2019/12/10 のログ
ヴェンディ > よたよたしていたのに、彼から見てみれば虚勢を張る女に、笑いが漏れる。

「そうか、プリム。俺はヴェンディという。…どうやら、警戒心が薄い娘の様だな」

軽く摘まんで持ち上げたまま、苦も無くそれを保持し。
何が面白いのか、く、く、と笑って。
自分がこの娘に乱暴を働くつもりで近づいたらどうするつもりなのか気になるところだが。

「今は、というだけであろう。…近くまで俺が持って行ってやろう。
プリムは、周囲を警戒しておけ。この俺が運んでやるのだから、精一杯感謝してな」

黒目のない、人形のような白い目で見つめて。
まともに見つめ合うと少し怖いかもしれない。
相変わらず傲慢な物言いをしながら、目的地はどっちだ、と聞いてみる。

プリム > 「ヴェンディさんですね。え?そんなことないですよ」

何が面白いのか判らないが笑っている青年を首をかしげて見つめ。
ただ警戒心が薄いという言葉にはちゃんとしてますと言い切る。
少なくとも襲われずに居たのだから周辺警戒は出来ていたのだという自信があって。

「その時は追い払います。これでも剣はそこそこ扱えます。え、でも迷惑じゃないですか?
は、はい。それならお願いします。届け先はこっちのはずです」

ごろつきには負けませんと言い切るのだが、その姿はどうにも危なっかしく。
そして青年を見ていればふと目が真っ白なことに気が付きびくりと震え。
しかし目的地を問われれば慌てて地図を取り出し、こっちのはずだと進んでいた路地の先を見て告げる。

ヴェンディ > 「例えば、だ。こうやって優しいモノを装って近づき、プリムを捕らえようとしているかもしれない。
それでなくとも、名というのは呪術や魔法で重要なものだ。どう不利益があるかわからんぞ?」

つらつらとどこが警戒心が無いのかを挙げていく青年。

「先ほどの状況なら、足払い、後ろからの拘束など、だ。
声をかけられた時点で荷物をその場に放り投げ、剣を構えるのが警戒、というのだ」

決めつけた口調だが。
それも全て目の前の娘を心配しているから。
空いた片手で、地図を見る娘の頭に触れようとしつつ。

「だが、俺の近くに居るならこの世のどこよりも安全だ。
離れるなよ。一度提案した以上、この荷物を届けるまでプリムは傷つけさせん。
愛らしい娘が血を流すなど、俺は好きではないのでな」

彼にとって人間とは下等ではあるが、愛するべきものであり。
きっぱりと断言しながら、道を進もう。

プリム > 「そういう人は……何度かいました。その時は大語を上げたら逃げていきましたけどここだと危ないですよね。
呪術や魔法で名前を使うのですか?でも大丈夫ですよ」

告げた名前は愛称、本当の名前はもう少し長いので大丈夫と考えて笑い。
青年のいう言葉で実は危なかったのかもと少しだけ自覚をもち。

「後ろから人が来れば私でも警戒しますから。足払いは……頑張る…。
その…これ以上荷物を傷つけるとアレだから……」

決めつけている言葉だが心配してくれているからこそと素直に聞き。
ただでさえ外装がボロボロになっている荷物にこれ以上の傷はと戸惑ってしまい。
地図を見ていると急に頭に触れられ何事かを見返して。

「ヴェンディさんは凄く強そうですから。
はい、届けるまでお願いします。愛いらしいなんて言っても何も出ませんから」

本当に出せるものは何もないがそういわれると嬉しくて頬が緩んでしまい。
道を進む青年を追いかけ案内して隣を歩き路地を進んでいく。

ヴェンディ > 少しは自衛していたのか、と感心したように。
確かに愛称であれば名を使う呪術や魔法は不発、あるいは効果が弱くなる。
そこまで考えていたのなら上々だな、と。

