2020/06/06 のログ
■ボブ > (顎辺りに指先を当てて、考える素振りをみせていた男だったが、考えをまとめたように指先を顎から離していけば)
「まぁ、今回は確実性だな。
俺の性欲をしっかり受け止めきれるプロに発散してもらう方が正解だろう」
(考えをまとめた男はそう独り言を口から漏らしていけば、歓楽街の中でも名うての娼館へとその姿を消していった)
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からボブさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にサチさんが現れました。
■サチ > は、っと気づいた時には遅かった。
「待ってー!! 待って下さーい!! 誰か! 誰かその子、捕まえてー!!」
貧民街では比較的賑わっている大通りの一つを、声を上げながら駆けていた。
追っているのは小柄な人影。少年の様だ。ボロを纏いいかにもスラムの住人と言ううらぶれた風体――そしてスラム名物、掏摸。
その子供が盗んだ財布の中身は相当なはした金だったが……まだ確認していないのだろう。盗んだ布製の財布を懐に入れてすばしっこく人波の隙間を縫って、軽やかとも言えそうな足取りで駆け抜けていた。
しかし、意外にも脚の早いこちらは逃げ切らせるまで水をあけられておらず、その背中に迫って。
「待っちなさーい!! 言っときますけど! 中身! めちゃしょぼですよー!! 劇的にシケてますよー!? 嘘じゃないんですからねー!!」
そんなはした金でもないと困るし、一見価値のない布製手作りの財布は思い入れがあるので返して欲しい。
なので賑わう夜の街を全力疾走してゆき、少年の様に小柄でも身軽でもないので時折、通行人にぶつかって。
「きゃあすみませんー!」
■サチ > 「私から雀の涙でしかないお金を盗ろうなんて――お馬鹿ですよ……?! 掏摸としてどうかと……!!」
捕まるかも知れないリスクを考えると見る目がないとしか。
ケッタイな文句を放ちながら、遊興施設が軒を連ねる深夜でも人通りの絶えない通りをひたすら走り抜けて、
「はあっ、もうっ、駄目ださすがに足…速い…!」
少し人通りが減って来た所で素早く足元の小石を拾い、
「えいや!」
掏摸に向かって投石。しかし、後ろに目でもあるのかひょい、と首だけ動かして避けられてしまい、小石は無関係な通行人の後頭部にヒットしてしまった。
「きゃあー!ごめんなさいいぃー!」
やばい、大丈夫か、と掏摸の追跡より一旦そちらに謝罪の構え。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」に番号215642さんが現れました。
■番号215642 > 遠くから、やたらと騒がしい声と足音が2種類。普段ならば、厄介ごとは避けたいとばかりに避けるけれども。
騒がしいその声に聞き覚えがあった。
「スリ…?」
であれば、先を走る小さな足音がスリで、それを追いかけている見知った声は、スられたのだろう。
思いついたのは、小さないたずら心。
小さく笑うと続く行動は早い。
大通りを横切るように走って、スリの子どもに体当たり。彼よりも小柄なスリは簡単に転げて。転げたスリの懐に手を差し入れて、後ろから追ってくる女性のものと思しき財布を抜き取って。
走ってくる彼女に向かって、にっこり笑って、手を振る。
それでも彼女が追いつくまでには、いたずら心を発揮させて。財布を握りしめたまま走り始める。
逃げるスリが変わっただけ。なんなら、まだ走り始めたばかりの彼にスリが変わって、追いかける財布の持ち主の戦況は悪化だろうか。
■サチ > 小石をぶつけてしまった相手にひたすら謝罪してどうにか許して頂き、あーあ、もう逃げちゃったかなー…と目線を動かすと、
