こりゃあラッキーだった」

相手のバーストを見て、汗をぬぐうようなしぐさを見せる男。
チップを一枚受け取れば、ニヤリ、と笑い。

「よし、じゃあ2戦目だ」

そう言い、男はカードに手を伸ばす。
[2d13→4+13=17]
ビョルン > 「勝たねば後がないな」

相手がカードを引けば己も切ったカードの山へと手を伸ばす。
[2d13→4+11=15]
セイン=ディバン > 「コッチとしては、余裕はあるけどなぁ……」

手札をチラ、と見ながら。
相手の顔色を窺う男。
現在14。勝負するには、弱すぎる手札だ。

「……勝負……!」

意を決し、カードを引く男。
[1d13→4=4]
ビョルン > 得た手札は5、とも15ともカウントできた。
幾分か気楽に手を伸ばす。

「もう1枚」
[1d13→10=10]
ビョルン > これでやっと15。

相手は引くのだろうか、様子を見る。

「どうします?」

セイン=ディバン > 「……」

引いてきたカード、4。
合計18。
強い、と言ってもいい。
だが、若干の不安もなくもないが。
引けない。これ以上はムリだ。

「……オレは、ここで止めとくよ」

ふぅ、と息吐き。
カードを伏せる男。
相手は、更に引くのか、と。
興味深そうに見る。

ビョルン > 相手の答えを聞き

「こちらは、勝負に出るには足りないです」

6以下、は確率は半分を切るが賭けに出た。
[1d13→2=2]
ビョルン > カード揃えて目を細めて一言。

「刻むねぇ」

17は、むず痒い数字だった。
だが相手の手札が見えない以上、三分の一以下の確率には任せられず手札を開ける。

「17」

セイン=ディバン > 「……」

唾を飲み込み、カードを同時に開ける。

「……ふぅっ!」

息を吐き、拳を握る男。
珍しい。ストレートな勝ちだ。

ビョルン > やれやれと、首を振る。

「今日はツキをどこかに置いて来ちまったようだ。
 今日は完封負け──、今日は、なんておかしいか」

しばらく存在を忘れていた酒も、そろそろ底が近いようだ。
酒器に移して唇をつけ。

「頼み事は他でもない、腕試しの相手──報酬は言い値で払う」

淡白な口調でボソと吐いて。

セイン=ディバン > 「ツキ、そうだね、ツキだ。
 今回は、こっちにツキがあっただけだ」

ふふ、と笑いつつ。
男も、最後に酒を飲み。
相手の言葉を聞く。

「……え、そんなんでいいんかい?
 まぁ、それだったら全然」

タダでもいいくらいだが、と言い。
男は相手の顔を覗き込む。

「……別段、武闘派ってわけでもないでしょうに。
 なんかあった?」

そこで、相手の真意を聞こうと、そうたずねてみる。
もちろん、答えなくとも、相手の頼みを聞かない、ということもない。

ビョルン > 「運というかツキというか、運の尽きというか……」

ストレート負けは厳しいと、吐息をついてみせて申し出に対しての返答、快諾じみていたので思わず目を丸め。

「それなりの場所でやりたいので、下手をすれば勘違いした舎弟衆が復讐に向かいますがそれでもロハで大丈夫?」

そうして問いかける声には首を振り。

「本当に、ただの力試し。或いは、稽古をつけて貰う感じかもしれない。
 鈍ってたら、鍛え直さないと──だけれど、得物はどうします?」

真意も裏もなく、伝えれば問い返す。

セイン=ディバン > 「いや、それは言いすぎでは?」

運の尽き、とまでは、と笑う男だが。
続く言葉に、男はやや真剣な表情。

「まぁ、うん。
 別にいいよ、それくらいは」

むしろ、いいスパイスだ、と。
相手に向かって笑顔を見せる。
望むところだ、とばかりの笑みだ。

「あぁ、そういうことね。
 ふむ……。オレは素手で構わんけど」

訓練でしょ? との様子だが。
そこには、余裕が見え隠れしている。
いや、舐めている、といってもいいかもしれない。

ビョルン > 「ならばお言葉に甘えて」

答えてから最後の一滴を飲み干した。
酔いはしない。

「冒険者とやり合ったことはなくてね──、
 諸々と経験不足ですが宜しくお願いします」
 日付は、鳩でも飛ばして頂ければと」

稽古をつけろろ己が言った以上、下に見られては当然だ。
ひとつ頷いて、店内を振り返り店主へと声を掛けてチップのコインを樽へと置いた。

「今日はこれにて」

そうして相手へとちらっと手を上げて、「良い夜を」と店を出る。
そのままどこかへ。

セイン=ディバン > 「おぅ。甘えて甘えて」

年上に甘えておきなさい、と。
男は快活に笑う。

「ま、そうだろうね。
 おう。了解。じゃあ、そういうことでね」

相手の言葉に頷き。
なぜか、楽しそうに笑う男。
どうやら、久々の戦いに高揚しているらしく。

「……さて、オレも帰るか~」

相手の後を追い、男も店を出る。
なかなか、いい夜だったようだ。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/酒屋店頭」からビョルンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/酒屋店頭」からセイン=ディバンさんが去りました。