2019/12/13 のログ
ヴィルア > 勿論、密かにではあるが、酒場の外に少女の見知った…同僚の気配もする。
自身の名が売れていることは彼もわかっているため、警戒程度はする。

「ふ…、口調、少し良くなってきているね。嬉しい事だ。
大丈夫さ、着いてきている。ちゃんと業務として着いてきているから、不満は無いだろう」

取り繕っているような、ただ少女らしくはない口調に笑みを漏らす。
それでこそ、少女だと。改善も確かに見られ、少女なりに努力してくれているのだと。
小言めいたことを言われているのに、雇い主は嬉しそうだ。
彼にとっては、新米も古参も関係なく。
何か動きがあるのなら、自分の身内のことは気になってしまう。


続く、少し恥ずかしがったような少女の言葉には。

「ココロ、か。…だが、遠慮する必要は無い。ロロの…雇った者の心を満たすためなら、私は投資を惜しまないよ
私も、ロロに守ってもらっていることは感謝しているのだから」

暗に、こういった酒場代も給金に上乗せする、と告げて。
実際他の護衛にも似たようなことはしているため、贔屓にはならない。
契約とはいえ、口調も丁寧な方へと寄せ、仕事もしっかりしてくれている少女に報いたいと思っていて。
少女ら護衛が居なければ、策謀渦巻くこの街で、無事で居られる保証はないから。

「私も私の欲求を満たす。だからロロも…そうだな、甘えてくれていいんだ」

仕事や、命令に関しては妥協も逆らうことも認めない彼だが。
食事などの欲求があるのなら、遠慮なく言って欲しい、と。
命令ではなく願いとして、少女に告げる。

ロロ > それなら良いんです。…死にたがりは護れないし、無謀に突っ込む奴も護りきれない。
…このご主人サマは、そんな無能じゃないと。解ってるから良いんです ケド。

(これがもう少し…先日のような、落ち着いた地区等だったなら。嗅覚や聴覚で。同僚の存在を察していただろう。
だがこの場所は、流石に。強い酒精や香辛料、場末の雑多な臭いや雑音が多すぎた。
そういう場所程、必然的に護衛は難しくなる。今頃きっと、同僚達も。気が気でない事だろう。
それとも…少女からすれば、先輩に当たる者達は。主人の行動にも、慣れっこなのだろうか。)

 む。それは、まァ…どうにかこうにか。鋭意思い出してる真っ最中なので。

(取り敢えず、主人の方が、護られる立場を心得ているのなら。
従者の方も、仕える立場を弁えていなければ。色々と不公平だろう。
指摘された言葉遣い。これが、例えば二人きり…以前のように、素を許される状況からならともあれ。
今は仮にも、第三者の存在が有る公の場所。それらしく、取り繕う事に余念がない。

そう、手は抜かない。任された分の役目はこなすし、支払われた物への代価も果たす。
でなければ。これも矢張り、公平ではないから。
という事で。目の前に男が居る以上、有る意味此処からは残業だ。
一旦手を止め会話に終始しながらも。改めてぴんと立てられた獣の耳が。周囲へと意識を拡散している証拠。)

 あんまり贅沢させて貰ってしまうと。それはそれで、何と言うか…
申し訳無い、じゃないな。勿体ないでもなくて――そう、ココロに余計な物が増えるの で。
栄養分は働けって。ギブとテイクはきちんとしろって。そう言って貰えた方が…個人的には、気が楽だったり。
そう、喰った分働けって ネ。

(あまり気を使われすぎると。其処は申し訳なくなってしまう。
つくづく。こういう所は、貴族らしくないと。…飴と鞭を比較したなら、前者に偏りすぎではないかと。
目の前の男に、常々そういう感想を抱いてしまう。
…もっとも、其処に関しては。男という生き物が女に与える、時として鞭であろう行為の方も。
少女にとっては、比較的飴に近く感じてしまう…という要因も。有りそうではあるが。)