「荷物と、貞操や命、どちらが大事かは決めておいた方がいい。
その体、性欲のはけ口にされてから、後悔するのでは遅いぞ?」

荷物を気にする女をたしなめる。
敢えて直接的な言葉を使い、そういったことを意識させることで。
少しでも危機感を与えようと。

「最初から期待しておらん。だが、今度酌に付き合え。
良い酒が手に入ったが一人で飲んでいてもつまらん」

寒くはないか、と気温のことまで心配し始める青年。
要求も決定事項のような言い方だ。
けれど優し気な雰囲気は、例え断っても崩れることはない。

プリム > 自衛こそはしているがあくまで平民地区や富裕地区でしか意味がない手。
この場で行えば逆効果という事にはつい今気が付き、名前もうっかりと名乗ってしまうと気が付かれていないだけで実はいくつもオオボケをしていたりと…。

「あ、あうう……その時は荷物を諦めます……」

青年の言葉に顔を真っ赤に染めて狼狽え、荷物を諦めると口にして。
それで仕事は失敗となるがどっちが大事かと問われると命と貞操を選ぶのは当然の事。

「それなら言わないでほしいです。
お酒ですか?あまり飲めませんがそれぐらいならいいですよ」

寒さの心配に大丈夫と笑顔を見せて返し。
要求には少し考え、長くお酒も飲んでいないなと思えば快く了承して。

「あ、ここです。やっと見つけた」

そしていると何度も見つけれなかった届け先をようやく見つけて、ここだと告げる。

ヴェンディ > 抜けている部分はあるが、警戒心はそこそこに植え付けられたようだ。
それだけで、この愛い存在をある程度守ることもできよう。

「それがいい。俺は殺しはせんが、凶暴なモノというのはどこにでもいる。
そういった、純なままでいようとする努力は、美しいぞ」

相手の反応から、そういったことの経験はないのだろうと察し。
荷物を捨てることを選ぶ賢明な判断に、よし、と。

「ん?言われるのは嫌か。俺は嘘はつかん。
荷物の影から妖精が出てきた、と思ったほどだ」

愛い、という言葉に対して言わないで欲しいと言ってくる相手に。
からかうように言葉を続け。
了承を得れば、また声をかけると約束しよう。

「おお。ついたか。仕事の締めはプリム自身でやるがいい。
この距離でコケるなよ」

慎重にだが、その届け先に近づいてから荷物を女に近づける。
受け取る体勢を取るなら、そこに荷物を降ろすだろう。

プリム > 「危ないのでこっちは来ないようにしてますよ。でもこれからは他でももっと気を付けますね。
女の子は誰だってそういう目にはあいたくないですよ」

命や貞操に比べれば仕事の成否などは気にするまでもない。
青年の言葉にこれからはもっと気を付けようと誓うが…いつまで持つかは判らず。

「嘘でも嘘じゃなくても恥ずかしいですから。
妖精は言いすぎだと思いますから!」

そんな立派なものではないと揶揄う言葉に過剰に反応してしまい。
その時はと笑顔で頷いて。

「やっと着きました。それでは届けてきます。
コケませんよ」

近づけられる荷物に手を伸ばして受け取り、それを届け先へ。
外装がボロボロな事には2,3小言は言われはしたが中身は無事で仕事は無事に終了。

荷物の代わりに引き換えの割符を受け取り戻れば青年に頭を下げてお礼を告げる。

ヴェンディ > 「ああ。そうしろ。目についた娘が泣き叫ぶのを見る趣味はない」

気をつけろ、と念押ししたが。
大丈夫だろうかとも思う。
だが、付きっ切りになるわけにもいかない、と。
今は忠告だけに留めておいて。

からかいに反応する娘の頭をぽふ、ぽふ、と撫でてから。
本当に、人間と言うのは感情豊かで、愛い。
ころころと変わるその表情はどれだけ見ていても飽きない。

「――――…」

行ってこい、と言ってから。
仕事が終わるまで少し遠くで見守り。

「それが証明か。なるほど、仕組みがしっかりしている。
…では、帰りも送ってやろう。プリム」

興味深そうにその割符を見てから。
勝手につかつかと歩き出す。
そのまま何もなければ。
女が安全な場所まで、送っていったことでしょう。

プリム > 「私もそんな目に合う趣味はありませんよ」

念を押されると判ってますと何度もうなずき。
同期だった同性の冒険者仲間にそういう目にあった子もいるだけに真剣に頷く。
剣だけでなくもう少し他の護身法も必要かと真面目に考え。

