2020/04/16 のログ
ロロ > 確実に言えンのは。人間同士だって争うんだ、種まで違うんだったら…生存競争確実だろ?
――生者と死者ってのも。もう、別の存在って考えた方が…良さそう だ!

(言葉尻が強くなるのは。その瞬間、全身に力が篭もったからだ。
眩しくも暖かくもない、只ぬめりつくような、不快な発光体。
ヒトの形をある程度保ったソレが、此方へ飛び掛かってきた為に。

低い姿勢で溜めたバネを存分に。後方へと跳ねたなら。
先程蹴り砕いた扉の脇。壁を蹴る形で方向転換。
上から舞い降りてくる幽鬼と。擦るように入れ違って上を取り)

 あんだけバカスカ食屍鬼斬ってたんだ、普通の剣士じゃない――って、思ってる!

(良く言えば、信じてると言っても良いし。もっと現実的に、過去の凡例から判断している…でも良い。
少なくともこの騎士について。名前より、性格より、素性よりも何よりも。この短い付き合いで理解しているのは。
強いというコトと。それが、こういう人外相手には効果覿面というコトだ。
だからこそ、頭上から声を届けておいて…)

 んで…テメーは!
見上げんだったら、土の下からにしとけって の…!

(幽鬼へ。頭の天辺目掛け踵を落とす。
不死者相手を想定した、銀製の仕込み刃は。効果を発揮するか否か)

アルヴィン > 少女の言葉に尤もだ、と。騎士は笑ってみせたのだった。
それは、剣閃と共に過った太く静かで、けれど苛烈な笑みだった。
少女の跳躍と、曲芸もかくやという立ち回りは、騎士に貴重な一瞬をくれた。

しかし、その一瞬が少女へと求めた代償は、大きい。
銀の刃は確かに幽鬼を怯ませた。が、幽鬼の文字通り幽体をすり抜けた少女は、その脚から冷気がしんしんと染み入り、文字通り生命そのものを吸われかけている、ということを思い知ったろう。

そして。
騎士には、少女のくれたその一瞬があれば、十分であったのだ。

幽鬼の放つ冷気を浴びて、一気に火勢を弱めた松明の炎が、しぼむ。その松明には『光明』の呪文も施してあるため、明かりが弱まるということはない。
が…この幽鬼潜む部屋はまた、別の光によって照らされることとなる。
清冽で…そして、凄烈な澄んだ蒼。それは、騎士の剣が放つもの。
百邪断斬、万魔駆滅。
そういう退魔の力を騎士は、我が身に宿す…。

「…参る」

短く、騎士は告げた。そして、ゆらり、騎士がいっそ緩やかに身体傾けたか、と思われた次の刹那。

少女は、剣閃をその鋭い眼で追えただろうか?

一瞬、凄烈な光輝そのものが迅り、そして…。
もう一度絶叫が…これまで以上に長く、悲愴に、大きく響いて、そして。幽鬼は次第に消えてゆく…。

最後、きょとんとしたような老いた司祭らしき姿になった後。少女と騎士とを司祭は見つめ、深々と辞儀をしたのち、それは…消えていった…。

ロロ > (もう、言う事は無い。会話の続きは、終わったら――生き延びられたら充分だ。

死霊というモノが、何を以て周囲を知覚しているのかは解らないが。
ヒトの形を残したソレは。大袈裟と言っても良い少女の動きを、必然めいて目で追った。
同時に。頭から唐竹割、同じくヒトなら即死であろう一撃は。緑の焔を断ち割るように揺らがせる。

だが。それこそ焔と同様に。一瞬は切れたとしても、それで消えるコトは無い。
二つに分かれた発光体も。切れた端から再び、一つになって燃え盛る。
……燃えている、のに。触れた脚から染み込んで来るのは、紛れもなく冷たさその物。
氷水に突っ込んだかのような冷たさと。気を失いそうな腐敗臭とが。カラダにではなく、ココロその物にねじ込まれて。
入れ違いに押し出されて失われる、少女の魂やら何やらの中身その物。

着地するよりも前に意識が眩み。堪らず、床に転がるような形となって――
ぎちん、と歯噛み。犬歯で唇を噛み裂くように、無理矢理意識を繋ぎ止め…)

 ―――― …!?

