2020/04/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 廃教会だったところ」にアルヴィンさんが現れました。
アルヴィン > 手間と時間をかけたおかげで、その廃教会であった場所は、質素ながらに随分と見違えるものへと生まれ変わった。
教会であった頃の名残も幾分かは残るものの。
『診療所』と、そう言ってもよいものへとなったと言ってよい。
騎士は、仕事を仕上げてくれた職人達に酒を振る舞い、己も少しばかり飲んでいる。
王都に来るまでの蓄えと、王都に来てから稼いだギルドの報酬のほとんどを使ってしまったが、だとて悔いはない。
中庭には薬草などを栽培する菜園をこしらえる下地ができた。
傍らには厩も設え、これで愛馬をギルドにばかり預けずとも済むようになった。
職人達が馳走を平らげ帰った後も…騎士は中庭に一人座り込み、感慨深げにその建物を、じっと見上げて火酒を舐めている…。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 廃教会だったところ」にエリシュさんが現れました。
エリシュ >  今までの彼女の仕事と言えば、金をとらずに人を治し、気持ち程度で貰える端金でその日あるいは数日置きということもあるが、食料を買い、野宿すると言うものであった。
 ここ最近は環境は劇的に改善していた。毎日食事が取れるし、雨に震えながら眠ることもない。
 死なぬのだ。食事などしなくてもいい。とはいってもするに越したことはないのだ。

 かつて廃教会であったその場所は、騎士の手によって別の役割を与えられることとなった。
 すなわち診療所。少女の仕事を執り行うための場所。

「できたねえ」

 中庭で一人酒を嗜む男の背後から、古ぼけてはいるが上物の白い布服を纏った少女が姿を見せた。
 隣までやってくると、椅子を置き、腰を下ろした。

アルヴィン > 騎士はと言えば、敷物こそ敷いているけれど、地べたに胡坐をかいて座り込んでいる。
野戦の夜、傭兵達と酒を酌み交わすような時なぞ、そうして強くもない酒を飲んだものだった。

「ああ、できた
 …我ながら、大工仕事が巧くなったものだ」

そうであろう、などと。騎士は少女に瞳を向けて問いかける。自慢げな色は、なんとも常よりも子供のようなというか、悪戯小僧のような。

「いくらかは…煉瓦も積みなおしたが。
 最も手間のかかる筈の建物に傷みがなかったのがよいな」

まあ、食屍鬼がうろつく庭に、建物の中にはあれほどの幽鬼が巣食っていたのだ。誰も入り込まなくて当然だろうなあと、騎士はそんなことまで呑気に長閑にのたまうのだった。

エリシュ >  少女は椅子の背もたれを前に抱え込むように騎士と相対していた。
 ちびりちびりと酒をやる騎士とは異なって、こちらは空手である。
 もっとも万が一にでも酒瓶でも持ってきていた場合、それはもう、建物と庭に跋扈していた闇の住民にも負けない惨状を晒すかもしれぬ。

「大工さんにでも転職してみる?」

 少女は悪戯っぽく言った。
 改修作業のほとんどは騎士が行ったのだ。少女も技術がないわけではないが、簡易テントの建て方だとか、ビバークのやり方だとか、建築からは程遠いものだった。

アルヴィン > 「それも悪くはないかもしれぬなあ…」

のんびりと長閑に。騎士はそう答えるけれど。
本心がそこにないことなどは、そして、それが許されぬことだとは、何より少女がよく知っていよう。
この騎士が、遍歴の修行の旅を容易に捨てるわけがないと、よく知っている少女ならば。

「まあ、大工になるよりに先に、菜園を仕上げてしまわねばなあ」

大工の次は、今度は農夫かと。
けれどそう告げる口調はまんざらでもない。
剣を執り、振るい、剣に生きる。
それが騎士の生涯ではあろうけれど、土に触れ、土をいじって土に生きる。それこそが、人の在り様として最も正しいのではないかと、思う心も確かにあった。

「…明日からは、患者の方々にいらしていただけようかな?」

胸に去来した想念を一度、穏やかに払って騎士は、少女へと問いかけた。質素な白衣は早速に診療所の医者として、立ち働くつもりであると見たからだ。

エリシュ >  いずれはこの診療所も畳んで、旅に出るのかもしれぬ。
 そうしたのであれば、騎士の隣には鴉羽の外套をまとったちんまりとした少女姿が並ぶことであろう。