揶揄われていると判ってはいるが頭を撫でられると何も言えず。
落ち着き冷静にすることは必要と教わっていたが全くできずに青年のペース。
そして無事に仕事が終わり。

「これを持っていかないと失敗になるから。
えっと……お願いします」

送るという言葉にいいのかと悩むが歩き出す後ろ姿にお礼を言い慌てて追いかけ。
その後は特に何事もなく平民地区の大通りまで送ってもらう事になって。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からヴェンディさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からプリムさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > 「──シッ!」

貧民地区、路地裏。男が短く呼気を吐く。
瞬間、旋風じみた風のうねり。迅雷もかくやといわん速度の回し蹴り。
男に対峙していたチンピラがそれに吹き飛ばされるのは……道理といえる結果で。

「……オイオイ。オイオイオイオイ。オイオイオイオ~イ。
 舐められたもんだなぁオレ様も……。
 路地裏で? 五人で? 襲えば? 勝てるとか思っちゃった訳だぁ?」

地獄の底から燃え上がる炎の如き、重々しくも激しく静かな声色。
それが、路地裏に響き。男の前に立つ四人のチンピラが、息を飲んだ。

「……いやいやいやいや。いいぜいいぜ? 来いよクソ共。
 顔には覚えもねぇし、気配にも見るものはねぇ。
 だがまぁ、オレに恨みがあるんだろ? どんなんか知らねぇけど。
 潰して刻んで叩いて飛ばして捻ってやっからよぉぉぉぉ」

ケンカを売られたのなら全力で買い取り。
それが男の主義であった。それプラス、今は男も微妙に不機嫌だ。
寒さに苛立っている中だし、腹も減ってる。酒だって切らしてるし、女も抱けていない。
要するに、イライラ最高潮。そんなタイミングでケンカを売られたのである。
そりゃあもぅ……。

「……そっちから来ないならコッチからイクぞゴラアアアアアアァァァァッ!」

怒り心頭、ってやつであった。
男が重心低くし、チンピラ達に突撃する。
まさに、鉄火場のオープンであった。

セイン=ディバン > 「……ケッ」

時間にして数分の後。男は路地裏に向かい唾を吐く。
地面には、総勢五名のチンピラの倒れる姿。
男にとっては、多少荒事に慣れているだけの人間など、物の数ではなく。

「……ったく。余計にイライラさせやがって……」

懐から取り出した細巻を吸いつつ、男がその気絶したチンピラたちを踏みつけて歩く。
ケンカをしたせいで余計腹が減り、イライラパワーアップ、であった。

「……チッ、ロクに金も持ってねぇ。
 マジで骨折り損じゃねぇか」

チンピラたちの懐をあさりながら文句を言う男。
何も得るもの無き戦いの後、男は、はぁ~、とため息を吐く。

「あ~、ったく。マジやってらんねぇ」

何が悲しくて小物と小競り合いせにゃならんのだ。
そうボヤきつつ、男は立ち上がる。
得るものは無かったかもしれないが。前向きに考えるとすれば、食事前に腹を空かせることができた、とも言えるかもしれない。

「……さて、どうすっかね」

食事か、酒か、女か。どれを手に入れに行くかな、と。
男は頭を掻きながら思案する。

セイン=ディバン > そうして、男は路地裏を後にした……。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からセイン=ディバンさんが去りました。