2020/06/16 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/裏路地」にヴェルソートさんが現れました。
ヴェルソート > 夜の闇も深い路地裏の道…月が薄明るく照らす荒れた道には、女性の服の切れ端や、子供の靴の片方が転がっている。
それの持ち主だった彼女達がどうなったのかは、推して知るべし、だろうか。

「…ほんと、こういうとこは胸糞悪ぃよなぁ、この国。」
はぁ、とため息を一つ履きながらも、小柄で…どこかけだるげな艶のある…それ以上に隻腕が目立つコートの男がぶらぶらと、路地裏を歩いている。

「ま、俺も人のこたぁ言えねぇが。」
女子供は相手にしないだけましか?いや一緒か、なんてぶつくさとボヤキながらも…結局は、暇つぶしの種を探して、こういうところをうろついているのであって…。
片手は、常に腰に差した指揮棒(タクト)を取れるような位置のポケットに引っ掛けたまま、眠たげに見える焦げ茶色の瞳が周囲を見回して。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/裏路地」に番号215642さんが現れました。
番号215642 > 夜の静かな、それでいて時折、悲鳴や怒声が聞こえる貧民街の片隅。裏路地の脇。
塀がちょうど崩れ落ちて窪んだ部分に埋まり混むように丸まっている逃亡奴隷が一人。息を潜めるように丸まって、うつらうつらとしていたけれど。

「ッ!」
夜も深まった時間。誰かの気配を感じて目覚める。
こちらに歩いてくる誰かに息を凝らして、気配を消す。誰か、悪意をもった存在に見つかってしまっても逃げることしかできないから。できる限り見つからないように。
膝を抱いて、できる限り小さく丸まっているつもりでも。
彼の獣の目が二つ。月夜を受けて暗闇に光る。

ヴェルソート > 「……ん?」
仕事柄、耳は良いと自負している男。音階までもきっちり聞き分ける歌唄いの耳に…潜めた吐息のような声、誰かが不意打ちでも狙ってるのだろうか、とゆるり…視線を巡らせた先。
ちかりと月明かりに光る一対に…目を細める。

「……猫、か?…こんなとこに居るとあぶねぇぞ?」
輪郭が見えないので、大きな猫か何かかと勘違いして…ゆるりとそちらに近づいていこう。
ただ、ふわりと…男が纏う呪いが、甘い匂いを漂わせている。雄を誘う呪いの香り…腐れ落ちる寸前の果実に似た、甘く爛れた匂いが。

番号215642 > 猫じゃない……
自分が狼であることを誇りに思っている彼がそう内心思ったのは、一瞬のこと。声だけではなく、こちらに近づいてくる気配。
夜目の悪い彼にはまだ相手の姿は捉えられないけれど。誰かがこっちに来ることは明確にわかった

逃げないと。
塀の窪みに入り込むようにしていた身をのばして、窪みからたちあがると、みすぼらしい白いシャツが月夜に微かに見えてしまうだろうか。

「いい匂いだ…」
速く逃げないと、と思ったのに。
足は数歩で止まり、その場で棒立ちになった。獣の嗅覚は相手の香りに強く反応して、暗闇にまだあまり見えぬ相手に釘付けになって。

未だ月を受けて光る瞳と緊張して立つ狼の耳。
相手がなお近づいてくれば、逃亡奴隷のみすぼらしい全容が明らかになるだろうか。