2020/09/20 のログ
タマモ > 首筋へと片手を当て、こき、こき、と首を軽く左右へと解すように揺らす。
とりあえず、問答無用で剥いてはいるが、どうも反応が似寄っていて、飽きてきた。
そろそろ、違った相手ででも楽しもうか、そんな方向へと考えが偏っている。

ここに来て、軽く襲った相手は、すでに何組か覚えてない。
剥いで、楽しめそうな相手だったら、逃がさず楽しむ。
駄目だったり、微妙っぽかったら、さっさと次に行きたいので逃がす。
まぁ、そんな調子でやっていた。
そんな風にやってれば、そうなるのは当然と言えば当然か。

「次は…ふむ、どうするかのぅ…
いつも通り、臨機応変に、じゃろうか?」

軽く腕を組み、少し思案してから、そう呟く。
臨機応変、そう言葉にすれば、良さそうに聞こえるが。
ぶっちゃけ、行き当たりばったりで、いつもの少女であった。
何をするにしても、相手からすれば、禄でもないものなのだから。
そうして、少女は歩みを始める。
裏通りの奥、入り組んだ場所、次の哀れな犠牲者を探りながら。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 『貧民地区に片っ端から全裸を強制させる謎の狐娘が現れた。
どういう趣味なのかは知らないが、全裸の男が量産されるているのは普通に見苦しいので何とかして欲しい』

そんな依頼を受けた男は、その謎の狐娘――通称金色の悪魔とやらがいるとされる裏通りに足を運んだ。
近づく毎に全裸男性の遭遇確率が上がっていく為、彼女の場所はスムーズに見つけることができた。
だが、それを見た時、男は非常に微妙な顔になった。

「た、タマモちゃん……?」

そう、嘗て闘技場で輪姦し、挙げ句の果てに浮浪者集まる公園に連れ回して乱交祭りを行わせた、あの少女。
あの時はタマモの方に手加減があったのもあり、割と楽勝だったのだが。
――今回はどうかなあ、ガチバトルは避けたいとこなんだけど……。
そう思いながら、取り敢えず剣や媚薬注入器は抜かず声をかけてみる事にする。

「やあタマモちゃん。元気だった?随分と派手にやってるみたいだけど……」

親しげな笑みを浮かべながら、一歩一歩ゆっくり近づいていく男。
勿論、何か攻撃や魔術の素振りがあれば、直ぐに対応できるよう、心構えだけはしておきながら。

タマモ > ぴくん、少女の耳が揺れる。
歩む奥…と言いたいが、その足音は背後から。
どうやら、己の存在を知って尚、追って来ている者が居るらしい。
であるならば、楽しませてくれる相手なのか?
それとも、己と知らず、やって来てしまったのか?
まぁ、どちらにしても、やる事は…

「………うん?」

なんて、そんな考えを浮かべていたのだが。
現れた相手は、身覚えるある相手だった。
そう、闘技場で相手をし、遊んだ結果敗北した男だ。
その後の事は…まぁ、己もまた、楽しめたから良し。
ただ、あれだ、いつものあれが起こっていた。

「………あー…あぁ、久しいのぅ。
元気かどうかは、見ての通りじゃろうか?
して、お主…こんな場所、迷い込んだ訳でもない、そうじゃろう?」

男を指差し、何かを言おうとするも、言えず。
男の言葉に、軽く肩を竦め、そう返す。
次に誰かあったら、遊んでやろうと思っていたが、さてはて。

ちなみに、いつものあれとは、あれだ。
………顔は覚えているのだが、名前、忘れた。

クレス・ローベルク > 「……?」

こちらに指を指し、その後一瞬無言になる少女。
それを見て、逆にこちらが首を捻る。
どうしたのだろう、指差しは典型的な呪術の構成要素だが、特に魔力は感じない。
まさか、あれだけのことをされて、こちらを覚えていないという事は無いだろうが……と、男はズレた事を思う。
とはいえ、実際、あちらはこちらを覚えている口ぶりだったので、

「ああ、確かに元気そうだね。元気過ぎるとも言うけど……」

そう言って、更に近づく。
この距離ならば、いざタマモが攻撃してきても、踏み込んで剣で切って牽制できる。
そういう距離にまで詰めてから、

「いやね、此処で男性が全裸にされる事件が多発してるって聞いてね。
金髪で狐の耳と尻尾が生えた少女。多分、君のことだと思うんだけど」

男は、親しげな笑みを浮かべているが、首筋にじっとりと汗を掻いている。
タマモの力が闘技場で見せたあれだけだったとは、到底思いにくい。
あれは、何らかの理由で手加減をしてくれたと見るのが正しい――とすれば、機嫌を損ねた彼女が、更なる力でこちらを攻撃してくる可能性は大いにある。