「あれっ…?」
財布を盗って逃げていた少年が別の少年に体当たりを食らっている場面が映り、一瞬目を丸くして鮮やかに盗まれた自分の財布を盗み返す手並みを目の当たりにした。慌ててそちらに駆け寄ろうとすると、
「あー……あぁ?!」
へらぁ…と気の抜けた笑みを返しながら手を振りかけたが、そのまま逃亡されたもので目をくわ、と見開いて素っ頓狂な声を上げ、
「えぇえー!!? 待ってえぇぇー!! それ! 私のですー!!」
追いかけっこが再開された。何か見覚えのある様な少年を追いかけながら、結構な持久力と脚力を誇る貧乏人だがさすがに二戦目はしんどいッ、半泣きで駆け出しながら。
「だーれーかーぁ! その子捕まえてぇぇえ!!」
誰も捕まえてくれないのが貧民街クオリティ。
■番号215642 > 貧民街を歩く人々は厄介ごとを避けようと、走ってくる子どもを避け続けて。走った距離は数十メートル。
瞬発力は高いけれど、体力のなさから持久力は無い少年は、急いで路地裏に駆け込む。
「こっち!こっち-!」
何も完全に相手をまきたいわけではないから、なぜか楽しそうに声を出しながら。
持久力のなさから体力の限界が先に来たのは、先ほど走り出したばかりの少年の方。
数回角を曲がったところで、近くの崩れかけた塀の上に登って座ると。足をぷらぷらさせたまま、相手が追いつくのを待つ。
「これ、お前のだろ」
相手が追いついてくれば、にやにや笑って話しかけるだろう。相手の財布をこれ見よがしに見せながら。
■サチ > 捕まえて、と無駄に叫んだが、捕まえる気がないのか間に合わないのかあえなく総スルー食らった。分かってましたけどね!と内心でボヤきながらも、彼が駆け込んでいった路地裏へ、きゅ、と靴底を鳴らして方向転換して追いかけて。
「こっち、じゃ……ない、ですよ……もー……」
鬼ごっこをして遊んでいる様に無邪気な声に脱力気味な声を落としながら、持久力勝負では勝てたらしい。むしろ逃げ切る気がないかのように塀の上で待ち構えてた彼のぶらつく脚を見上げると、
「返して、下さい、それ……30ゴルドしか入ってないですけど……中身は上げますから」
びっくりする程はした金だった。薄くて軽い事にそれは手にしている彼にもお察しだろう。
えいやっ、とその足首を掴もうとしながら訴えた。
■番号215642 > にやにや。追いついてくるも息も絶え絶えな相手を見ると、小さく歯を見せて笑った。まだ、こちらも息が整わないけれど、いたずらは成功したみたいでくすくすにやにや笑っている。
堀の上でぷらぷらと前後に動かしている足に手が伸びても気にはしない。元から逃げ切るつもりもなかった。
「え!くれんの!」
幾度も他人の財布をポケットから抜き取ってきたからだろうか、他人の財布を開けることに抵抗はなく。相手の財布を開いて30ゴルドを抜き取ると、あっけないくらい素直に。
「かえす」
堀から飛び降りて、相手の近くの地面に着地すると財布を差し出した。財布の中身全てとしては切ないくらいの額も、彼の臨時収入としては大きなもの。何か食べ物が買えると思うと、むしろ財布を返すのは相手の気が変わらないうちに。
■サチ > 何がそんなに面白い物やら……とにやつく表情を見て肩を落とす。
いたよ、こういう男子、いた……と子供の頃を思い出しながら大きく嘆息を零し。
「ええ、どーぞ。財布を一応取り返してくれたお礼、とします……。パン一つくらいは買えるでしょ……」
貧乏人は似た様な立場の相手には多少甘い。金持ちの様に余裕がある者よりも持たざる苦労を知るからか。さっさと中身を抜いて財布を返してくれる手からようやく戻って来たそれを両手で受け取って握り締め、はぁあ~…と大きく息を吐き出し。
「やれやれ……。お帰りお財布……。
………それで、あなたはまた、どこかから逃げて来たんですか?
