2020/07/18 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にヴェルソートさんが現れました。
■ヴェルソート > 「おっそいなぁ、アイツ…。」
先日、買った奴隷の彼…ちゃんと身なりを整えて宿を出ていったのは良いが、なかなか帰ってこないのを心配して探しに出たのだが…平民地区は探したがおらず、富裕地区には近寄らないだろうとヤマを貼り、やってきた貧民区……そっと、覗いた路地の暗がりに…ようやっと、見知った服が見えれば。
「……おーい、ジーゴ。遅いじゃねぇか探した…ぞ?」
後ろから、何をしているかまだ把握していないが、声をかけよう。
ただ…呪いで、牝のような甘い匂いをたっぷりと孕んでいる男が近づくのは、彼にとっては、よろしくないかもしれないが。
コツコツと、足音と香りが近づいてくる。
■ジーゴ(番号215642) > 溶けかけの思考。
最早、記憶もうっすらとしているけれど
恐らく原因は、この辺りのおクスリ屋さんで手に入れた何ともわからないような錠剤。
以前は、そんなおクスリ付きで一晩販売されるなんてよくあることだったから、店で勧められるままに一錠飲んだのが、完璧にキマった。
「あ……」
漏れる声は甘く切ない。
普段よりも、自分で刺激している興奮が強くて
ただひたすら、自分のソレを上下に。
イ…イきそう…
そんな昂ぶりは見知った声に遮られる。
「ヴェル……?」
道端に座り込んだ少年の普段よりも舌足らずな声。
相手がこちらに近づききったときにもまだ
恥ずかしがりも、隠そうともせず。
自分自身を慰めているそのままの姿で相手を見上げるだろう。さすがにその手は止まっているけれど。
何よりも屋外で一人でシている尋常じゃない様子と、呂律の回らない口、とろんとした目が普通ではないことを相手に伝えるだろう。
■ヴェルソート > 「……おいおい、どうしたよ。」
流石に、この状態が異常なのはわかる…外にも関わらず、恍惚とした顔をで自慰にふけっていたらしい彼に思わず眉根を寄せて近づき……完全に発情している雄の気配に、思わず体がゾクリと震える。
「変なもん口に入れたんじゃねぇだろうな、おい…ったく。」
解毒用の『歌』は知っている、が…毒かどうかもわからないまま『歌』を聞かせてもどうにもならないだろう。
ならとりあえず、手っ取り早い方法は、と考えれば……背後からそっと抱きしめるようにギュ、とろれつの回らぬ彼を捕まえ、そのまま…彼の張り詰めたペニスにそっと手を伸ばそうと。
男に巣食う苗床の、誘うような発情した牝に似た甘い香りが、思考の鈍った奴隷の嗅覚を満たしていく。
「ほら…とりあえず抜いてやるから…力抜け。」
■ジーゴ(番号215642) > 「なにが……?」
未だにこの状況の異常さに気がつかないくらいには頭がふわふわと。相手が探しに来てくれたことには勿論気がつかないし、相手がいつからここにいるのかさえ、曖昧にしかわかっていなくて。
「ゃッ……」
後ろから抱きしめられるように、相手の体温を感じるだけで、体が小さく跳ねた。甘い香りが一層思考を奪って。
こちらの体温はとても高くて、明らかに何かを口に入れたことは相手に伝わるだろう。
それが、何で、魔術なのかそれとも調合された薬品なのかは本人も知らされてはいない。
ただ、めっちゃトぶと言われて口にしただけだ。
「まって…やめ…」
相手の手が自分の性器に伸びると、抵抗しているのは口だけ。期待に高ぶった性器からは既に先走りが糸を引き、ぐちゅぐちゅと水っぽい音を立てる。上下に触られると、無意識に腰まで動きそうになって。
羞恥心を溶かしきった奴隷は相手に与えられる快楽に身をゆだねる。
■ヴェルソート > 「何がって言うか…完全にトンデるなこれ。」
自分の名前は呼んだが、それ以上は思考が回っていない様子に困ったように眉根を寄せつつも…とりあえずヌいてやると決めたからには、柔らかく肉づいた体を押し付けるようにして、隻腕が彼のペニスを緩やかに握り。
ぬちぃ…と手につく先走りに、目を細める。
「やめねぇよ…ほら、とりあえず一回ヌいて楽になれ…そしたら、その首の輪っか外して…交尾させてやるから、な?……ん、っ。」
甘やかに、何かを思い出させるように囁やけば、耳たぶをかぷりと甘く食み、チュゥ…と吸い付きながら、グチュグチュグチュッ!とテンポよく、彼の腰の動きに合わせて淫靡な手腕で扱き上げていき…。
■ジーゴ(番号215642) > 「ヴェル……まって…激し…」
