2020/08/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にジーゴさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にジーゴさんが現れました。
■ジーゴ > 「ちがいます…オレ買い物にきただけで…」
衣服が並ぶ店の店先。
店に入ろうとしてすぐ、店主に追い出されたから
思わず出た言葉が、店主のますますの怒りを買ったらしい。
『これだからミレーがいると治安が悪いんだよ!』
店主がミレー族についての悪口や
ミレーによる盗みの被害についてを怒鳴り散らしている。
「あ…」
店主がミレー族によるらしい悪事の被害を並べるのを
しかたなく聞いている少年。
周囲の人並みは、厄介ごとを避けようと見て見ぬふりをして、通り過ぎていく。
自分はただ単に買い物に来ただけなのに。
怒鳴られていると酷く惨めな気分だ。
ここで逃げれば、盗人だと思われて追われる可能性もあるから、とりあえず店主がすごい剣幕のうちは
話を聞くふりをしながらとりあえず、息を潜める。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」に黒須さんが現れました。
■黒須 > (気分転換のために帰ってきた貧民地区。
相変わらずの薄汚さを誇る街を歩いては周りを見渡していた。)
「相変わらず、汚ぇ街だな…。」
(どこを見ても同じような景色。
自分が過ごしてきたこともあり、その風景を見慣れていた。
そんな時、怒鳴り声が聞こえた。
向けば野次馬が溜まる修羅場、店主が少年をいじめている様子を高身長を活かして眺めていた。)
「…めんどくせぇな」
(呟くとそのまま人の中をかき分けて前へと出る。
目立つ黒づくめの男。)
「おい、オヤジ…何してんだよ…?」
(グラサン越しから突き通す鋭い睨み目。
本人は普段の顔をしているつもりだが)
■ジーゴ > 適当なタイミングで逃げるか、逃げて捕まったらもっと酷い目にあうのではないか。
とにかくなんとかして逃れようと方法を考えていたが、
どうにもなりそうになくて。
これ以上相手の怒りを買わないように息をこらして、
店主に怒鳴られるままになっていたが
それはかけられた声でぱたりと止む。
『お、お前はなんだ!今、こ、こいつが盗みを働こうとしていたから叱っていただ、だけだぞ』
店主の言葉はいきなり歯切れが悪くなるが、それでも
ミレーの少年が悪いと言い張っていて。
その脇で少年は思いがけず声をかけてきた男を見上げる。
助けてくれたのか?
現れた男の鋭い目つきに気圧されて、男と店主のどちらが怖いか計りかねているところ。
■黒須 > 「…。」
(チラリと少年の方を見る。
その時の目には怒りのようなものは無く、ただただ様子見をする様子だった。)
「こいつが盗みを行うところを見たのか?
こんなガキに声を荒らげるなんざ、めんどくせぇことするな…?」
(こちらから説教をするように威圧しながら話し合う。
歯切れが悪く、さらに怒りを溜めたかのような様子を見ながらの全く微動だにせず。)
「ま、続けるんだったら勝手にしろ…。
ただ…お前が借金返済にした時の働き…話しても良いんだろうな?」
(最後は店主にだけにしか聞こえない声で伝える黒須。
2人の間だけの会話になるような声で話すその様子には、かなりの闇があるように見えた。)
■ジーゴ > 「ん!…」
男の視線がこちらを向くと少年は小さくたじろいだ。
店主も怖いが、やってきた男もまだ怖い。
また息を殺すように気配を消すように、2人の会話を見守った。
『い、いや…見てはいないが。でもこんな貧相なミレーが金を持っているわけがないだろう!』
店主は特にミレーは誰彼なしに盗人に見えるくらいに、確かに盗みの被害に悩んでいるようで、しばらくはこのミレーが盗人だと言い張るけれど。
『そ、それは…』
続く借金の話に急に歯切れが悪くなり。
『では、こいつはお前がどこへなりと連れて行け』
少年は盗人ではない少年に怒鳴り散らしていたことを恥ずかしく思ったのか、捨て台詞を吐いて店の奥に引っ込んでしまう。
「あの…ありがとう」
残されたのは店先で所在なげに男の方を見上げるオオカミの耳を持つ少年。
助けてもらったことにお礼を言うと、頭をひょこりと下げた。
「オレ、ぼうし買いに来ただけなんだけど、あの人ミレーが嫌いなのかな」
しょげてしょんぼりと項垂れる少年の獣耳。
■黒須 > 「…あぁ、めんどくせぇ。」
(店主が逃げる様に店内へ逃げる様子を見ては後ろ髪を掻く。
その後、少年の方を見れば前に立ちしゃがむ。
同じような視線になり、サングラスを外す。
そこにはポーカーフェイスを保った黒須の素顔があった。)
「別に礼なんざ要らねぇよ…。
あの親父、ガキの人身売買やってた野郎だから、ちと脅しただけだ。」
(多額の借金を返すことが出来ず、何とか返済した金は薄汚れた金であった。
その後、耳をしょんぼりと垂れる少年の様子を見ると、また面倒くさそうな顔をする。
その後、懐を漁れば、いくつかの金貨を渡す。)
「そら、そいつをやるから…一緒に入って帽子探すぞ?」
(半分強引な物言いをしながら再度サングラスを掛け直す)
■ジーゴ > 「ありがとう」
相手が身をかがめて、目線を合わせてくれると
サングラス越しではないその視線は殺気のものとは違い
怖くは無くて、嬉しくてもう一度お礼を言った。
小さく笑うと獣の牙が目立つ。
「オ…オレ売られるところだった?」
人身売買とは、おだやかではない。
もし店主がその気なら自分も売り飛ばされてしまうところだったのではないかと青ざめて、再び獣の耳がへにゃりと力なく倒れた。
「え!なんでくれるの?」
差し出される硬貨に戸惑って尋ねた。
驚くと耳は立ちあがって、きょとんとして相手を見つめる。
なにも相手にお金を払って貰うようなことはしていない。
でも、目の前に差し出された金の魅力は強くて、
受けとりたいけれど受けとっていいものか迷う。
「オレ、お金あるからだいじょうぶ」
ズボンのポケットから数枚の硬貨を見せて。
帽子がギリギリ買えるか買えないか位の金額。
本人は足し算もままならないから、その金額では帽子が買えないかもしれないことに気がついていないけれど。
「ん…ぼうし買う…」
相手に連れられるように、店に入って
慣れない様子でしばらく店内を見渡すだけだったけれども。
「どれが似合うかな…」
手近なところにある帽子を幾つか被って相手に見せた。
黒いキャスケット、ベージュのキャップ。
灰色のニット帽はこの季節には少し暑そうだけれども。