こんな所で遊んでて大丈夫なんですか?」
前回は追われて逃げた背中が最後だった。また追っ手が来ないかきょろきょろと左右を見廻し、そちらを見下ろして尋ねた。
■番号215642 > 貰ったコインはそそくさとズボンのポケットにしまって。塀に背中を預けて、まだにやにや笑っている。
息も絶え絶えな相手も、お財布が帰ってきて喜んでいる様子もおもしろくてしかたがない。
「んー、どこからにげたっけ?」
どこから自分が逃げてきたのかはあんまり覚えていない。おそらく、一晩買われているうちに宿の部屋から逃亡した、あたりだっただろうか。
今も逃亡できているのは、奴隷商が忙しく、彼の捜索にかける余力が無いだけの話。
「べつに、あそんでないし!」
財布を盗んで逃げたのは、充分、遊びと言えるだろうけれど。それ以外はただ、逃げ込んだ貧民街に棲み着いているだけ。
「お前、きょうは肉やいてないな」
以前食べさせてもらった肉がとてもおいしかったことを思い出して。
■サチ > まだまだ無邪気な悪戯小僧、と言った感じの少年。遊んで欲しいならそう言えばいいのに、とにやついている頬を突っついてやろうと指を伸ばし。
「あんまり悪戯が過ぎるとその内追いかけてくるこわあいおじさんに言いつけられちゃいますからね、大人しくしてなきゃ駄目なんですからね。
ほーう?遊んでないなら何してたんですかー?」
人をおちょくっておいてあれは何だたというのか。目を眇めて顎を上げ気味に腕を組んで問いかけ。
「お肉……? ああ、串焼きの屋台はたまに手伝うくらいですから。今日はあのお店ちゃんと持ち主のご主人がやってますよ。行ってもきっとお零れには預かれないでしょうけど……」
店主は金を支払わなければ勿論譲ってくれないし、盗みには手厳しい。教会の炊き出しにでも顔を出した方がいいだろうと。
■番号215642 > 「サイフとりかえしただけじゃんよ。あのままだったらあのガキがにげちゃったでしょ」
頬に指が伸びてもにやにやは止まないけれど、続く言葉に、ふと笑みは消え、目は不安に揺らぐ
「言いつけないでね。つかまるのヤだ」
不安げに相手を見やる。奴隷商の情報網は広く深い。彼がどこに逃げ込んでいるかが、彼の主である奴隷商以外に伝わっても捕まるのは時間の問題である。
あの肉は30ゴルドでは買えないだろう。残念だけどしかたが無い。
「お前、ふだんは仕事なにしてるの?」
奴隷でも奴隷商でもない知り合いなんて珍しいから興味本位で尋ねて。
■サチ > 「それで? その後さらに走って逃げたのはどういうつもりですかぁー? 悪い子にはもうお肉あげませんよ」
ふに、ふに、と頬を人差し指で突っつきながら少し不安気になる瞳を覗き込んで、そして続く言葉に今度はこっちが、にやぁ、と悪い笑みを浮かべて見せ。
「さぁーて、どうしましょうかねえ。余計に走らされたお礼にチクっちゃいましょうかねーぇ」
語尾上がりに意地悪く言ったが、明らかに不安そうになったのが少々可愛くて。すぐに肩を揺らして笑い声を立てると。
「なーんて、嘘ですよ。言いつけたりしませんし……売れ残りを安く売ってくれるパン屋さん、教えてあげます。そのお金でちゃんと食べて下さい」
30ゴルドで充分食べれるパン屋を紹介しようと、こっちです、と拱きながら人気のない路地を選んで歩き出し。問いかけに顔を向けつつ。
「お、ま、え、じゃなくってサチです。あなたはお名前なんて言うんですか?
仕事は色々です。下働きが多いですね。厨房のお仕事をしたり、販売をやったり、あんな風に露店に立ったり」
■番号215642 > 「にげたけど、おもしろかったでしょ?」
面白かったのは、恐らく楽しげに逃げた彼だけ。ずっとサイフを追いかけていた相手は全く楽しくなかっただろうが。
「子どもあつかいすんな。言わないならいいけど」
相手の笑い声に、不安の色は多少隠れる。『悪い子』と言われるとむくれて、ふにふにされている頬を膨らませる
「パンやさん!」
食べ物の話にぱっと笑みがこぼれて、耳もピンと嬉しそうに立った。子ども扱いするなといっていたのと矛盾するように朗らかに笑って。相手の後を追いかける。
「サチ。そうだった。サチ」
記憶力もいまいちな奴隷は相手の名前を覚えるように繰り返した。
「オレはね…なまえはない。番号は215…なんだっけ」
背中に刻まれた自分の番号もうろ覚え。名乗るべき名前も持たないから返事に困ってしまう。
「ふーん、どの仕事がいちばんおもしろい?オレはあんまり肉体労働はすきじゃないな」