「菜園かあ、土弄りってやったことないんだよね、ホラ、野宿ばっかだったから」

 野宿で菜園など拵えられるはずがあるまい。
 椅子を傾けてギシギシと鳴らしながらのんびりと言う。

「そうだねぇ、調子もいいし、明日から受け入れしてみようかな。
 中の掃除も終わったことだし」

 診療所と言うには道具が少ないが、それもそのはず。体一つあれば事足りるのだ。掃除さえ済ませれば、あとは体調の問題だった。
 少女はこれまたのんびりと言うと背もたれにかけた両腕の上に頭を置き、騎士に微笑を向けた。

アルヴィン > 「まあ、はじめから本格的なことなどできまいよ。何事も、ゆっくりゆっくりとだ」

手始めに、野菜でも植えてみるかなとも、騎士は笑う。イモであれば、随分と強い。あまり手を加えずともきちんと育ってくれるだろう。
屯田兵というものもいる。
騎士の故国ではあまり制度化はされていなかったが、兵站を確実なものとし、出兵先の地を領土として安定させるために、そういう農民兵を率いるということもあった。
どうやら騎士には、一通りの土木作業の経験だけでなく、簡単ではあれど、土いじりの経験もあるのだろう。

「さて…いつまでもこうして、建物を見上げてニヤけているわけにもゆかぬな。貴女に風邪などひかせたら、それこそ医者の不養生というものだ」

死なず、どのような病も治ると言っても。
その間苦しいのだ。
それを味わう必要はないと、騎士はようやく立ち上がった。

「さあ、入ろう。
 食事は済まされたか?」

職人達に随分と馳走を振舞った。それには、相伴に預かれたかと、騎士は少女に問いかける。

エリシュ >  あるいは生きてきた年月では少女の方が勝っているかもしれないが、職という意味では、騎士のほうが経験豊富である。
 騎士が立ち上がると、少女はこれまたのんびりと両腕を掲げて伸びをして、立ち上がり椅子を抱える。

「そうだねー。ん? うんうん、ご飯は食べたよ。
 でさ、お酒飲んじゃだめかなぁ」

 職人たちと共に食事をした、それはいいのだ。
 酒を飲んでもよいかとお伺いを立て始める。なぜ立てるのかといえば、酷く酔っ払うからである。あまり飲めない癖に、どうやら酒は好きらしかった。
 騎士が建物に向かうならば、椅子を抱えてえっちらおっちらついていこう。

アルヴィン > 「な、なにぃ!?」

明らかに騎士は狼狽えた。
この少女の酒癖のひどさはもう、身に染みているのだ。
騎士としては、それはもう、できるだけ避けていただきたいところである。
つい、持っていた火酒のボトルを、少女の手が届かぬように、持ち上げて、万歳のようなちょっとばかりおマヌケな姿になったところからして、相当なのだということだ。

「…酒をきちんと、水で割るのならば」

ワインにしろなんにしろ、水で薄めてしまえばさほどのこともないかもしれぬ、と。少女を見て告げる騎士の視線は、いつになく懐疑的…。

エリシュ >  少女が飲むとどうなるのかと言うと、具体的に言うとガードがゆるゆるになる。
 好意を抱いている相手ともなれば、ガードが転職してアタッカーに変貌するくらいには様子が変わる。
 一度飲んだときはそれはもう酷かった。
 ということを知っている騎士はあからさまに狼狽し、手に持った酒瓶を天高く退避させるのだった。

「割ればいいんだね!?」

 身を乗り出して、熱っぽい視線でボトルを見つめながら言う。
 建物に入る。元々が教会とだけあって、つくりはなかなかに立派なものだった。

「んもーなーに警戒してるのかなー、そんな吐くまで飲んだりしないよーほんとだよー」

 白々しいことを言いながら、騎士ににこにことした笑みを浮かべる。

アルヴィン > 「い、いや、割ればよいというかその、酔わねばよいというかっっ」

酒を飲んで酔うなというのだ。
…飲む楽しみがないことを口にしているなあ、我ながら、と。どこか冷静に独り言つ胸の裡に、いやいやいや、と騎士は首を振り。

「そ、そうだ、果実の絞り汁があったような…っ」

そちらの方が酒よりよいのではないか、ほら、爽やかで甘くて、などと。礼拝堂から診療所へとなった部屋を通り過ぎ。
厨房を備えた食堂へと。
歩を進める間、火酒のボトルが騎士の頭の上にあったのは言うまでもない。

エリシュ > 「そっかー酔わないようにかー」

 これまた白々しいことを言いつつ、診療室ともリビングとも言えるその部屋の机に椅子を戻す。
 騎士が食堂に消えていったのを尻目に、なにやらごそごそと。
 今は用事などないであろう暖炉に手を突っ込み、なにやら瓶を取り出した。
 酒中毒者のような振る舞いはしかし不死である彼女には当てはまらない。いかなる薬を使っても中毒にはならないからだ。
 騎士の目を盗んで隠したそれをぐびぐびと……。

「あはははは!」

 騎士が戻ってくると、酒を楽しそうに傾ける少女の姿が!!