(くらつく視界を。次の瞬間、目映い閃光が駆け抜けた。
網膜に焼き付いた光は。騎士の放った剣閃その物。狙い違わずその一撃は、幽鬼を切り払う…というより。吹き散らす。
屍肉の冷感と不快感が、その侭沸き立っているかのような。毒々しい緑の光が散り散りとなり。
最後。その場に少しだけ残存し、直に消えていった不確かな影は。
きっと焔の中に取り込まれていた、ヒトであったものの残り香のようなモノ…なのだと思う。
影が残した、頭を下げるような仕草については。…何も言わない方が良いだろう。多分。
ともあれコレで終わった筈だと、立ち上がって)

 ……これで良いのか な。…ありがと、さっすが。
ぁぁ、それにしても…マジモンの幽霊って の。…見るとは思わなかった  な…?

(…立ち上がりきれなかった。膝に力が入らず、ぺしゃんと再び、座り込んでしまう。
かたかたと、足が。指先が震えていて。其処まで来て初めて、自覚させられた。
魂の削げるような怨み節。生命その物を吸われるおぞましさ。…自分は、思っていた以上に。アテられていたのだと)

アルヴィン > 「…お静かに」

騎士は、輪廻へと帰りゆく司祭の亡霊を見送る間もなく、右手に剣を握ったまま膝をついた。
そこは言うまでもなく、少女の傍らだ。
右手の剣、その刃に宿された光輝が次第に鎮まりゆく…。が、光そのものは決して消えはしなかった。
騎士が剣を鞘へと納め、澄んだ鍔鳴りの音が響いたとて、光は消えぬ。
今、その光は騎士の右手そのものが放っていたのだ。

「力を抜いて…さ、お楽になされるがいい…」

その右手を、騎士は少女のその脚へと。
呪文も唱えていなければ、祈りも唱えていない。
これもまた、聖騎士が仕える神から与えられた力のひとつ…。
生命力そのものを、騎士は今、少女へと注いでいた。
それは、体の内側から優しく慰撫されるような、そんな穏やかな熱だ。
脚から沁みとおり、冷気を駆逐し…そして。
少女が拒むことなければその温かく甘い波動は、次第に少女の全身へとくまなく行き渡り内側から少女を慰撫してゆこう…。

ロロ >  ……ん…

(何となく。言われるがまま、になってしまった。
あの光が、まだ消えていない。残光ではないその証に。今も、騎士の手の内…手、その物に在る。
どこか胸の内がざわつくような感覚を覚えるのは。少女の中に、少しばかり混じっている…ヒトとは違うモノが。
反応しているのかもしれない。

その光が、脚へと触れる。
感じるのは、掌の感触ではなく。先の幽鬼とは謂わば真逆。温かさその物を、染み入らされるような感覚。
氷を溶かされるかのように。死人の如く冷え切ってしまった脚に…その先に。生命の温もりが呼び戻されてくる。
きっとコレは。そういう奇跡なのだろう)

 …ぁ…ったかい な。コレ………

(素直な。これ以上なく、実感が言葉に出る。
先ずは、奪われた体温が戻って来る。
続いて、凍えて縮こまった血流が鼓動が。正常な循環を取り戻す。
そして。下手をすればすっかり死に体となりかねなかった…肉体よりも先に枯死しかねなかった魂に。
じわり、じわりと。生きているという実感が。自分は死者ではないという自覚が、帰ってくる。

…とても。とても、気持ち良かった。
生者としても。人としても。…ただ、魔として感じる気持ち良さは。何やら違うモノである気もするが…)

アルヴィン > 「心地よいのならば…なによりだ」

夏空のような蒼い瞳を閉じたまま、騎士はそう短く囁き微笑む。
騎士のその、祈りと清めの『儀式』はまだ、続いていたからだ。
幽鬼の呪いと言うのは、恐るべきものだ。
その傷は、生涯にわたって命を蝕むことすらある。それを、聖騎士たる騎士はよく弁えていた。
仮に、少女の裡に脈打つものが、魔の命であったとしても…死、そのものに犯されることの忌まわしさは、魔も人も変わらぬのだから…。

ゆっくり、ゆっくりと熱がしみいる。
騎士の額に一筋、汗が伝う。
それほどに今、騎士はこの清めに没入していた。

少女の全身に。遍くくまなく、慰撫を。
その甘い波動が少女の『魔』にどのような刺激を与えるものかを、騎士は知らずにいるのだから…。

ロロ > (そもそも少女は、ミレー族であると。問われて肯いたのだから。
欠片だけでも、魔に侵食を受けた経緯が有るなど。語らなかったのだから。
神職の務めに尽くす騎士が、ソレに気付かなかったコトを。落ち度として責めるコトなど、誰にも出来ないだろう。

そして少女の方もまた。知る由も無かったのだから、仕方ない。
騎士の血肉が。宿る力が。どれだけ、人でない存在を惹き付けるのかを。
ほつりと、一つばかり。騎士の額に滲む汗。
埃っぽさと屍臭の残滓ばかりが、強く蟠っている廃墟の空気に。僅かだけ混じった、異なるニオイに。
ぁ…と。小さな声が出てしまったコトを。果たして少女は、自覚していただろうか?

