2019/09/22 のログ
■カーレル > 貧民地区の路地を入り古びた教会の尖塔を左に見ながらしばらく進む
古びた門構えの廃屋の先、半地下へと進む石で出来た確りとした階段を下って、
木造のしっかりとした作りの門戸を開くと、酒と質の良い煙草の香りがふんわりと漂ってくる
貧民地区の中、それも案内も看板も出ていない酒場で狭い店内にはそこそこの客がいるがシンと静まり返っていた
それぞれのテーブルで向き合った客たちは声を潜めて何か相談しているらしい
…というのも、この酒場は人目につかず、人に聞かれたくないような相談事をしたい商人であったり、
貴族であったりのたまり場になっているからであった。看板もない貧民地区の寂れた地域にあるから
密談にはもってこい、ということなのかもしれない
が、今宵、この店を訪れたのは悪い相談であったり、ましてや人に聞かれたい話をしにきたわけでもない
この奥に進めば命の保証はない…なんて言われているらしい、奥の個室へ続く狭い扉には目もくれず、
埋まったテーブル席に対してガラン、と空いたカウンターの真ん中へと堂々と陣取れば、
貧民地区ではあまりお目にかかれない舶来の蒸留酒を注文する、それからニンマリと笑みを浮かべて、
「何時ものやつを二人前」とカウンターテーブルを挟んで向こう側にいる店主に注文する
あまり、知られていないがこの店、豚の背脂で作ったハムが絶品なのだ
一度口に入れれば、淡雪のように口の中で解れ、その塩気の塩梅が酒にも、パンにも抜群に合う
酒はハムの油気を流してくれる少々度数の高いもの、パンであれば上品に焼かれたものより
雑穀が混じったような日持ちのする硬いものとよく合う
薄く切られ少々焼き目のついたパンの上にこれもまた薄く切られたハムが乗せられた料理と酒とが供されれば
ごくり、と喉を鳴らしパンを頬張る。口溶けの良いハムとしっかりとしたパンを供に咀嚼すれば、
僅かばかりか口の中に残った塩気と油気を度数の高い酒で一気に流し込み、ふ、と満足気に息を零した
■カーレル > 客たちはそれぞれの話に夢中で静かであるから食事と酒に集中できる
誰に邪魔されることなくしっかりと酒と食事とを味わう
こういう時、酔うこともなく純粋に酒と料理を味わえるのは悪くない
目的の料理を堪能すれば独りで長居するような場所でもない…食事の代金を支払えば店を後にして
外に出れば煙草を咥え、季節の移ろいを感じさせるひんやりとした空気の中を中心街の方へ歩いていくのだった
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 酒場」からカーレルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/酒場」にカインさんが現れました。
■カイン > 騒々しい声の響く貧民地区の酒場の扉を押し開けて、
濡れた外套片手に男が足を踏み入れる。
稀に興味を惹かれるものもいた様子だが、大半の意識が喧騒に飲まれる中、
躊躇うこと無くカウンターの端に陣取ると先程まで外を賑わせていた雨の仕業だろう外套をカウンターの端に引っ掛け。
「ったく、雨季はこれだからなあ…マスター、エール…いや、ワイン。少し良いやつを」
普段は躊躇うこと無く安酒を注文するところだが、
今日は気が乗らぬと少しは上等な酒を注文してみせる。
待ち時間の間に頬杖をつきながら周囲を見回してみると、
どうやら短時間降った雨とは無縁の人間が多い様子に肩をすくめ。
「俺もさっさと酒場に引っ込んどけばよかったな」
仕事が少し長引いたせいでこうなっているだけに愚痴が口をつく。
肩をすくめてゆっくりと目を細め。