肉体労働じゃない方の労働が好きなわけではないけれど。体力の無い彼には体力を使う仕事は体に応える
■サチ > 「ちぃーーーーーーっとも!」
鬼ごっこで追いかける方は全然楽しくない。力強く断言して首を振った、正味疲れただけですと。
「子供じゃないならなんなんですか? おチビさん」
頬を突っついた後はからかう様に口にしてその頭の上でぽんぽんと軽く手を弾ませてやろうか。
「パン、好きですか?ちょっと硬くなったヤツだったら安くて沢山食べれますよ。お腹をいっぱいにしてもっと太って早く大きくならなくっちゃ」
本来なら野菜も肉も魚も穀物も多く必要とする食べ盛り。それが碌に食事も摂れていないのは見て明らか。栄養失調にならない様に後を付いてくる姿を振り返って。
「そう、サチです。忘れたらまた訊いて、そう呼んで下さいな。
お名前がないと不便ですねえ……何か呼び名、考えましょ。
なんて呼ばれたいです?」
個人名がない、と返答が来て少々困った様に頬に手を当てて首を捻り。パン屋に着くまでに決めねばと。
「どのお仕事も大変だけど楽しいですよ。特に好きなのは屋台や食堂のお仕事でしょうか。色んな人にお会いできて面白いです。
じゃあどんなお仕事が好きですか?」
■番号215642 > 「チビじゃないし!」
お世辞にも発育がいいとは言えない躯。まだ、声も高くて、体つきも子どものままだ。全く説得力のない反論を。触られる頭は狼の少し堅い毛とふわふわの毛が入り交じるもの。触られるのは心地が良くて、耳を後ろに倒して喜びが隠しきれない。
「パンいっぱいたべたい。けどそんなに大きくなるなってアイツが言う」
彼の言うアイツとは奴隷商のこと。彼の幼さを商品にしている奴隷商は彼が成長することを喜ばしくは思わない。
30ゴルドでどれくらい買えるかわからないけれど。パンでお腹をいっぱいにできたらとても嬉しい。
「名前はみんなてきとうに呼ぶけど。オオカミって呼ばれるのはすき。耳かっこいいでしょ」
彼をミレー族として奴隷たらしてめているのが、その狼の耳だが、彼自身はかっこいいと思って気に入っている。ぴこぴこと耳を動かして見せて、得意げに。
「オレもご飯運ぶしごと好き、あとお酒つくるやつとか」
時々ヘルプで呼ばれる食堂での給仕やバーでのドリンク作りは楽しいし、上手くいけば食事にありつける。相手とは違う理由で好きだけれども「一緒だね!」と喜んだ
直にパン屋につくと、売り切れが近くて既に種類はすくないけれど、たくさんの種類のパンに目を輝かせて。普段はそもそも入店が叶わないから。
「このパンはなんて名前?何円?」文字の読めない彼はひとつひとつ指さして、相手を質問攻めにする。
■サチ > 「ほほ~う? ち、び、じゃ、な、い?」
ぽすぽすぽすぽす……緩やかに手を頭の上で弾ませて小笑いを交えながら復唱した。どこがですか?と笑顔の奥に秘めさせて、耳が倒れるのでそのままなでなで……と毛の流れに反って頭を撫でて。
「そんなもんは無視しとけ、ですよ。むしろ向こうに都合が悪いならいいじゃないですか」
男の子がいつまでも小っちゃいままでは宜しくない。成長して立派にならねばならないのです、と真面目腐って。
「狼…? あんまり名前っぽくないですねー……頭と下の文字を取ってオミくん、って呼びましょか」
カッコいいというより耳を揺らすその感じは可愛らしかったが、かっこいいかっこいい、と微笑ましそうに誉めて置いた。
「ああ、給仕さんのお仕事ですか……ええ、向いてそうですね。
お客さんにはちゃーんとニコニコしてますか? っふふ、意外な共通点。一緒ですね」
喜ぶ顔が無邪気でやはり微笑ましい、こく、と首を縦にして。自分も残り物や賄いも嬉しい点の一つなので好きな所はやはり共通していた。
「エン? ゴルドのことですか? えっとですね、これはカンパーニュですね。こっちがデニッシュ……安いのはこっちのまとめてある袋入りです、沢山入っててお得ですよ」
小さなパンやら切り落とした物や形がいびつな物、雑多に詰め込まれた一山幾らの袋入りパン。紙袋に詰まっていて中身は良く見えないが、量があってお得なのは間違いない。
おススメしては、顔なじみの店員さんとあいさつをして、それから明日お代は持ってくるので牛乳一瓶下さい、と交渉した。
その30ゴルドで買える袋入りパンを納得して買うなら、それと一緒に牛乳の瓶を渡して。
「じゃあ、ちゃんとゆっくり食べて今日はぐっすりお休みくださいね。――お互い今度会う時はお腹一杯であります様に」
そう笑い掛けて店を出ると手を振り。お休みなさいと別々の寝床へ帰ってゆこう。