――それ以上に。反射的に。深く深く集中する、騎士の胸へ。肩へ。
手を伸ばして、力を籠め。押し倒そうとしてしまう、自分自身を)

アルヴィン > 少女が起き上がる気配を見せて、騎士は初めてようやくその瞼を押し上げた。
よほどに、念を凝らし意を込めての清めであったのだろう。
瞳を見開いた時騎士は、深く深く息をついた。

「さ、これで…」

これでよし、と。騎士はそう告げようとしたに違いない。
が、その言葉が怪訝そうに途切れたのは、少女のその振舞があまりに意図の埒外であったから、だ。

「いかがされたのだ…?」

少女のその手を、腕を。結果として騎士は受け止めることとなったのだ。鎧の胸甲の冷たい感触越しではあれど、まさに抱きしめるように…。

眼の前、ふさふさとした獣の耳が揺れる様に、微笑ましいと騎士は柔らかく、少女のその背をあやすように撫でている。
けれど、少女のその、力がもし変わらないというのなら…。
鎧の鳴るその音と、二人の身体が倒れ伏す音が廃墟の中に響くことに…。

ロロ > ………ぁ、れ。…アレ――?
何だ、コレ。変――――…だ……

(後から、気付くのだ。自分が何をしているのかに。
掛けてしまった力を、騎士は受け止めてくれる。それでも、こちらの勢いは止められない。
二人して、床の上に倒れ込むコトになったのなら。
丁度少女が、彼の上へと。鎧越しであれ、跨がるような形となって。

…ふ。ふぅ、と。呼吸が揺れる。冷え切って、消え入りそうだった所から。戻って来たというだけでなく。
正常を通り越して熱っぽく、荒く。
同時に。受け止める為に、相手が伸ばしてくれた手が。互いの胸元に挟み込まれれば。
少女の方は軽装だから。酷く荒々しく、跳ね回るような。加速しきった鼓動が。胸の奥から、掌へと届く筈。

強烈な衝動に。まずは少女自身が、驚かされているのだが…)

 良くない、コレ…良くなって、な――ぃ…
何だか熱い、苦しい、それな…のに――気持ち良ぃ……

(それはとても、不可思議な感覚。
もうハッキリ言ってしまえば、獣の発情その物なのだが。原因がまるで解らない。
熱さを宿し震える唇が。問い掛けの答えを待つコトすら出来ないまま。
騎士の、彼の唇へと落とされて…

…その先行われたコトは。当人達以外、誰一人知る事はないだろう。
もう生者も死者も。等しく、この廃墟には残っていないのだから)

アルヴィン > よくなっていない、という言葉に。騎士は瞠目し身を起こそうとする。そして、気づかわしいと、しばし背を託した戦友へと問いかけの言葉もまた、口を衝こうとしただろう。
それはしかし、叶わなかった。

少女の唇が、上から柔らかく、騎士の唇を封じたからだ。

癒しの波動はまだ、温かい光で二人を包んで、守っている。
その波動が少女を真の意味で癒し得たか、否か…。

それは二人のみの、今宵の秘事となるのだった…。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からロロさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からアルヴィンさんが去りました。
ご案内:「「聖バルバロ騎士団 拠点前」」にネメシスさんが現れました。
ネメシス > 聖バルバロ騎士団の拠点は王国内各地で設けられている。
街の中でも外でもそれは変わりがない。

街の中でも外でも、最低限立て籠れるような広い建物を中心に部隊が展開されているのが特徴である。

今はそんな建物の前で退屈そうにお茶を楽しんでいるネメシス。

果たして、今日はどのような人物が現れるだろうか?

