2019/08/15 のログ
■カイン > 「全く、出てくるのが遅いぞ」
暫く待たされた後に漸く用意された道具の数々を手に取って渋い顔。
仕方がないとばかりにぼやきつつもそのまま手を振って踵を貸して去っていくのだった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」からカインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にタマモさんが現れました。
■タマモ > 「………何と言ったものか…のぅ?」
ここは王都マグメール、貧民地区にある裏路地。
連なる建物のお陰、と言うべきか、激しい雨風に直接晒されずに済んでいた。
もっとも、壁に当たり落ちる雨には、傘なりなければ濡れる事となるだろうが。
代わりに、道としては入り組み、迷い易い場所となっているか。
…慣れた者にとっては、近道とか、そんな感じになるかもしれない。
そうした場所に、広げた唐傘を片手に、少女は佇んでいた。
なぜ、少女はこんな場所に居るのか?
いつもの事だ、気紛れに、貧民地区を彷徨っていた。
少し前までは風だけで、雨は降ってなかった、だから大丈夫だろうと考えて。
その結果が、これである。
この入り組んだ裏路地を出れば、雨風に晒される。
そんな事になるくらいなら、迷おうが、少女は裏路地を選ぶ、そんな感じで。
■タマモ > 時折、もう片手に持つ広げた扇子を、ぱたぱたと扇ぐ。
普段より暑くは無いが、その分、湿気とかが高く、蒸し暑い感じか。
こう、こんなじめーっとした空気は、本当に嫌になる。
はふん、と溜息を一つ吐けば、軽く考える仕草。
「こう言う時は、気を晴らす為に、派手に愉しむのが良さそうなんじゃがな。
さすがに、こんな日に出歩くような者は………まぁ、期待出来んか」
ぽつりと呟くも、とん、と地面を足で小突く。
少女を中心に、広がるように周囲の路地へ違和感が現れる。
それは、あくまでも路地にだけ感じられるもので、建物の中にまでは影響を与えていない。
魔力によってではないそれは、普通に感じ取れるものではないだろう。
それは、長く触れていれば、気付かぬ間に意識を奪う、妖の力。
魔族の類で言う、夢誘いに近いものだ。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にジェイさんが現れました。
■ジェイ > 雨風が帽子を叩き、外套を濡らす。
右手で飛ばないように帽子を押さえながら歩く。
ばさり、と外套がはためく音に、顔を顰めてしまえば
「やれやれ。中々に、酷い天気だ――?」
雨風に混じってそんな言葉が零れ落ちた瞬間だった――。
言葉尻が疑問の形に止まる。一瞬止まる足。向かう先に、違和感。
分析――エラー。詳細までは判別できない。
けれど――喩えるならば、「嫌な予感」と表現できる。
「――こんな天気にこんな場所にいるものに、まともなものがいる筈もないか。」
結論付けるような言葉は、向かう先の少女にも届いたかどうか。
いずれにせよ、その姿はすぐに見えるだろう。
雨の中、少女の方へ真っすぐに向かって行っているのだから。
■タマモ > 少女の耳が隠されていなければ、ぴくん、と揺れていたところだろう。
周囲に広げた力に、何かが引っ掛かった、それに気付いたからだ。
だからこそ、気付いた、その相手が何となくにせよ、違和感をしっかりと勘付いた事に。
もっとも、少女が分かるのはこの程度、相手が何者とか、そんな細かい事は、目の前で見ないと分からない。
まぁ、だからと言って、特に何をするとか、そんな訳でもないが。
「ほほぅ…?…なかなかに、面白そうなものが、掛かったようじゃのぅ」
扇子を扇ぐ手を止め、ぱしん、と閉じる。
ゆらりと、唐傘だけはそのままに、その相手がやって来る方向へと視線を向けて。
となれば、相手からも、こちらがすぐに見える事となるか。
寄って来る動きに、こちらは待つように、佇んだままなのだ。
■ジェイ > 最初に視界に捉えたのは、この街では珍しい唐傘。
次いで、雑踏と風雨にも紛れぬ卵色の髪。
そして、似た色合いの視線同士がぶつかり合う。共に金色。
金色の少女――美しい、と形容詞をつけても構わないだろう。
そこへ足は向かっていく。彼女は待つ。
「――こんばんは。珍しい格好だな。お嬢さん。」
そして、先に声をかけたのは彼の方だった。
何気ない挨拶に見える言葉は、雨音に紛れずにはっきり届くだろう。。
そして会話に差し支えない距離まで辿り着けば無造作にそこで立ち止まって
「こんな夜に。いや、こんな夜だからこそ――獲物でも待っているのか?」
率直に問いかけた。
目の前で、此方を分析しようとするのならば、相手に伝わるだろうか?
此方は人でも、魔でも、獣でも、そのどれでもあるような――
そんなごちゃ混ぜのモザイクのような存在だろう。
■タマモ > 珍しいと表現するならば、異国の衣裳である着物もまた、相手にとっては珍しいものだろうか?
お互いに、その瞳の先に見える距離となろう。
その相手に、見覚えは…うん、ない。
さて、どう声を掛けたものか、と考える前に、先に声が掛けられた。
「ふむ、お晩じゃのぅ。
しかし…珍しいなんぞ、久し振りに言われた気がするのじゃ」
挨拶を返しつつ、軽く思案するように、一寸視線を上に。
何度も出歩いたこの付近、少女を珍しいと思う者達は、むしろ少ないのだ。
だからこそ、そんな言葉で返してしまう。
側にまでやってきた相手、その男には、特に警戒するような様子も見せない。
………まぁ、常日頃、誰にでもそんな感じだが。
「ふふ…それに気付いた上で、やって来たのか?お主は?」
くすくすと笑い、そう続けて答えた。
それなら、何か目的があって来たか、それとも、好奇心に誘われたか…
どちらにしても、普通ではないのは間違いない、それが面白そうでならなかった。
しかも、感じる感覚は、色々と混ざり合ったようなもの。
やはり細かくは分からないが、前にも似たような存在も居たし、似たようなものだろうか?なんて考えていた。
ちなみに、相手は己をどう感じているのか?
隠匿の術は多分理解出来ないから、勘の鋭い相手なら、力を持った存在と感じる事だろう。
絶対ではないから、多分、と表現はしておこう。