「わったよー! これわってるの! みずちょっと入れてあるから酔わないよ!」

 べろんべろんである。

アルヴィン > よし、オレンジの絞り汁があったはずだ。
厨房の地下には、カーヴがある。大概の教会がそうであるように、ワインセラーとして用いられるように。
ゆくゆくは、調合した薬品などもここに保管できようし、まあ、ワインや火酒も少しばかり置かせてもらおう、そうしよう、と。騎士は少しばかり楽しみにしていたのだ。

「あったぞ、エリ…………」

固まった。
厨房から、グラスに満たしたオレンジのジュースを手にした騎士が見たものは、それはもう、完璧な酔っ払いだったのだから。

エリシュ > 「酔ってないよ~! 酔ってないでしょー!!」

 どうみても酔っている。
 酒瓶片手にふらふらと歩いてきたかと思えば、ジュースの入ったグラスをさっと取ってぐびりぐびりといい飲みっぷりを披露する。
 けぷっと小さく可愛らしいげっぷを一つしてみせると、これまた酒瓶片手に騎士に寄りかかり始める。

「ねーねーねーねーえらいでしょー? 酔ってないもーん!
 あはは! ねーアル~えっちなことしよ~?」

 丁寧な口調で患者と接する普段とは大違いの痴態である。
 騎士の胸元をつんつん突きつつ、赤らんだ顔を綻ばせていた。

アルヴィン > 酔っている。それはもう、盛大に。
手の中からひったくられたグラスはまあ、よい。せめて少しでもチェイサーになればとも思うが、焼け石に水とはこのことだった。
猛火に水一滴垂らしたところで消せはせぬと、そんな言葉まで脳裏をよぎる。
盛大に、それはもう盛大に騎士は溜息をついた。

「な、ななな、なんということをおおせだっ!」

いたしませんっ、などと。ついつい日ごろの口調と異なってしまうのは、それだけ騎士のペースが少女に狂わされているということだった。

エリシュ > 「おおせなのだー! あはははは!」

 騎士の口調を真似して自分で自分を大笑い。
 それでもグラスを丁寧な手つきで机に置き始めるのが少女らしいと言えばらしいのだが。

「えぇぇぇ~~? えっちなことしたくないの~?
 ボク、アルのことすきなんだよ~?
 アルはボクのこときらいなの~? ねぇ~きらいなの~?」

 めんどくさい絡み方をし始める。
 床に座って騎士の足をぺちぺちと手ではたきつつ、暑い暑いいいながら服の前ボタンをとって、ブラジャーを晒し始める始末だった。

アルヴィン > 「そ、そそ、そういう問題ではなくてだなっ」

老いた師もそれはそれは酒が好きであったが。あの方は、酔態というものをお見せにならなかったなあと、騎士はそんなことを思い出して溜息をついた。
…言うなれば現実逃避であったけれど、逃避したい現実の方は容赦がない。

「好もしいと思う方と、そ、そそ、そのようなことばかりしてはおられぬだろう?
 あー、もう、ふ、服が…っ服が…っ」

騎士もまた、慌てて床に座り込み、少女の指を抑えようとするのだけれど。力任せになどは言うまでもなくできぬから、いっそのこと戯れ合っているような手つきになってしまうのだ。
…これでは逆効果ではないか、と。騎士はまたも溜息をつく。

「貴女のことは好もしい。だがな、騎士というものは…って、聞いておられぬだろう?」

それはそれは楽し気な酔っ払い。
これはもう、何を言っても耳に届いてはいるまいなあと、騎士の溜息は尽きないのだった…。 

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 廃教会だったところ」からアルヴィンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 廃教会だったところ」からエリシュさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にボブさんが現れました。
ボブ > (ちょっとした呼び出しを受け、その呼び出した相手との話し合いも終わり、
夕暮れ近付いている貧民地区の通りを歩いている男。
通りのあちこちには路上生活者が寝転んでいたり、物騒な物を腰に帯びている者が居たりするが
通りを歩いている男はそこら辺は気にしていないかのように歩いていて)

「はあぁ~~、また面倒な事を頼まれたもんだな。
でもそれに取り掛かるのは秋口って事だし、とりあえず頼まれた事だけは忘れずに日々を過ごしていけばいいだろうしな」

(男の関心事は目の前の光景では無く、話し合いによってこっちに持ち込まれた後々の面倒ごとの方で
ため息を吐きつつも、前向きに考えていこうと言葉として吐き出し、明るく気を保とうとしていた)