団員達に連れてこられた哀れな犠牲者。
ネメシスの知り合い。
はては、騎士団に恨みを持つもの。
または義憤に駆られた正義の味方。

はてさて…。

ご案内:「「聖バルバロ騎士団 拠点前」」からネメシスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 廃教会」にアルヴィンさんが現れました。
アルヴィン > 徘徊する食屍鬼、そして亡霊と化していた司祭が巣食っていた教会の廃墟は、それまで漂わせていた禍々しい気配が消え、朽ちかけ寂びたただの廃墟として今、騎士の眼前にある。
今日の騎士は、常の軍装姿ではなかった。
左の腰間には、騎士の嗜み剣士の心構えとして当然、剣は佩いている。
が、蒼いチュニックと白い乗馬ズボンという軽装であった。
むしろ目立つのは、何やら支度してきたらしい、諸々の荷…。

「さて…と」

おもむろに騎士は諸々の工具を取り出した。
そして、教会の周囲をぐるりと取り巻く塀へと向かう。
絡みついた蔦を払い、騎士が始めたのは…なんとその教会の修繕であったのだ。

アルヴィン > 塀は、幸いにして煉瓦の崩れもあまり見受けられぬ。
絡まり、伸びすぎた蔦を払ってやるだけで十分なところがほとんどであった。
それでもいくつか見られた崩落には、漆喰を塗り付けた新しい煉瓦を積んでやる。そうしてやるだけで、朽ち、みすぼらしかった塀は、随分と見られるものになっていった。

一歩身を引き、騎士はその様子を見ては得たりと頷いた。
悪いものではない、実用に耐えればそれでよいのだ、と。

騎士の故国では、歩兵と共に騎士もまた、陣の設営撤去に当たることが多い。
兵の仕事の半分は、実は土木工事のようなもので成り立っていることが多いのだ。

歩兵を監督せねばならぬ立場なら、その仕事を知っておくのがよい、というのが老いた師の考えであったから。
この騎士もまた、随分と幼いうちから機会があれば、そういった兵役の手伝いじみたことをしてきたのだった。
それが実に今、役立っていると言えるだろう。

アルヴィン > 騎士が困ったのは、門扉の修繕であった。こればかりは職人の手を入れねばならぬ。
となればもう、後回しだと。そのあたりの決断がこれまた早い。
とにもかくにも、自分で手を付けられるところは手を入れてしまえと、そういうことであるようだ。
工具の入った箱を抱えて、騎士は教会の建物へと。

ヤルダバオートというのは、騎士にとっては異教の神だ。
騎士の仕える竜神は、この国ではいわば『小さな神々』の範疇に含まれてしまうのだろう。
だが、そういったことをこの騎士は、まったく頓着していなかった。
要は、この『神の家』が、『どの神』の家であろうが、役に立てられればそれでよい。実に、そのあたりは実務的極まりない。

このあたりの現実を見据える眼というものもやはり、師の薫陶によるところが大きいのだろう。

教会の建物、玄関扉の修繕を始めた騎士のその手元から、音高く金槌の振るわれる音が、貧民街へと響いてゆく…。

アルヴィン > 貧民街に高く響く槌音。
その、どこか長閑で明るい音は、倦むことも飽くこともなくこの騎士が、教会の修繕のために響かせる音。

けれどその音も、騎士の空腹には勝てぬらしい。
やがて、春の陽の傾きと共に、夕餉の恋しい時刻が近づけば…騎士もまた、仮初の宿へと戻ることになる…。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 廃教会」からアルヴィンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にサチさんが現れました。
サチ > 「う゛っ…!」
仕事終わりの帰り道。今日も疲れたーとこきこき肩を鳴らしながら、近道しようと人気のない路地に差し掛かった、その時。耳を衝く苦し気な悲鳴と生地を裂く音に、荒い息遣い――見たくない気がしつつ、袋小路から聞こえて来たそれを確認しようと、ひょい、と首を伸ばして覗いてみると……やはりな暴行現場に出くわして、思わず小さく唸った。
そういう主旨のプレイならばいいのだけれど……何だか、明らかに違う……。ここではよくある光景だけれど、みんながみんな受け入れられるわけでもないし、同じ女の立場としては、本気で嫌がっているなら見過ごすのは寝覚めが悪い……。
「あぁあ……どうしよう……」
頭を抱えて一度その場で蹲って悩み。それから、足元に空き瓶が転がって来るのを見て。これで強姦魔を殴れと天が啓示しているような気がした。
「……………。」
空き瓶を握ってしばし固まり。
まずは、本当に助けが要るのか確認しよう、と気持ちが固まったので、すく、とワインの空き瓶を握りしめて立ち上がった。
そして、暴行現場の袋小路に脚を踏み入れると、
「あっ、そのっ、あの―――、助けとか、要ります……?!」
大柄な男に圧し掛かられてじたばた暴れながら涙しているのが余りにも小柄な少女だったのでいたたまれない気持ちで震える声を張った。