服越しに伝わる相手の体温が、柔らかい感触が。充満している甘い匂いが。クスリで溶けた思考にとどめを刺していて。
「や…だ…」
強すぎる刺激が頭が処理しきれなくて、体は小刻みに震える。既に十分すぎるほど勃ちあがっていた性器がなお固く上を向き。荒く息をする口元からは唾液がつーっと糸を垂らすように地面に落ちた。
「あああああ、イク…イっちゃう」
相手の口が刺激に弱い獣耳を刺激すると、腰が跳ねて。
果てた白濁が遠慮無く相手の手を汚して、彼自身のシャツやズボンにも白く広がって。
腰を中心に痙攣が広がって、余韻が駆け抜けた後は、頭を垂れて、荒く息をするばかりだ。
それでもまだとろりとしたままの目と霧がかかったままの思考。抱きしめられた格好から体をひねって、上半身を相手の方に向けると、キスをねだるように相手に近づいた。
「ヴェル…好き…」
ふわふわのままの頭でおもわず漏らしたのは不用意な言葉。
奴隷がご主人様を思慕する気持ちなのか、雛鳥が始めに見たものを親だと思うのと同じように拾ってもらったからなついているのか、もしかしたらおいしそうな香りへの食欲か、はたまた本当に恋愛感情なのか、なんて区別もできないままに。
思ったことがそのまま口からこぼれ落ちて。
本人は口から気持ちがこぼれ落ちていることさえ、気がつかずにキスをねだろうとしていて。
■ヴェルソート > 「ん?…大丈夫だジーゴ、ちゃぁんと気持ちよくしてやるから、な?」
激しい、待ってと訴える彼の言葉を甘い囁きで遮りながら、グチュグチュと音を立てて少年の肉棒を丁寧に、テンポ良く、先走りを塗り拡げるように扱き上げていく。
「ん、ぅ…っは…イイぜ?イきな、ジーゴ…。」
腰がビクンッと跳ね、手の中で脈打つ肉棒に目を細め…自分の手を白く汚しながら吐き出される精液を出し切るように、ゆるゆると最後まで、緩やかに扱いてやり。
びゅく、びゅく…と手の中で吐精に脈打ち、余韻に震える彼を見つめていると…ふいに、彼がこちらを向いてキスをねだったのには目を見開き。
「…おう、そうか。…とりあえず、まぁ…うん。ありがとな。」
そう言って、ねだられたキスにチュッ、と唇を触れさせて答えてから、手持ちの手ぬぐいで彼をサッと拭いて身繕いさせて。
「ほーら、帰るぞジーゴ。続きをするしないはさておき…俺は腹減ったんだ、かえって飯、な?」
どっちにしろ、このまま置いて帰れはしないので、冗談交じりに言いながらも、手をつないでそのまま家路へ…クスリが抜けないようなら、まだ暫く、彼を甘く快楽に溺れさせるだろう、か。
■ジーゴ(番号215642) > 唇に触れるだけのキスにちょっと不満そうに。唇を尖らせて。
不用意にこぼれ落ちた言葉は、恐らく言わない方が良かったものだ。ふんわり頭は3秒前に自分が言ったことも忘れているから気にもしてはいないけれど。
「おうち、帰る」
いくらキマっていても、ようやく手に入れた「家」は大切で、そこに帰ろうという気持ちはある。
身繕いまで相手にさせてしまうとようやく、ズボンの前ボタンをとめて、宿に帰れるように。
手をつないでもらってようやく、フラフラとした足取りではあるが家路をたどって。
「おやすみ…」
宿に帰りつくと気絶するように眠ってしまって、続きができないばかりか、翌朝起きたときには、クスリは抜けている代わりに今晩のことはすべて忘れてしまっているけれど。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からジーゴ(番号215642)さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からヴェルソートさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にアイリースさんが現れました。
■アイリース > 【待ち合わせ待機中です】
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にビョルンさんが現れました。
■アイリース > 「……」
貧民地区、とあるボロ宿に、私は宿泊していた。
……一つ言うのなら、別に宿泊自体が目的ではない。
今回は、いわゆる『任務』で宿に入ったのである。
「……今日も動きはなし、か……」
身を隠しながら、窓の外をうかがう。
私の視線の先には、いっそ廃屋じみた家。
見た目は実に貧民地区の住居だが。
その実、その家には私が目標としているターゲットが暮らしている。
「……勤勉な悪人、などというのは稀有な存在だろうけれども。
これで……三日目……?