ヴィルア > 少女の言葉に、優しく微笑む。
自分でも警戒は怠っては居ないが、しっかりと言葉で伝えてくれる少女の態度が好ましい。

少女の先輩も、そわそわとしているのは間違いないだろうが。
相手が超常的な力でもないかぎり、酒場の外からでも迅速に駆け付けられる自信もあるのだろう。

「真面目だね。やはりロロ。君を買えてよかったと思うよ。ただ、食事くらいは続けて構わない」

こちらからは何も言っていないにも関わらず。
しっかりと警戒の様相を見せる姿に改めてよかった、と告げる。
それでも、食事時を邪魔したのは自分であることもわかっているため、食事は続けて構わないと。

「ふふ…」

気を使われすぎるのも、と暗に伝えてくる少女。
テーブルに肘をついてゆったり青年は少女を見て。

「だが、こうも思わないかな。私の欲求を満たすといったが…
ロロに甘えられた場合には…それこそ、私の欲求も『前』より大きくなる、と」

喰った分働けというのなら元よりそのつもりだった。
もしここで、少女が頷けば…以前の行為よりも更に、少女に鞭を与えることになると。

「どちらかというと商売人に近い私だ。それくらいはわかっているさ、ロロ。
だからこそ…私としても、頷いてくれると嬉しいのだけどね。そこは任せるさ」

その瞳にからかいのような光を宿し。
少女に以前の行為を想起させようと。
こういったやり取りも楽しい、と声音に滲ませて。

ロロ > (仕事は仕事。其処にはきちんと取り組むべきだと思っている。
そのせいで口酸っぱくなるのは…何だか小姑めいている気もするが。
ついでに、こんな言い草は。例え事実を述べるだけであろうと、以前の主なら許さなかっただろう。
…というより、大半の貴族は。配下に率直な意見を言われる事を、良しとしない筈だ。
良くも悪くもと言われる愚直さが。真っ当に評価されるのは有難い。
だからこそ、他の同僚達も。少々無茶な遊行にも、不平を言わず付き合っているのだろうか。)

 ん?ん、っと。そう言っていただけるなら。
――やっぱりこういうのって、冷めちゃうと台無しだから。

(それなら良かった、と言わんばかり。早速夜食を再開しよう。
ある程度五感を余所へと割きもするが。味覚の方も、しっかりと作用する。
どちらかといえばレアに焼かれた、赤さの強く残る肉。…そういう物に惹かれる辺りも。矢張り、種を表すようで。)

 普通はソレって。順序が逆なんですよね、一般的に。
与える側、命じる側。其方が言い出しっぺになる方が、世の中当たり前だと思うんです ケド。
やっぱり…アナタは変わってると思う。 …この、新しいご主人サマは。

えぇ勿論。それも含めてっていうのが、最初からの約束だ。
…決めた事を裏切るツモリは、有りません よ。
でないと自分で自分に嘘を吐く事になるし、ソイツは…あたしにとって、とても嫌な事だから。

(先ず命じて。後からフォローが入るだの。
与える側から、「欲しければその分~」と言い出されるだの。ではなく。
最初に、此方側の欲求が受け容れられてしまうのだから。何とも不思議。
まぁ、見方を変えると。先ず与えた上で、きっちり代価を請求するという形式だから。
それこそ男の言う通り。貴族よりも商売人寄りの発想だから、という事なのかもしれない。

ともあれ。表面上は、取引条件めいた言葉の遣り取りではあるが。
男が女に、欲の有無を語って。語らせて。…何を思いだしたやら、女側が少々、頬を染めるから。
周囲の客層は、色々と察したり勘繰ったりする部分が有るのだろう。
お陰で。少々視線が痛かった。)

ヴィルア > 意見は鵜呑みにするわけでもないが。
余程切羽詰まった状況でもない限り、配下からの意見も参考とする。
何せ、実際に自分を守っているのは彼らなのだ。
例えば、護衛位置や万が一の時の対応策など――
それらは、現場の意見を取り入れた方が上手くいくことも多い。

「ああ。作った者にも失礼だ。
それに、中々共に食事をとれる機会もないからね。食事をしている姿と言うのは新鮮だ」

獣らしく、と言うと少女は怒るだろうか。
焼きを敢えて少し甘くしたその肉を食べる姿を見ていて。

「何、相手に話の本質を言わせる、確認させる…というのが染みついてしまっているからさ
『ロロから』ギブとテイクの話をしたからこそ。私がそれを元に代価を要求すれば、断りにくいだろう?」