「俺はそれを止めるよう依頼されたんだけど……止める気、ある?」

タマモ > 追求の言葉はない、よし、誤魔化し切れた。
そんな、男とはまた違う、ずれた事を考えている少女。
当然、男が考えている通り、少女は男を忘れてはいない。
むしろ、顔だけは忘れない、そんな自信を持っている。

「元気である事に、過ぎたる事もないじゃろう?
そうあれば、何ら問題もなかろうに?」

男が近付こうと、少女は気にしない。
相手の警戒とは裏腹に、自信満々に胸を張り、そう答えている。
まぁ、うん、ある意味では問題あるのだろうが、気にするな。

と、続く男の言葉に、今度は少女がかくん?と首を傾げる。

「あぁ、あの小悪党共か。
放っておけば、どうせ問題を起こす連中じゃ、良い薬となるじゃろうて、のぅ?」

ひらひらと手を振って、悪びれもしない。
まだ何も起こしてないのだから、そんな確証持てないだろうとか、そう思えて当然の返答だ。
とは言え、実際にその男達を見れば、目の前の男も、同じ考えに到るとは思うのだが…それはそれ。

そして、それを止めに来た、との言葉を聞けば、にっこりと浮かべる笑顔。

「安心せい、それはもうせん。
今からは、また違った遊びをしようと考えておってな?
お主が、まずはその相手となろうか?ん?」

言葉と共に、少女の視線が、男へと…その体へと向けられる。
その視線、追っていけば、男は気付けるはずだ。
その身に隠している、武器と、注射器、それ等の場所へと正確に向けられている、と。

クレス・ローベルク > 「まあ、実際、明らかに素行悪そうではあったけどね……。
治安維持の仕事は、衛兵のお仕事だ。勝手に取るのはよくないな」

そう言いつつ、少女が纏う雰囲気が剣呑になっていくのを感じる。
特に、あの笑顔は、満面の笑みではあるが、それは友好的というよりは、これから始める何かに対する期待の笑みにしか取れない。
そして、その嫌な予感は的中した。
だが、男は焦った素振りは見せない――下手な焦りは相手に伝わる。
そう、心に刻んで、

「遊び?君みたいな女の子と遊んでもらえるなら、そんな嬉しい事も無いけれど」

そう言いながら、男は腰に差している二振りの剣の内、一本に手をかける。
まだ、敵意こそ見せてないものの、明らかに戦闘を予兆させる視線の運びだ――警戒として、これぐらいは許されるはず。

「何時でもどうぞ。……なんせこちらは一度勝ってるからね。今度は仕事じゃないし、一対一でじっくりタマモちゃんで楽しませてもらおうかな?」

などと軽口を叩く。相手を激高させる恐れもあるが、それよりもこちらが恐れていると思われる方が、この場合まずい。
実際、勝てないと思ったら素直に退却する心づもりではある。それができるなら……だが。

タマモ > 「ふふんっ、やはりそうじゃろう?
事が起こる前に、起こらなくしてやったのじゃ。
この場合は、どうなるんじゃろうか?」

両手を軽く広げ、分かり切った答えだろうが、問う。
それっぽくあろうとも、何もしてない相手ならば、と。

「………よし、ならば決まりじゃ。
ならば、今回はお主が代わりに盛ってみるのも、良かろうて」

男の言葉に、満足そうに一つ頷く。
そして、向ける言葉は、前回の出来事を、彷彿とさせるようなもの。
その言葉の真意、すぐに気付けるならば、即行動とすべきだろうが…少女は、それを許さないだろう。

「あぁ…もう、やった、一発目じゃな?
今、まさに一対一、丁度良かろう?」

少女が動かしたのは、視線だけ、男にはそう見える。
だが、視線を巡らせた、注射器のある場所。
取り出して、素肌に押し付け、注入、その動作が必要だろうはずなのに。
その内の一本が、不思議と軽い、中身が空になっているのが分かるだろうか?
それに気付いたのならば、その言葉が何を指しているのかも、分かるに違いない。