ここまで動きがないと、少し焦れる……」
ふぅ、と息を吐きつつ、窓から離れる。
当然、外から私の姿が見えないよう、死角を使っての移動だ。
これをベッドと言ったら、ベッド職人が怒り狂うだろう、というほど。
もはやベッドの形をしたなにかではないか? というオンボロベッドを乗り越え。
私は、買い出ししておいた食料を漁る。
「……さて、夕食でも作りますか」
ぽそ、と呟きつつ、私は食材を手に取る。
……この宿での生活も三日目。
そろそろ、体と心に疲れが溜まってくる頃。
ならば、ここは栄養のつく物を作らねばなるまい。
そう考え、私は袋の中から、肉を取り出し、うん、と頷く。
■ビョルン > 此方はといえば、窓際に椅子を置いて飽きもせず書籍を読む仕草。
定期的にページを捲る合間に、横目で御襤褸家をチェックする。
女の独り言ちる、ククと喉元で笑い。
「うちには、割と居るさ──勤勉な悪人というもの」
混ぜっ返したなら、ポッケから紙袋を摘まみ出し菓子舗で自ら買い求めてきた琥珀糖を摘まむ。
その中身もそろそろ少なく、近々にこの調査について何らかの結果を見出したいところである。
本来の塒ならば、食事の支度を横目に菓子を摘まむなど叱られはしないもののじっとりとした目線を投げかけられようものだが今日はどうだろうか。
■アイリース > 「意味合いが違いますよ、若。
私の言う所は、『額に汗流す売人など、冗談にもならぬ』というものでして」
背中にかかる声に、私は相手のほうを振り返り、説明しておく。
……そもそも、マジメに額に汗を流して、せかせか薬を売る売人。
なんていうのがいるのなら、それはもうソイツは全うな仕事をした方がいい、という思いがあるわけで。
「……とはいえ、噂には聞きますね。
売人どもの世界も、競合が激しくて。
質のいいものをより安く提供するために苦心している、とかなんとか」
やってることは非道なことなのに。
なぜそこでマジメになるのか。私にはよく分からない話である。
ちら、と見た相手。つまむ菓子。
たしか、もう中身が少ないはずだ。
「明日、買出しに行くときに。
琥珀糖も買っておきましょうか?」
部屋の隅のほうに移動しつつ、相手にそう声をかける。
そのまま、私は荷袋から取り出した鉄板(取っ手つきミニサイズ)を、購入しておいた道具でちょっと加熱し、肉を焼く。
同時に、野菜を小さなまな板の上で切り、一緒に鉄板へと。
「……若。味付けはいかがいたしましょうか」
見ようによっては、部屋の隅で調理をしている私の姿は。
何か、よからぬことをしているようにも見えるかもしれないが。
そこは無視し、私は相手に、肉の味付けについて尋ねる。
「若は、ニンニク……は大丈夫ですか?