サチ > なんだてめえは、邪魔すんじゃねえ、とかなんとか、少女に圧し掛かって今まさにその下着に手を掛けている男が凄んでくるので、ビクッと肩を震わせて。やっぱりやめとけば良かったかも~と半泣きになりつつも。襲われている少女は助けて!と叫ぶ。
(ああぁ……やっぱりそういうプレイじゃなかったぁ~……)
そういうプレイだったとしたら、『お邪魔しましたー』と一目散に立ち去るつもりだったが……本気のヤバイ現場と確認すると泣きそうな気分で、どうにか表情を キ、と引き締め。
「やめてもやめなくてもぶん殴り、ます!!」
そう口にするなり、邪魔者たるこちらへと起き上がって向かって来ようとする男の額に向けて全力でワイン瓶を振り被った。
「天誅ー!!」
思い切り良く殺す勢いでイッた。

サチ > ガンっ、ごっ……
鈍く重い強打音が響き。現場はその一瞬で水を打ったように静まり返った。
続いて、どさ……と男が昏倒して路傍に倒れ込む音。その後はしーんと静寂が横切り。
しばし、襲われていた少女も男を殴った自分も茫然としたが、ハッ、と我に返ると罅の入った空き瓶を放り出し、少女に駆け寄って介抱を始め。彼女の背中を擦ったりしながら破かれてしまった衣服をどうにか掻き寄せて肌を隠させ。さ、行こう…と促していた、その時。背後で呻き声が聞こえた。一発殴られたぐらいじゃ完全に落とせなかったらしく、殴った男が意識を取り戻したらしい。
ヤバイ!と震えあがってとにかく少女に「逃げて!とにかく走って!」と背中を押して、自分も少女に続いて逃げようとしたが。がっ、と足首を掴まれ引き倒され。
「やっぱこうなりますよねえぇぇ!! 今度は私が助けて立場ですよー!! ザ・貧乏くじ…!!」
泣きが入りながら、叫びつつ男の顔面を蹴飛ばしたり掴まれた足を暴れさせてもがき。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にブレイドさんが現れました。
ブレイド > 貧民地区、宿をもとめてウロウロと。
路地を抜けて安宿の並ぶ一角へと向かおうとしたのだが…女性の悲鳴。
怒号と共に聞こえる女性の叫び。このあたりではよく聞こえる…まぁ、あれだ。あのあれだ。
ため息一つついてから、悲鳴の方へと足を向ける。

「聞こえちまったからなぁ…くっそ、めんどくせぇ…」

舌打ちとともに独り言ちて、声と打音が大きくなる方へ。
すると、見えた。
女性?少女にも見えるが…その足首を掴む男の姿。
ちょうど男の背後に出てしまったので、バレてはないだろうが…状況から言ってプレイだなんだというわけじゃなさそうだ。
男の頭からは血が流れてるし、近くに転がる酒瓶。こういうプレイの趣向は…流石に聞いたことがない。
なので、とりあえず女性にバレて、存在を悟られる前に…

「しねぇぇぃ!!」

男の後頭部を思いっきり蹴っ飛ばした

サチ > ミイラ取りがミイラになりました、という現状。一応助けた少女は泣きながら走って行き、現場付近をうろついていた、その冒険者風情の小柄な男性とすれ違ったかも知れない。
「あの、犯る気ですか?! 殺る気ですか…?! 後者はさすがに、さすがに思いとどまっていただけませんかねー!?」
引き倒した自分の足首を痕が残るほどきつく掴みながら、頭部打撲を負いながら圧し掛かってこようとする男にせめて、殺る方は勘弁…!と半泣きでしたが。
じたばたと暴れているさなか、首元に男の両手が掛かってきて、
「ぎゃあぁぁ!! 殺されるヤツー! イヤァァァ―――あ、あぁ~?!」
死ぬ!と喚いていたその時、死ねと言う怒声と共に圧し掛かっていた男が頭から蹴っ飛んでいった。
悲鳴の途中でくわ、と目を見開いて驚愕し。しーんとまた水を打ったように静まり返る路傍で倒れた男と、倒した足…の先の人物を目視して。
「は……え。あの……?」

