2020/08/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にアメリアさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にアメリアさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にアメリアさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にアメリアさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にアメリアさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にアメリアさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にアメリアさんが現れました。
アメリア > 見習いとも呼べぬゴクツブシの身とて、一応は修道院に身をおく者。
手の働きがお留守になりがちであっても、普段は院内の雑事にも従事しており、
時にはお使い物を頼まれて、外出をすることもある。
―――そんな訳で、雲行き怪しげな昼下がり。修道衣姿の王女は、貧民地区の路地を歩いていた。

夜ともなれば安い香水の香りを纏う女たちが佇み、客を引く界隈であるらしい。
しかし、今は女たちも、客となるべき男たちも、ほぼ見当たらない閑散とした有り様。
女一人で歩いても安全、と言えなくもないが、少々退屈である。

「んん、ぅ……どうせなら、夜、歩いてみたい、です……の」

ぼんやりと夢見がちな表情で、一応はお使い物の包みだけは離さず胸元に抱えているが、
意識はふらふらゆらゆらと、手前勝手な妄想の国へ旅立とうとしていた。
うらぶれた街角、場違いな修道衣姿の女、もしもあの物陰に誰か、あるいは何か、
恐ろしい人が、魔物が、潜んでいたら―――などと。
のんびり歩く姿から、頭の中身を悟られることは無い筈だけれども。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にエズラさんが現れました。
エズラ > 戦場から街へ帰り、しばらく――
しばらくは決まった仕事もなく、日雇い暮らしを続ける生活。
今日は朝から何をするでもなしにぶらぶらと。

「……おおん?」

ふと、行く手に見つけたのは、こんな場所に似つかわしくない姿。

「よう、尼さんがこんなとこ歩いてちゃあぶねぇぜ――」

背後から声をかける――

アメリア > とても他人には言えない桃色の妄想を、頭の中で展開していたところ。
背後から掛けられた男性の声に、修道衣の肩先が面白いように跳ねた。

「ひぁ、っ………!」

零れた声も些か大袈裟で、相手次第では気を悪くされてもおかしくない。
おまけにおずおずと振り返った表情といったら、完璧に強張って、怯え切っているようで、
――――それでいて頬が仄かに赤らんでいるのが、違和感と言えば違和感か。

「ぁ、あの………わたくし、あの、―――――あの、貴方、は」

か細く上擦った声が、震える唇を湿らせる。
ぎゅっ、と胸元の包みを抱き締め、乱れ打つ鼓動を無理矢理抑え込むようにして。
淡く潤みすら湛えた眼差しが、見ず知らずの男性をじっと見つめていた。

エズラ > 「おいおい、そんなに怯えねぇでくれよ、傷付くぜ――」

傷付いた様子など微塵も見せずに笑っている。
無遠慮に距離を詰め、間近でその姿を眺め。

「ここらには俺みてぇのがウロウロしていやがるからよ――よけりゃ案内するぜ、安全な場所までな――」

相手の風体を見るに、修道院からの使いか、はたまたその帰り道か――
いずれにせよ、男の嗅覚が告げている――修道服に身を包んでいるにもかかわらず、どこか淫靡な妖気めいたものを漂わせているのを――

「さぁほら、ついてきなよ――」

そう言いつつ、先導するわけではないようで――その細腰に腕を回そうとする。

アメリア > 「ぇ、……ぁ、も、申し訳、ありませ………」

大きく目を見開いて頭を振り、そんなつもりは、などとモゴモゴ呟くも、
今にも泣き出しそうな表情と腰の引けた態度では、あまり説得力も無いか。
実際、頭の中では、目の前の男性を、怖い、と思っていた。
怖い―――――これから一体、何をされてしまうのだろう、と。

「ぁ、……貴方、みたいな、って……それ、どういう、
 ――――あ、案内、って……そんな、お世話を、お掛けする、のは、」

鼓動は鎮まるどころか、早鐘のように乱れ続けている。
呼吸のリズムを一定に保つのすら、もう難しいぐらいだった。
一応は年頃の娘らしく、警戒し、固辞するポーズをとってみせるが、
男の腕が腰へ回されると、ひ、と息を詰めて身を震わせ、
―――――振り払おうとするでも無く、ただ、ぎこちなく身を捩らせるのみで、
縋りつくような眼差しが、遥か上方にある男の顔を仰ぎ見て更に濡れる。
頬や唇の赤みも、心なしか先刻までよりずっと艶めいて、
怖がっているのか、誘っているのか、疑念を抱かれそうなほど。

『ついて行きなさい、きっと、とても楽しいことになるわ』

そんな声が、頭の中に響いていた。
幼い頃から聞き慣れた、母の声である。
―――――そう聞いてしまえば、もう、選択肢はひとつだった。
半ば操られるように、男の腕が導く場所へ―――――と。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からエズラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からアメリアさんが去りました。