それか、あっさりと塩だけにしておきましょうか」
荷袋から色々と取り出しつつたずねる。
……このボロ宿での、ちょっとした自炊生活も三日目。
迂闊に外に出ないため、とはいえ。
私の料理のレパートリーはそう多くないので。
どうしても焼く、というのが多くなる。
■ビョルン > 「──それでもムラなく活動していてくれれば、背景に馴染むひとつの機構となるだろうけれど。
……厄介なものは、やる気と行動力だけの無能。それから──何だろう?」
麻薬の密売人が、己の組織の縄張りの中で目立つのならば。
「本来ならセレネルの海に沈んでもらうか九龍山の肥やしになるか、だが。こればかりは」
本来ならば早々に始末されるべきではあるので、このように泳がせて観察する機会の方が稀有である。
そうして何やらまた、ただの麻薬などではないらしく手をこまねいているのだ。
「明日──は、どうだろうな。
そろそろ踏み込んでふん縛ってやりたい気分もある」
肉を焼きながらの問いかけには、
「塩は少なめ、黒胡椒で」
と答えるのだった。
好きな食材を以て鉄板焼きを振舞われるのであれば、切り除けた脂身を刻んで脂が滲むまで炒りつけてその脂を全体に絡めながら焼き付けたガーリックライスなども所望したき所である。
けれどこの暮らしの主食は黒パン、せいぜい良くて白パンかブリオーシュだろう。
部屋中が肉の焼ける匂いで満ちれば、椅子を小さなテーブルの方へ動かして見張りは小休止となるだろうか。
■アイリース > 「逆に、勤勉であり、表立って私は売人でござい、などと吹聴しない。
そういう売人だとすれば、厄介ですねぇ。
……おや、厄介なもの、ですか? そうですね。
……組織内の空気を、苦労も気も知らずに破綻させる女、とか。厄介じゃないですか?」
厄介なものをぽんぽん、と出す雑談ならば。
まぁ、お互い色々と思うところはあるのだろうが。
私としては、輪を乱す女、とかは苦手である。
「気持ちは分かりますが。今は辛抱のときですね。
……あと数日中に動きがなければ、突入しますか?」
標的が薬の売人であることはわかっているのだから。
それを理由に叩き潰してもいいのではあるが。
なにせ、今回はそうも行かない事情もある。
「承りました」
相手からの注文を聞き、私は調理に集中する。
表面はしっかりと。しかして、中はやや赤みを残しつつ。
さすがに米は炊く装備を持ってきていないので。
パンとステーキを盛り付け。
続いて、自分用に肉を焼く。作りおきのソースは、今回で切れてしまうが。
適当に盛り付けた……主たる相手はともかく。自分のメシなど、栄養が取れればいい……肉を持ちながら、テーブルへ。
「……はい完成~。
じゃあ、食べましょうか」
見張りを小休止としたので、砕けた言い方でそう告げ。
私は、テーブルの上に皿を置く。
とりあえず、一口食べた後くらいに。
こっそり買っておいたお酒を……。って。
確かこの人、飲めないんだった……。
■ビョルン > 「完全に尻尾を掴ませない、となると。
もうその存在は仕方ないものと扱うしかないな、共存てやつ」
己は、と言えば組織内部に女は居ないから相手の言葉に共感できないで、曖昧な表情を浮かべるだけだ。
けれど苦笑いをして肩を竦め、ぽつりと零す。
「女子修道院の弾かれ者は地獄を見そうだ」
女同士の結束と連帯に実感はないが、なんとなくそんな気がした。
それから、突入についてはうーん、と唸る。
「そうなぁ、そろそろ何らかの業績も上げないとな──てなとこ。
少人数でサッとガラを押さえた方が良さそうだ」
さもなくば、そろそろオフィスのタダ菓子食いになろう。
料理が運ばれれば手を合わせて小さく祈り。
相手も席につけばナイフとフォークを取る。
己のグラスには水差しから注いだ水が満たされているだろう。
相手の飲酒に関しては気にする様子はない。
■アイリース > 「喰らって取り込めるならまぁいいのですが。
毒になりかねませんからね」
ふんふん、と頷きつつそう答える。
実際のところ、厄介者、敵対者を飼うことも。
組織ならままあるのだろうけれども。
「おや、ご存知ないのですか。
任されているあの店でも、時たま衝突がありますよ」
ちら、と相手を見ながら、くすり、と笑ってみせる。
まぁ、娼婦たちの衝突や諍いを解決するのも。
女将兼用心棒の私の仕事ではあるのですけれどもね。
「もしや、つつかれておいでで?