ブレイド > クリティカルヒット。
なかなかいい角度ではいった。少し前にすれ違った少女…こっちから来たのだろう。
こっちのいま…ぽかーんとしてる少女が無謀にも男に酒瓶で挑んで、自分は逃げおおせたものの
殴った方は捕まったという…まぁ、そういう状況だろう。たぶん。
しかし、捕まったのが騒がしいやつでうんがよかったというか…
おかげで迷うこと無くここまでこれたのだから。

「……一応聞くけどよ…こういうプレイだったりするか?」

蹴っ飛ばした男を踏みつけつつ、女性に声をかける。
さすがに思いっきり蹴っ飛ばしたはしたが…この男もまだ死んではいないだろう。
しばらくは起きないだろうが。
もし、先の予想がはずれなんかのプレイだったとしたら…謝って去るとしよう。

サチ > 「えっ……? え? いや、イヤイヤイヤ! 違い!ます! コイツ王都名物強姦魔です!」
しばし、先ほど助けた少女のように動きを止めて茫然としていたが、一応の確認に。今それ訊いてプレイって言われちゃったらどうするつもりなんだろう……などと考えながらも、事実は言った通り暴行未遂現場だったので、急いでありのままを口にすると。
よろり…少々膝が震えつつ起き上がり、ゆるゆると緩慢に立ち上がって傍の壁に手を付きつつ、頭を下げ。
「有難う、御座いました…! 助かりました。死ぬ所でした……」
ひとまずお礼を。彼の足に踏みつけられている男がまた意識を取り戻したら怖いなと少々怯えつつも。礼儀は重んじる。

ブレイド > 「そりゃよかった。お楽しみのところだったら申し訳無さでこの場に残っちゃいられなかったとこだ」

暗に、そうだったらトンズラしてましたよといいつつも
そうではなかったこと、そして被害を抑えられたことにホット一息つく。
人が悪そうな笑みを浮かべつつ立ち上がる少女にうなずき
男の上着を破いてその布切れで男を拘束すれば、これで一安心だ。と、少女に告げる。

「死ぬ前にお楽しみが挟まってたと思うけどな。
さってと……」

感謝を述べる少女に片手でいいっていいってと伝えつつ
男の懐を漁って財布を抜いた。

サチ > 「ですよねー。分かります分かります。私もそのパターンを考えて取り合えず確認取っちゃいましたもん」
助けると返って邪魔をするなと怒られかねないというややこしい現実。ええ、ええ。そうでしょうとも、と少年の意見に首を何度が縦に振って同意を示した。
そして、男を手際よく衣服を活用して縛り上げてくれた光景を目にして、ほっと人心地着いて表情を緩め。
「わあ。わぁぁ。安堵しました。ひと安心です。態々ふん縛っていただいて、重ねて有難う御座います――あ、あの……? あの……でも、その……どろぼー…は良くないのでは……?」
赤貧にして清貧。さくっと財布を抜き盗る所作を目の当たりにして、言い辛そうにもごもごしながら口にした。

ブレイド > 「まったく、王都はこれだから油断なんねーよな…つか、なんで話す余裕があって挑んでんだよ
さっき逃げてったガキと一緒に襲われたのかと思ったぞ」

囮になって逃した的な。
少し呆れ気味な表情を見せつつも、抜いた財布の中身のいくらかを少女に投げ渡す。

「迷惑料。あんたもとっとけ
泥棒じゃねぇよ。こういうアホにはいい薬だ。
それともなにか?この財布の金で数に集めたこいつとまた会いたいのか?
そういう趣味だってならこいつの懐にもどしてもいいけどな」

痛い目に遭わせておくのは大事。

サチ > 「だって、止めちゃいけない現場だったらその…悪いじゃないですか……。賠償金とか言われても払えませんし……。
あ? あの子、無事に逃げて行きました? 良かった。お家帰れましたかねー」
正直途中で止めに入らなきゃ良かったとは思ったが。自分も助かった今ならば、少女の無事を祈りたい。
しかし、急に投げて寄こされたゴルド硬貨に反射的に両手でぱし、と受け止めつつあわあわと困って。
「だだだ、駄目ですよ…! 悪い人相手だからって悪い事しちゃいけませんって。いくら貧乏でも心まで貧乏になったらいけないんです。はい、返しておいて下さい。
こんなお金で食べても飲んでもおいしくありません。ね? 私も道の草を食ってでも頑張って生きてます。
あなたも大丈夫。明日は明るいです。そんな日にしましょう…!」
何かの標語のようなことをくどくどと説き。受け取ったお金は持ち主にリターンしておく。男に屈みこんでポッケにもぞもぞと突っ込み。