それはなくとも、少女が従ってくれるのはわかっているけれど。
忠誠心とも言うべき心情を吐き出す少女に更に男の中で、信頼は強まっていく。

「目を見ればわかるさ。ありがとう、ロロ。それほど私との約束を意識してくれて」

人を見る目は、養ってきたつもりだ。
だからこそ、少女から出た言葉が、純粋な真実であるとわかる。
礼を言いつつ肉を食べる少女の頭に手を伸ばし、優しく撫でよう。

周りの視線も意識はしているが…特段、男にとっては当然のことをしているだけだ。
頬を染める少女を、可愛らしいとも思いながら。
小さな、獣の因子を持つ少女でようやく聞き取れる声で、囁こう。

「ここの支払いは、やはり私の名前で持とう。
…その代わり、次の仕事が終わったら、私の部屋に来なさい」

男もまた、ある情景を思い返しながら。
少し強い命令口調で欲求を露にし。
そこからは…微笑みを浮かべつつ、少女と話をするなり、見守るなり、していたことだろう。

ロロ > (上意下達がきちんと出来て。その上で下からも融通の利く職場は、働き易い。
そういう環境を作り上げるのは、間違いなく上司側に課される義務なのだから。
男が上に立つ物として、きちんとしてくれている事は。間違い無いだろう。
つくづく。以前とは比べ物にならない程、職場環境が改善されたと思う。
少なくとも、この家…リルアール家と呼ばれる貴族家は。早々失われる事が無さそうだ。
最低限次の当主が立っている間くらいまでは。身を寄せていても良いのではなかろうか。)

 そう思うなら、何か頼んでみても良いんじゃないですか?
こんな店ですけど。結構悪くないですし――何より酒は充実しています よ。どうやら。

(きっと飲兵衛共が集うのだろう。戸棚に並ぶ酒瓶は、良し悪し様々に豊富だった。
それこそ貴族様のお眼鏡に叶うような銘柄も、ちらほら見受けられる程に。
というより。此方だけが舌鼓を打っていて、主人の方は見ているだけというのは。精神衛生上宜しくない。
なので、せめて飲み物くらい頼んでくれても良いのにと。
…残念ながら。一口どうですか、等という言葉は。金輪際出て来ないらしく。)

 む。……むむ。やっぱりそういうカンジ ですか。
一本と言わず、相変わらず何本も取られてる…気がする。
いやまぁ、それでも?…約束は約束というか。契約は大事というか。
――決めておいて。信じて貰っておいて。それを裏切ってしまうと。気分が悪いでしょう?

(結局は、これも。ココロの問題という奴なのだろう。
澱みのような物、病のような物を。…余計な重荷を背負い込まない為の。
言ってしまえば、必ずしも主への忠誠心という訳ではない。寧ろ自分自身への義理立てに近い。
それでも結果としては、作られた通りの。忠犬ぶりという事になるのかもしれず。
実際、半分は犬である事の証めいて。耳の合間、髪を撫で擽られる感触に。
食べている最中なのに…と言いつつも。椅子の後ろで、はたりと尻尾が揺らされて。)

 そんな風に言われると。追加注文しちゃいたくなります ね。…なんて。
次の仕事。そうですね、だったら――

(その上で。感じ取る事の出来る、男の体温。掌の感触は。
嫌が応無く肌身の接触を。…肉体的な繋がりを。意識して、思い出させられてしまう。
更に熱っぽくなってしまいそうな頬が。しゃにむに肉組織への咀嚼を繰り返し、熱の発散を心掛けつつも。
…こんな話の流れとなってしまえば。もう、頭の中から追い出す事は。出来なさそうだ。
先の会話通りなら。「次」はそれこそ、更に欲を肥大化させて。飴も鞭も、更に増してしまうのだろうか。

おかげで。少しだけ、肉の味に。甘さを錯覚してしまう事になりながら。
今夜の所は、あくまでも仕事上がり。次の護衛に付くまでは――このままで。過ごせたのだろうかと。)

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からロロさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からヴィルアさんが去りました。