でしたら、その時はぜひとも私もお連れください」
この主は、いろいろと抱えているものが多い。
その負担を少しでも軽く出来るのならば。
それは、私にとっても喜びである。
「いただきま~す」
そうして、いざ夕食、となれば。
私は、相手のほうをちらちらと見ながら、肉を食す。
……正直に言って、私は料理が得意ではない。
いや、普通につくることはできるのだが。
グルメな人間を唸らせるレベルではないのだ。
私は、こっそりと赤ワインを飲みながら相手の様子を窺う。
……マズい、とか言われたら。泣く自信がある。
■ビョルン > 有史以来、己の組織がそういって折り合いをつけてきた物も多いのであろう。
イメージ通りに『剛よく柔を断』ってきたばかりではないのが真実だろう。
そんなことを考えていれば、己の女郎屋の話には。
「然もありなん。
──客にはキレイなトコだけ見せてやんな」
己の身近にこそ女社会があったと再発見しては頷く。
「──ぢゃあ、ま……近々参るか。刀は砥ぎ師に見せておくかね」
生け捕りをとのことであれば、刀を抜かずでいれればそれが良い。
だが念には念と思いながら食事を進める。
こちらの反応を見ているような視線には、ウンと頷く。
少ない機材と材料での、急ごしらえ故に──美味い! と手放しに褒めるのも白々しい。
食えなくもない、というのも語弊がある。
ただその塩加減が頃合いで、
「好きだよ」
窮しながら一言吐いた。
■アイリース > 「あい畏まりました。
……とはいえ。多少のケンカは、鬱憤晴らしにはちょうどいいものでして」
くくっ、と喉が鳴ってしまうのを抑えられない。
少なくとも、顔や肌に傷がつかず、仕事に影響がないのなら。
多少のケンカは、私は仲裁しないタチだ。
「近々、ですか。
私も準備をしておきますね」
相手の考えていることは、なんとなくは分かる。
……正直に言えば。殺すほうが幾分ラクなのだが。
おそらく、そうするな、といわれることだろうなぁ。
……それが命令なら、従うだけなんだけれども。
「……っっっ!?」
食事を楽しんでいれば、いきなりの言葉に、ワインが入ってはいけないほうへと。
慌てつつもゆっくりとワインを飲み干し。
「げはっ、ごほっ、げふんっ!
……え、あ、えっと?」
それは、どういう意味でございますか? と。
そういいたいんだけれども、むせって上手く言葉が出ない。
いや、不意打ちだ。不意打ちだぁ。
そんなの、回避も防御もできるわけないじゃないか。
■ビョルン > 「東の国の遊郭には劣るが、小綺麗な店って触れ込みでやってるんだ。
表に出さないながら、鬱憤があるってのも聞き捨てならねえが」
店は相手に一任しているが、信頼には値しよう。
けれど剣呑な言葉が耳へ入れば混ぜ返し。
薬を扱っているのなら、殺したいのはやまやまなれど。
「2人でちょっとした臨時収入と──洒落込むか」
目的を定めて使うにはちょうど良い金額だったはず。
それを思い返して頷き返す。
それから相手がワインに咽るのを見れば、普段あまり見ない光景ゆえに目をぱちくりとさせる。
それから、本来は味付けを評した筈の先程の言葉を思い返し。
「あ、──嗚呼、」
急にシャイな子供のような仕草になり俯いて千切ったパンを口に入れてもそもそ咀嚼して。
■アイリース > 「それはまぁ、そうでしょうとも。
ウチの子たちも、ずいぶんと腕に自信がある子ばかりですから。
やはり、一番は『誰が一番人気なのか』で。えぇ」
そういう理由でケンカ、なんていうのは珍しくないので。
私としては、いい方向に動いている間は手を出さない。
ただし、相手を傷つけたり、足を引っ張ったりしようとしたら。
ソレはもちろん、仲裁するが。
「臨時収入、ですか。
いいですね。えぇ」
相手の物言いに、思わずにやけてしまいそうになるが。
一度表情を引き締めておく。
私はあくまでもくノ一、つまり忍。
金の出る出ない、金額の大小をメインとしてはいけないのである。
と、思っていても、やっぱりお金って大事なんだよねぇ……。
「……いえ、その。ハイ。
お、お口にあったなら、幸いです」
うんっ、と一度咳払いしつつ。
私は、そういうのがやっとだった。
ちら、と相手を見れば。なぜか相手も照れているようで。
「……あ」
その口元に、パンくずが付いているので。
私は、手を伸ばし。相手の頬からそれを取り。
あむっ、と食べる。
「……フフッ」
なんだかんだ、まだまだ若いなぁ、と思いつつも。
そんな相手に惹かれている私がいるのだから。
こぅ……れ、恋愛というのは。手に負えない。
■ビョルン > 「そんなこと、稼いだ金子の額面が全てじゃァないのかい」
成績なんて数字で出るだろと、思う己はまだ青いのかもしれない。
とにかく、意外そうな声で問うてみる。
「使い道を決めた方が張り切れるかい?