ブレイド > 自分を残して去った少女の心配をしたり、自分を襲おうとした男に金を戻したり。
その行為に眉をひそめつつも止めはしないし、自分もそれに習う。
何だこいつは。底抜けの馬鹿なのだろうか。いや、馬鹿というか……

「…そうかい。いいけどな。
アンタ損するタイプだろ?何度かひどい目にあったことねぇか?
こいつに限らず…めちゃくちゃにされたりよ…」

もう一発男を軽くけって、おら、起きろと、声をかける。
取り巻きがいないということは、まぁ、こいつはあまり人望のあるタイプだったり誰かとつるむタイプではないのだろう。
金を抜かないというのであれば、再度彼女を襲わないようにするには
しっかりと教えておくのがいいだろう。
手を出せば痛い目にあうということを。

サチ > 盗ったお金を戻して置いてくれるなら、またもや、ほっとして。ほにゃと表情を緩ませて。
どこか嬉しそうにほこほこ笑いながら、うんうんと頷いた。
「良かった、あなたやっぱりいい子です。………はい? 酷い目、ですか?
んー……まあ、それは、みんな多かれ少なかれ有りますよ。私だけ平穏無事って訳には行かないですよね。
でも、あなたみたいにちゃーんと助けてくれる人もいますし、捨てたもんじゃないです」
問われて少し悩むようなしぐさで頬に手を当てていたが、結局能天気な理屈に落ち着いた。
気にしてもしょうがないと肩を竦めて。
そして、また昏倒している男を蹴って覚醒させようとするのを見ると。え?と驚いたように目を丸くして。
「あの、何するんです……? 去勢……?」
おっとりした顔して何かえげつない一言が零れた。

ブレイド > 思った以上に脳天気な少女らしい。
これではいくら襲われても体が足りないのではないだろうか?
自分でさっき貧乏だとか道の草でも食うとか言ってたし…
いろんなお人好しエピソードに事欠かないのだろう。おそらく。幸の薄さがまるで実体化したようにもみえる。

「そういうことじゃねーんだけどな…オレだって通りがかりだ。
…てか、いい子はやめろよ。いい子は…」

ガキに見えるか?と問いつつも相手の身長は殆ど自分と変わらない。
男にしては小柄な自分だ。年下に思われても仕方がないのかも知れないが…子供扱いは流石に不満だ。

「それでもいいぜ?まぁ、腕一本でも指一本でも…言葉で脅すだけでもいい
まーた捕まったら厄介なことになんだろアンタ」

傷つけられたから報復されるということもあるが…この手のやつはそんな度胸はない。
メンツを守るにしたって、見ているものがいない以上守るべきメンツもないのだから、痛い目をみるよりは穏便に済まそうとするだろう。

サチ > 「はい?
 ああ……ごめんなさい、じゃあなんとお呼びすればよいですか? 私はサチって呼んで下さい」
彼の言わんとしている事が伝わっていないのか、きょとん、としていたが、子ども扱いされて不服そうな様子に小さく肩を揺らして謝罪し名前を聞いた。目線が見事に同じ者だったので随分年下の少年に見えていたのだ。
「そんなに痛くないのなら、ちょん切って下されば後が安心ですが……お亡くなりになったらさすがに困りますものね。
えっと、物凄く怖い思いをさせるにはどうしたらいいでしょうね……。やっぱり去勢です?」
余りに怖くて思い出すのも怖くて、いっそ女性恐怖症になってしまうくらいになってくれると、安心するのだが。うーむ、と小首を傾けつつ右頬に手を添えて。しまいにはこめかみに両の人差し指を押し当てて、ぽくぽくぽく…とシンキングタイム。
「そうだ! 裸に剥いて同性愛者さんの盛り場に放置しましょう!」
いいこと思いついたー!と非常に無邪気な笑顔を満面に浮かべにこにこしながらご提案。

