2019/08/21 のログ
■カイン > 「…ん。酒もそろそろ潮時かね」
ふと気が付けば随分と夜が更けた気配がする。
人よりも随分と頑丈な体を持っている自負はあるが、
かといってほかの全ての部分が人間以上かといえばそんなこともない。
悪酔いしない程度に終わらせようかと緩く息を吐いて考えながら、
立ち上がってその場を後にしていくのだった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/酒場」からカインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 路地裏」にゾアさんが現れました。
■ゾア > 「ハッ…、ハァッ…!ヴゥ…ッ」
お情け程度の明かりも届かない、貧民窟の路地裏に、大きな獣が転がり込んだ。四肢で必死に駆けてきた毛玉のようなそれは何かに躓いて荒れた路地をゴロゴロと転がり、どしんと大きな音を立てて壁にぶつかって止まる。
呻き声を上げながら蠢く体は見る見るうちに人間の体へと変貌し、ひとまわりもふたまわりも小さくなっては壁に爪を立てて体の上下を整えた。
「ハッ… ふ…」
■ゾア > きょろきょろと辺りを見回し、五感で以って周囲の様子を探る。呼吸は時期に整う。
口蓋を伝って流れ込んだ鼻血を吐き捨て、裂けて血の出る皮膚を舐める。
足首に纏わりつく鎖を鬱陶しそうに振るったが外れることはなかった。
深く息をしては怪我の様子を一つずつ確認し、伏せては地面に溜まった雨水を舐める。
■ゾア > 空腹で腹が鳴るが見渡す限りの狭い視界には食えそうなものはない。
魔獣の血の匂いを撒き散らかして転がり込んだせいでドブネズミの一匹すらその気配を見せなかった。
「………。」
暗がりに息を潜めてじっとしているべきだ。
獲物が油断して目の前を通ったら襲いかかる。
今まで飼われ餌を与えられてきた身には自分で糧を得るのは困難だったが、そんなことはどうでも良くなるほどに、千切れた鎖が自由を示していた。
誰かが捨てていったズタ袋に潜り込み、息を潜め、目だけは爛々と動くものを探す。
■ゾア > おうしてじっとしている内、体力の消費が空腹を捩伏せ瞼が重くなる。
何度かうとうととしては目を覚ましと繰り返していたが、ややあって観念し大きなあくびをした。
気づけばいつでも飛び出せるような姿勢で、思い瞼を幾度か瞬いた後、ゆっくりと睡魔に飲み込まれていく。
やがて暗い路地裏の背景の一部となっていった…。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 路地裏」からゾアさんが去りました。