クレス・ローベルク > 「……盛るって、俺が?おいおい、幾らなんでもそれは……」

前回は、タマモが媚薬で昂り、その隙をついて犯した。
だから、次は同じ目に合わせてやるというのは解る。
だが、魅了の魔術など、元とはいえ魔族の狩り手であるクレスがそうそうかかるような物ではない。
――そう、魅了の魔術なら、だが。

「一発――っ!?」

油断した、と男は思う。
それが証拠に、皮膚感覚が流れる空気を鋭敏に捕らえてしまっている。
試練の媚薬はドーピングにも使える――故に、何度か自分でも使っているが故に気付く。
この娘は、どういう原理でかは解らないが、薬液を直接血管に移動させたのだ。それも、男に一切気取られる事無く!

だが、それを理解した瞬間、男も動いた。
剣を引き抜くと同時に、タマモの身体を横薙ぎに切り払う。
魔術で刃こそ潰してあるが、鉄の棒としての威力は十分にある。
それと同時に、眼に魔力を集中させ、相手の魔力の流れを視る。
先程の移動魔術を、今度は妨害するために――

タマモ > 「………それは?」

ありえない、そんな事こそ、ありえないのだ。
それを言い掛ける言葉に、重ねるように、己は語尾を復唱する。
そして、その言葉が、己の発した言葉で遮られれば。
くすりと、少女は笑うのだ。

さすがは使用者本人、己が掛かれば、やはり気付くか。
そう、一発目では、まだ感覚が鋭くなるだけだ。
それに関しては、己もまた体験しているのだ、よく分かる。

男の次の行動は、なかなかに早かった。
触れていた剣、それを抜けば横薙ぎに切り払って来る。
その際に、何かをしているようだが、己にはそれが分からないし、相手にもこちらは何もしてないと感じるだろう。
当然だ、己は魔力に関しては疎い。
そんな者が、魔法の行使なんぞ、出来る訳がないのだ。
少女が使う力は、魔力とは別、魔力感知は無意味であった。

「ふふ…さぁて、いつ、次が来るんじゃろうかのぅ?」

だが、そんな力も、二発目はまだ来ない。
今回の主導権は、己にある。
このまま、もう少しだけ、付き合って貰おうか。
己が、それなりに、満足するまで。

その横薙ぎの剣を、一歩下がり寸でで避ければ。
ちらりと、向かっていた背後へと、ちらりと視線を向け。
するりと伸びる手が、振り戻そうとする手を、がしっと掴む。
笑みを深めたならば、とん、と地面を蹴って背後に移るのだ。
もちろん、その手は、男の手を掴んだまま。

クレス・ローベルク > 「(魔力の流れが捉えられない……!?)」

男の技は、あくまでも魔力を捉えるもの。
魔力以外の何かを使った術式を、どうこうすることはできない。
勿論、霊力を始めとする魔力とは別種の力の存在は知ってはいるが、それを検知する力はないのだ。

「だったら速攻で――!」

一歩下がって躱されたなら、体勢を取り戻される前に突きで追撃する。
その動きを身体が完遂する前に、何かによって阻害された。
それは、腕。何者かの腕が、男の手を掴んで話さないのだ。

「やばっ……!?召喚術かこれ!?」

その隙に、タマモは男の背後に回ろうとしている。
だが、それでも男は諦めない。
完全に後ろに回り込まれる前にと、後ろ回し蹴りで少女の横顔を凪ごうとする。
尤も、妨害不可能な形で腕を取られた以上、苦し紛れではあるが。

タマモ > 男の僅かな焦り、その気配に、くすくすと笑い続ける。
何かやろうとしたが、上手くいかなかったらしい。
その様子から、その程度の予想は出来る。

そして、呼び出したのは、別に大層なものではない。
百に到る妖を召喚する術を持つ少女だ、腕の一本程度、容易いもの。
まぁ、呼び出されたのが弱い妖の腕ならば、簡単に解かれるかもしれないが。
まかりなりしも妖、人間に遅れは取るまい。

腕を掴まれての、苦し紛れの蹴りが飛ぶ。
だが、その一撃は簡単に避けられ、少女は男の背後から、抱き付くように腕を腰に回す。

「ほれ、行くぞ?」

背後から、男へと伝える言葉。
次の瞬間、少女を中心に、何かが広がる。
それは二人を包み込み、それに合わせるように、召喚した腕は消えた。

後には、誰も居ない、静かな裏通りの光景が広がるだけ。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からタマモさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からクレス・ローベルクさんが去りました。