ブレイド > 「ん?ん…まぁいいか…ブレイドだ」

そういうことではない。そういうことではないのだが、説明してもなんか混乱しそうだ。
マイペース過ぎて人の話が飛び飛びになってるやつだ。こいつは。
サチと名乗った幸薄そうな天然少女をしり目にさてどうするかと悩むが…

「そうだなぁ…それくらいだもいいんだが………え…?」

今なんつった。
同性愛者の盛り場?マジか。思った以上にえげつないことを考えるものだ。
エンコ詰められたほうがまだマシだろう。だが…まぁ…

「そうするか。相手が悪かったと諦めてくれよ。
それと、そういうのはアンタがやったほうが効くだろうな。手伝いはするけどな」

女性に恐怖を抱かせるというのであれば、彼女がそうするのが一番いいだろう。
自分ならしばらくは女性も男性も怖くなって外を出歩けなくなる。

サチ > 「ブレイド君ですね。以降そうお呼びします」
うん、とひとつ深く首肯して確かめるように口にして生真面目なご返答。
荒っぽいように見えて実は結構親切な少年に対して勝手に親し気な雰囲気で。
「襲われる立場をご理解いただければ、と思うんですよ。是非とも全力で掘られていただきましょう。穴という穴を!」
朗らかなスマイルを浮かべて、エグイ事を口にして。
「手伝ってくださいます? わあ助かりますー。じゃあもう一度寝ていただいて……。えいっ」
ぼか、と何の躊躇もなく一瞬覚醒させられた男をまた後頭部を蹴飛ばしてまた寝て頂き。
「えーと、確かあの2番地路地裏辺りが男性専門ヤリ場になってて……カオスなんですよね。ブレイド君大丈夫かな……」
一人では運べなさそうなので、男性の同性愛者ばかりが集う路地裏に気絶させたまま引き摺って行って『ご自由にお使いください』とレッテル貼って放置しようと目論んだが、この少年がついでに襲われないだろうか、と逆に心配した眼差しを振り返ってちらりと注いだ。

ブレイド > 「君…まぁいいか」

今ひとつ子供扱いが抜けないような呼び方。
気安く接してくれるのはこっちも気が楽でいいのだが、母親か姉かといった感じの…
なんだかナメられているような気がして落ち着かない。
しかし、自分がそんな事考えているうちにも
哀れな強姦魔の処遇が決まっていく。同情する気にもなれはしないが…
襲った相手が悪かったとしか言えない。

「餌を供給しておけばそっちに目が行くだろ…つか、アンタもフォローしてくれよ…
アンタが一緒なら多分平気だろうからよ」

この男の頭から流れてた血を利用して、シャツに『フリーホール。持ち帰り自由』と書いてしまう。

サチ > 「いけませんでした?」
実際年下のようだしまだ随分若いようだし。君づけが無難と思ったが今一つ良くなかったような感触に何度かまばたきをした。
そして、この男の末路が可決されると満足げに笑って。
「ッフフ。これでもう不埒な真似に及ぶのは懲り懲りって思っちゃいますよ。逆にそちらの世界に目覚めるかも知れません。それはそれでよい結末です。
――ええ、そうですね。ブレイド君の貞操は僭越ながら、このサチが盾になってでも御守りいたします!」
ここまで協力してくれる相手を掘らせるわけにはまいりません、びし、と敬礼を極めて請け合った。
首尾よく血でシャツにメッセージを書き込む様子を見て、パチパチと手を打ち鳴らしながら。
「わあ、ナイスです。とってもイイと思います。さて、じゃ……あの、上半身持ってもらえます? 私下半身担当でいいですか?」
下準備が整ったところでここから3ブロック先の2番地まで男を頭側と脚側から持ち上げて運んで行こうと男の足首を持ち上げた。

ブレイド > 「ガキ扱いされてるみてーでな」

年下なのかもしれないが、まぁ自分も子供ではない。
こういう事を気にしてるのが駄目なのかも知れないが…
顔や身長も色々悪いのだろうか?
言っちゃなんだかなかなかの強顔だと思うのだが…

「おう、オレはそっちの世界に目覚めたかねーからな…まじで頼むぜ?
こいつも財布ですんでりゃまだ良かったのにな…」

無邪気に喜んでるあたり、こいつはこいつでやべーやつなのではと思うところもあるが…まぁ、自分が対象じゃないならそれでいい。
彼女の指示に従い、上半身を抱えて男を運ぶ。
潤滑油も一緒に置いといてやろうか…これで痔にでもなったら哀れにもほどがある。