俺は、何に使えばいいだろ」
仕事に着て出るスーツを誂えるには足りず、さりとて特に金のかかる趣味もなく。
全額甘味に費やせば賄える量は、飽きるのが早いか食べきれず悪くなるのが早いかってな程だろう。
使い道を考えるように小さく唸って。
白い指先が己の口元に伸びれば擽ったそうに口元によりと笑う。
それからも順調に肉と野菜を食べ進め、皿に残った肉汁をパンの最後の一切れで掬って口へ。
「満腹であった」
手を合わせ、食事を終える。
窓の外は、といえば相も変わらずのようだ。
■アイリース > 「それは浅はかですよ、若。
それじゃあ、一発太い客が付いたらあっさりひっくり返るじゃあないですか」
もちろん、太い客を捕まえる、というのも確かに実力ではある。
だが、やはり接客業としてみれば、累計よりも平均。
コンスタントに稼げるほうが、私としては評価できるのである。
「……ふむ。
前々から思っていたのですが。
若は、なにかこぅ……趣味をもたれた方が」
この相手が、割りと無趣味なことはしっているが。
まだまだ若いのだから、枯れるには早い、と思う。
なので、いろいろなことに手を出して。
趣味を見つけてみてはいかがですか? などと言ってみる。
「お粗末さまでございます。
皿は片付けておきますので。
……もしもお疲れでしたら、お休みいただいても大丈夫ですよ。
見張りは私がやっておきますから」
皿を片付けようとしながら、相手にそう言う。
お互い、ここで心身共に休まらぬ生活を送っているが。
まず、主たるこの相手に負担を強いてはいけない、と。
私はそう思い、相手に提案をする。
■ビョルン > 「長いものに、こう……『自ら巻かれにいける』ってのも、ひとつの才覚だろうに」
長いものが太い客にせよ、常連客にせよ。
けれど、太客以外からの評判はからきしというなら意味はない。
そこへ思い至れば相手の言葉に真実味を感じて納得したような言葉も返すかもしれない。
「──趣味、なくはないよ。
ただ、細々としたものだ」
睡眠を含めた己の趣味はほぼお金がかからない。
尚且つ、金をつぎ込みたくなるような趣味を己に教える者も居らぬから、王都の平均的な若者よりは潤沢な蓄財があるようだった。
食事が済むと後片付けは相手に任せて、宿共用の水場で手と顔を洗って口を濯ぐ。
「では、一口寝させてもらおうか。おやすみ」
服を着たまま、ベッドへと体を横たえた。
『一口』とは言った通り、見張る襤褸家も見づらくなった深夜程に起き出しては相手を抱きすくめて、密やかなれどしっぽりと情を交わす。
言葉では至らぬものも通じれば良し。
■アイリース > 「あい。それは間違いなく」
さすがに、良く分かっている。
結局のところ、娼婦たちの諍いというのは。
自負心からくる物なのである。
多少なりともケンカすれば、鬱憤も晴れる。
だからこそ、という。そういうお話。
「忍の話ですが。敵地に潜入したりするとき。
変装だけにあらず。会話の種をいくら知っているか、という部分も重要でして」
趣味が多ければ、それだけ会話の種も増える。
なので、趣味を持つのはいいことです、と言っておきつつ。
「はい。おやすみなさいませ」
そう言って、片付けをしていた私だが。
その後、相手に求められてしまえば。
結果として、肌を重ね合わせることになってしまう。
……いや、これは。流されているわけでは、なくって……。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からビョルンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からアイリースさんが去りました。